名義貸しはリスク100%で違法!いい断り方はある?
親や親戚、友人などから「絶対迷惑は掛けないから名義を貸してほしい」と頼まれた経験はありませんか?
実際のところ、名義貸しはリスクが多いだけでメリットは何もありません。
それどころか名義を貸した人自身が消費者金融などの金融機関を騙してお金を借りたことになりますので、場合によっては詐欺罪として訴えられる可能性もあるのです。
名義貸しによくあるシチュエーションやリスク、頼まれたときの断り方についてまとめました。
犯罪や多額の借金とは無縁で生きていくためにも、ぜひご覧ください。
この記事は以下の方には特に参考になります。
- 友人知人、親族に「名義を貸してほしい」と頼まれている方
- 名義貸しを断る方法を知りたい方
- 名義貸しで生じるリスクを知りたい方
- 執筆者の情報
- 名前:梅星 飛雄馬(55歳)
職歴:地域密着の街金を30年経営
目次
名義貸しを頼まれた場合の断り方・対処法とは
名義貸しがいけないことだと頭では認識していても、目の前で頭を下げている人に対してきっぱりと断ることは難しいですよね。
しかしここで情に流されてしまうわけにはいきません。
名義を貸してほしいと頼むということは、もはやその人は社会的に信用がない状態です。
遠くはない未来に支払いが困難になり、結果的に、自身に借金返済の義務が降りかかってくる可能性が高いということを忘れてはいけません。
お金を借りる理由について尋ねる
まずは「一体何のためにお金が必要なのか」と理由を聞いてください。
「何も言わずに貸して」と答えるなら、「正直に言ってくれない人にはお金を貸せない」ときっぱりと拒否しやすくなります。
もし、理由を言ったとしても故意に不明瞭にしている部分があるならば、「リスクを背負うのは私だから、あいまいな理由では貸せない」と論理的に説明しましょう。
お金を貸す場合は現金を貸す
名義貸しによるお金の工面は詐欺罪ですので、どうしてもお金を貸さなければならない状況に置かれた場合は、手持ちの現金を貸すようにしましょう。
そうすれば万が一のことが起こっても、あなた自身が詐欺罪を犯したとして立件されることはありません。
また、あなたに名義貸しを持ち掛けた人が返済しない場合でも、あなたの信用情報機関にはキズが付きません。
お金を返済してもらえなければ、相手に対して裁判を起こすことによって借金を回収できる見込みも多少は出てきます。
お金を貸すときには借用書を作成しておきましょう。強制執行認諾文言がついている公正証書を作成しておくと、スムーズに法的措置を取りやすくなります。
借金返済で困っているなら債務整理をすすめる
名義やお金を借りたいと申し込んできた理由が「借金で首が回らないから」というものなら、借金を法的に解決する債務整理を勧めることも友人や親族としての役割です。
借金問題に強い事務所や弁護士、司法書士を知っているのなら、紹介してあげるのも優しさでしょう。
債務整理を提案すると怒ってしまう人もいますが、相手を怒らせないようにしたところで、問題は何も解決しません。
相手のことを思って「借金返済のために借金を重ねることは良くないことである」と諭してあげているわけですから、それで怒ってしまうような人とは付き合いを清算するほうがよいかもしれませんね。
すでに名義貸しをしてしまったときの対処法は?
名義を貸してという依頼には、大切な友人や親族であっても断固とした態度で拒絶しましょう。
どうしてもお金が必要な状況に置かれていることが分かったのなら、あなた自身の生活に支障が出ない範囲で現金を貸してあげましょう。
しかし、「もう既に名義貸しをしてしまった」「しかも返済の請求がこっちに来ている」という状態の方は、これからトラブルに巻き込まれる恐れがあります。
名義貸しによるトラブルを回避する方法や名義を貸したときに知っておきたいことをまとめましたので、ぜひご覧ください。
裁判に訴えるとお金を取り戻せる?
