なぜ?消費者金融から借りる理由と利用用途
消費者金融のイメージは悪いと言われながらも、お金を借りる人は後を絶ちません。
金利が高いのになぜ借りるのか、不思議に思う人も多いことでしょう。
筆者は中小消費者金融を長年経営してきましたが、よく借りにくるよね、と思ったものです。
借り入れ理由を聞いても、本当のことを話す人はおそらくいなかったのではないでしょうか。
- 執筆者の情報
- 名前:梅星 飛雄馬(55歳)
職歴:地域密着の街金を30年経営
目次
消費者金融から借りる理由は趣味や娯楽?
日本貸金業協会が2017年に行ったアンケート調査によると、直近1年以内に借り入れ申し込みを行った人のお金の使い道で最も多かったのが、「趣味や娯楽」で借り入れ理由全体の約30%を占めています。
次に多かったのが食費と家賃の支払いで、それぞれ約16%、約14%となっています。
いわゆる生活費、と言われる区分ですね。
それと電話料金やインターネット料金、水道光熱費、医療費や被服費を合計すると約25%を占めており、これらも生活費の中に含められるでしょう。
そうすると消費者金融から借りる理由は、次のようにまとめられますね。
①趣味や娯楽:30%
②生活費関連:55%
お金を借りる理由として実に85%が、もっともらしい借り入れ理由です。
借りる理由で意外と少なかったのがギャンブルです。
消費者金融からお金を借りる人は、パチンコや競馬などのギャンブル資金に使うのではないかと、一般的には考えられていますよね。
しかしギャンブルに使う割合は、消費者金融から借りる理由のわずか5%ほどしかないのです。
趣味や娯楽のためにお金を借りるなら、何も消費者金融ではなくもっと金利の低い銀行から借りれば良いのではないか、と考えるのがスジです。
どうやら消費者金融から借りる理由として、このアンケート回答は正確な情報とは言えないかもしれません。
消費者金融で借りてしまう人の特徴
消費者金融でお金を借りる人には、どのような特徴があるのでしょうか。
消費者金融の利用者層は、大きく分けると2つのグループに分けられます。
まず1つは、収入も雇用形態もある程度安定している人で、緊急の出費があった際に「第二の財布」のようなイメージで消費者金融を利用している人です。
こういった人は、消費者金融で限度額いっぱいまで借り入れを行うようなことはあまりなく、もちろん返済を延滞することもありません。
消費者金融から見れば、理想的な顧客といったところでしょう。
そしてもう1つは、自身の収入では生活を維持していくのがいっぱいいっぱいで、消費者金融を恒常的に利用することで何とか日々の生活をやり繰りしているような人です。
こういった人は限度額ギリギリまで融資を受けることもざらにあり、資金繰りが苦しい時には返済を延滞してしまうこともあります。
意外や意外!?消費者金融の利用人数
消費者金融の利用人数に関しては、JICCが公表している「借入件数毎の登録状況」のデータが参考になります。
借入件数ごとに区分された登録状況は、以下のようになっています(2019年8月末時点)。
借入件数 | 登録人数 | 登録件数 |
---|---|---|
1件 | 725.8万人 | 725.8万件 |
2件 | 240.3万人 | 480.6万件 |
3件 | 87.0万人 | 261.0万件 |
4件 | 27.0万人 | 108.1万件 |
5件以上 | 9.5万人 | 51.4万件 |
合計 | 1,089.7万人 | 1,626.8万件 |
登録があることと実際に借り入れていることは必ずしもイコールというわけではないので、1,100万人近い人全員が借り入れを行っているというわけではないでしょう。
ただ、これだけ多くの人が消費者金融と契約を行っていることは間違いありません。
日本人の全人口の10%近くの人が、消費者金融での借り入れ契約を結んでいるというのは、かなり驚きの事実なのではないでしょうか。
大手消費者金融の年間利用者数
大手消費者金融をプロミス・アコム・アイフル・SMBCモビットと考えて、この4社の利用者数は、以下のようになっています(2019年7月末時点)。
消費者金融 | 顧客数 |
---|---|
プロミス | 142万人 |
アコム | 156万人 |
アイフル | 90万人 |
SMBCモビット | 47万人 |
合計すると430万人近くが、大手消費者金融4社のいずれか(もしくは複数)を利用していることが分かります。
先ほど、消費者金融での借り入れ人数が1,100万人近いことをお伝えしたと思いますが、そのうち半数弱が大手消費者金融の利用者だということが、データからも読み取れますね。
消費者金融業者の数は中小まで含めると非常に膨大になりますので、消費者金融業界において上位4社の存在感が非常に大きいことが、お分かりいただけるでしょう。
一人当たりの平均借り入れ金額
一人当たりの平均借り入れ金額は、「貸付金残高÷利用者数」で求められますが、大手消費者金融での平均借り入れ金額は以下のようになっています(2019年7月末時点)。
消費者金融 | 平均借り入れ金額 |
---|---|
プロミス | 約55万円 |
アコム | 約53万円 |
アイフル | 約43万円 |
SMBCモビット | 約57万円 |
どこの業者でも、50万円前後が平均借り入れ金額となっているようです。
この金額をどうとらえるかは人によってさまざまだと思いますが、50万円という借金の返済は、そう簡単ではないですよ。
友人や親族からお金を借りるときに使える理由5選!
