無効となる借用書(金銭消費貸借契約書)の書き方

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銀行や消費者金融など金融機関が作成する借用書は、どこからも隙がないように法律知識をふんだんに取り入れて作成されています。

しかし個人間融資となると、市販されている借用書をそのまま利用したり、インターネットで公開されている雛形を利用したりする場合が多いですよね。

きちんと効力を発揮するなら良いのですが、手落ちがあり、借用書が無効になってしまうことも少なくありません

借用書はお金を貸したことを第三者に証明する重要な契約書です。

今回は、どのような借用書が効力を発揮しないのか、また、効力を発揮する借用書の例と作り方をご紹介しましょう。

執筆者の情報
名前:梅星 飛雄馬(55歳)
職歴:地域密着の街金を30年経営

お金を借りる契約

少々難しい説明なりますが、これから説明することは、そういう契約もあるのだと軽く覚えておくと良いでしょう。

そもそもお金を借りる契約には一定のルールがあり、ルールにしたがって契約しルールにしたがって返済していきます。

まずお金を借りる契約の種類について軽くご説明すると、契約には典型契約と言って民法が定めている契約種類と、非典型契約または無名契約と言って民法で定められていない契約の2つがあります。

一般的なお金を借りる契約である金銭消費貸借契約は、民法で定めるところの典型契約に分類されます。

つまりお金を借りる契約は、民法で規定されているルールに則って契約するものであるとの理解が必要です。

もっと砕けた言い方をすれば、お金を借りる契約は民法によって法的根拠が立証されているということになりますね。

民法で定められているわけですから、お金を借りる契約に金銭消費貸借契約がなされたとしてもそれほど不安になる必要はありません。

銀行カードローンや消費者金融からお金を借りるには、金銭消費貸借契約を結ばなければならないのだと、認識しておくと良いでしょう。

お金を借りる契約の種類について

お金を借りる契約の種類には諾成契約と要物契約の二つの種類があります。

諾成契約とはお金を借りる側とお金を貸す側の両者で行われ、お金を借りる側が申し込みをし、お金を貸す側が承諾するだけで契約が成立する契約の類型です。

つまり口頭による契約であっても、両者間においては有効な契約であり、その契約を金銭消費貸借契約とすることが可能で、民法で定める典型契約の原則的なパターンとなります。

しかし口約束だけの諾成契約では、契約の内容を知っているのはお金を借りる側とお金を貸す側の両者のみになってしまいます。

それでは第三者に対してお金の貸し借りがあったことを証明することができません。

仮にお金を借りた側が、借りた覚えはないと裁判所に訴えた場合、お金を貸した側は確かにお金を貸したと証明することができなくなってしまうのです。

実際に金銭の貸付が行われたのかも証明することができません。

一方、要物契約とはお金を借りる側とお金を貸す側が、諾成契約によって申し込みと承認の他に、金銭の受け渡しを約束することで契約が成立する契約の類型です。

要約すると、単なる諾成契約ではお金の受け渡しまでは必ずしも必要ではなく、要物契約によって初めてお金の受け渡しをすることを約束することになります。

要物契約によって契約された金銭消費貸借契約は、契約を結べば必ずお金を貸す側がお金を借りる側に金銭を交付しなければならない義務を負うわけです。

一般的に考えれば、お金を貸す側が金銭の交付をする以上、何らかの書類を証拠書類として取っておかなければなりません。

お金を貸した側から、お金を借りた覚えはないと訴えられても、契約段階で確かに金銭の授受はありましたと証明するためにも、要物契約によってお金を借りる契約を行うわけです。

