信用金庫の住宅ローンは審査が甘く通りやすい?
住宅ローンに限らず、ローンを組むには融資審査に通らなければいけません。
多くの人は住宅ローンなどを借りる場合に銀行をイメージしますが、信用金庫にも住宅ローンなどの融資商品があり、銀行とは特徴が異なる部分もあります。
今回は、信用金庫が取り扱う住宅ローンの商品内容や、信用金庫ならではの融資審査の観点など、信用金庫で申し込むメリットを分析しましょう。
信用金庫と銀行の審査目線を比較
まず、信用金庫と銀行は営利を目的としているのかどうかが違うのですが、ローン審査についてはどのような違いがあるのでしょうか。
実は、融資審査は信用金庫も銀行も基本的には同じ様に行われます。
しかし、信用金庫と銀行は審査を行なう上で重視する点が異なります。
どのような違いがあるのでしょうか?
信用金庫は顧客目線
信用金庫というのは営利を求めない組織です。
もちろん、利益を出さなければ営業していくことはできないのですが、必要以上の利益を求めない営業をしています。
そのため、収入など数字に表れる部分も大切ですが、何よりお客様の意思や思いを尊重します。
なので、難しい案件も親身に対応してくれますし、必要に応じて保証会社などに直談判をすることもあります。
地域の発展を大切にする信用金庫だからこそできることです。
銀行は利益目線
利益目線と言っては御幣があるかもしれませんが、民間銀行は株式会社であるため、利益の追求も重視しています。
そのため、住宅ローンにおいては保全がしっかりとされている必要があります。
保全とは、万が一返済不能となった場合に、残りの融資金を回収できるかということです。
融資金を回収できなければ不良債権となり「損失」となってしまいます。
なので、銀行は極力損失を出さないため、審査は厳しい傾向となっています。
また、超低金利時代の現在では、住宅ローンを融資しているだけでは利益を出すことが難しく、それが審査を厳しくしている要因にもなっています。
とはいえ、利益だけを求めた営業では地域の発展も望めませんので、利益を求めつつも地域の発展にも寄与できるような営業を心がけていることは言うまでもありません。
信用金庫は地域密着の審査を行う
銀行で審査に通らなかった案件でも、信用金庫では通る場合があります。
特に住宅ローンは、地域に根付く商品でもあります。
また、土地などの価格や収入は地域によって大きく異なり、大規模の銀行ではそこまで見ることができない場合もあります。
その点、信用金庫は特定の地域に限定した営業をしており、その地域の価格や収入には多くの情報を持っています。
これを住宅ローン審査も反映させることで、柔軟な審査をすることができるのです。
審査否決でも交渉してくれる
住宅ローンは融資額が高額で、返済は長期にわたります。
そのため、審査は他のローンよりも厳しくなるのは仕方のないことであり、審査落ちすることも珍しいことではありません。
銀行によっても違いますが、審査落ちした案件をそこまで深く追いかけることはせずに、結果だけを伝えて終わりということも少なくありません。
しかし信用金庫の場合は、もし審査が否決であったとしても、保証会社が知りえなかった情報を添えて、再度審査を依頼することが圧倒的に多いです。
場合によっては、保証会社へ店舗のトップが電話や直接出向いて交渉をする場合もあり、それによって審査結果が覆ることもあります。
その点は、地域密着型でフットワークの軽い信用金庫のメリットともいえます。
また、人と人とのつながりも審査を有利に進める場合があります。
例えば、申込人が信用金庫と取引先のある企業の従業員であったり、信用金庫の取引先のお得意様であったり、そのような情報も加味して交渉して審査が通る場合があります。
保証会社2社との提携で審査窓口が広い
住宅ローンにおいて信用金庫が提携する主な保証会社は「しんきん保証基金」と「全国保証」です。
しんきん保証基金とは
信用金庫専用の保証会社であり、全ての信用金庫で取り扱いがされています。
地域の発展を営業の目的としている信用金庫専用の保証会社ですので、融資審査においても、他の住宅ローン保証会社より甘いといえます。
全国保証とは
全国の金融機関と取引があるため、信用金庫に加えて銀行等でも取り扱いがされています。