消費者金融は、急にお金が必要になったときに頼りになる存在ではあります。
しかし、必要な金額や事情によっては、友人や親族からお金を借りるという方法も考えられるでしょう。
そこで、友人や親族からお金を借りたい場合に許してもらいやすい理由を、以下でいくつか挙げていきましょう。
1.急な冠婚葬祭が入った
冠婚葬祭の予定はいつ入るか分からないものですから、それに合わせてお金を準備しておくのもなかなか難しいことです。
たまたま手持ちのお金がピンチなときに冠婚葬祭の予定が入って、しかも遠方だったりすると、それだけで一気にお金が飛んでいってしまいますよね。
こういった経験は誰にでもあると思いますから、「冠婚葬祭でお金がピンチで…」とお願いすれば、相手も事情を把握しやすくお金を貸してくれやすいでしょう。
ただ、結婚式に関してはかなり事前に連絡が来ているはずなので、「あらかじめ用意しておかなかったの!?」と指摘されてしまう可能性もありますよ。
2.仕事で急な転勤が決まった
仕事で急な転勤が決まった場合、急遽引っ越しをしなければなりませんが、引っ越す距離によっては引っ越し代はかなり高額になります。
新たな家の家賃も、1~2ヵ月分を前払いで支払わなければなりませんし、敷金や礼金の負担もあります。
場合によっては家具も新調しなければならないなど、引っ越し時には何かとお金が入り用になるものです。
友人や親族もあなたの大変さを理解してくれるでしょうから、割とすんなりお金を貸してくれるのではないでしょうか。
3.両親の医療費を払わなければいけない
両親が高齢になってくると、健康面でいろいろな心配も出てきます。
持病が悪化して通院・入院の必要が出てきたり、日常生活のちょっとしたことが大ケガにつながってしまったりしかねません。
同世代の友人であれば、同じような悩み・心配を抱えていると思いますから、「両親の医療費のためにお金が必要で…」とお願いしたら、明日は我が身という気持ちでお金を貸してもらえるかもしれませんね。
4.来月までの生活費がどうしても足りない
シンプルに生活費が足りないという理由も、友人や親族からお金を借りる場合は案外効果的です。
ただ、「生活費が足りないからお金を貸してほしい」とお願いすると、「この先ずっとお金を無心され続けるのでは…」と懸念されてしまうかもしれません。
そういった相手の懸念を晴らすためには、「今月だけピンチ」というように、来月以降はお金の当てがあることをきちんと説明することが重要です。
「仕方ないなぁ」とか「お金の管理をしっかりしろよ」なんて注意されたり説教されたりするかもしれませんが、「今月だけなら」ということで、お金を貸してもらいやすくなるでしょう。
5.家賃を滞納してしまっている
家賃は、生活費の中でも大きな割合を占めています。
そのため、お金が厳しくなった場合に滞納しやすいものですが、家賃を滞納し続けていると、そのうち強制退去させられてしまう可能性もあります。
家を強制退去させられるとなると、それ以降路頭に迷ってしまうことになりますから、友人や親族としても非常に心配でしょう。
金額が金額なだけにポンとは貸してもらいにくいものですが、背に腹は代えられないということで、何とか工面してくれるかもしれません。
ただ、さすがにそう何回もはお金を貸してもらえませんので、できるだけ早急にお金の当てを付けるようにしましょう。
従業員貸付制度があれば、会社から借りることもできる
会社によっては、福利厚生の一環として「従業員貸付制度」を設けているところもあります。
その名の通り、会社が従業員にお金を貸し付ける制度のことで、自社の社員が金銭トラブルに巻き込まれるのを避けるために設けているケースが多いようですね。
ただし、ただお金が必要だから貸してほしいとお願いして融資を受けられるようなものではなく、以下のような条件を満たさなければお金を貸してもらえないことが多いです。
- 身内に不幸があり葬儀や告別式のためにお金が必要
- 病気や事故などで入院の必要がありお金が必要
- 天災によって家の修繕を行わなければならなくなりお金が必要
会社によって、融資対象や融資金額などは異なりますし、そもそも従業員貸付制度を設けていないところもあります。
会社からお金を借りたいと考えている場合は、そもそも自社には従業員貸付制度があるのか、あるならどのような条件で利用できるのかを、確認してみるといいでしょう。
使えば一発NGの理由3選!
