借入申込みの虚偽記載は詐欺!?他人事でない融資詐欺とは
カードローンなどの借入申込書の虚偽記載は、詐欺になるかもしれないってご存知ですか?
借入申込書には正確な情報を記入しましょう。
詐欺であることを立証するには難しい面もあって、虚偽記載がすべて詐欺行為になるとはなりません。
しかし誰が見ても業者を騙してお金を借りたということがバレてしまうと、とんでもないことになります。
- 執筆者の情報
- 名前:梅星 飛雄馬(55歳)
職歴:地域密着の街金を30年経営
民法による詐欺の条件
民法第95条によれば、思い違いや勘違いで申込書に間違った記入をした場合は「錯誤」となり詐欺を働いたとはなりません。
しかし、民法第94条には明らかに相手を騙そうという気持ちを持って申込書に嘘の情報を書いた場合は詐欺にあたる、となっています。
つまりお金を借りる際に、初めから業者を騙すつもりで嘘の情報を申込書に書いた場合は詐欺として成立するという意味です。
同じく第93条によれば、お金を借りる際の申込書に書いた内容が正確ではないと本人が分かっていても、業者側がその事実を知らなければ詐欺にあたらないとも書いてあります。
これはどう解釈すればいいかというと、申込書に書いてある内容が正確でなくても業者がずっと分からなければ、たとえ業者側を騙そうと思っていて嘘を書いたとしても詐欺には当たらない、となります。
結局のところ、申込書に嘘の申告をしてお金を借りたとすれば詐欺行為にはなるものの、業者側が嘘を書いてあることに気がつかなければ詐欺には当たらない、というわけです。
年収を水増しして申告すると詐欺?
明らかに他人になりすまして保険証や免許証をコピーし、借入するのは誰が見ても詐欺行為であると認めることができます。
しかし、「もう少しお金を借りたい」という気持ちから年収を水増ししてお金を借りることは結構多いような気がします。
例えば年収が250万円なのに300万円と書いてしまうことが詐欺にあたるのか、気になるところですね。
確かに民法第94条によって詐欺行為と認定することはできます。
しかし消費者金融カードローンになると例え総量規制枠が100万円あったとしても、新規会員の利用限度額は30万円程度に与信されることがほとんどです。
50万円程度の水増しでお金を借りても、それほど大きな問題には発展しないと考えて差し支えはありません。
100万円や200万円の年収水増しになると、さすがに業者側も不審に思うことでしょうね。
年齢や職業、勤務先のデータは過去の顧客データを照らし合わせることで、申告した年収が妥当かどうかある程度判断することができます。
結果として業者の信頼を失い他の項目が良好でも審査に落ちてしまうだけです。
他社契約件数の虚偽申告は?
審査に通りたい一心から、他社借入件数や他社借入金額を少なく申告してしまうこともよくあることです。
これも厳密に言えば業者を騙してお金を借りようとしているため、詐欺認定されてもおかしくはありません。
しかし信用情報からデータを取得すれば虚偽申告したことがすぐにバレてしまいます。
消費者金融に限らず金融機関は数字について結構シビアな面を持っているため、嘘の申告があると簡単に審査を落としてしまいます。
業者側もよくあることとして処理してしまうでしょう。
実際お金を借りたわけではありませんので詐欺として訴えられることはありません。
詐欺となりやすいアリバイ会社
本当は無職なのにアリバイ会社を利用していかにも仕事をしていることを偽装するのは、かなり危険な行為となります。
この場合は明らかに業者を騙してお金を借りることを目的としています。
仮にアリバイ会社を利用したことでお金を借りてしまった場合は詐欺行為です。
しかし詐欺行為を働いたことが業者に分からなければ、永遠に詐欺でお金を借りたことを隠し通せるかもしれません。
業者が気づかなければ詐欺罪として訴えられることもないでしょう。
ところが残念ながらアリバイ会社の利用はリストが出回っているため、審査の段階で落ちてしまうことが多いです。
アリバイ会社を利用してお金を借りようとすると、その情報は信用情報機関の特記情報として一定期間登録されますので注意してください。
それこそ信用情報にキズがついてしまいますよ。
借金返済のための借入れは詐欺か?