全国保証は住宅ローン専門の保証会社ということもあり、豊富な住宅ローン審査実績から、柔軟な審査が行える会社です。
どちらかの審査に通過すればOK
信用金庫ではこれら2つの保証会社のうち、いずれかの審査に通過できれば融資が受けれられるため、住宅ローンにおける窓口が広くなっています。
信用金庫ならではの柔軟な審査を受けることも、銀行に申し込んだ時と同じような審査を受けることも可能なのは、何回も窓口に行かなくてはならない利用者にしてみれば、これ以上ないメリットだと言えるのではないでしょうか。
リピートプラン利用で審査を有利に
しんきん保証基金には、通常の商品の他にも常連向けの商品もあります。
融資を受けることに常連になることもどうかと思うかもしれませんが、そこまで多くの商品を利用する必要はありませんし、多くの金額を借りる必要もありません。
要するに、しんきん保証基金のリピーターとなれる簡単な条件を1つでもクリアできれば「リピートプラン」という商品を利用することができます。
リピートプランを利用すると保証料の優遇や、融資審査が通りやすくなるというメリットがあります。
- しんきん保証基金のローンにおいて、実行後6ヶ月以上経過し、かつ直近の約定返済が行なわれていること
- しんきん保証基金のローンを完済して3年以内であること
- しんきん保証基金のカードローンを契約中、または住宅ローン実行までに契約をすること
上記3つの条件は、しんきん保証基金のリピーターになれる、つまりはリピートプランが利用できる条件を羅列したものであり、これらのうち1つだけでも満たせばいいだけです。
1つ目と2つ目はすでに信用金庫を利用している人でなければクリアできませんが、3つ目であればこれまで信用金庫と取引したことがない人でもクリアできる条件です。
要は、住宅ローンの相談や申し込み時にカードローンの申込を行い、そのまましんきん保証基金のカードローンを契約するだけでリピートプランが利用できるようになるのです。
10万円の借入枠でOK
これから住宅ローンを組むのにカードローンを契約すると、返済負担比率を高めてしまうのでは?という不安があると思います。
その点において、しんきん保証基金は最小10万円の借入枠から契約することができます。
リピートプランにするために10万円の借入枠をつくれば、返済負担比率への影響も最小限に留めることができます。
また、この条件は新規利用者の開拓や既存取引先との深耕を図ることを目的としているため、返済負担率が増えることは最初からわかっています。
そのため、リピートプランにするためにカードローンを申し込んだからといって住宅ローンの審査が厳しくなることはなく、むしろこれから厚い取引ができる人だと印象をよくさせることができます。
リピートプランの利用は、信用金庫・保証会社・顧客の3者すべてにメリットのあることですので、信用金庫を利用の際はリピートプランの利用は絶対に検討したいものです。
職域ローンも見逃せない
リピートプランではありませんが、申込人の勤務先と信用金庫が協定を締結することにより、職域ローンという商品が利用できます。
この商品を利用することにより、リピートプランより更に保証料の優遇と融資審査が通りやすくなるというメリットがあります。
ただし、職域ローンは、借入可能額が500~1,000万円(信用金庫によって異なる) と設定されているため、職域ローンにすると住宅の購入には適しません。
しかし、リフォーム資金等には最適な商品といえます。
このように、信用金庫には独自の金融商品が豊富にありますので、住宅ローン借入の選択肢には是非とも入れておきたい金融機関なのです。
取引内容によって金利を下げられる
信用金庫では、取引内容によって様々な金利減免を受けられます。
信用金庫によって優遇できる項目や減免幅は異なりますが、「給与振込」・「年金振込」・「カードローンの契約」は殆どの信用金庫で取り入れています。
他にも「預金○○万円以上」・「公共料金の引き落とし」・「他金融機関からの借り換え資金」・「不動産業者等からの紹介」といった項目がある金融機関もあります。
これらの優遇項目は、該当しやすい項目で準備されています。
固定金利は更新時に金利が上がる