例えば消費者金融のカードを友人に貸して、自分が返済を行ったとしても、それは代位弁済(自分以外の借金を代わりに返済すること)とは言いません。
ローンカードを貸したほうがカード規約に違反しているわけですから、本来持つべき求償権を得ることすら危ういものです。
それだけではなく、返済しない友人を脅すような行為をしてしまえば、逆に脅迫罪に問われることとなりますよ。
消費者金融のカードを貸すことは名義貸しと同じ意味である、との正しい認識を持つことが必要ですね。
名義貸し詐欺でも泣き寝入りするしかない?
名義貸しは友人や親族といった知り合い関係において行われるものではありません。ニュースで流れるように名義を借りることで、詐欺を働く犯罪組織も存在しているのです。
アルバイト感覚でお金を借りるように指示され、30万円を借りさせ、アルバイト代として1割の3万円を受取り、借金の支払いはこちらでするので安心してくださいなどと騙されることがあります。
「返済してくれない!」と気付き、慌てて連絡を取ろうと思っても電話がつながることはまずないでしょう。
「お金を借りたのは私ではない!」と裁判所や警察署に言っても証拠がないわけですから、泣き寝入りになるパターンが多いのです。
よくある名義貸しのパターン
「名義貸しを貸してなんて言われたことがない」という方も多いかもしれません。
しかし、実際のところ、名義貸しは極めて珍しい状況ではなく、現実社会によくあることなのです。
ぼんやりとしていると誰もが巻き込まれる恐れがあるのが、名義貸しの怖いところでもあります。
名義貸しのよくあるパターンを4つ紹介しますので、似たような状況になったときは注意深く行動するようにしてくださいね。
消費者金融のローンカードを他人に貸してしまうケース
消費者金融カードローンの会員規約には、名義貸しの条件となる他人へのカード貸与、並びに譲渡することを禁止する文言が記載されています。
名義貸しというと「自分以外の誰かのために契約を結ぶこと」というイメージがありますが、自分名義のローンカード(カードローン用のカード)を他人に貸せば、名義貸しをしたのと同じことになるのです。
会員規約に違反してローンカードを他人に貸与したことがカードローン会社に知られてしまうと、カードローン会社から借入残高の一括請求を受けることになります。
また、カードローン会社から強制解約されると、信用情報機関に金融事故として登録されてしまいます。
金融事故として登録されると今後の生活にも影響が生じる
ローンカードの強制解約が金融事故として登録されてしまうと、最低でも2年間は信用情報機関に情報が残ります。
情報が残っている間は、カードを貸した本人が他のカードローンでお金を借りることやクレジットカードの更新にも影響が及ぶことがあるのです。
金融事故情報は3つある信用情報機関に全てデータ共有されますので、消費者金融でカードの強制解約がされたという情報がJICCに登録されると、直ちに他の信用情報機関であるKSCやCICに情報が流れてしまいます。
そのため、銀行カードローンが利用できなくなったり、クレジットカードの利用を停止されたり、住宅ローンや自動車ローンといった人生を左右するようなローンの審査に落ちることにもなります。
親や親戚、友人から名義貸しを頼まれるケース
お金を借りるには銀行カードローンにしても消費者金融にしても、審査に通らなければなりません。
しかし名義貸しを依頼する人は自分の名前では審査に通らないことを知っているため、親しい間柄の人に名義貸しを頼むのです。
名義貸しを依頼する人は必ず言う言葉に、「必ず借金は責任を持って返済する」、「絶対迷惑は掛けない」という魔法の言葉があります。
親しい間柄だとある程度相手に対しても、信頼感を寄せていますので、必ず責任は取る、絶対迷惑は掛けないと言うなら名義を貸してもいいかと一瞬考えてしまうかもしれませんね。
名義貸しは一種の自己顕示欲
お金を借りられない人に名義を貸す・・・一見すると人助けのようにも見えますが、それは一種の自己顕示欲です。
仮に名義を貸してうまくお金を借りることができたとしても、実際お金を借りた人が返済を滞った場合は、名義を貸してくれと言った人ではなく契約を行った名義人がに督促を受けることになります。
「自分がお金を借りたわけではない」などという言い訳は通じません。
仮に「自分がお金を借りたわけではない」などと金融機関に言い訳をするなら、返済を迫られるだけでなく、契約違反による一括返済請求にもなりかねないのです。
騙されて名義貸しに加担してしまったケース
騙されて名義貸しに加担してしまうケースもあります。
親や親戚、友人などから謝礼を払うから名義を貸してほしいと、謝礼金を釣り餌として名義貸しをさせられてしまうことがあるのです。
「うまくお金を借りることができたら、数万円のお金を支払うから名義を貸してほしい」などと言われると、つい謝礼金欲しさに名義くらいなら貸しても良いだろうと安易に考えてしまうかもしれませんね。
しかし、冷静に考えてみてください。自分の名前で借金もできないような人が、数万円の謝礼金を払うことができるでしょうか?