先ほどは友人や親族からお金を借りやすい理由をいくつか挙げていきましたが、逆に使うと一発NGという理由も、もちろんあります。
どういったものがNG理由として挙げられるのでしょうか。
ギャンブルや趣味に使うお金を借りたい
「ギャンブルするためにお金を貸してほしい」「ギターが買いたいんだけど高くて買えないからお金を貸してほしい」というような理由は、もちろんNGです。
ギャンブルに使うためのお金を人から借りようとするなんてことはもってのほかですし、趣味のためのお金にしても自分の余力の範囲内から捻出すべきです。
こういったお願いを無神経にしてしまう人は、自分が同じようなお願いをされたらどう思うかを考えるといいでしょう。
きっと「何言ってんの?」「ふざけるな」と言いたくなると思いますよ。
恋人とのデート代を借りたい
「恋人とのデート代が足りなくって…ちょっと貸して?」というお願いも、NGです。
恋人とのデート代を人に無心することは、甲斐性のなさを表しているも同然ですよね。
人からお金を借りてデートしていることが相手に知れてしまえば、相手としてもきっといい気持ちにはならないはずです。
デート代を捻出するために頑張って働いて節約する、そういった姿勢がなければ、相手にもあなたの気持ちは伝わらないでしょう。
怪しげなビジネスに投資したい
「100%儲けられる」とか「日本ではまだ広まっておらず今がチャンス」というような、いかにもうさんくさいビジネスに投資するためにお金を貸してほしいというお願いも、当然断られる可能性が高いです。
客観的に判断すれば、怪しいものでしかないビジネスであっても、視野狭窄でのめり込んでしまっている人からすれば、「なぜお金を貸してくれないのか分からない」という気持ちになるものです。
そういった人は忠告にも聞く耳持たずなので、熱が冷めて冷静になるまで距離を置くのが一番ですね。
銀行と消費者金融で借りる違いは?借り入れの理由は聞かれる?
銀行も消費者金融も個人に対する融資を行っていますが、それぞれで借りる違いはあるのでしょうか。
借り入れの理由を確認されるかどうかについて、説明していきましょう。
銀行では借り入れの理由をしっかり聞かれる
消費者金融で取り扱われているのは、ほとんどが資金使途自由のカードローンなので、借り入れの理由を確認されることはほとんどありません。
銀行でカードローンを利用する場合も、同様の理由で借り入れ理由を確認されることはほとんどありませんが、銀行によっては確認することもあるようです。
また、銀行では「住宅ローン」や「マイカーローン」「ブライダルローン」のように、資金使途が定められたローンも取り扱っていますので、こういったローンに申し込むと借り入れ理由はしっかり確認されます。
ローンの資金使途に沿っていない申し込み者に対しては、融資は行えませんからね。
消費者金融が借り入れ理由を誘導している?
なぜならインターネット情報サイトやSNSなどの口コミや評判で、消費者金融で借りる理由、資金使途を趣味や娯楽、レジャー、生活のためと書くと審査に通りやすい、と情報が流れているからです。
確かにインターネットやスマホで申し込む場合や自動契約機で申し込む場合の借り入れ理由として、デフォルトで「趣味や娯楽」、「生活費」、「その他」となっているか、プルダウンで選ぶ場合に上位表示されることが多くなっていませんか?