しかし現段階では要物契約によって金銭を交付することを約束しただけです。

間違いなく金銭の貸し借りがあったことを第三者に証明するためには、次の項でご説明する消費貸借契約を結ばなければなりません。

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消費貸借契約とは

消費貸借契約とは借主が金銭及び金銭に代わる物を消費し、貸主に対して種類及び品質、並びに数量など同じ物を返還することを約束した契約のことを言います。

その中でも金銭を貸主から借りた契約のことを金銭消費貸借契約と言います。

もちろん金銭消費貸借契約は契約段階で借主に対して金銭の交付を約束した要物契約です。

民法で定めるところの単なる消費貸借契約は、貸主から借りた物と同じものを借主が返還するだけですから、基本的には無利息が原則となります。

なお利息の支払いが義務としてあるのかどうか決定するのは貸主と借主の合意によって決めることができますが、お金を貸した以上利息を支払うのはある意味当然です。

金銭を交付することを約束した要物契約で、利息の支払い義務がない合意があって、貸主が借主に対して金銭を交付してしまうと、その行為は贈与とみなされてしまいます。

そこで銀行カードローンや消費者金融からお金を借りた場合は、利息を支払うことを約束した契約をするのが原則です。

金銭消費貸借契約の成立条件

金銭消費貸借契約を成立させるためには借主から貸主への借入申込と、貸主の承諾が必要です。

及び契約によって借主が金銭の交付を受けること、つまり要物契約でなければなりません。

契約したのは良いけれど、金銭の交付がなされなかったのでは金銭消費貸借契約は成立しません。

借金の口約束は返済義務がある?金貸しの金銭トラブルを解決する方法

諾成的金銭消費貸借契約

諾成契約とは貸主と借主の口約束だけで契約する方法でしたね。

なかなか理解に苦しむ部分ではありますがもう一度思い出してみましょう。

諾成契約は借主が貸主に対して申し込みをし、貸主が承諾するだけで契約が成立するものです。

実のところ、諾成的金銭消費貸借契約でも貸出に対して借主は利息の支払いをすることができます。

お互いの合意だけで契約が成立し、要物契約とすることで貸主は借主に対して金銭の交付を行わなければなりません。

しかしながら、諾成的金銭消費貸借契約ではお金の貸し借りがあったことを知っているのは当事者間だけであって、第三者に対して証明することができません。

そもそも借用書はなぜ必要か

「ねえ先生、借用書がなくてもお金を貸したことになるの?」

「口約束だけでもお金の貸し借りは有効なんだよ。でもね、借用書がないと証拠にならないんじゃ。」

「お金を貸したら借用書は作っておいた方がいいんだね。」

「金銭トラブルを避けるためにも借用書は重要な書類なんじゃよ。」

個人間の金銭トラブルにおいて最も大きな問題になるのが「お金を貸した」、「いやお金は借りていない」などの貸主と借主における事実認識の相違です。

民法第91条では、お金の貸し借りは公序良俗に反しない限り口約束でも有効とされています。

しかし口約束のお金の貸し借りは第三者に対する抗弁ができず、金銭トラブルが裁判に持ち込まれた場合に証拠になりません

万が一金銭トラブルが裁判に持ち込まれた場合でも、貸主が借主に対して「お金を貸した」事実を証明する物的証拠があれば裁判を有利に進めていくことが可能なのです。

借用書はお金を貸した証拠になる

個人間融資で金銭トラブルにならなければ借用書は基本的に必要ありません。

しかしお金を貸した友人が途中で「お金なんて借りていない」と翻してしまうと、貸主はお金を貸したことを第三者に対して証明しなければならないのです。

お金を貸したことを第三者に証明することができるのが借用書です。

親しい間柄だったのに金の切れ目が縁の切れ目となってしまわないためにも、口約束が反故にされないためにも借用書だけは必ず作っておきましょう

借用書を作れば良いというわけでもない

借用書の雛形は市販品やインターネットから雛形をダウンロードするなどによって入手できますが、いくつもの種類があるため、ご自身のケースに合った借用書を使わなくてはなりません。

借用書に余計な言葉を挿入してしまうことや必要事項が抜けていたりすることで、せっかく借用書を作っても無効になることがあるため注意が必要です。

無効となる借用書の特徴や借用書に効力を持たせるための必須事項を詳しく解説していきます。

◆電子政府の総合窓口e-GOV 民法

金銭の貸借は借用書でも構わない

お金の貸し借りの証拠は、何も金銭消費貸借契約書でなくても借用書でも構いません。

金銭の貸し借り関する書き方には法律の定めがなく、法の秩序に反しない限りどのような書面でも有効です。

名刺の裏でもチラシの裏でも、または割り箸が入った袋紙でもお互いに金銭の貸し借りがあった旨が書いてあれば立派な借用書として利用することができます。

つまり、いくらの金額を誰に借りたのか、借りたお金はいつ誰に返済すれば良いのかが書いてあれば良いのです。

必要最低限の項目さえ書いてあれば、後で金銭トラブルになっても最悪裁判で解決することも十分に可能です。

借用書と金銭消費貸借契約書の違い

お金の貸し借りの契約書としてよく登場する言葉が、「借用書」と「金銭消費貸借契約書」ですね。

借用書は民法第587条で規定されており、難しい言葉で言うと「諾成契約(だくせいけいやく)」と言って、お金を借りたい人がお金を貸してくれる人に「お金を貸して欲しい」と借入を申し込み、お金を貸す人が「いいですよ」と承諾することによって契約が成立する書面です。

借用書を作成するケースは借主が貸主に対して差し入れる形で行われることが多く、通常は1通しか作成しません。

借用書の偽造を防げる金銭消費貸借契約書がおすすめ

1通しか作成しない借用書に対し、金銭消費貸借契約書は2通作成することが一般的で、お金の貸主と借主の両方が契約書を保管します

そのため、借主が偽造することを防ぎ、借主が金銭を返還しないときも、貸主は動かぬ証拠として借主や裁判所に提出することができるのです。

なお、金銭消費貸借契約書は、お金を貸し借りする意味においては借用書と同じですが、借主がお金を借りて商品を購入するなど金銭を消費し、契約に基づいて同じ種類の金銭を返還することを約束する契約のことを言います。

金銭消費貸借契約書が成立するには、借主が貸主に対して金銭貸借の合意が必要となるだけでなく、貸主は借主に金銭を交付することを約束すること、および実行することが成立条件です。

借用書がないと貸したお金を取り戻せない?

既にご説明の通り、金銭の貸し借りは書類によらなくても口約束だけでも効力を発します。

しかしお金を貸した相手が途中で返済しなくなった場合に「お金を返してくれ」と要求しても、「借りた覚えはない」と言われてしまうとそれ以上強く返済を求めることができません。

貸主が「お金を貸したと言うなら、証拠を見せろ」と言われてしまったら困ってしまいますよね。

裁判に訴えると言っても証拠となる借用書や金銭消費貸借契約書がなければ、本当にお金の貸し借りがあったのか証明することができません。

確実にお金を返済してもらうには、どうしても証拠となる借用書や金銭消費貸借契約書が必要になるのです。

親子間や友人間でも作成しておこう

たとえ親子や友人といった身近な人との貸し借りであっても、借用書や金銭消費貸借契約書は作成しておくべきです。

身近な人こそ、これからの付き合いもありますので、金銭関係はすっきりとさせておく必要があるのです。

また、悪意なく「お金を借りたのを忘れていた」「借りたのは覚えているけれども、いくらだったのか記憶が不確か」ということもありますよね。

借りたお金を正確に返済するためにも、かならず効力を発揮する書類を作成しておきましょう。

相手方が書類作成を渋ったとしても、「記憶力が良くないから、借用書を作ってくれないと困る!」と主張し、かならず借用書・金銭消費貸借契約書を作成してください。

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簡単な借用書の作り方

親子間、あるいは友人間の貸し借りの際の借用書は、手間をかけずに簡単に作成したいですよね?

もちろん、簡単といっても、いざというときに効力を発揮するものでなくてはいけません。

手間をかけずに効力を発揮する借用書の作り方を説明します。

ネットで公開されているテンプレートを利用するのも良い

インターネット上には、借用書のテンプレートが多数公開されています。

ほとんどのテンプレートは、過不足なく必要事項を記入さえすれば効力を発揮する借用書として使用できます。

余計な文言を加えたり、記入しなくてはならない部分を空白のままにしておいたりしないように注意してください。

借用書は手書きでも構わない

借用書はかならずしもパソコンで作成する必要はありません。

必要事項が記入されてさえいれば、十分に効力を発揮する借用書になり得ます。

パソコンやプリンターがない状況も少なからずありますので、手書きで借用書を作成する方法を覚えておきましょう。

自分で借用書を作る場合の必要項目

自分で借用書を作る際の必要項目をまとめました。

(手書き)と記載されている項目以外はパソコンでもOKですので、手書きよりもキーボードを打つ方が楽な人は、パソコンで借用書を作成してください。

借用書に含めるべき必要項目注意点
タイトル「借用書」など、書類の作成目的が一目でわかるタイトルを付ける
作成した年月日金銭の授受が発生した日
借用した事実借主が借用したという事実を述べる文言
貸し借りした金額金額の前に「金」を記し、間隔を空けずに金額を大字で記載する
貸主の名前・住所・押印金銭消費貸借契約書は(手書き)かつ押印必須、借用書はかならずしも手書きである必要はなく押印も不要
借主の名前・住所(手書き)
借主の印鑑認印でも可能だが、偽造防止のために実印と印鑑証明書を添付することがおすすめ
金銭授受が発生した年月日作成した年月日と同日であること
返済期限の年月日特に期限を定めていないときでも、かならず具体的な年月日を記述。「何ヶ月後」等の曖昧な表現は不可
返済方法手渡しや振込などを指定する
収入印紙1万円以上の貸借には収入印紙が必要。収入印紙がなくても借用書としての効力を発揮するが、裁判の際には印紙税未納のために追加徴税が実施され、実際に必要な収入印紙の3倍の金額を請求される

