銀行の信用調査で借入状況が分かる?
ローンの申込の際に「借入金が多いから少な目に申告しておこう」と考えてしまう人も多いのではないでしょうか?
自分を少しでもよく見せるために、そのような気持ちになるのも分かりますが、この行為には全く意味がないばかりか逆効果になります。
審査の際には、自分の借入状況が丸裸になってしまいます。
この記事では、銀行審査の際には借入情報が分かってしまう理由と、正しい申し込みのしかたや、信用情報を良化させるポイントなどについて解説してきます。
- 執筆者の情報
- 名前:手塚 龍馬(36歳)
職歴:過去7年,地銀の貸付業務担当
目次
審査では必ず信用情報を照会する
審査では必ず信用情報に照会を行います。
金融庁の監督下にある銀行や消費者金融などは信用情報に照会を行い、返済能力に見合った融資を行うように義務付けられているためです。
信用情報には、
①過去のお金のトラブルである事故情報
②借入金の規模と件数
③過去6か月以内のローンへの申込情報
④クレジットカードや借入金の返済状況
などの情報が記載されています。
国が指定する指定信用情報機関はCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターの3社しかありません。
CICは主にクレジットカードの情報を集めている期間で、JICCは主に消費者金融の情報を集めている期間、全国銀行個人信用情報センターは主に銀行借入に関する情報を集めている期間です。
審査の際にはいずれかの信用情報機関に照会を行います。
消費者金融は2社に照会
消費者金融の審査の際にはCICとJICCの2社に照会を行います。
この2社はどのような情報でも5年を超える期間の保管は行いません。
自己破産などがあっても5年経過すれば消費者金融審査には問題ないことになります。
銀行審査では3社に照会
銀行審査では、CICとJICCの2社に加えて全国銀行個人信用情報センターにも照会を行います。
全国銀行個人信用情報センターでは自己破産などの情報は最長10年まで記録されるため、銀行審査が最も厳しいと言われる理由の1つとしてこの点を挙げることができます。
3社は情報を共有している
CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターは情報ソースがそれぞれ異なりますが、この3社は情報を共有していますので、どこから借入を行っても、消費者金融の審査時にも銀行の審査時にも情報が発覚する仕組みとなっています。
個別の情報によって、3社で保存期間が異なるだけです。
信用調査で借入状況は丸裸
審査の際には最初に信用情報の照会を行います。
信用情報の照会を行うことを信用調査と言いますが、この信用調査で借入金の状況は丸裸になると考えてください。
銀行や消費者金融からの借入金はもちろん、クレジットカードのキャッシング枠の利用についても信用調査で発覚してしまいます。
クレジットのキャッシングも丸裸
クレジットカードにはお買い物ができる枠であるショッピング枠と、現金を借りることができる枠であるキャッシング枠の2つの枠が存在します。
信用調査で、利用の内容が分かってしまうのはキャッシング枠のみで、ショッピング枠については支払い方法が分割やリボ払いであっても現金を借りるわけではないため、信用調査で他債務とはみなされません。
キャッシング枠はATMやCDやインターネットから現金を借りることが可能ですので、カードローンと同じ扱いになります。
延滞中の情報も丸裸
ローンやクレジットカードを延滞中の人は絶対に審査に通過できません。
延滞中か否かの情報も信用情報に記載されており、ズバリ「延滞中」と表記されます。
延滞していることを隠して申し込んだとしても信用調査で発覚してしまいますし、絶対に審査には通過できませんので、少なくとも延滞を解消してから申し込むようにしましょう。
嘘の申告をしても意味はない
ローンの申込書には「他社からの借入状況」という欄があります。
自分をよく見せようと、この欄に少な目の金額を記載しても全く意味はありません。
他債務の状況は信用調査によって精緻に丸裸になっているためです。
嘘の申告は審査にマイナス
申込書に実際の借入状況よりも少ない金額を申告した場合には必ず嘘がばれることになりますが、この行為は審査で不要にマイナス要素を自ら作る行為にもなるため、注意して下さい。
信用調査によって詳細に知ることができる借入状況について、なぜ自己申告させるかと言えば、申込人の人となりを知る意味があると言われています。
嘘の申告であることが発覚したら「自分を実態よりもよく見せようとしている人」であるとか、「自分の借入状況を把握できていないお金にだらしない人」と言った評価をされてしまうことがあります。
嘘の借入状況を申告しても全くプラスにはならないばかりか、マイナスのほうが大きいですので、くれぐれも借入状況については正しい情報を申告するようにしてください。
個人間の借入は分からない
信用情報に登録される情報は金融庁監督下にある合法の貸金業者と銀行などからの借入情報だけです。
家族・親戚・友人などからの個人間の借入は信用情報には登録されませんので、この借入であればわざわざ申告する必要もありません。
また、申告したとしても審査担当者は返済義務のある信用情報登録の借入金であるとはみなしませんので全くマイナスにはなりません。
さらに、「個人的な借入まで申告する正直な人」と判断されて、審査担当者には好印象となる可能性のほうが高いと言えます。
借入状況以外に支払状況も分かる
信用調査によって、借入金の本数や規模などが照会されますが、信用調査で分かることは借入状況だけではありません。
借入金などの支払状況も分かってしまいます。
遅れが多いと当然ながら審査にはマイナスとなりますが、期日通りに支払うことによって、審査に通過しやすくすることも可能です。
クレジットヒストリー
信用情報にはクレジットヒストリーという情報があります。
クレジットヒストリーとは過去24か月分の借入金・クレジットカード・割賦販売(携帯電話端末の分割支払代金)などの支払状況が記録されています。
期日通りに支払うと$、返済に遅れるとAという記録がついてしまします。
このため、クレジットヒストリーにAの記録が多い人ほど審査には通過しにくくなります。
住宅ローン審査では1年間の間にAが2つあるだけで、審査に落ちる可能性が高くなってしまいますし、カードローン審査においても1年間に6回以上のAの記録がある人は審査に通過することが難しくなってしまうと言われています。
期日通りの支払いで信用情報良化
クレジットヒストリーは期日通りに支払ったというプラスの情報も記録される情報です。
このため、期日通りに支払った記録である$マークが多い人は審査に通過しやすくなります。
多少借入金の規模が年収から見て多い人や、借入本数が多い人でもクレジットヒストリーに$マークが24個羅列している人は審査に通過できることもあります。
クレジットヒストリーに記載される情報は返済に遅れたかどうかだけで、利用金額などは記載されません。
そのため、クレジットヒストリーに支払状況が記録されるクレジットカードに契約し、毎月100円でもよいのでクレジットカードを利用して、期日通りの支払いを行っていけば、信用情報に毎月$がたまることになります。
これが、最も簡単に審査に通過しやすい自分を作る方法です。
まとめ
審査の際には、必ず信用情報に照会を行う、信用調査が行われます。
信用調査によって、個人間の借入以外のすべての借入状況は丸裸になってしまうため、自分をよく見せようとして、実際の借入額よりも少ない金額を申告しても全く意味はありません。
また、嘘であると絶対に分かる情報ですので、審査にマイナスになる可能性のほうが大きいと言えます。
このため、借入状況に嘘を申告するのは絶対にやめましょう。
また、借入状況だけでなく支払状況についても過去24か月分の情報が記録されていますので、申込の際には、期日通りの支払いをある程度の期間行ったうえで、申込を行うようにしましょう。
逆に、毎月いくらでもよいので、クレジットカードを使用して、期日通りの支払いを続けていけば審査に通過しやすい自分を作ることも可能です。
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