固定金利の住宅ローンを契約すると、固定期間終了時に金利の見直しがあります。
金利は、固定期間が終了した時の市場金利で見直されます。
また、金利減免においても、新規と更新時で減免幅が異なる場合もあります。
例えば、新規では減免の上限が0.8%、更新時は上限が0.5%ということもあります。
減免幅の上限においては個別に優遇することができませんが、更新時の金利も事前に確認しておくとよいでしょう。
一番のメリットは審査の柔軟さ
信用金庫の住宅ローンは、残念ながら銀行の住宅ローンより金利が高いのが一般的です。
これは、銀行の資本力に信用金庫が及ばないため、どうしようもできないことなのですが、住宅ローン金利は地域によっても異なり、場所によっては銀行と変わらないくらいの金利で頑張っている信用金庫もあります。
ですが、金利以上に信用金庫を利用するメリットがあるのです。
それは、審査の柔軟さです。
直談判してくれる
信用金庫は、否決でも直談判をしてくれます。
保証付き融資なら保証会社へ、プロパー融資なら本部の審査部署へ、再度、審査をやり直すよう働きかけてくれます。
勿論、それなりのプラスの材料が必要となります。
例えば、「世帯で多くの取引がある」、「不動産を持っている」、「長年の取引先である」などがプラスの材料です。
世帯で多くの取引があることや取引年数が長いことは、メインで信用金庫と取引をしていることであり、営業基盤を固めるためには非常に重要な部分です。
これを信用金庫が見逃すわけがありません。
また、不動産を持っていれば売却によって頭金を捻出できることや、返済できない場合にはそれを返済の財源にしてくれる可能性もあります。
自己破産していても可決の場合がある
自己破産の履歴があると、保証付きの商品は審査に通ることができません。
通常であれば、この時点で住宅ローンの案件として終わることがほとんどなのですが、信用金庫では次の一手としてプロパー融資を勧めてくることがあります。
プロパー融資とは、全くの信用のみで融資を行うことです。
住宅ローンの審査といえども、しんきん保証基金や全国保証の保証付き商品は審査を保証会社が主に行います。
保証会社がOKを出せば信用金庫も問題なく融資しますが、保証が得られなければ融資はできません。
一方でプロパー融資は、審査も信用金庫が行いますので、独自の基準で審査をします。
プロパー融資は保証付き融資よりも金利が高いのが欠点ですが、それだけ審査は柔軟です。
よほどのことがない限り勧められることはありませんし、利用者の方から提案して利用できるものではありませんが、プロパー融資の審査に通る方法を抑えておきましょう。
審査を通る鍵は取引年数と取引内容
プロパー融資の審査を通るためには、信用金庫との取引年数と取引内容が鍵となります。
プロパー融資は信用金庫にもリスクがある商品なので、それなりの取引実績等がないと利用することができません。
そこで、プロパー融資を優位に進めるために、以下の取引を行っておくとよいでしょう。
①給与振込を指定する
②定期預金・定期積金をする
③公共料金の引き落としをする
④カードローンを契約する
これらの項目は、手続きをすれば、すぐに満たすことができます。
ただし、①と③は、変更したけど審査が通らず元に戻すことになってしまっては手続きが大変なので、信用金庫職員に変更することが可能である旨を伝えるまでで十分です。
取引年数は変えることができませんが、長いに越したことはありません。
上記の項目で共通していることは、「信用金庫をメインに利用している」ということです。
いくつもある金融機関の中から選び、メインに利用しているということは、審査にとてもプラスになります。
また、これら以外にも世帯として多くの取引をしていることも重要であり、世帯に高齢者がいれば年金の受け取りも信用金庫に変更することで、さらにプラス要素を増やせます。
できるだけプラス要素は多い方が良いのですが、1つでも多くの項目を満たし、プロパー融資を利用しましょう。
審査可決には十分な保全が重要となる
プロパー融資を受けるためには取引内容も重要ですが、保全の面も厳しく審査されます。
住宅ローンの場合は、土地と建物を担保に融資する場合が殆どです。