実際のところ、謝礼金を餌にして名義貸しを依頼してくる場合は、返済途中でとんずらしてしまうことが多く、結局は借金返済を名義人がしなければならない悲惨な状況に追い込まれるのです。
アルバイトで名義貸しの被害にあうケース
消費者金融の借入についての調査をしたいという名目で、犯罪団体が主に学生などにアルバイトを持ちかけるケースがあります。
「実際どのような属性ならいくらまで借りられるのか実態調査をしたい」と誘いかけ、消費者金融から借入をさせるのです。
学生側が「借金をするのはちょっと・・・」とためらっていると、「もちろん借金返済は当社が行いますので、心配は要りません」と念を押してきます。
実際に、学生がアルバイト感覚で消費者金融に申し込みを行うと、数千円から1万円程度の謝礼金を受け取ることができ、学生側も「簡単にお金がもらえてよかった」となるのです。
謝礼金を受け取った後に被害が・・・
謝礼金を受け取ってめでたしめでたし・・・ではありません。
学生にアルバイトを持ち掛けた会社は、学生が契約したカードを使って上限までお金を借ります。
もちろん、詐欺を働く側が消費者金融にきちんと返済することはありません。
実際に借金返済がされていなければ、消費者金融と契約した本人に対して督促の電話が入ります。
そこで初めて騙されたと気が付きますが、その時点で気が付いたとしても後の祭りです。
名義貸しはカードローン契約だけではない
名義貸しは何もカードローン契約に限ったことではありません。
契約において名義が発生するものは、全て名義貸しの対象となります。
代表的な例としては、携帯電話の名義貸しやFX取引口座の名義貸し、銀行口座の名義貸しなどがあります。
もちろん、いずれの名義貸しも犯罪です。
それぞれの名義貸しについても見ていきましょう。
携帯電話の店員に騙されるケース
携帯電話会社のショップ店員から「今月はどうしてもノルマが達成できないから、すぐに解約してもかまわないので名義を貸してくれないか」と頼まれるケースもあります。
「名義を貸してくれたら謝礼金を支払う」などと魅力的な言葉で誘惑することもあるでしょう。
また、念を押すように「もちろん携帯電話はすぐに解約しますので心配は要りません」と名義を貸す側の不安に応えるような言葉をささやくかもしれません。
自分名義の携帯電話が詐欺犯罪に使われることがある
しかし、店員の誘い通りに名義を貸すとどうなるでしょうか。
謝礼金が出ないのはもちろんのこと、名義を貸した携帯電話は携帯電話の転売会社に売却され、オレオレ詐欺に利用される、振り込め詐欺に利用されるなど犯罪に使われることが多いです。
もちろん名義を貸した人も犯罪に協力したとして罪に問われることになり、ある程度の期間留置所に拘留されることも覚悟しなければなりませんね。
騙されて契約したことが判明したとしても、最低2週間は刑務所内に他の犯罪者と一緒に拘留されてしまいますので精神的にも参ってしまうでしょう。
また、騙されて契約したとしても、名義貸しという犯罪行為に手を染めたのは事実ですから、まったくの無実というわけでもないのです。
マネーロンダリングに巻き込まれるケース
かなり悪質な名義貸しの事例となるのが、FX口座の開設や銀行口座の開設です。
犯罪者のマネーロンダリング口座として利用されることやオレオレ詐欺の振込先として利用されることが多く、実際の口座売買では数万円のお金が動くことも普通です。
もちろん名義を貸した本人に、謝礼金が支払われることはありません。
