消費者金融の広告はウザイですか?CMも規制されているんです
消費者金融の広告をウザイと感じている人も多いのではないでしょうか。消費者金融は節度を持ってお金を借りれば便利な存在なのですが、社会的に許せない人からすれば消費者金融の広告はできるだけ見たくない、と感じていることでしょう。
実際問題として消費者金融の広告は一時はかなり減りましたが、大手消費者金融を中心としてメガバンクグループに属するようになった途端、広告の本数も増えているようです。
- 執筆者の情報
- 名前:梅星 飛雄馬(55歳)
職歴:地域密着の街金を30年経営
消費者金融の広告はウザイ?
消費者金融の広告は今日中にお金を借りなければならないとか、急いでお金を作らなければならないという人にとってはなくてはならない存在ですね。
しかし消費者金融からお金を借りるなんてありえない、と思っている人からすれば「消費者金融の広告なんてしなければ良いのに」、「消費者金融の広告は目障りだ」と思うことでしょう。
でもね、世の中にはお金に困っている人がたくさんいるのです。
サラリーマンの平均年収が450万円程度であることを考えると、家族に内緒でお金を借りたい、月々の返済が一万円程度なら十分に返済していくことができるからお金を借りたいと考えている人も多いことに配慮しなければなりません。
消費者金融の広告はウザイと考えている人は、ちょっと消費者金融に対して偏見を持っている人ですね。
後でご説明していきますが、消費者金融の広告はかなり控えめに行っています。
もちろんテレビCMについても広告を流す時間が決まっており、あまり人目のつかない時間帯に集中して広告をするようにしています。
銀行カードローンの広告こそウザイ
考えてもご覧なさい。銀行カードローンの過剰貸付が社会問題化していることをどのように思いますか?
銀行カードローンだからといって必ずしも消費者金融よりも金利が低いとは決まっていません。
ネット銀行中心とした銀行カードローンの金利はほぼ消費者金融並みですよね。
消費者金融の金利が高いことを悪徳業者とするのであれば、消費者金融の金利と同じ金利で貸し出している銀行カードローンも悪徳業者でしょう?
消費者金融からお金を借りることに抵抗を感じている人でも、クレジットカードのキャッシングには抵抗を感じることなく簡単にキャッシングしてしまいますよね。
銀行カードローンなら安心だ、多少金利が高くても信頼できるとする考えもちょっとおかしくはありませんかね?
銀行であることを盾にして、消費者金融よりもアドバンテージを得るのはちょっと卑怯ですよね。
銀行からお金を借りれば安心だ、銀行は信頼できるとしてカードローンの広告を受け入れるのはどんなものでしょう?
銀行カードローンの広告こそウザく感じてもおかしはありませんね。
消費者金融の広告規制
以前の消費者金融であれば新聞のチラシや街頭のティッシュ配りなど、確かに消費者金融の広告は多かったと思います。
今でも街頭でのティッシュ配りで消費者金融が広告活動を行っているのをたまに見かけますが、前から比べればかなり少なくなりましたね。
貸金業法が改正される前から消費者金融の広告については規制がかけられており、基本的に日本貸金業協会の承認を得なければ、あらゆるメディアに対して広告を出すことは禁止されています。
消費者金融の広告は貸金業法関係法令以外にも、日本貸金業協会の自主規制や放送局の自主規制、または景品表示法によって細かく規制されており、一般消費者に誤解を与えるような広告はしてはならないと定められています。
逆から言えば正規の消費者金融が出稿する広告は、消費者金融の広告規制基準をクリアした広告です。
大手消費者金融や中小消費者金融で使われていないキャッチコピーを用いた広告を出している貸金業者は、闇金であると判断することもできるでしょう。
いつから消費者金融の広告が減った?