融資審査では土地と建物の評価額を算出しますが、土地と建物の評価額が融資金よりも大きいに越したことはありません。
もし評価額が不足している場合は、添え担保(別の土地か建物もしくは、その両方)をすることで不足分を埋めます。
しかし、土地と建物のうち、建物は年々評価が下がっていくため、先々のことを厳しく審査する必要があります。
担保について
一番優良な担保は、保証会社の付保と預金です。
自己破産した場合、保証会社は利用できないので、残りは預金です。
預金を担保に融資を受ける方法ですが、住宅ローンを組むほどの額の預金を持っていれば苦労しませんが、そのようなケースは稀だと思います。
もしも親にそれだけの預金がある場合には、それを保全の材料として提示することも方法ですが、当然のことながら親の同意や意思を得た上で行うようにしなくてはなりません。
このように保全をしっかりすることで、プロパー融資を受けられる可能性を高めることができます。
団信不加入でも住宅ローンが組める
団信とは、団体信用生命保険の略称であり、住宅ローンを返済中に万が一債務者が死亡・高度障害または医師が死と同等と認めた状態となった場合に利用できる保険で、住宅ローンの残債を全額決済するができます。
保証会社は万が一のことに備えて、団信の加入を住宅ローン契約の絶対条件としています。
団信に加入するためには、告知事項をクリアしなければいけません。
告知事項の内容としては、「過去○ヶ月以内に、医師の治療・投薬を受けているか」、「過去◯年以内に手術を受けているか」など、団信を提供する保険会社所定の内容となっています。
こちらに関しては、信用は全く関係なく、利用者の健康状態により決定されます。
もし、団信に加入できなかったら、しんきん保証基金も全国保証も利用することができません。
その場合、信用金庫のプロパー融資を利用することになります。
プロパー融資は高利だが融通が利く
プロパー融資とは、保証会社を付けず、信用金庫独自で融資審査及び融資を行なう商品になります。
金利は保証会社付きより多少高くなりますが、極端に高くなるというわけではありません。
プロパー融資で団信に加入できない場合、信用金庫としても保全(万が一の備え)を図りたいものです。
その場合、連帯保証人を徴求したり、担保を追加で徴求する場合があります。
利率が上がり、保証人・担保を徴求される場合もありますが、本来組むことが難しい住宅ローン案件も、信用金庫は真摯に向き合ってくれるでしょう。
同じ地域に根付いた信用金庫という金融機関も、そのようなローン案件を重視しています。
登記不要な無担保住宅ローン
しんきん保証基金には、住宅ローン契約時に(根)抵当権を設定しなくてもいい無担保住宅ローンという商品があります。
一般的に住宅ローンを契約した時、金融機関は土地と建物(場合によっては、加えて他の物件にも)に(根)抵当権を設定します。
(根)抵当権を設定する理由としては、万が一、申込人が返済不能となった場合に、(根)抵当権の権利を行使して物件を処分し、債務に充当することで債務を回収するためです。
よく聞く、「返済ができなくなったら家を取られる」とは、このことだったのです。
無担保住宅ローンは(根)抵当権の登記をしなくていいので、登記費用の面でも大きく節約することができます。
(根)抵当権の設定は、設定金額(=借入金額)によって異なりますが、10~20万円前後は費用が必要となります。
ここまではメリットのある話でしたが、デメリットもあります。
それは借入可能額が小額であり、1,000~1,500万円ほど(信用金庫にもよる)が上限であることです。
中古住宅の購入や住宅のリフォームに適した商品といえます。
また、借り換えの際に借入額が少なければ利用できることもありますので、できるだけ早く担保を外したい人には良い商品です。
なお、無担保住宅ローンも、リピートプランにすることで審査も通りやすくなるといえますので、セットでカードローンも検討することをおすすめします。
意外と多くかかる諸費用
住宅ローンを利用する場合、意外と多くの諸費用がかかります。
それらの諸費用も住宅ローンの借入金に含めることができますが、それだけ返済の負担は多くなります。
では、住宅ローンの借入にはどのような諸費用がかかってくるのでしょうか?