たとえ支払われたとしてもわずかな金額です。
共犯者として拘留や罰金刑を受けることもある
口座の名義を貸したとしても悪用されなければ、実質的な損害を被ることはありません。
しかし、通常は悪用されてしまうものです
犯罪に利用されてしまった場合は、共犯者として疑われるばかりか、警察によって逮捕されること、並びに留置所に最低2週間拘留されることになるでしょう。
場合によっては、立件されてしまい検察庁に送られてしまうこともあります。
たとえ疑いが晴れたとしても、罰金刑を逃れることはできません。
名義貸しは違法!罪名は詐欺罪
名義貸しは立派な詐欺罪として、刑法第246条にも定められている犯罪行為です。
金融機関側から詐欺罪として訴えられた場合は、最高で懲役10年以下の刑に処されることもあり、気軽に引き受けてしまうのはリスク100%で何も良いところはありません。
懲役10年の刑にならなくても、最低でも6か月の懲役、または100万円以下の罰金に処せられることもあります。
クレジットカードの名義貸しも詐欺行為
クレジットカード契約で名義を貸してしまった場合も、詐欺行為につながることがあります。
名義を借りた人が商品を購入して買取屋に売却してしまうなら、換金目的でのクレジットカード利用をしたとみなされてしまいます。
これも立派な詐欺行為にあたるので、クレジットカード会社に事実がバレてしまうと即刻カードの強制解約、並びに利用代金の一括返済が待っています。
つまり金融事故扱いになってしまうのです。
金融事故扱いになれば、名義を貸した人が今後新たにクレジットカードに申し込んだ場合、審査に通ることは非常に難しくなってしまいます。
名義貸しに伴う金銭リスク
「名義貸しを行うとリスクしかない」ということを述べてまいりましたが、具体的にはどのようなリスクが想定されるのでしょうか。
また、既に名義貸しをしてしまっている状況ならば、今後どのようなことが起こりえるのでしょうか。
名義貸しを一度でもしてしまうとどのようなリスクを抱えることになるのか、詳しく見ていきましょう。
名義貸しの借金返済義務は契約者にある
名義を知人や親戚に貸したとしても、ほとんどの場合は1、2回返済するだけで、その後は返済しなくなってしまいます。
当然のことですが、返済が滞れば、カードローン会社やクレジットカード会社は、名義人であるあなたに対して返済請求をおこないます。
名義人自身がカードローンやクレジットカード会社に契約を申し込んだわけですから、「自分が使ったわけではないから返済できない」という言い訳は通用しません。
カードローンなどの契約をする際に、必ず「契約書」を作成しますが、契約書に署名押印したなら、どんな事情があっても債務者であることには違いありません。
金融機関は名義貸しをした人を守ってはくれない
結果的に騙されたとなったとしても、金融機関としては正当な契約を行っている以上同情してくれるはずがありません。
そればかりか「自分が契約したのですから、支払い義務は当然契約者にありますよ」と言われてしまうでしょう。
自分は被害者だと対抗したところで、自分自身を保護してくれる法律は何もありません。
契約は自由行為によって行われることですから、契約した以上は責任を持つのが当然です。
裁判をしたとしても名義貸しをした人が勝つことはない
もちろん名義貸しは既にご説明の通り、詐欺罪として立件される犯罪行為です。
犯罪行為をしている人に対して、法律が守ってくれるはずはありません。