借入金額の数字は漢数字の大字にする

貸し借りした金額は、改ざんされることを防ぐために大字で記載するようにしましょう。

なお、大字で記入するときは通常の漢数字のように「1」を省略できませんので、「百万円」は「壱百萬円」となります。

漢数字大字
五、伍
百、佰、陌
千、仟、阡

借用書と金銭消費貸借契約書の見本(サンプル)

では、具体的にどのような借用書や金銭消費貸借契約書が有効なのでしょうか。

見本を紹介します。

必要最低限の項目が書いてある借用書

必要最低限の項目だけでも、効力を発揮します。

裁判沙汰になったときを想定して、収入印紙(この場合は10万円の貸し借りなので200円分)を貼っておく方が良いでしょう。

一般的な金銭消費貸借契約書


金利を定めずに金銭消費貸借契約書を作成することができます。

金利を定める必要があるときは、その旨も箇条書きにして記載しましょう。

また、こちらも、裁判沙汰になったときを想定して、予め収入印紙を貼っておくことをおすすめします。

分割返済する場合の必要項目

分割返済する場合は、分割のルールを記載しなくてはいけません。

次の4つをかならず借用書に含めてください。

  • 1回当たりの返済額
  • それぞれの返済における返済期日
  • 最終的な返済期日(完済日)
  • 返済回数

借用書の記入例

クリックすると拡大することもできます。ダウンロードすることもできますのでご自由にお使いください。

借用書に書く借入金額は漢数字でもアラビア数字でもどちらでも構いません。

貸主によって金額の訂正をされてしまう可能性もないとは言えませんね。

そうなるとやはり金額の訂正を防ぐためにも漢数字の方が安全です。

漢数字はなかなか使い慣れていないため、参考までにを説明しておきます。

・1→壱
・2→弐
・3→参
・10→拾

アラビア数字の4から9までは通常の四、五、六、七、八、九でOKです。

また「万」については「萬」でも構いませんが書き間違えるリスクを考えると「万」でOKです。

例えば10万円を借りる場合は「壱拾万」、30万円を借りる場合は「参拾万」のように記入しましょう。

中途半端に15万円を借りる場合は「壱拾五万」と記入します。

借用書には「円也」と印字してありますので、借りる金額に「円」は必要ありません。

印鑑は認印でも実印でもどちらでもOKです。

しかし実印であることを証明するには印鑑証明書を添付しなければ意味をなしませんので、シャチハタではなく通常の認印で十分です。

後は借用書の記入例にある通りに、必要なところに〇、金利のところに数字を記入する、返済日や返済回数を記入するなどすれば立派な借用書が出来上がります。

ただし金利について、無利息であれば問題はありませんが利息を取る場合は、出資法の上限金利である年109.5%(うるう年は109.8%)でも有効ですが、金銭トラブルで裁判になった場合は利息制限法の金利で再計算されてしまいます。

利息制限法を超えた利息をもらっている場合は、消費者金融の過払い金と同じように元金に充当されてしまいますので、利息制限法に基づいた金利を記入するようにしましょう。

・10万円未満:年20.0%
・10万円超100万円未満:年18.0%
・100万円以上:年15.0%

以上の金利を第1条の貸付の利率に記入します。

なお賠償額の予定については貸付金利の1.46倍まで有効です。

賠償額の予定とは遅延損害金(延滞金)のことで、返済期日に遅れた場合は返済期日の翌日から借金を完済するまで延滞利息を取ることができます。

その代わり利息は2重に受け取ることはできませんので、返済に遅れた場合でも返済期日で利息の計算は一旦中止し、それ以降は遅延損害金の金利で利息を受け取るようにしてください。