主にかかる諸費用とは
住宅ローンにおいて、主にかかる諸費用は以下の項目です。
①保証料 ②火災保険料 ③登記費用 | ④印紙代 ⑤手数料 |
①については、保証付きを利用した場合に発生します。
主に、借入金額と借入年数より算出されます。
全国保証の場合は、担保評価額によって通常の保証料と超過保証料があり、担保評価額よりも多い借入額の場合は高額な保証料が発生することもあります。
②については、火災保険の加入を必須としている信用金庫の場合、必要となります。
近年は火災保険の加入は任意とする信用金庫も増えてきています。
なお、信用金庫とは関係のない火災保険に加入する場合でも、見積書を提示すれば保険料分を借入額に含めることも可能です。
③については、「表示登記」や「所有権移転登記」などの費用です。
住宅を所有する際に行う手続きで、司法書士に依頼した際の費用を借入額に含めることができます。
④については「金銭消費貸借証書」や「売買契約書」に貼り付けるもので、金額によって印紙の額も変わっていきます。
⑤については、金融機関や保証会社への事務手数料です。
これらの費用は、借入内容や物件内容によって金額が変わるため、一概にいくらと言えませんが、合わせて50~100万円ほど見積もっておくとよいでしょう。
保証料は非常に高くなることがある
先ほど少し触れましたが、保証会社の保証料は、担保の評価額によっては金額が膨れ上がる場合があります。
担保の評価額が融資金を下回ると、万が一返済不能となった場合に融資金を全額回収できなくなるリスクがあります。
そのリスクがあるため、保証料が上がってしまいます。
この場合、添え担保をするなどして、保証料の上昇を抑えましょう。
ただし、添え担保をすることによりその分の登記費用が増えてしまうので、これらの金額を加味した上で信用金庫職員に相談すると良いでしょう。
信用金庫は個人事業主に手厚い
個人事業主は、一般的に収入が不安定という見方をされてしまいます。
自営業者というのは、自身の仕事の受け具合などで売上が増減し、公務員や会社員と違って毎月の収入や仕事が安定してあるとは限りません。
勿論、公務員や会社員以上の収入がある個人事業主もいます。
しかし、融資を受けるとなると、どうしても収入の安定性から融資が受けづらい場合もあります。
その点、信用金庫は、どのように対応してくれるのでしょうか?
申告内容が悪くても将来性を加味
会社員は、源泉徴収票や所得証明で年収を知ることができます。
個人事業主は、2~3月に税務署へ年間の収支を届出て、確定申告書(以下、申告書)にて年収を知ることができます。
年収の算出方法は申告書の「所得金額」に「減価償却」を足した値になります。
一般的に、個人事業主は年収が上下するため、融資を受ける際は3期分(3年分)の申告書が必要となります。
個人事業主は収入が不安定と記載しましたが、やはり信用金庫はお客様の意思や考えを一番に重視します。
たとえ収入がマイナスであっても、将来性などを総合的に判断して融資を通す場合もあります。
数字に捕らわれず、まずは相談することが重要です。
保証人が必要となる場合がある
信用金庫であれば自営業者でも柔軟に対応してくれるのですが、実際に個人事業主が融資を受ける場合は、保証人が必要となる場合が多いです。
信用金庫は非営利の団体ではありますが、損失や赤字は避けたいものです。
審査が甘い分、保証人や不動産担保等の徴求を依頼される場合があります。
転勤しても住宅ローンは継続できる
転勤をすると住所が変わるので、本来の住宅ローンの趣旨からずれてしまいます。
しかし、これまで通り住宅ローンを継続することができます。
忘れてはいけないのは、信用金庫にその旨を伝えることです。
連絡をしないと、最悪の場合、一括請求をされてしまう場合もあるので注意が必要です。
特に信用金庫の場合は、限られた地域の中で営業しており、その地域から外れてしまうと取引が継続できない可能性もあります。
預金であればまだいいのですが、融資の場合は一括請求などで不利益を被る可能性もありますので、住所の変更に限らず信用金庫への連絡は必ず行うようにしましょう。