消費者金融の広告が減ったのはいつ頃からでしょうか。
消費者金融の貸出金利が利息制限法違反と判断された2006年から2007年以降でしょう。
貸金業法が改正される前は総量規制など、個人が借りることができる上限額の設定がなかったため、多重債務に苦しみ返済できない場合は自己破産や自殺などする人も多かったです。
多重債務や自己破産、借金苦による自殺が全て消費者金融の責任とは言えないまでも、片棒を担いでいたことは否めません。
そのため消費者金融の存在のあり方が社会問題となってきた2006年から2007年にかけて、放送局や日本貸金業協会の自主規制規則、及び貸金業法関係法令によって消費者金融の広告が徐々に規制されるようになったのです。
貸金業法関係法令による広告規制
貸金業法関係法令や日本貸金業協会の自主規制規則によって消費者金融の広告は一定のルールが設けられています。
基本となるのは消費者金融が広告を出す場合は日本貸金業協会の承認を得なければならないことです。
承認を得ないまま広告を出すのはルール違反として処罰の対象となり、日本貸金業協会や金融庁から是正勧告を受けることになっています。
広告の表示項目が増えた
現在の消費者金融の広告は表示しなければならない項目が増え、一般消費者にわかりやすく説明しなければなりません。
・消費者金融の商号や名称(自営業者の場合は個人名)
・貸金業者の登録番号の表示
・実質年率の表示
・返済方式や主な返済例の表示
・使用する電話番号は事前に届け出してある番号に限られる
・電話は固定電話に限られ携帯番号は原則使用できない
・インターネットで広告する場合は事前にURLを協会に提出しておく
自由に消費者金融が広告を行うことはできないのです。また一般消費者に有利誤認させるような表現も使ってはいけません。
消費者金融の広告が大きく変わったのは、日本貸金業協会の事前承認が必要になったということですね。
消費者金融は誇大広告をしてはいけない
消費者金融は一般消費者に誤解を与えるような表現を使ってはいけないことは、つまり誇大広告をしてはいけないということです。
お金を借りようとする人はどこの消費者金融から借りれば良いのか判断するのに、正確に判断できるように広告を配慮しなければならないのです。
・他の消費者金融よりも金利が安い
・ブラックでも借りることができる
・借入件数が多くても相談OK
以上のような闇金にありがちなキャッチコピーは広告として相応しくありません。
もちろん申し込みは簡単であることや、返済能力がなくても借りることができるような広告は誤解を招きやすく、宣伝文句として使うことは禁止されています。
テレビCMも時間が制限されている
テレビCM時間は7時から9時、17時から22時の時間帯は消費者金融は広告することができません。また22時から0時までの間は広告本数が決められています。
銀行カードローンの広告規制がないのに比べると、消費者金融の広告規制はかなり厳しいですね。
インターネットでも同じように広告規制
消費者金融の広告はインターネットでも盛んに行われて いますね。
インターネットでは時間の制約がありません。その代わり既にご説明してあるような誤解を招きやすい宣伝文句を使うことは許されていません。
また表示しなければならない項目についても定めがあります。
正規の消費者金融はきちんと法律を守って行なっていますので、ちょっとでも広告がおかしいと感じたらそれは闇金かもしれないと注意しましょう。
消費者金融の勧誘制限
そもそも消費者金融が借入希望者を勧誘する場合、CM広告をするのと同じように事実に反する説明をすることは禁止されています。
消費者金融が行なった勧誘に対して、借入申込者が契約をしない意思を表示しているにもかかわらず、執拗に再勧誘することはできません。
例えば以前お金を借りていたAさんに消費者金融の担当者が電話やメールで再借り入れの勧誘をした場合において、Aさんが借入するつもりはないから勧誘をしないでほしい、と明確な意思表示がされたにもかかわらず、消費者金融業者からDMをAさんの自宅に郵送した。
そしてさらに消費者金融からAさんに電話やメールを送りつけ、借入を勧誘することを行った。
この場合明らかに借入するつもりはないと意思表示があったわけですから、勧誘を行った消費者金融は適切な勧誘とは言えません。
借入意思がないことが明らかな場合は、一般的には再借り入れをしないことを意思表示してから少なくとも3か月間を経過するまで再勧誘することは待たなければなりません。
もちろん借入希望者の勧誘に対しても消費者金融は虚偽の告知や重要事項不告知、借入できるかどうかわからないのに断定的判断をして借入可能であることを告げること、及び保証人に対しても借主の返済が間違いなく行われるから心配はいらない、などのような誤解を表示させる告知は貸金業法によって禁止されています。
消費者金融のCMは景品表示法も関係
一般消費者を保護することを目的とする景品表示法は消費者金融のCM広告にも関係しています。
景品表示法の目的は商品の購入やサービスの提供を受けることを契約することによって、契約内容に見合わない景品がもらえることや、不当な表示によって勧誘が行われた場合、一般消費者は判断を誤ってしまう可能性があります。