自分が使ったわけではないと返済を放置してしまうと、金融機関は時期を見て督促状の発行や催告書の発行によって最悪裁判にまで持ち込んでしまいます。
債権者が、裁判を起こしても、名義を貸した人が勝つ見込みはありません。
給与差し押さえやブラックリスト入り
頑として返済を拒んだ場合は、強制執行によって財産や給料を差し押さえされてしまうことになるでしょう。
もちろん裁判を起こされるということは長期返済滞納していることになりますので、信用情報機関にキズが付いてしまうことも避けることができませんね。
長期返済滞納は最低でも5年間信用情報機関に登録され続けますので、その間は自動車ローンの契約もできないし、クレジットカードの更新もできないなど不都合な生活を強いられることになります。
返済した分については求償権で取り返せる
名義を貸す側と借りる側の間で結ばれた最初の約束を証明することができるのなら、名義を貸す側は求償権を得ることができます。
求償権とは、本来ならAが返済すべき借金等に対してBが立て替えて返済した場合に、BがAに立て替え分を請求する権利のことです。
A(=名義を借りた側)がB(=名義を貸した側)に対していくらか返済をした事実や「返済する」ことに触れた文書があると、Bは求償権を得やすくなりますね。
求償権を得ることができると、今までに立て替えて返済した分について、名義を借りた人に請求することができます。
ただし、求償権を得るためには裁判が必要になることもあるため、名義を貸すことに大きなリスクが伴うことは変わりありません。
返済を滞納すれば信用にキズ
名義を借りた人自身が返済をおこなうとしても、返済を滞納すれば、名義を貸した人が金融機関から返済を迫られることになります。
滞納状態が続くと、信用情報に傷がつき、いわゆるブラックリストに載った状態になります。
つまり、名義を貸した人の信用情報に滞納マークが付いてしまうことになるのです。
滞納した返済額を払う他に延滞金を払う責任も生じます。
ほんのわずかなお礼をもらっていたとしても、返済金に延滞金、ブラックリスト入りなどのデメリットがあるのでは割にあいませんね。
名義を貸すと総量規制枠が減る
名義を貸してしまえば、自分の総量規制枠は確実に減少します。
自分の年収が300万円で、名義を貸してお金を借りて行ったのが50万円だとすると、総量規制枠はあと50万円しか残っていません。
自分自身もカードローンを利用して50万円のお金を借りていると、それだけで総量規制枠を使い切ってしまいます。
どうしてもお金が必要であと10万円だけでも借りたいと思っても、名義貸しによって生じた借金が邪魔をして総量規制対象のローンからお金を借りることはできなくなることがあるのです。
名義貸しとは
そもそも名義貸しとは、カードローンの審査に通らない人に成り代わって、銀行カードローン消費者金融などの金融機関からお金を借りることを指すことが一般的です。
名義を貸すものと借りるものとの間ではきちんと返済することを約束していたとしても、お金を貸し出す金融機関にとってはお互いの話など知る由がありません。
金融機関は、お金が必要な人ではなくお金を借りる人の信用情報によって審査に通るかどうかを判断します。
そこで名義貸しが行われてしまうと、本来は貸せない人にお金を貸してしまうことになりますよね。
つまり、名義貸しとは、金融機関を騙してお金を手に入れる悪質な行為と言えるのです。
親子や家族間の名義貸しは合法?