・10万円未満:年29.2%
・10万円超100万円未満:26.28%
・100万円以上:年21.9%

以上が賠償額の予定の空欄に入れる金利の割合です。

なお借主に連帯保証人がいる場合は借用書の裏面に保証人の住所、氏名、押印を忘れないようにしてください。

また連帯保証人にも借用書をコピーして渡しておくと、保証した覚えはないなどと反論されることもないでしょう。

借用書をコピーする場合はカラーコピーではなくモノクロでコピーしてください。

カラーコピーしてしまうと、場合によっては有印私文書偽造の罪に問われる場合もありますので念には念を入れて慎重に行うことです。

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借用書の裏面にある期限の利益の喪失について

借用書の裏面第9条に期限の利益の喪失についての条項がありますね。

期限の利益というのは借主がお金を借りても、借用書て定めた返済日までは自由にお金を使うことができることを言います。

もっと簡単に言えば返済日までは返済しなくてもよいということです。

貸主の都合によって「悪いけど早めに返済してくれないか」と言っても断ることができる利益です。

ただし分割返済の契約の場合、返済期日に遅れた場合は期限の利益を失い、条文に書いてある通り一括で返済しなければなりません。

借用書に期限の利益の喪失についての定めが書いてあっても、貸主の意向で一括返済しなくても良いのですが、一応念のために記入しておくと法的に有効な借用書になります。

貸金業者の場合は返済期日を連続2回遅れた場合に期限の利益を失いますが、個人間融資の場合は1回の返済遅れでも期限の利益を喪失させて構いません。

借用書の書き方の重要ポイント5つ

上記に説明したことさえ守れば、裁判でも使える正式な借用書・金銭消費貸借契約書を作成できます。

作成時についうっかりと間違えてしまいやすいポイントを5つ紹介しますので、注意しながら借用書を作成していきましょう。

①返済期日や返済方法は必ず書く

返済期日と返済方法は省略してはいけません。

特に返済期日は「3ヶ月後」「お金が準備できたら」といった曖昧な表現で記載すると無効になってしまいますので、かならず年月日を正確に記しましょう。

ただし、返済方法については、記載しなくても無効にはならず、「持参」するものと解釈されます。

銀行振込等でお金を返す場合は、振込口座の情報についても記載しておきましょう。

②分割返済する場合の項目

分割返済する場合は、かならず1回当たりの返済額とそれぞれの返済期日、完済日、返済回数を詳細に記してください。

返済期日を具体的に定めない場合は、返済と返済の間の間隔(前回の返済より1ヶ月を超えない等)を決めておきましょう。

③氏名と住所は自筆で書く

氏名と住所は自筆で書かないと金銭消費貸借契約書は効力を発揮しません。

貸主・借主ともに自筆で丁寧に記しましょう。

ただし、借用書は、借主さえ自筆で記入すればOKです。

④印鑑は認印でも良いが実印+印鑑証明書が望ましい

借用書も金銭消費貸借契約書も、印鑑は認印でも構いません。

しかし、改ざんされる恐れを軽減するためにも、実印を押印し、印鑑証明書を添付することをおすすめします。

⑤印紙は金額に応じた印紙を貼ろう

先程も説明しましたが、金額に応じた収入印紙を貼っていないと、裁判時に印紙税滞納という扱いになり、通常の3倍の印紙を請求されてしまいます。

1万円未満の貸し借りには印紙添付は不要ですが、1万円以上のときは以下の印紙を貼ってください。

  • 1万円以上10万円以下:200円
  • 10万円超50万円以下:400円
  • 50万円超100万円以下:1,000円
  • 100万円超500万円超:2,000円
  • 500万円超1,000万円以下:10,000円
  • 1,000万円超5,000万円以下:20,000円
  • 5,000万円超1億円以下:60,000円

利息や遅延損害金をもらう場合に知っておきたいこと

正当な範囲なら、利息や遅延損害金を請求することもできます。

必要ならば、以下の範囲で利息と遅延損害金を定めておきましょう。

金利は利息制限法を守る

利息制限法で定められた以上の金利を設定すると、利息を受け取ることができません。

次の基準の金利(年)で、利息を設定しておきましょう。

  • 10万円未満:年20%以下
  • 10万円以上100万円未満:年18%以下
  • 100万円以上:年15%以下

遅延損害金は上限金利が決まっている

返済期限に遅れた場合に適用される金利を遅延損害金と言いますが、こちらも利息制限法で上限が定められています。

次の基準の金利(年)で、遅延損害金を設定しておきましょう。

  • 10万円未満:年29.2%以下
  • 10万円以上100万円未満:年26.28%以下
  • 100万円以上:年21.9%以下

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利息の計算式

お金を借りる契約である金銭消費貸借契約書には利息の計算式についても記載されています。

借主が支払う利息は元本の額と利用日数によって比例し、契約方法により年単位で支払うか月単位で支払うかの定めがあります。

利息の計算は貸付した元本に対して年率を掛け算し、お金を利用した日数分の計算を行います。

・利息額=元本額x年率/365日x利用日数

なお民法上は金銭消費貸借契約書に特約がない限り、利用日数には貸付当日と返済日を含める両端計算になります。

一般的には貸付当日の翌日から返済日までの片端計算されることが多いですね。

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利息の支払方法

金銭消費貸借契約書には利息の支払方法の定めについても記載されています。

利息の支払方法は貸主と借主の合意によって自由に定めることができます。

民法上では利息の支払いについて定めがありませんので、金銭消費貸借契約書に特約を設けるわけです。

一般的には利息の支払いは一括で支払うか分割で支払う方法があります。

分割払いについても元本の返済は最終弁済期まで据え置き、その間は毎月利息のみを支払う方式と、毎月元金と利息を支払う方法もあります。

毎月元金と利息を支払う方法には元金均等方式や元利金均等方式、リボルビング方式があります。

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借用書の法的効力を増す公正証書とは

借用書を「公正証書」として作成すると、法的に正しい書式で記されたことが示されます。

また、公正証書作成時に強制執行についての文言(執行認諾約款)を記載し、裁判を起こす前の手続きである「送達証明書」も作成しておくと、万が一、不払いが生じてもスムーズに強制執行を行えます。

返済するかどうか不安な人に貸すときや多額を貸すときは、公正証書と送達証明書を同時に作成することをおすすめします。

公正証書はどこで作るの?

公正証書は公証役場で作成します。

公証役場には公証人が在籍していますので、取り決めたい内容を文書や口頭で説明すれば、公正証書を作成してもらえます。

公正証書作成費用は?

公正証書を作成する際には、公正証書作成費と印紙代、その他手数料の3つの費用がかかります。

<公正証書作成費>

公正証書によって取り決められる金額(借用書の場合は貸す金額)によって公正証書の作成手数料が変わります。

  • 100万円以下:5,000円
  • 100万円超200万円超:7,000円
  • 200万円超500万円超:11,000円
  • 500万円超1,000万円以下:17,000円
  • 1,000万円超3,000万円以下:23,000円
  • 3,000万円超5,000万円以下:29,000円
  • 5,000万円超1億円以下:43,000円

<印紙代>

公正証書原本には収入印紙も添付しなくてはいけません。

公正証書は借主と貸主が1通ずつ保管しますので、収入印紙も2枚必要になります。

  • 1万円以上10万円以下:200円
  • 10万円超50万円以下:400円
  • 50万円超100万円以下:1,000円
  • 100万円超500万円超:2,000円
  • 500万円超1,000万円以下:10,000円
  • 1,000万円超5,000万円以下:20,000円
  • 5,000万円超1億円以下:60,000円

<その他の費用>

執行分付与や送達証明書費用等、2,000~5,000円程度を請求されることもあります。

公正証書を作る際に必要なもの

公正証書を作成するためには、当事者本人であることが分かる運転免許証などの本人確認書類と認印が必要です。

どうしても当事者本人が公証役場に行けないときは、当事者本人の実印が押印され、なおかつ印鑑証明書を添付した委任状が必要となります。

物を貸し借りする際の借用書の書き方

お金ではなく物品を貸し借りするときも、借用書を作成しておくことで「返してもらえない」「返してもらったけれども壊れていた」などのトラブルを回避することができます。

物品を貸し借りするときには、以下の9つの項目をすべて盛り込んだ借用書を作成してください。

・物品を借りる年月日
・賃貸料を設けるときにはその金額か年利
・物品を借りたことを認める文言
・物品を破損もしくは紛失した場合の補償の方法
・返済期日
・返済方法及び返済場所
・借用書を作成した日
・借りた本人の住所氏名(印)
・貸した人の住所氏名

行政書士に頼むなら費用はいくら?