そもそも景品表示法は公正な競争を確保し、一般消費者に誤解を与えないよう利益を保護する目的で制定されたものです。
消費者金融では借入をすることによって景品の提供を受けることや、誇大表示と言った不当表示規制が対象です。
例を挙げると、消費者金融が広告をするにあたって他社よりも金利が低いです、のような広告を見た借入希望者が、実際に借り入れを申し込んでみると他の消費者金融と同じ貸付金利だった、という場合です。
消費者金融業者は貸付条件の広告をする場合は、貸金業法並びに景品表示法に違反する広告はしてはいけません。
消費者金融の融資に関する不当な表示
消費者金融が遵守しなければならない表示規制については、昭和55年4月から公正取引委員会指定されています。
もちろん実質年率が明確に記載されていないものは不当な表示としてみなされます。
◆景品表示法による不当な表示の例
・アドオン方式による利息の表示
・日歩や月利による利息の表示
アドオン方式や日歩、月利で広告してしまうと実質年率がいくらなのか消費者には分かりにくい表示となってしまいます。
そこで景品表示法によって不当表示と行政監督庁が判断した場合は、最大3年間において売上高の3%相当額を罰金とする課徴金制度が新設されています。
正規の消費者金融は法律遵守
消費者金融のCM広告について、正義の消費者金融は広告を出す前に日本貸金業協会の許可を得なければなりません。
たとえインターネット広告だとしても、一般消費者又は借入希望者を有利誤認させるような広告はしてはいけないのです。
ブラックでも借りれることや、審査なしで借りれること、及び自己破産した人でも借りれるような広告を行っているところは闇金業者または融資詐欺業者と思って間違いありません。
闇金業者はそもそも法律を守る考えは全くありません。
闇金被害者とならないためにも消費者金融からお金を借りる場合は、きちんと貸金業の登録を受けた消費者金融かどうか確かめた上で行うようにしましょう。
消費者金融のタレント起用はイメージ戦略?
たまたまSMBCモビットの話が出ましたのでSMBCモビットの話題を続けますが、SMBCモビットは2017年12月1日から社名を「モビット」から「SMBCモビット」と社名を変更しています。2023年7月現在は三井住友カード株式会社が提供元です。
ちなみにモビットのメインキャラクターは大物俳優の竹中直人です。
プロミスがSMBCグループに属するようになってから社名をSMBCコンシューマーファイナンスと変更したのも、従来の消費者金融とは違うとのイメージ戦略があったのだろうと考えることもできますね。
そしてプロミスのメインキャラクターはやはり俳優の溝端淳平です。竹中直人にしても溝端淳平にしても俳優としてはかなり有名で、彼らに対する印象は決して悪くはありません。
なおかつ俳優としての好感度が高いとなれば、テレビCMが流されることによって俳優に対する好感度が消費者金融の好感度に繋がる可能性も否定できません。
そもそも消費者金融が変わった?
消費者金融のCMにタレントや俳優を起用する理由には消費者金融は貸金業法改正によって大変革を遂げた、つまり消費者金融業界全体が変わったことも関連しているでしょう。
グレーゾーン金利が撤廃されて利息制限法の金利が適用されるようになったことや、大手消費者金融のアコムやプロミスがメガバンクグループに属するようになったことから、消費者金融に対する怖いイメージは次第に薄れつつあるようです。
消費者金融は多重債務者を生む元凶であるとの認識も、総量規制が導入されることによって多重債務者が減ったことで一定の成果をあげています。
取り立て行為の禁止についても厳しく制限されていることから、お金を借りて1日でも返済に遅れたらチンピラ風の男が自宅や会社にまで取り立てに来るのではないか、という不安もなくなっています。
消費者金融は今までの悪いイメージを一新し、銀行カードローンに勝るとも劣らないくらいの適正な貸付を行う業者として世間に受け入れられようとしている段階です。
アコムやプロミスは親会社の筆頭である銀行のイメージそのままです。グループ会社の筆頭が銀行なら安心して借りれるのではないか、安全なのではないかとなるわけですね。
タレントによる刷り込み効果も
自由な広告活動を行うことができない消費者金融は、国民的に支持されているタレントや俳優を起用することによって、他の消費者金融とは差別化を図ろうとしているのでしょう。
何度もテレビCMで消費者金融の広告が流れれば、タレントの印象がそのまま消費者金融の印象を変わってしまう刷り込み効果に期待しているのかもしれませんね。
毎日のようにCMで消費者金融のイメージキャラクターが登場することによって、なんとなく親しみが湧いてくる感情が生まれるのも当然です。
その親しみこそが消費者金融のイメージアップにつながり、30日間無利息サービスなら借りてみようかな。親や友人に頭を下げるよりは良いかもしれない、と自然な形で誘客することができるのです。
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