カードローンの資金使途は基本的に自由です。何に使っても構わないとなっていることが多いですね。
しかし金融機関によって事業資金に利用してはならない、や借入返済のために借入してはならないと明記されている場合があります。
本当は事業性資金として使うつもりでも、資金使途欄に「レジャー資金」と嘘を書いてしまうと業者を騙したことになります。
また他社への返済のための借入でも、「冠婚葬祭のための費用」と書いてしまうのも業者を騙したことに変わりはありません。
もしその事実が業者に分かってしまったら、おそらく借入残金の一括返済を求められ、会員資格を失ってしまうでしょう。
業者の要求に応えられなければ、裁判にかけられてしまう可能性があります。
しかし資金使途を偽ったことを立証する責任は業者側にあるため、現実的には詐欺罪として訴えられることは難しいと言われています。
他社への支払いのための借金は、業者側が最初から支払うつもりがなかったことを立証しなければ詐欺罪として成立させることは難しいです。
巻き込まれるタイプの詐欺
「自分では嘘をついたことはないのに、気づいた時には詐欺に巻き込まれている」というケースがあります。
その典型例がスルガ銀行のシェアハウスの事件です。
このようなことに巻き込まれないように、投資を行う場合にはどのような業者から不動産を購入するのかということなどをしっかりとチェックすることが重要です。
また、銀行とタッグを組んでいる案件であっても安心ということは全くありません。
スルガ銀行のケース
スルガ銀行はシェアハウスを販売するスマートデイズの顧客にシェアハウスの購入代金を融資していました。
ところが、スマートデイズが経営不振に陥り、家賃保証は滞ります。
家賃保証がなければ、投資家は自分の収入から返済をする必要がありますが、ここでスルガ銀行の不正融資が問題になります。
審査の際には、家賃保証だけでなく、借主自身の収入も考慮して審査を行う必要があります。
しかし、シェアハウスを購入していたのは普通のサラリーマンやOLです。
通常、1億円以上の高額のシェアハウスは通常は普通のサラリーマンやOLが購入することは難しくいものです。
そこで、スルガ銀行は、シェアハウスの購入者の年収を意図的に高く修正して審査に通していたことが発覚しました。
投資家自身も詐欺を知らなかった
投資家自身も、自分の年収が実際よりも高いことになっていたことを知りませんでした。
真実の年収であれば融資を受けることができなかった属性の人も、高額の融資を受けることができてしまっていたのです。
逆に言えば、仮にスマートデイズが倒産しても、高額の年収の人だけに融資していれば、そのリスクを投資家が負うことができたのかもしれませんが、このケースは、本来であれば1億円以上もの高額融資を借りることができない人に対して年収を虚偽に過大修正し、融資を行っていたことが問題と言われています。
まさに、投資家はスマートデイズだけでなく、スルガ銀行からも融資詐欺を受けていたと考えられる事例です。
返済義務だけは残るので要注意!
スマートデイズだけでなく、レオパレスなどの事例も最近は社会問題になっています。
家賃保証を当てにして不動産投資を行うと、結果的に詐欺とも思われる事例に巻き込まれてしまう可能性は十分にあります。
スルガ銀行の事件に関しては、スルガ銀行が意図的に融資を実行しやすいように、顧客の情報を修正していたため、借主に返済義務が残るかどうかまでは分かりません。
しかし、基本的には家賃保証をしている会社は民間企業ですのでいつ倒産するかは分かりませんし、最初から倒産前に資金集めの目的として詐欺的に投資を募っているケースもあります。
しかし、基本的に借金をしているのは投資家自身ですので、返済の義務は残ってしまいます。
場合によっては借金を返済できずに自己破産となってしまうケースもありますので、くれぐれも業者の選定は慎重に行いましょう。
世の中にそうそう美味しい話はないのです。
審査担当者が裏付けをとる情報
個人情報は本人確認書類や申込内容確認の電話の際にしっかりと裏をとっています。
これは信用情報の照会の際に必ず必要になるためです。
また、勤務先も在籍確認によって必ず裏を取ります。
年収も申込金額によっては収入証明書の提出によって裏を取っています。
つまり、審査の際に重要な点は信用情報と、勤務先と、金額によっては年収だけであると言えます。
現に、信用情報さえ問題がなければ、金額はともかくとしてカードローン審査においてはかなりの高確率で審査に通過することができます。
裏付けを取らない情報
勤続年数などの裏付けを取らない情報に関しては、審査担当者も極端に言えば「本当のことを書いているとは限らない」と考えています。
カードローン審査においては、それだけ裏を取らない情報は審査の際に重視されません。
個人ローンの中で審査が最難関である住宅ローンでは勤続年数、家族構成等のすべての情報は裏をとっています。
このように、審査においては裏を取らない情報は基本的に重視されません。
そのため、自分をよく見せようと、勤続年数を長めに申告したとしてもほとんど意味はありませんのでやはり嘘はつかないほうがよいでしょう。
融資実行後に詐欺がバレるとどうなる?