「公正証書を作成するほどの金額ではないけれど、きちんとした借用書を作成しておきたい」と考える方は、行政書士に借用書を作ってもらうこともできます。

行政書士の事務所によっても費用は異なりますが、10,000~20,000円程度のことが多いです。

なお、作成費用に加えて、別途、収入印紙代がかかります。

また、公正証書と同じく契約者本人が直接行政書士の事務所に行くことが望ましいですので、借主と貸主の双方の都合が良い時間に本人確認書類と認印を持って出かけましょう。

せっかく作っても無効となる借用書10の注意

「作っても無意味になる借用書があると聞いたけどホント?」

「そうじゃな。いろいろなパターンがあるが、借用書では対応できない場合があるんじゃ。だから借用書を作っていれば安心というわけでもないんじゃな。」

せっかく作成した借用書でも、記載されている内容に不備があると無効となってしまう場合があります。

貸主は借主にお金を貸したと思っていても、法律的に当事者間に金銭の貸し借りがあったとは言えないと判断されてしまう可能性があるのです。

次の10のポイントのいずれかに該当すると、せっかく作った借用書も無効になってしまいます。

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

  • 作成日忘れ
  • 貸した金額の記入漏れ
  • 金銭を受け取ったことの文言がない
  • パソコンでの作成
  • 借主の住所の記載なし
  • 契約書の割り印なし
  • 返済先口座
  • 非常識な記載
  • 未成年者との契約
  • 一部弁済の不記載

①作成日忘れ

「お金を貸したのに借用書が無効になったらイヤだな。まず気をつけなければならないのはどこなのかな?」

「そうじゃな。お金を貸した事実を証明する借用書でも、いつお金を貸したのか日にちをはっきりさせないと借用書が無効になってしまう場合があるのじゃな。」

お金を貸したことを証明するには借用書を作成することはもちろんのこと、いつお金を貸したのか日にちを記入しなければなりません。

借用書の日にちは借金の消滅時効にも関係がある重要な項目です。

うっかり借用書の日にちを書くのを忘れていた、と言って曖昧な日にちを記入してしまうと、たまたまその日は借主に出張などのアリバイがあった場合は、刑法第159条によって私文書偽造の罪に問われてしまうことがあります。

もしかしたらすでに借金の消滅時効を迎えているかもしれません。日付のない借用書はお金を貸した相手から時効だ、と言われてしまう可能性があります。

借用書に日付を書き入れることを忘れていた場合は、勝手に日付を記入するのではなく債務承認承諾書を新たに作成するようにしましょう。

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②貸した金額の記入漏れ

「借用書に貸した金額を記入し忘れた場合はどうなるの?」

「借用書は貸した金額を書かなければ、借主はそんなにお金を借りていないと主張する場合があるな。これも記入漏れでは済まされないのじゃ。」

「金額は漢数字で書かなければならないの?」

「それはないな。アラビア数字でも漢数字でも、きちんと金額が書いてあることが重要じゃ。」

借用書で貸した金額を記入漏れしてしまうのは致命的です。

これではいくらお金を貸したのか証明することができません。実際は100万円貸したのに、借主は1万円しか借りていないと言われてしまったらそれまでです。

裁判で争った場合に、相手からいくら借金返済を求めるのか借用書に金額がないと、本当にお金を貸したのかとさえ疑われてしまう場合があります。

借用書を作成した後に金額を入れ忘れた場合は、別の書類として債務承認承諾書を作成し金額を入れましょう。

なお金額は先程紹介した大字が好ましいです。

しかし、後で訂正されないようにするために大字を使うだけですので、アラビア数字でも「¥」と「円也」で隙間がないようにしておけば、借用書として十分役割を果たします。

③金銭を受け取ったことの文言がない

「借用書を書いてもお金を借りたことにはならないんだよね?」

「その通りじゃ。借用書はお互いの合意文書だから、お金を受け取った文言を借用書に書かなければお金を貸したとは認められないのじゃな。」

金銭消費貸借契約書は作成すれば必ず貸主が借主に金銭を交付しなければならないと定められていますが、借用書はお金の貸し借りについての合意のみです。

単に合意しただけで金銭を受け取っていない、と借主から主張されると貸主は第三者に証明することができません。

借用書でお金を貸す場合は、契約書の文面の最後に、「確かに〇〇年〇〇月〇〇日に借用書に書いてある金額を受領しました」のように文言を付け加えましょう。

うっかりして付け加えることを忘れた場合は、印紙代を借主が負担してでも貸主から領収書をもらうようにしてください。

④パソコンでの作成

「ねえ先生、借用書はワープロやパソコンで作ってもいいの?」

「必ず手書きにしなければならないということはないな。もちろんワープロやパソコンで作っても大丈夫じゃが、ダメなのは借主の住所や氏名まで作ってしまうことじゃ。」

借用書の作成を取り決めてある法律はありません。

よって借用書は自由に作成することができますが、借用書のすべてをワープロやパソコンで作成してしまうのは偽造の可能性が否定できません。

極端なことを言えばお金の貸し借りがないのにお金を借りたような借用書を作ることもできてしまうわけですね。

いくら認印が押してあっても、認印は市販されていますのでお金を貸した確実な証拠とはなりません。

少なくとも貸した金額や借主の住所や氏名は借主の手書きによって書かせるようにしましょう。できればいつお金を借りたのか日にちの部分も借主の手書きが望ましいですね。

⑤借主の住所の記載なし

「借用書に運転免許証のコピーをつければ住所は書かなくても通用するの?」

「運転免許証のコピーと借用書は別物じゃ。たとえ住民票をつけても後で添付したと言われてしまえば借用書でお金を貸した証拠とはならんな。」

借用書に運転免許証のコピーや住民票を添付するからといって、借用書に借主の住所を省略し名前だけ記入するのは裁判で無効とされる場合があります。

借主が裁判で「間違いなくお金を借りました」と認めなければ、同姓同名の他の誰かがお金を借りたのではないかと判断されてしまいます。

借用書に押してある印鑑は実印で、印鑑証明を添付してある場合は住所を省略しても借用書として認められる場合がありますが、余計な審理時間をかけないためにも借用書の住所は省略することなくしっかり記入するようにしましょう。

