お金がない・飯食えない人は必見!フードバンク利用するには
2017年、オーストラリアに「無料スーパー」ができ、食品の無償提供を始めたという報道が世間を驚かせました。
取り扱う食品は「安全性に問題はないものの、賞味期限が迫っているもの。」
市民団体(ボランティア)がこれらの食品ロスを大手スーパーから譲り受け無償提供することで、生活に困っている人への支援や、食品ロス削減への啓蒙活動としているのです。
こうした仕組みは日本でも広がりつつあり「フードバンク」と呼ばれています。
フードバンクの仕組みとは
賞味期限が迫っているなどの問題で店頭に置けなくなった食品。あるいは家庭で食べきれなかった食品。
こうした「まだ食べられるのに処分されてしまった食品」を食品ロスと言います。
環境省および農林水産省の発表によれば、平成26年の日本の食品ロスは年間で600トンを超えています。
これらの食品を企業や個人から引きとり、福祉施設や生活に困っている人たちに無料で提供する団体や活動を「フードバンク」と呼びます。
民間の団体が運営
「フードバンク」というネーミングですが、常設の店舗で無料配布を行っているというわけではありません。
民間のNPO法人や任意団体が、全国に多数存在し、それぞれ独自の活動をしています。
福祉施設などに直接食品を届けるのが主で、個人への直接手渡しは月に数回というところが多いです。
それぞれカバーするエリアが異なるため、最寄りの団体に連絡をとってみましょう。
セカンドハーベスト・ジャパン
上でも述べましたように、活動内容は団体ごとに異なります。
日本でのフードバンクの草わけと言われているのが、セカンドハーベスト・ジャパン(2002年設立)です。
食品加工工場や、スーパー、農家、個人からの食品提供を受け、福祉施設や児童養護施設、DVシェルター、路上生活者の方に食品を届けています。
個人への食品の手渡しは、2017年12月現在、東京・埼玉で指定曜日にのみ行われています。
初回は事前予約は不要ですが、身分証持参と現地での申込みが必要です。(食品を持ち帰るための容器・手提げ袋は持参する必要があります。)
2回目以降の支援が可能かどうか、またその回数などは、行政との連携の上、案内状にて通知が行われます。
また、上野公園では毎週土曜日(12:30~)に炊き出しを行っています。
企業側にもメリット
食品を提供する企業には、どんな事情があるのでしょうか?例を挙げてみます。
食品工場:「品質に問題はないが、商品のパッケージを間違って包装してしまい、出荷できない」
スーパー:「賞味期限にはまだ日があるが、商品入れ替えのため、古い方の商品を廃棄する必要がある」
こうした事情で食品を廃棄する際、道徳的にも心が痛みますが、問題は他にもあります。
企業が食品を廃棄する際は、「産業廃棄物」となり、廃棄にお金がかかるのです。
さらに2016年には、ある産廃業者が食品を横流していたというニュースも流れ、企業側も廃棄に敏感になっています。
フードバンクであれば、安心して譲ることができる上に、廃棄の費用もかからず、何より困っている人の元へ届けることができるのです。
個人で支援を受けたいなら
本当にお金に困っている人は、生活保護を求めたり、公的支援を求めて役場へ足を運んでいるものです。
しかし、生活保護や公的貸付などにも審査があり、支給スタートまでには最低1ヶ月を要します。
「所持金がほとんどない」と言う状況でしたら、今日食べるものにも困っているわけですから、ひと月も待てません。
フードバンクはこうした状況で、行政と連携しながら食品の提供を行っています。
事前に市役所や社協で相談
フードバンクは福祉施設などに定期的に食品を届けています。また、月に数回、指定場所で個人にも無償配布をしています。
常設の店舗などはありませんので、個人がふらりと行って食べ物をもらえるというものではありません。
また全ての団体がというわけではありませんが、身分証や紹介状を求めらることもあります。
これは、本当に支援を必要としている人に食品を提供することを目的としているためです。
では、どういう人がフードバンクを利用できるのでしょうか?それは行政から紹介を受けた人です。
各市町村役場、あるいは社会福祉協議会などで生活資金の相談をする際、必要に応じてフードバンクを紹介されるのです。
もちろん、市役所や社会福祉協議会に行く前に、各団体に直接問い合わせをすることもできます。
申し込みすれば宅配も
フードバンクが個人に食品の配布を行うのは、平日の昼間の指定時間というケースが多いようです。
しかし平日の昼間は、多くの人が働いている時間帯。仕事を休んで食品を受け取りに行くのは困難です。
行政にも相談済という場合は、団体によっては定期的に自宅に届けてくれることもあるようです。
但し、恒久的な支援というわけではなく、あくまで自立ための途上支援という位置づけです。
どんな食品がもらえるの?
フードバンクで支援を受ける場合、食品のリクエストはできませんし、毎回同じものが受け取れるという保証はありません。
団体によっては青果や冷凍食品もありますが、基本的には常温で日持ちするものです。
- お米・乾麺
- インスタント食品
- レトルト食品
- 飲料
- 缶詰
などが主な食品です。これだけですと栄養が偏ってしまいそうですが、お米を買うお金が浮いた分、野菜などの他の食品を買うことができそうですね。
生活保護でも支援される?
すでに生活保護を受給している場合は、行政から改めてフードバンクを紹介されることは基本的にはありません。
受給中に経済状況が悪化し、食べるものに困る場合は、直接団体に問い合わせをすることをおすすめします。
上述のセカンドハーベスト・ジャパンの「パントリーピックアップ」では、初回は身分証があれば食品の受け取りが可能です。
こども食堂
フードバンクとは少し趣旨が異なりますが、子どもの食事に関しては「こども食堂」という選択肢があります。
無料あるいは数百円で、栄養価のある食事を提供してくれるというもので、運営はその多くがボランティアによるものです。
開催頻度は月に1回のところから、週3回などさまざま。学校登校前の朝食に特化している団体や、学校給食のない日に提供する団体など、独自の運営方針を持っています。
単に食事を提供するだけでなく、孤食を防いだり、子どもの居場所つくりにも貢献しています。
また、保護者と一緒に訪れることも可能。大人は多くの場合有料ですが、ワンコインで収まるように設定されています。
日本にも無料スーパー
冒頭でご紹介した「無料スーパー」ですが、日本でも2017年に初の無料スーパーが誕生しました。
「NPO法人シェア・マインド」が開催するもので、東京都多摩市で、月に1度の頻度で行われています。
フードバンクという活動を広めるための活動の一環と位置づけられており、提供の条件等はありません。
但し、50枚限定の整理券を入手する必要があります。開催要項については公式HPを確認するようにしましょう。