審査の際に嘘がバレた場合には、基本的には仮審査からやり直しになります。
ただし、個人情報や勤務先を悪意を持って嘘をついたと判断されるような場合にはその場で即刻審査落ちとなってしまうこともあります。
この場合には、ローン会社の中では社内ブラックのような扱いになるため、その後再申込を行なったとしても審査に通過できる可能性は非常に低くなってしまいます。
では融資実行後に嘘が発覚した場合はどのような処置が行われるのでしょうか?
重大な嘘が発覚したら一括返済
融資実行後に重大な嘘が発覚した場合には、そもそも契約の前提が崩れてしまうことになります。
このため、「期限の利益喪失」に該当する可能性が高くなります。
期限の利益喪失とは、融資しているお金を全額一括で返済せよ、という処置です。
いきなり刑事告訴するようなことをせず、まずは期限の利益を喪失させる手続きを行うのが原則です。
その後は代位弁済
保証会社や保証協会がついている融資に関しては、銀行は期限の利益を喪失させた段階で代位弁済請求を保証会社や保証協会へ行います。
代位弁済とは、融資残高を保証会社や保証協会が銀行に保証することです。
代位弁済を行うと、銀行は保証会社から保証協会から融資残高を返済してもらうことができ債権は保証協会や保証会社に移ります。
その後、借主は保証会社や保証協会にローン保証をしていくことになります。
信用情報はブラックに
代位弁済を受けるとその時点で信用情報には事故情報が記録され、信用情報はブラックになります。
信用情報がブラックになると、保証会社や保証協会に融資残高を完済してから5年間は信用情報から事故情報が削除されませんので、原則的に銀行などから融資を受けることは不可能になります。
会社名義でよくあるケース
会社名義の融資の詐欺としてよくあるケースが、倒産前に融資を受けて、融資金を海外の関係者口座に移してから計画的に倒産するケースです。
これは計画的に詐欺を行ったとみなされ、刑事告訴される可能性が非常に高くなります。
筆者も実際にこのパターンで刑務所に2年入った人を見たことがあります。
個人情報の嘘がばれる時
住所・氏名・年齢・電話番号等の個人情報はローン審査の際には最も重要な情報です。
これらの情報に嘘や間違いがあると、ローン審査そのものを根底から崩してしまうことになるため、絶対に間違いや嘘がないようにしてください。
個人情報は信用情報の確認に重要
あらゆる審査の際に最も重要になるのが信用情報です。
信用情報とはクレジットカードや借入金に関するあらゆる情報が記録されており、その人の借りたお金に関する人となりがすべてわかるようになっています。
審査の際に、この人となりがお金を貸すには不適格であると判断された場合にはその他の情報がいかに良好でも審査には通過できません。
この信用情報は申込時に申告した個人情報によって、信用情報上の個人を特定しています。
そのため、個人情報に間違いや虚偽があると、審査の根底が崩れてしまうことになるのです。
本人確認書類の提出でばれる
カードローン審査の際には、必ず運転免許証などの本人確認書類の提出を行います。
この書類から氏名・住所・生年月日を確認しています。
また、電話番号の確認は、申込後すぐに審査担当者から申込内容確認の電話があり、ここで電話番号が本人の番号であるとの確認も行っています。
これらの確認から、申込時に申告した個人情報が虚偽であるかどうかはすぐに判明してしまいます。
発覚したら
申込時に申告した個人情報が確認の結果間違いがあった場合には、基本的には正しい情報の元に再度信用情報の審査からやり直しになります。
また、この間違いが意図的に行われたと判断された場合にはローン会社からの信用を失い、審査落ちになる可能性が高くなります。
勤務先の嘘がばれる時
カードローン契約は、安定した収入が必須条件です。
パートやアルバイトでもよいので、本人名義の収入を得ている必要があります。
自分をよく見せようと、虚偽の勤務先を申告する人も中にはいるようです。
在籍確認でばれる
申告した勤務先に「本当に勤務しているかどうか」はカードローンの本審査の際には必ず確認されます。
この審査の工程を「在籍確認」と言います。
在籍確認は主に電話で行われるため、場合によっては「電話をかけても会社の人が申込人の名前を把握していない」「私用電話は一切繋がない」などの会社の方針によって在籍確認ができないこともあります。