⑥契約書の割り印なし

「金銭消費貸借契約書は2通作成するんだよね。」

「そうじゃな、貸主と借主が一通ずつ保管すれば借用書が偽造されることもないわけじゃからな。」

「でも2通作成した契約書に相違がある場合はどっちが本物なの?」

「両方本物じゃが、確実に契約書を本物にするには割印をしておくことじゃ。」

借用書は借主が貸主に差し入れる形で作成しますが、金銭消費貸借契約書は2通作成します。貸主と借主がそれぞれ保管することで、契約書の偽造を防ぐ役割を果たしています。

複写式の金銭消費貸借契約書なら、貸主が自筆の物を所有し借主はカーボンコピーされた契約書を所有すれば問題はありません。

しかし別々に金銭消費貸借契約書を作成して、それぞれ日付、金額や住所、氏名など記入してしまうと偽造されてしまうケースがあります。

どちらが正本でどちらが副本なのか明らかにするためにも、金銭消費貸借契約書を2枚重ねして印鑑の大きさに合わせてちょっとずらし、上下2箇所くらい離れた位置に割印を押すようにしましょう。

その場合金銭消費貸借契約書が上にあるものが正本、下にあるものが副本となります。

⑦返済先口座

「返済先口座は誰の名義でもいいの?」

「難しい判断じゃな。社会通念上考えれば貸主名義の銀行口座を使うことが普通じゃな。他人名義の口座だと口座売買によって取得した口座じゃないかと疑われてしまう可能性があるな。」

貸したお金の返済先に銀行口座を指定した場合、基本的に貸主名義の銀行口座にお金を振り込んでもらうのが一般的です。

何らかの理由で貸主名義の口座が使えない場合は貸主の家族の名義口座でも構いません。

しかしまったく苗字が異なる口座だと、口座売買によって取得した口座ではないかと疑われてしまい、犯罪収益防止法の観点からも借用書が無効となってしまう可能性があります。

疑わしい取引は裁判において不利になってしまい、貸したお金を取り返せないことにもなってしまいますので注意が必要です。

◆電子政府の総合窓口e-GOV 犯罪による収益の移転防止に関する法律

⑧非常識な記載

「お金を返せない時は命に代えてでも返します、というのは有効かな?」

「公序良俗に反する契約は法律上無効じゃな。つまり借用書を書いても無意味ということじゃ。」

民法第90条によって公序良俗に反する法律行為は無効であるとの規定があります。公序良俗に反するとは社会的に誰が見ても他人に迷惑をかけない、という意味です。

借用書の一部に、借金を返済できない時は1億円支払いますとか、自殺して生命保険で支払います、コンビニ強盗してでも支払います、家を売ってでも必ず返済します、とまで約束させるのは貸主の立場を利用した公序良俗に反する違法行為です。

借金を返済しないことを深く考えるあまり、貸したお金に見合わない弁償を求めることは裁判によって借用書自体が無効となる可能性が高いです。

⑨未成年者との契約

「ねえ先生、友達同士のお金の貸し借りは中学生や高校生でもあるけれど借用書を書いても許されるの?」

「それはアウトじゃな。未成年者は単独で法律行為をすることが認められておらんからな。未成年者に借用書を書かせても無効じゃ。」

民法第5条によって、未成年者が法律行為をする場合は法定代理人の同意を得なければならないとあるため、未成年者にお金を貸す場合に借用書を書かせても、借用書自体が法律行為ですから親権者の同意がなければ後で取り消すことが可能です。

ですから未成年者に借用書を書かせても無効だ、と主張されてしまえば意味をなしません。

判断能力のない成年被後見人や被保佐人との契約も無効

法律行為という点で見れば成年被後見人や被保佐人にお金を貸して借用書を作成しても、後で取り消すことができるため、成年後見人保佐人の同意がなければ借用書は無効です。

これは民法第9条及び第13条に記載されています。

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⑩一部弁済の不記載

「借用書はお金を貸した後に作成してもいいんだよね?」

「取り急ぎお金を貸して欲しいという場合、後で借用書を作成することもあるな。」

「借用書を作成する前に借りたお金の一部を返済した場合はどうなるの?」

「貸主が既に借用書を作成していると、再度作成しなければならない手間がある。手間を惜しんでしまうと一部弁済があったことの事実を記載し忘れると、当事者間で意見が噛み合わないことも出てきそうじゃな。」

お金の貸し借りは当事者間であれば口約束でも契約として有効です。

借用書を作っている暇がない、とりあえず100万円だけ貸してと言われて、気軽にいいよ、言った後に借用書を作成する段階になって、50万円が返済された場合は、一部弁済があった事実を借用書に記載しなければなりません。

一部弁済を隠して100万円の借用書を作成してしまうと、借主から50万円返したはずだと主張されてしまいます。

裁判になった場合一部弁済を受けたのに隠匿したと判断されてしまうと、悪意を持った契約書と認定されてしまい残りのお金を取り戻すことができない可能性があります。

一部弁済があったらもう一度借用書を作り直すか、借用書の文面に一部弁済の事実と弁済があった日にち、貸付金があといくらあるのか正しく記入する必要があります。

借用書を書いても無効となってしまう4つのケース

借用書自体は完璧に作成されていても、貸し借りの行為自体に問題があり、借用書が無効になることもあります。

次の4つの貸し借りは、いずれも貸し借りの行為や取り立て自体が無効ですので、借用書を作成したとしても貸したお金は返ってきません。

①名義貸しによってお金を貸した

「名義貸しのときに書いてもらう借用書は有効なの?」

「名義貸しは基本的に違法じゃ。カードローンでお金を借りてあげても、実際借りたのは本人じゃから借用書を作っても無意味じゃな。」

「でもお金を返してもらえないと困るよね。」

「確かに困るが、お金を返せと強要すると脅迫罪や恐喝に問われてしまう場合があるんじゃ。」

お金を貸してほしいと友人から頼まれても手元にお金がない、または貯金があっても取り崩すのはもったいないという理由から、代わりにお金を借りてやるよ、など名義を貸す場合がありますね。

新規に契約する場合や、すでに作ってあるクレジットカードやローンカードを友人に貸し出す方法によってお金を借りさせる場合に、念のために借用書を作成することがあると思います。

名義貸しで貸したお金がきちんと返済されないことであなたが金融機関に返済しなければならなくなった、となった場合に事前に作っておいた借用書で友人に貸付金の返済を求めることでしょう。