転勤の際は必ず相談を
転勤が決まったら、引っ越しの準備や諸届けの変更など色々な手続きをしなければいけませんが、信用金庫への連絡も忘れないようにしましょう。
住宅ローンの条件は「本人または家族が居住すること」としています。
例えば、夫が単身赴任する場合は、家族が居住しているので問題ありません。
しかし、家族総出で引っ越す場合は、条件が満たされなくなるので、住宅ローンではなくなってしまいます。
とは言っても、家を売却したり、残りの融資金を一括返済することは難しいことです。
この場合、家に誰も住んでいない期間が一定期間であれば、住宅ローンの契約を継続することができる場合があります。
その判断をしてもらうためにも、まずは信用金庫に相談しましょう。
何事も早めに相談するに越したことはありません。
県外へ転勤しても会員でいられる
転勤で県外へ赴任すると、信用金庫の会員資格がなくなってしまいます。
住宅ローンの残高が700万円以下であれば、員外貸出ということで取引を継続できますが、700万円以上だと本来は融資できない状態になってしまいます。
しかし、転勤はよく有り得る事なので、その都度、一括請求されるとなると安易に家を買うことができません。
なので、県外への転勤があり会員資格を失ったとしても、住宅ローンの契約は継続することができます。
ただし、信用金庫への連絡と相談は忘れずに。
一括請求されてしまうケースとは
一括請求されてしまうケースとは、上記の連絡を怠った場合です。
住宅ローンを組む際に交わす「金銭消費貸借証書」の第4条にある「期限の利益の喪失」が関係します。
「期限の利益の喪失」の事由に「信用金庫から債務者宛の通知が、届出の住所に届かなかった場合」としています。
実際、郵便物は届きますが、誰も住んでいなければ届いた郵便物を見ることはできません。
万が一、延滞が発生してしまい、督促状などを見ないままでいると、どの道、一括請求されてしまいます。
郵便物の送付先等についても、やはり信用金庫へ相談した方が良いと言えます。
信用金庫の審査期間は短い
信用金庫の融資審査は、最短で1~2日で結果が出ます。
信用金庫の取り扱う主な商品としては、「しんきん保証基金住宅ローン」、「全国保証住宅ローン」、「プロパー住宅ローン」の三種類です。
中でも、しんきん保証基金住宅ローンは審査が非常に早く、その場で審査結果が分かる場合もあります。
まず、住宅ローンの申込書を記載し、信用金庫職員へ提出します。
その後、信用金庫職員は申込書に沿って申込内容をパソコンに打ち込みます。
暫くすると、しんきん保証基金より審査の結果が来るという手順です。
しかし、信用金庫職員も他の仕事もあるでしょうし、必ずその場で審査結果が分かるとまで断言できません。
次に審査が早い商品は、全国保証住宅ローンです。
全国保証住宅ローンは2~3日前後で審査の回答が来ます。
また、公務員や会社員といった給与所得者は、原則として翌営業日に審査回答をするというものもあります。
全国保証は、住宅ローン専門の保証会社です。
取引先は金融機関のみであるため、案件は一件一件大切に審査を行なっています。
どちらの保証会社も審査結果が思ったものではなかった場合、信用金庫から再度交渉をしてくれる場合があります。
保証会社では、定量面を基に審査を行ないますが、信用金庫には定性面の情報があります。
定性面を加味した結果、審査が通らなかった案件でも通る場合もあります。
信用金庫を利用するデメリット
信用金庫はお客様に寄り添った金融サービスの提供を第一に事業を行っていますが、信用金庫にもデメリットはあります。
信用金庫の規模や、システムが原因で銀行に劣る点も多々あります。
それらのデメリットを理解した上で信用金庫を利用するとよいでしょう。
金利が高い場合もある
信用金庫の金利は、預金が高く、融資は低い傾向にあります。
それは、地域の方々に高い預金利息を還元し、低い融資利率で資金の円滑化を図る信用金庫の趣旨に則っているからです。