親と子供の血縁関係であっても、名義貸しは違法です。
互いに独立した人間なのですから、そこは家族間であったとしても、リスクが高すぎるので断らなくてはなりません。
しかし母親が専業主婦でどうしても借入れができずに頼まれてしまう・・・ということも想定されるでしょう。
遊興費などではなく純粋な生活費のため、また自身の進学のためとなれば家族ならばなおさら断りにくいのが現状です。
それでも違法か合法なのかと聞かれれば、違法であることには違いありませんから、ここで「仕方ないので名義を貸してあげましょう」なんて言葉は言えません。
公的な貸付制度を利用する
貸してあげるお金はないけれど、貸してあげるべき状況のときもあるでしょう。
たとえばあなたのお子さんの病気やケガが長引き、生活が苦しく、孫を含む家族全体が貧困状態にあったとします。
あなたに貸してあげるお金がないときなどは、「名義くらい貸してあげても・・・」という気持ちになるかもしれませんね。
しかしながら、そのような困窮状況にあったとしても、名義を貸すことでは状況は改善されず、さらに状況が悪化する恐れのほうが高いのです。
どうしようもない事情であれば、金融機関ではなく市役所など公共の機関から借入をすることをご家族に勧めてください。
生活福祉資金貸付制度なら金利も年1.5%と低く抑えられますし、あなたが連帯保証人になってあげるなら無利息にすることも可能ですよ。
賃貸や車、携帯の名義貸しを頼まれたら
最近は賃貸物件を借りる際にも、保証会社が審査を行いますので「名義を貸してほしい」と頼まれることも珍しい話ではありません。
そのほかにも、車の購入時やスマートフォン端末代金を分割で契約する際も同様に名義貸しが発生しやすい状況です。
繰り返しになりますが、どのような事情があったとしても、気軽に名義を貸すには余りにもリスクが高くなります。
万が一返済が滞れば、名義を貸した人に問答無用で請求が入ります。
「万が一返済してくれないときでも自分が支払う」という強い意志と資産があるときだけ引き受けましょう。強い意志と資産に自信がない方は、きっぱりと断ってください。
被害にあったお金は返ってこない
身内や友人に頼まれて名義貸しをしたのなら、まだ諦めもつくでしょう。
しかし、まったく見ず知らずの詐欺集団に騙されたとするならば、何とかしてお金を取り返したいと考えるかもしれません。
しかし、残念ですが名義貸しの詐欺に遭った場合、お金が返ってくる可能性はほぼありません。
100%ないと言い切ってもいいくらいでしょう。
首謀者が逮捕されても・・・
詐欺の首謀者が逮捕されれば、お金が返ってくる可能性はあるのでは、と考える人もいることでしょう。
確かに他人が支払う必要のなる借金を自分が肩代わりして支払った時には、支払った分を本来支払うべき人に請求できる権利(=求償権)があります。
しかしながら、犯罪の首謀者が逮捕されたからといって、自動的にこの権利が実行されるわけではありません。
求償権をもとに詐欺の首謀者へ支払いを求める必要があるのです。
詐欺首謀者に資産がないときは差し押さえができない
しかし、ここで問題となってくるのが、支払いを求めても必ずしもお金が帰ってくるわけではないという点です。
仮にあなたの訴えが認められ、詐欺首謀者に財産差し押さえの強制執行が実行されたとしても、相手に差し押さえる資産がなくては何の意味もありません。
こういった詐欺を行う首謀者の大半は警察に逮捕された時点で資産の整理をおこなっていますから、差し押さえる資産がないことが一般的です。
もちろん、必ずしも逮捕されるわけではなく、逃亡してどこにいったかわからないというケースも多いのが実情です。
名義貸し詐欺に引っかかった場合には、まずお金は返ってこないと考えておくべきでしょう。
お金は返ってこなくても、返済義務は継続する
名義貸し詐欺が厄介なのは、最終的に被害者は泣き寝入りするしかないという点です。
名義貸しで金融機関と金銭貸借を取り交わした場合、返済義務を負うのは名義貸しを頼んだ者ではなく名義貸しをした本人となります。
それどころか名義貸しは契約違反に当たるとして、一括請求を求められる可能性も出てきます。
となれば情にほだされたり目先の儲けに目がくらんだりして名義貸しをすることは、どう転んでも愚かな行為であることは間違いありません。
Q&A:名義貸しに関する6つの質問と回答
「名義貸しなんて、わたしとは関係がない」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、名義貸しに巻き込まれることは、決して特殊な状況ではなく日常生活のなかでよくあることなのです。
名義貸しに関わる6つの状況をQ&A形式で紹介しますので、絶対に巻き込まれることがないようにしてください。
①ジャニーズFCの入会に名義を貸すと詐欺罪になる?