しかし実際にお金を貸したのはカード会社や金融機関ですので、あなたが作成した借用書は意味を成しません

反対に、あなた自身が無理矢理お金を取り返そうとして友人を脅迫したことになってしまい、刑法第222条、第223条によって脅迫罪や恐喝に問われることもあるのです。

◆電子政府の総合窓口e-GOV 刑法

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②勝手にクレジットカードやカードローンを使われた

「交際相手が勝手にクレジットカードやカードローンを使ったら、後で借用書を書かせればいいのかな?」

「この場合の借用書も意味がないな。お金を取り戻すには借用書ではなく相手に対して損害賠償を起こすか、不当利得返還請求で民事訴訟するしかないのじゃ。」

親子や交際相手などのカードを自由に持ち出して、内緒でお金を使ってしまう場合もあるでしょう。

後でお金を借りたことがバレた場合、相手に借用書を書かせることでお金を取り戻すことができるのかと言うと、この場合も実際に金銭を交付したのはカード会社ですから借用書は書いても意味がありません

どうしてもお金を取り返したいときは、民法第709条によって損害賠償を請求するか、民法第704条によって不当利得返還請求訴訟を民事で起こすかしか方法がありません。

③連帯保証人が借金を支払った

「借用書に連帯保証人をつける場合があるよね。連帯保証人が借主に代わってお金を支払った後に、借主に借用書を書かせることはできるの?」

「連帯保証人は借主と同じ立場にあるから、連帯保証人が借金を支払うことは当然のことじゃ。借金を立て替えて支払ったとはならんから、借用書を作るのは意味がないな。」

お金の貸主が連帯保証人から借金を支払ってもらうのは連帯保証人として当然の義務ですから、連帯保証人が借主に代わって借金を返済して、実際の借主に連帯保証人が借用書を後で書かせたとしても、お金を貸した法的根拠がないため意味がありません。

民法第459条によって求償権を得たに過ぎませんので、お金を取り戻すには損害賠償を請求するしかありません

④親が借主に変わって借金の返済をした

「借主が借金返済できないと親に泣きついた場合はどうなるの?」

「借金の代位弁済は借主の同意がなければできないのじゃが、同意があれば親が代わりに借金の返済をすることは十分に可能じゃ。じゃが、代位弁済しても借金の支払いを委任しただけじゃから、借用書によって立て替えたお金を取り戻すことはできんな。」

親が代わりに借金の返済をした場合、借主の承諾を得ていれば一時的にお金の立替払いをしても構いません。

この場合親は借主に対して求償権を得ることになり損害賠償請求することもできます。

たとえ一時的なお金を立て替え払いだとしても、親が勝手に立替払いしたと言う過失がなければ借主に対して損害賠償請求訴訟を起こすことが可能です。

お金を立て替え払いしたからといって借用書を作成しても、当事者間で金銭の授受が行われたわけではありませんので借用書を作っても意味がありません

お金を借りるのに誓約書でも良いの?

お金を借りるのには通常借用書や金銭消費貸借契約書を作成しますが、誓約書でもお金を借りることはできるのでしょうか。

誓約書でお金を借りることができるなら、面倒な書式も必要なく手続きも簡単で是非利用したいところです。

しかし誓約書には決定的な欠点があることを忘れてはいけません。

そもそも誓約書とは当事者間で取り交わす覚書、または念書のようなものです。

会社に入社する際に、機密保持誓約書を書かされることがありますね。

会社内の情報を外部には漏らさないことを約束させるものです。

誓約書は当事者の一方が相手に対して、書いてある内容を守ることを約束をする単なる書面であって、契約書のように当事者間の合意を基に、お互い取り決めた内容で約束を果たすことを遵守する書面ではありません。

結局のところ誓約書はトラブルを未然に防ぐ、言ってみればトラブルを起こすようなことはしませんと約束させるものです。

単なる約束では言った言わないの水掛け論になるため、約束ごとを文章にして相手にサインさせることにより、トラブルの発生を未然に防ぐ役割を果たします。

もちろん誓約書は書いてある内容が社会通念上理不尽なものでない限り法的な効力を持ちますが、お金を借りる場合においてはそれほど効果を発揮するものではありません。

誓約書と契約書の違い

誓約書は前項でご説明したように、相手に差し出すことで約束を履行することを誓約するもので、誓約書を差し出した本人は誓約書に書いてある内容にしたがって義務を果たさなければなりません。

契約書とはお互いの合意のもとにおいて作成するものですから、お金を貸し出す場合の契約書に金銭消費貸借契約書を作成することで、間違いなくお金を貸しました、間違いなくお金を借りましたと要物要件を満たしています。

したがって契約書によって負わなければならない義務は、お金を借りる側にも、お金を貸す側にも両方にも発生します。

誓約書のように一方的に約束を果たします、としてしまうと、お金を借りる側の立場がどうしても弱くなってしまうため、不利な条件で約束をさせられてしまう心配もあります。

また誓約書にはお金を借りた事実を認めさせることや、返済期日及び返済方法を書くことができますが、利息の取り決めについて書いても意味がありません。

もちろん遅延損害金についての取り決めも、期限の利益の喪失についても書いても意味がありませんので、お金を貸す方にとってはとても不安な書類となってしまいます。

お金の貸し借りで誓約書を書く?

しかしお金の貸し借りの実務において誓約書を書くことはよくあることです。

それはお金の借主が返済を怠った場合です。

返済期日までにきちんと返済することができなかったと言う場合や、長期滞納をしてしまい保証会社や債権回収会社に債権を譲渡されてしまった場合です。

借金返済をいつまでに行うのか、分割返済なら毎月何日にするのかを約束させる際に、再度返済義務があることを確認させる意味で誓約書を書かせます。

つまりお金の貸し借りにおける誓約書の役割は、金銭消費貸借契約書の補助的な役割であると考えるのが妥当です。

誓約書のメリット

お金を借りる際に契約書を書かずに誓約書で済ませるメリットは、確かにお金を借りましたと書面に証拠を残すことで、万が一返済されなかった場合でも裁判をする上で有力な証拠能力を有することです。

もちろん誓約書を書かせることでお金を借りる側に心理的なプレッシャーをかけることができ、返済しなかったら裁判で争うことを示すこともあると認識させることです。

また誓約書はそれほど難しいフォーマットではないため、個人でも簡単に作成することができるのも大きなメリットですね。

金銭消費貸借契約書を個人で作成するのはなかなか難しく、インターネットから該当するフォーマットをダウンロードするのも、どれを選んで良いのか分からない場合もありますよね。

市販されている金銭消費貸借契約書を購入しても、それがお金の貸し借りに十分な役割を果たしているのか判断できないことが多いです。

しかし誓約書はタイトルに誓約書と書くだけで、文面はお金を貸した側が約束させたい事項を箇条書きで書いても構いません。

誓約書のデメリット

お金を貸し借りをする際の誓約書のデメリットは、誓約書に書いてある内容で約束を果たせなかった場合、誓約書だけで貸したお金を回収することができないために、誓約書があるだけでお金を貸した側が有利にはならない点です。