しかし、超低金利時代の今日、銀行との預金利息の差は小さく、融資利率においても競争が激化しています。
銀行にはメガバンク(都市銀行)、地方銀行、第二地方銀行など幾つかの種類がありますが、中でもメガバンクは融資利率が非常に低いです。
その背景には、多くの顧客数と、大企業などとの高額な融資など、莫大な収益が見込まれているからです。
住宅ローンを超低金利にし、顧客数と融資額を増加する戦略であります。
近年、地方銀行も住宅ローン利率を下げつつあります。
その現状において、信用金庫は柔軟に対応してくれる場合もあります。
例えば、「銀行ではこの利率で提案されているが、それに近い金利にすることはできないか」というケースです。
勿論、それなりの取引をする上での折衝となりますが、取引実績によっては個別に対応してくれる場合もあります。
インターネットで完結しない
信用金庫でもインターネットを利用したサービスも増えてきましたが、まだまだインターネットだけで全て完結する状態にまでは進んでいないようです。
そもそも人と人との距離が近く、身近な金融機関である信用金庫が、インターネットのみのサービスとなってしまっては、存在意義に関わります。
面談することによって不明な点を聞いたり、相談することは、双方の思い違いなどを解消するためにも重要なことといえます。
とはいえ、インターネットが便利な面は否定できませんので、顧客の利便性が良くなるような通帳アプリは最近になって提供し始めています。
繰上返済時は窓口へ行く場合がある
住宅ローンに限らず、融資の返済途中で一部または全額を繰上返済する場合、手数料が必要となります。
金額に関わらず手数料が一律の金融機関もありますし、返済額もしくは融資残高に対して違約金という形で費用がかかる金融機関もあります。
信用金庫で繰上返済を行なう際、窓口に行かなければいけない場合があります。
近年の金銭消費貸借証書(契約書)の第一条第三項には、口座振替の内容が記載されています。
内容は、契約にかかる保証料、手数料、その他いっさいの費用を通帳・伝票を提出することなく払い出すことができる、としています。
つまり、契約内容に関係する費用は、顧客が来店することなく出金をすることができるということです。
この項目は従来の金銭消費貸借証書には載っていなかった項目なので、従来の契約である場合は、来店し伝票を起票しなければ繰上げ返済をすることはできません。
繰上げ返済をする場合、信用金庫に問い合わせをし確認しましょう。
信用金庫で審査に落ちる原因とは
信用金庫で審査に落ちる一番の原因は、個人信用情報に問題がある場合です。
個人信用情報とは、現在の借入状況や返済状況、金融の事故履歴などが載っている情報です。
これらは、個人信用情報センターという機関に情報が保存されおり、融資審査の際は、これらの情報も加味して行われます。
借入があるという事実は大きな問題ではありませんが、延滞履歴や事故履歴があると融資審査に落ちる可能性が高くなります。
また、事故履歴があると融資審査に通ることは不可能に近いといえます。
この事故履歴は5年から10年で消えるといわれているため、時間が経ち情報が消えることを待つしか方法はありません。
これらの個人情報は、外部の機関で管理されている情報であるため、信用金庫から働きかけをしても何とかなるものではないのです。
ローンの延滞や、事故を起こしてしまうと、このような時に不便な思いをしなければいけないことになります。
事前審査に一番力を入れろ
住宅ローンの審査には、事前審査と本審査があります。
事前審査は、希望額の融資を受けることができるか等が分かる簡易的な審査です。
しかし、事前審査は本審査に繋がっていくため、正確な手続きを行いましょう。
事前審査で手続きの無駄を省く
住宅ローンの事前審査を行う場合、「謄本」や「公図」など必要最低限の資料で申し込むことができます。
事前審査が通れば、大きな差異や問題がない限り本審査も通る可能性が高いといえるでしょう。
そう考えると、できるだけ多くの正確な資料を準備するに越したことはありません。