中小消費者金融でも、お客さんから「資金使途は何て書けば良いの?」とよく聞かれます。
本当のことを書けばいいんだよ、と言うと「さすがにギャンブルはダメだよね」と言ってきます。
そうだね、ギャンブルはちょっとまずいかな、などと話しているうちに「じゃあ生活費にしておこうか」と適当に借り入れ理由を決める場合が多いのです。
せっかく日本貸金業協会が金融庁通じて消費者金融から借りる人の借り入れ動向を調べているのに、消費者金融から借りる理由を適当に決めているのでは白書を作る意味がありませんね。
◆日本貸金業協会 金融庁 統計資料
借り入れ金の資金使途の自由度がないのが不満?
同じ統計資料には消費者金融からお金を借りるときの不満だった内容として、借り入れ金の資金使途の自由度がない、と答えた人が約10%いることに注目です。
おや?消費者金融の借り入れ理由はレジャー資金を含んだ趣味や娯楽、生活費だったのでは、と思いませんか。
少なくとも10%の人たちは、本当はもっと違う借り入れ理由があったのに、趣味や娯楽、生活費としなければ借りることができない、審査に通らないのではないか、と考えている数字と考えて良いのではないでしょうか。
本当はパチンコや競馬などのギャンブル資金にお金を借りたいのに、資金使途にギャンブルのため、と書いてしまうと審査に落ちることを知っているからに他なりません。
消費者金融の窓口で、資金使途はなんて書けば良いの、と聞いてくるくらいですから、お金を借りる理由はもっと違うところにあると考えるべきですね。
生活に困っているのに消費者金融から借りる理由
生活費のために消費者金融から借りるとするのは、翌月から返済することを考えればさらに生活を圧迫してくると想像できますよね。
にも関わらず、借金してしまう理由とは、どういった理由が考えられるでしょうか?
借金するハードルを越えると慣れてしまう
借金をする人は初めは誰でも抵抗感や罪悪感があったと思います。しかし思い切って消費者金融からお金を借りてしまうと、抵抗感や罪悪感はあっという間になくなってしまうのです。
誰かに見られるのではないか、とこそこそ消費者金融の店内に入ってきていたのに、慣れてしまうと不思議なもので「よっ!パチンコですっちゃってさ、悪いけど追加融資してくれない?」と臆面もなくなる様子をいくつも見てきました。
そうなると必然的にどんどん借金をするようになってしまい、まして今はパソコンやスマホで消費者金融の借り入れ申し込みができるのですから、ハードルなんてもうないですよね。
リボ払いが消費者金融の借り入れを容易にする
毎月の返済はリボ払いで一定額であるというのも、消費者金融から借りる理由でしょう。
毎月の返済額が一定だから、支払っていればそのうち借金もなくなるさ、との軽いノリです。
カードローン契約ならいつでも追加借り入れができるため、懐が寂しいな、今日は飲み会だったなと思うと簡単にATMから借り入れてしまうのです。
借金はなんとかなると思っている
楽天的な性格は決して悪くはないのですが、後先のことを考えていませんので「借金は何とかなるさ」的な発想になってしまいます。
お金を借りれば美味しいものが食べられる、お金を借りれば欲しいものが買うことができるとまずは欲望を満たしてから、今さえ良ければ良いという考えですね。
筆者もお客さんに聞いたことがあります。このまま借金を続けていても返済のことちゃんと考えている?
お客さんは答えます。「だってここはお金貸てくれるんでしょ?」
つまり消費者金融があるから安心だ、ということなんですね。
消費者金融の金利は総じて高めの設定
上述したように消費者金融はいろいろな理由で利用されていますが、ここで少し気になるのは借り入れを行った以上は必ず返済を行わなければならないということです。
返済に大きく関わる要素としては金利が挙げられますが、消費者金融で設定されている金利は総じて少し高めになっています。
そのため借り入れを行えば行うほど、借り入れの期間が長期にわたればわたるほど、家計への負担は少しずつ増していくことになります。
その効果は目に見えて劇的なものではないため見逃されがちですが、遅効性の毒のようにじわじわと家計を蝕んでいくのです。
特に生活費に充てるために消費者金融を利用しているという人の場合は、生活を支えるために借り入れているお金が原因で、生活が少しずつ苦しくなっているとしたら非常に皮肉なことですよね。
もちろん同じことは他の目的で消費者金融を利用している人にも当てはまるため、少しでも低い金利のところで借り入れを行うことを優先すべきなのですが、消費者金融の金利はどこも似たり寄ったりです。
1つの目的や願望を満たすために家計全体が崩壊してしまうということのないように、利用の仕方には細心の注意を払う必要があると言えるでしょう。
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