つまり誓約書があると言うだけで、裁判をすることなく強制的に財産を差し押さえることや、金銭に代わる商品を勝手に持ち出すことなど自己解決することができないのです。

いくら誓約書に返済期日を書いたとしても、誓約した本人が返済する意思がなければ法的な拘束力は全くありません。

貸したお金を回収するためには、裁判によって借主に返済の義務があることを認めさせることが必要で、手間と時間とお金がかかります。

つまり裁判で訴訟を起こさなければ貸したお金を取り立てすることができないわけです。

ただし時効が迫っている場合など、お金を借りていることを承認させる誓約書を書かせることで借金の時効を延長することはできます。

また誓約書の大きなデメリットとして、お互いの合意の上で作成した書面ではありませんので、 お金を借りた側が決して内容に合意して作成したとはならない点です。

お金を貸した側の脅迫によって無理やり書かされた、誓約書を書かなければ身の危険を感じた、と主張されてしまうとお金を貸した方は反論することができません。

たとえ裁判になったとしても、強制的に誓約書を書かされたと証言してしまえば、お金を貸した方にとっては大変不利になる可能性が大きいのです。

冒頭でご説明したように、公序良俗に反するような環境で誓約書を作成した場合は法的には有効にはならないのです。

貸したお金を返してもらえない時

銀行や消費者金融など金融機関からお金を借りた場合は、金銭消費貸借契約書を取り交わすのが通常です。

しかし個人からお金を借りた場合は、人間関係によっては口約束だけでお金を貸してしまう場合もありますよね。

借用書もなければ金銭消費貸借契約書も取り交わしていないとなると、借金の回収は難しいものとなってしまいます。

その場合、誓約書では充分とは言えませんので、債務承認弁済契約書を作成しお金を貸している事実を明らかにする書類を作成しましょう。

債務弁済契約書は契約書ですから当事者間のお互いの合意がなければなりません。

したがって誓約書のように、無理やり書かされたと反論することができません。

過去の日付に遡って借用書や金銭消費貸借契約書を作成してもできないことではありませんが、万全を期すならやはり債務弁済契約書とするべきです。

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債務弁済契約書の内容

債務弁済契約書の内容は金銭消費貸借契約書とかなり似ている部分がありますが、お金の貸し借りの日付が過去になっても有効であることが大きな違いです。

①タイトルは債務承認弁済契約書とする
②お金を借りていることを承認した日付
③借主がお金を借りていることを認めている文言
④現在の借入残高
⑤返済期日
⑥返済方法
⑦利息の定め
⑧遅延損害金について
⑨貸主と借主の間に他の貸し借りがないことの文言
⑩期限の利益喪失約款
⑪書類を作成した日付
⑫借主の住所、氏名、押印
⑬貸主の住所、氏名、押印

③の文言についてはいつ誰にお金を借りましたと書かせれば良いです。

また⑨の文言については他に金銭の貸借がある場合相殺される可能性もあるため、念のために他にはお金の貸し借りはしていませんと書くようにします。

⑩の期限の利益の喪失とは、返済期日までに返済できなかった場合は、一括して返済することを約束することを中心に、他の人から強制執行や差し押さえを受けた場合も一括返済することを約束すると書かせれば良いです。

⑫と⑬についてはそれぞれ自筆で書くようにしましょう。印鑑は認印でも構いません。

しかし、なかなか貸したお金を返さないのに債務弁済契約書を書かせるのは至難の技かもしれません。

そのような場合は公正証書にしてしまうのが最も良い方法です。

公証人役場に借主を連れて行かなければなりませんが、司法書士に依頼することで半ば強制的に公証人役場に連れて行くことが出来るでしょう。

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借用書の書き方でよくある質問

これであなたも法的効力を持つ借用書・金銭消費貸借契約書を作成できると思われます。

しかし、作成を進めていくうえで、いくつか疑問が生じるかもしれません。

よくある質問と答えを紹介します。

借用書に印紙は貼らなくてはならないの?

貸主は貸した金額に応じて借用書に印紙を貼らなければなりません。金額に適した印紙を貼付し割印をしないと印紙税法に引っかかってしまいます。

しかし印紙を貼らない借用書でもお金を貸した事実は証明できます。印紙を貼らないことに悪意がなければそれほど問題になることはありません。単に税法上の問題だけです。

ただし印紙を貼らないことによって借金をまけてくれないか、と言われないように適切な印紙を貼るようにしましょう。

借用書のコピーは有効?

借用書を一部しか作成しない場合は、コピーを貸主に渡しても構いません。

但しコピーする場合はカラーコピーは避けるべきです。

カラーコピーをしてしまうと借用書の偽造とも取られかねませんので注意が必要です。

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借用書に貸付金利がない場合は利息はもらえないの?

個人間融資だと利息を取らないことがありますよね。

無利息なら借用書にきちんと無利息でお金を貸す旨を記載しましょう

利息を取る場合は利息制限法に基づいた金利で定めるのが無難です。

利息の取り決めがないときは利息は受け取れない

利息を取る約束があっても金利の定めがない場合は、民法第404条によって年5%の金利を科しても良いことになっています。

民法を誤解して、利息の定めがなくても年5%で利息をもらうことができると思っている人が意外と多いですが、「利息を取る」ということを定めておかなければ利息は取れません

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利息を固定額で受け取ることは可能?

借金の支払いを一括で返済する場合に、利息額を事前に計算し借金返済する場合は利息を〇〇万円支払います、のように固定額で記入する場合があります。

返済までの期間が短いときなどは、固定額で決めた利息が利息制限法等を超えてしまう可能性があります。

もちろん利息制限法や出資法超える金利になったとしても、お金を貸したことと多くの利息をもらってしまったことは別ですから、貸したお金を取り返すことができないわけではありません。

しかし、出資法違反は出資法第5条によって刑事罰対象となり5年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金に処せられてしまい、利息が受け取れないだけでなく、刑罰対象になることもあるのです。

利息額を固定額とする場合は、利息制限法や出資法に違反しないような金利で定めるか、金利を年利で定めるようにしましょう。

◆電子政府の総合窓口e-GOV 出資法

まとめ

お金のことで揉めたくはないですよね?

親しい場合にはなおさらです。

今後も良好な関係を続けていくためにも、例え少額の貸し借りであっても借用書か金銭消費貸借契約書を作成するようにしてください。

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