もし、事前審査と本審査の内容が大きく異なると、融資を受けられないだけではなく、場合によっては不動産会社等に違約金を払わなければならないことになる場合もあります。
手続きの無駄だけではなく、お金も無駄になってしまいます。
あくまでも事前審査なので、審査が通ったとしても取り下げることは可能です(本審査の場合でも可)。
金融機関の職員とよく話し合い、必要書類の確認や確実な手続きを行いましょう。
売買契約書の特約を確認せよ
事前審査の段階で「売買契約書」が準備できていると、尚、良いです(無くても可)。
売買契約書とは、物件を「売ります」・「買います」という内容が記載されて重要な書類です。
物件を検討中の段階でも、この物件をとりあえず押さえておきたいという時、手付金を払い売買契約を交わすケースもよくあります。
その際、注意しなければいけない点が1つあります。
それは、売買契約書の特約欄に記載されている「住宅ローン特約」です。
住宅ローン特約とは、買主が住宅ローンを利用できなかった場合、違約金等の負担をすることなく手付金を返還してもらい契約を白紙にできるというものです。
住宅ローンの審査前に売買契約書を交わすのであれば、住宅ローン特約が載っていることが殆どです。
しかし、万が一、住宅ローン特約が載っていない契約をして融資審査が通らなかった場合は違約金等を請求されてしまいます。
その様なお金の無駄を省くためにも、売買契約書の住宅ローン特約は必ず確認しておきましょう。
事前審査の回答は最短翌日
信用金庫が取り扱う住宅ローンは「全国保証」・「しんきん保証基金」・「プロパー融資」の3種類があります。
中でも「全国保証」と「しんきん保証基金」の融資審査は非常に早いです。
最短で翌日には審査結果を知ることができる場合もあります。
どちらも、信用金庫との太いパイプがあるため、様々な案件に前向きに取り組んでくれます。
融資審査の依頼は、信用金庫から上記の保証会社へFAXまたは郵送で行いますが、信用金庫ならではのフットワークの軽さで、直接持参してくれることもあります。
主に、審査が難しい案件や、急ぎの案件の場合であるため、いつでも持っていってもらえるとは限りませんが、その点も信用金庫のメリットといえるでしょう。
謄本と公図があると心証が良くなる
事前審査では必要最低限の資料があれば申込できると記載しましたが、より多くの資料があるに越したことはありません。
事前審査で必ず必要となる資料は以下のものです。
- 謄本
- 公図
- 物件の見積書
- 本人確認資料(運転免許証等)
- 収入証明書(源泉徴収票や確定申告書等)
上記の中で、「謄本」と「公図」は金融機関で準備することができます。
しかし、金融機関が経費を使い請求するという手間と負担がかかります。
これらの資料は法務局で取り寄せることができますが、自身で準備した上で申し込んだ方が、金融機関からの心証は良くなるといえるでしょう。
もし、不動産会社と話し合いが進んでいるのであれば、不動産会社からコピーを貰うという方法もあります。
そうすれば、請求する手間とお金を省くことができます。
まとめ
住宅ローンに限らずローンを組む際、一番気になる項目は金利です。
金利は少しでも低いに越したことはありません。
数百万円から数千万円のローンを組む住宅ローンなら尚更です。
信用金庫は、銀行の金利まで低利で融資をすることはできませんが、信用金庫にも様々な金利優遇項目があり、極力低利な商品となっています。
また、信用金庫で申し込む一番の魅力は、融資審査が甘いということです。
勿論、信用金庫にいけば簡単に融資審査が通るというわけではありませんが、銀行などで断られた案件も、なんとか融資できないかと試行錯誤してくれるでしょう。
地域密着型の信用金庫は、腰を据えて顧客に真摯に向き合ってくれる金融機関といえます。
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※₁お申込み時間や審査状況によりご希望にそえない場合があります。
※お借入れ総額により収入証明書(源泉徴収票等)が必要です。