しかし、このような場合でも、給与明細や源泉徴収票などの書類による確認を行います。
発覚したら
まず審査担当者から「在籍確認ができないのですが勤務先の電話番号は○○でよろしかったでしょうか?」などという再度の申込内容の確認電話が入ります。
それでも確認できない場合には、本審査で否決となってしまいます。在籍確認はどのカードローンでも必ず行われる審査です。
そのため、嘘がどうか以前に、在籍確認ができないという事実自体が審査通過の条件を満たしていないことになるためです。
その他の情報の嘘がばれる時
ローン審査の際には、持ち家か否か、家族構成かなども判断されるなどと言われます。
これらの情報も全く裏を取らない情報です。
たしかに、持ち家や家族と同居のほうが審査に有利になることだけは間違いありませんが、実態として、カードローン審査においては優先度の低い項目です。
勤続年数と同様にこれらの情報もカードローン審査においては嘘であろうと本当であろうと、そこまで大きな影響を及ぼさない項目です。
借入理由:審査で落とされるパターン
審査において、不利になる借りる理由が存在します。
借入申込書に書いただけで、一発で審査に落とされてしまう理由は以下をご覧ください。
- 借金返済のため
- 株式投資やFX投資資金
- パチンコや競馬などのギャンブル
- 毎月の生活費が赤字だから
他社の借金返済のためにお金を借りることを理由にしてしまうと、多重債務なのではないか、返済地獄に陥っているのではないかと判断されてしまいます。
多重債務者や返済地獄に落ち入っている人は貸し倒れリスクが高いため、申し込み段階で審査に落とされてしまいます。
株式投資やFX投資資金なら一見良さそうに見えますが、個人投資家が借金をしてまで投資をしなければならないという状態は明らかに損失を出していると判断します。
損失を出している人にお金を貸してもきちんと返済してくれるかどうか不安になりますよね。
したがって借入理由を投資資金とするのは自ら審査に落とされるようなものです。
同じ理由でパチンコや競馬などのギャンブルに使うことを借入理由にしてしまうのも、 一か八かの可能性に賭けているわけですから、負ける可能性が高いわけです。
毎月の生活費が赤字だからと言うのも、借入理由としてはNGですね。
お金を借りた月は良いとしても、次の月から返済に追われてしまうことが目に見えています。
いくら勤続年数や年収の条件を満たしていたとしても、お金を借りる理由上記のようにかいてしまうと信用力に欠け、安定して返済することができないと判断されて審査に落とされてしまいます。
借りる理由:審査に通りやすいパターン
逆に審査に通りやすいお金を借りる理由としておすすめしたいのは次の理由です。
- 冠婚葬祭のため
- レジャー資金
- 旅行のため
- 資格取得のため
冠婚葬祭やレジャー資金、旅行資金などはお金に余裕があり、今月はたまたま足りなかったけれども来月からはきちんと返済していくことができると、審査担当者は好印象を持ちやすいです。
一時的にお金が必要だということがお金を借りる理由では最も良いのです。
資格取得のためと言うのも悪くはありません。
スキルアップ転職につながる=収入が増える、と連想が働きますので、将来にわたって安定して返済していくことができるだろうと判断できるからです。
目的ローンの借入理由は正直に書く
お金を借りる理由で嘘をついても問題にならないのは、使い道が自由なカードローンだけです。
銀行や信用金庫などが貸付している目的ローンでお金を借りる場合は嘘をついてはいけません。
たとえ嘘をついたとしても、支払先の請求書や契約書を提出しなければお金を借りることはできません。
またお金を使った後に領収書の提出を求められますので、偽造した請求書や契約書では逆に詐欺罪として訴えられる可能性があります。
領収書まで偽造するとなるとかなり悪質と判断されますので、ヘタをすると警察の世話になってしまうこともありますのでご注意ください。
Q&A
最後にお金を借りる際につく嘘にまつわる、よくある質問と回答をQ&A方式にしました。これからお金を借りようとする人も、現在嘘をついてお金を借りている人も、必ず参考になりますよ。
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