友人が熱烈なジャニーズファンで、「ライブの当選確率を上げるために名義を貸して」とファンクラブへの入会を依頼されるということもあるでしょう。
もちろんここでも、「年会費は絶対に私が払うから」、「私がファンなの知っているでしょ」と心理戦に訴えてきます。
カードローンなどの金融商品と比較すれば、年にわずかの微々たる金額ですし、信用情報にも傷が付くことはありません。
しかし、名義貸しは名義貸しです。いずれその友人と縁が切れるまではなくても、疎遠になってきた場合にはどうなるのかを考えれば答えはおのずから出るでしょう。
友情を大事にしたいのであれば、金銭が絡む依頼には決然と断る勇気も必要です。
②名義貸しが金融会社にバレるとどうなる?
もし名義貸しが金融会社にバレてしまえば、基本的には借入金を一括請求されます。
元々の契約自体を虚偽の申告をしたことと同じですから、金融機関側は「これ以上のお付き合いはできない」と判断してしまうことが一般的です。
③旦那が義両親に住宅ローンの名義貸しを頼まれた。これって普通なの?
結論から言えば普通ではありません。
住宅ローンと言っても借金には変わりありませんし、カードローンで借りることのできる借入上限額と比較しても高額な借入になることは間違いありません。
とはいえ、嫁という立場から強く意見はなかなかできないものです。
具体的なリスク、例えば住宅ローンの返済中は自分たちも住宅ローンが組めないこと、住宅ローン控除はどうする気なのか、万が一返済が滞ればこちらに請求が入るなどを夫に説明しましょう。
たいていの場合、夫はリスクを深く考えないで「お父さんたちのために名義を貸そう」などと言っていますから、具体的なリスクを説明することで冷静に考え直してくれるかもしれません。
④名義貸しは報酬無しの貸方でも詐欺になる?
報酬があるかどうかは論点ではないのです。
善意で名義を貸そうが、有償で名義を貸そうが、重要なのは名義を貸したという事実のみです。
名前を偽ってお金を借りた(携帯電話に契約した、自分のカードを貸した等々)行為自体が詐欺罪に問われます。
⑤管理者の資格を名義貸しして報酬やバレた場合の罰則は?
「仕事上どうしても有資格者の名前が必要」ということで、実際に勤務はしていなくても、名義だけを貸してほしいと頼まれることもあります。
特に専門職の有資格者は、そのような経験が少なからずあるものです。
しかしもちろんこれも違法です。
まずリスクとして、トラブルがあったとき、特に訴訟などに発展した場合に矢面に立たされるのは有資格者だということを挙げられます。
そこで「いや名義を貸していただけなんで知りません」という言い訳は通用しません。最悪の場合は、資格をはく奪される可能性もあります。
⑥借金の連帯保証人と名義貸し、どちらがリスクが低い?
圧倒的に名義貸しの方が、リスクが高いものです。
連帯保証人は「主契約者も借りている」という状況下で借金を背負うことになりますが、名義貸しは名義を貸した人一人で借金を背負っているからです。
また繰り返しになりますが、名義貸しは違法です。
違法行為をしてまで、やるべきことなのかをしっかりと考えてみましょう。
まとめ
名義貸しの代名詞と言えば借金などの金銭トラブルですが、最近は借金以外の名義貸しトラブルが増えています。
信用している人に頼まれたら「力になってあげたい」と考えるのは当然のことですが、同じ力になるのであれば名義貸し以外の方法を選択した方が互いのためです。
自分自身がトラブルに巻き込まれないためだけでなく、相手のためにも、しっかりと「NO」と言える勇気を持ちましょう。
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