アコムの審査で名義貸しは犯罪なの?
アコムの審査に通らないから名義貸しで借りてくれないか、と友人や知人から頼まれたことはありませんか?
借用書を差し入れするから万が一の場合はこれで訴えてくれと言われてしまうと、それなら安心してしまうケースも多いようです。
しかし、名義貸しはアコムの会員規約でも禁止していますし立派な犯罪行為です。いくら頼まれても安易に他人に名義を貸すこと、名義を借りることはしてはいけません。
- 執筆者の情報
- 名前:梅星 飛雄馬(55歳)
職歴:地域密着の街金を30年経営
そもそも名義貸しとは
そもそも名義貸しとは自分の名義を使って他人のために契約することを言います。
お金の貸し借りに限定して当てはめてみると、アコムの審査に通らない友人や知人が、迷惑は絶対かけないから、必ず借金は返済するからと言われ、友人や知人のためにアコムからお金を借りそのお金を相手に渡してしまうことです。
名義貸しによる借金は友人や知人だけでなく、家族の間でも起こる割と身近なよくあるケースと言えるでしょう。
他にある名義貸しの例として、アルバイト詐欺に引っかかるケースです。
消費者金融の調査をしているので協力してほしいなどと話を持ちかけ、アコムから30万円借りてくれないか、借りることができたらすぐに返済するので心配はいらないというものです。
名義貸しのアルバイトはSNSでもよく見かけることができ、お金を借りてあげたのは良いけれどもそのまま逃げられてしまい泣き寝入りしてしまうケースも多いですね。
すでにアコムのカードを持っていて、家族からカードを勝手に持ち出されATMからお金を引き出されてしまうというのも名義貸しの類型です。
アコムではカード自体を他人に譲渡することや対応することは禁止しており、名義貸しによって被害を受けたとしても契約者本人への補填はありません。
カードの管理やパスワードの管理は自己責任においてしなければならず、知らない間に勝手にお金を借りられてしまったと申し出ても返済義務から免れることはできません。
名義貸しと「なりすまし」は違う
名義貸しとよく勘違いするのが、専業主婦が夫の書類を勝手に持ち出してパソコンやスマホから借入申し込みをしてしまうことです。
専業主婦は収入がないためアコムなどの消費者金融からお金を借りることができません。
しかもお金は内緒で借りたいという理由から、夫の免許証、社員証、保険証、給与明細書などをコピーして借入申し込みをしてしまうことです。
これは名義貸しではなく「なりすまし」での契約ですね。
名義貸しにしてもなりすまし契約にしても、犯罪となる場合があり軽率に名義を貸すことや、なりすましでの契約はしてはいけません。
アコムの名義貸しは犯罪なの?
名義貸しで審査を受けるということは、自分の名義を相手に貸すことでお金を借りてあげる行為のことです。
大抵の場合「名義を貸してくれないか」と頼んでくるのは、過去に債務整理してブラックになっているか、すでに総量規制いっぱいまでお金を借りてしまっている人です。
そのような人はアコムなどの消費者金融に申し込んでも審査に通ることはなく、お金を借りることができません。
そこで名義を借りることでアコムからお金を借りさせ、きちんと返済するから大丈夫だよなどと言われて相手に渡してしまいます。
名義を貸す際に、借用書を書くから万が一返済滞納した場合は、この書類で請求すればいいよ、のような巧妙な手口が使われる場合もあります。
名義貸しは刑法第246条で定められている刑事事案です。簡単に言うと詐欺行為ですね。
アコムなどの金融機関を欺いて金銭を交付させた罪にあたり懲役10年以下の罪になるか、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
アコムなどの消費者金融は、借入申込み本人がお金を利用することを前提に契約をしていますので、アコムに嘘をつき嘘の情報でお金を借りた場合はアコムを騙したことになるのです。
実際にお金を使っている本人が罰せられることがなく、善意で名義を貸してしまった人が刑事罰対象になるのはあまりにもかわいそうですね。
電子政府の総合窓口e-GOV 刑法
借用書を書いてもらえば安心できる?
借用書を差し入れするから名義を貸してほしいと言われると、つい安心してしまうことがありますね。
万が一返済しなかった場合は借用書を持っていれば取り立てできるから、名義貸しでお金を貸してあげても損することはないという発想です。
しかしながら民法には不法原因給付の法律が定めてあり、第708条にその規定があります。要約すると違法な方法でお金を貸した場合は、返還請求ができないことを意味しています。
つまり名義貸しは不法行為であり違法な方法であるため、たとえ借用書を差し入れてもらったとしても貸したお金は請求できないのです。
アコムから30万円借りてあげて、相手から30万円の借用書をもらったとしても請求できなければ全く意味はありませんね。
ただし名義を貸した本人が相手に騙され、一方的に名義貸しによって利益を得た相手に契約の原因が存在した場合は請求することが可能です。
ただし民事訴訟によって解決しなければならず、裁判には弁護士を立てることや訴訟費用を考えると、名義貸しで貸した金額よりも費用の方が多くなってしまうことがあります。
また名義貸しでお金を貸した相手が行方不明となった場合は裁判が成立しないこともよくあることです。
同意の上で名義貸しによってお金を借り、借りたお金を相手に渡してしまった場合はなおのことお金を取り戻すことはできません。
名義貸しで裁判所に訴えることは無駄な努力となるわけです。
電子政府の総合窓口e-GOV 民法
名義貸しで被害を受けるのは契約者
名義貸しでアコムからお金を借りてあげる場合、相手とよく話し合い第三者を交えて返済の約束させたとしても、アコムの返済を滞納した場合に被害を受けるのは契約者です。
毎月きちんと返済していればトラブルになることはないにしても、名義を借りてまでお金を借りようとする人は多重債務、または金融事故などでブラックになっている人です。
そう遠くないうちに返済が滞り返済滞納となるのは明白ですね。
問題発生するのがアコムの返済を滞納した場合です。
第三者が証人となって「実際にお金を借りたのは契約者ではありません」とアコムに申し立てしたとしても、アコムとしては契約者本人がお金を借りたことには違いがないとして受け付けてくれません。
アコムは契約者の情報をもとに個人信用情報でお金を貸したのですから、そのお金を他人に貸したからといって、実際にお金を使っている人に請求することができません。
名義貸しは金融事故になるの?
名義貸しによってアコムからお金を借り、それがバレたとしても金融事故にはなりません。
しかし自分がお金を使っているわけではないし、名義を貸しただけだからと返済滞納を放置してしまった場合は、長期返済滞納として金融事故になります。
アコムはあくまで契約者本人に対して請求を行ってきますので、あまり長期間返済滞納を続けた場合は最終的に裁判を起こされ、最悪の場合給料の差し押さえまで発展する可能性があります。
アコムのカードを他人に貸し、パスワードを教えてお金を借りさせた場合は、カードの強制解約と一括請求をされるため金融事故として登録されます。
名義を貸してくれと言われたら断る勇気を持とう
今までご説明してきた通り、名義貸しは何もメリットがありません。たとえお礼として1万円や2万円をもらっても、30万円貸してしまったお金は取り返せない可能性があるのです。
そうなるとアコムへの借金返済は契約者本人がしなければなりません。
どんなに親しい友人や知人から名義を貸してほしいと言われても断る勇気が必要です。名義を貸して欲しいと言ってくる人には必ず事情があります。
事情を聞き出し、場合によっては法律の専門家のアドバイスを受けるように説得するのも友人としての役割です。
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