【借金ジャンプ】消費者金融(サラ金)と闇金用語では意味が異なる
あまり聞き慣れない金融の業界用語に、「ジャンプ」というものがあります。
某漫画でよくでてくる言葉ですので意味は知らないものの、何となく聞いたことがある人もいるでしょう。
この「ジャンプ」は闇金だけではなく、一般的な消費者金融でも使われる用語ですが、意味は全く異なるので注意が必要になります。
目次
そもそもジャンプとはどういうことなの?
ジャンプとは利息のみの支払いをすることを指します。
某漫画で債務者(お金を借りているもの)が返済できないシーンで、よく用いられるのは元金の返済を飛ばすためです。
通常、返済する場合は借りていた元金に、利息を含んだ金額で支払う必要があります。
しかし、「どうしても今月は出費が多くて支払ができない」という場合に、債権者(お金を貸したもの)に相談をして、利息のみの支払いにしてもらうということがジャンプするという意味です。
消費者金融におけるジャンプとは
意味合いは先に話した内容と同じですが、受け取る相手の心証が全く異なるのがポイントです。
返済ができなかった場合に、なぜそうなってしまったのか、そしていつなら支払いが可能なのかをヒアリングされます。
話に整合性があり次回返済日もほぼ大丈夫だろうと確信した時点で、状況によってはジャンプが許可されます。
これは消費者金融は下手に相談を受けたときに追い詰めて債務整理などをされてしまったら、今まで貸していたお金も戻って来なくなってしまうためです。
そこで、せめて利息のみでも支払ってもらえば、返済をしてもらえる可能性もありますので、消費者金融もこれを受け入れるということは珍しい話ではありません。
しかしこのジャンプが度重なると、「本当に今後返済ができるのだろうか」というネガティブな印象を与え、状況によっては連帯保証人の請求などをされる可能性もでてきますので注意をしましょう。
つまり消費者金融ではジャンプが可能だけれども、何度もできるものでもありませんし、心証が非常に悪いものというものになります。
闇金におけるジャンプとは
闇金に支払いが困難になってきて返済の相談をすると、比較的安易にジャンプをすすめてきます。
利息は元金に対しての金利ですので、下手に元金が減ってしまうと、その分は搾取できる利息が少なくなってしまうのです。
そのため闇金からすればジャンプしてくれる客は、とてもいいお客様といえるでしょう。
闇金は元から違法な高金利ですが、元金が減らなければそのまま高い金利だけを支払ってもらえる状態になります。
そのため、ジャンプをしてくれると永遠に完済することができない、つまり利息のみを支払い続けるといういいカモなのです。
闇金からすればジャンプされても追い貸しをすれば、自分の資産を減らすこともなく金利だけで潤うという構図になっています。
追い貸しとは
闇金のジャンプとセットになっているのが追い貸しです。
その名のとおり追加融資を指すのですが、通常は追加融資を受けるときには審査があり、そもそも毎月の返済に遅れがないことが条件になっています。
しかし闇金の追い貸しは、ジャンプするときに行うことが多いのが特徴です。
ジャンプ×追い貸しで闇金はもうける仕組み
追い貸しをせずとも金利だけ支払わせるジャンプでも利益は得られるのですが、ときと場合によっては貸していた元金が戻らない場合(警察などの介入)も考えられます。
闇金は違法行為ですので、いつまでも一定の場所に事務所が存在せず、いつ摘発されるのかも分かりませんので、なるべく早く効率よくお金を稼ぐ必要があります。
そのためジャンプのときに追い貸しをして、なるべくたくさんの利息をもらって利益を得る仕組みとなっています。
それではその仕組みを例に挙げてみていきましょう。
※金利は10日で1割(トイチ)、借りたお金は10万円だと仮定します。
(例)
- 1月1日:闇金から10万円借りる
(闇金は最初に金利を引いた金額を渡すので10万円借りても実際手元に残るのは9万円)
- 1月10日:返済できるお金がなくジャンプを希望する。
そのときに闇金は追い貸しをすすめ、一度は完済するようにアドバイスされる。
追い貸しで借りたお金は30万円として、そのうち1月1日に借りた10万円を完済し、30万円の金利を差し引いた金額29万円の融資を受ける。
- 1月20日:また返済できずジャンプを希望。
今回も追い貸しを案内があり、一度は完済して50万円の融資を受けて、47万円の現金を受け取る。
と言った感じです。
人は借りていたものが返せないとなると、どうしても負い目を感じるものです。
特に相手が闇金ですと何をされるのかが分からないという恐怖感から、普通に考えれば分かるようなことでも思考が停止してしまい、言われたままに行動してしまう人が多いのです。
そこに輪をかけて追い貸しの話を優しくしてくれるのならば、「一度完済できる」という気持ちからつい借りてしまいます。
しかし追い貸しは長くは続かず、ある程度の回数を踏んだらその後は貸してくれなくなり返金のみを迫られますので気を付けてください。
気づいたときにはもう地獄!完済できないような仕組み
最初は10万だった借金が、気が付けば数百万円借りていたことになり、その金額に違法な金利が上乗せされています。
したがって、どんなに一生懸命働いたとしても、完済できる金額ではありません。
最近の闇金も最近はむやみにおどしたりなどはせずに、同業他社の闇金へ新たに借りるように誘導したり、精神的な追い込みをしたりするようになってきています。
2月と8月はジャンプの特異月
1年のうちで2月と8月はジャンプしてくるお客さんが多く、サラ金業界では景気が悪い月として忌み嫌っているくらいです。
なぜ2月と8月は景気が悪いのかと言うと、1月に働く日数が少ないからで8月はお盆のために法事が多いからですね。
完全月給制なら1月に働く日数が少なくても給料に変化はありませんが、一般企業でも意外に多いのが日給月給制です。
給料として月に一度もらうことは同じでも、給料の計算の基となるのが稼動日数となるため働く日数が少なければ給料が少なくなってしまうのですよ。
返済は利息だけ、しかも返済するどころかお金を貸して欲しいとなるのが2月と8月なのです。
街金としては入金額が少ないのに出金額が多くなるため、手元資金がちょっと足りないな、となる月のため憂鬱になってしまう月ですね。
ジャンプの具体例
例えばアコムの最低支払金額は、利用限度額が30万円以下なら借入残高の4.2% です。
30万円を借りたなら毎月の返済額は30万円x4.2%=1万2,600円、ただし1,000円未満は切り上げとなりますので1万3,000円を借金完済まで支払っていかなければなりません。
毎月の返済額1万3,000円には利息分と元金充当分が含まれており、およそ36回以内に返済できるようになっています。
しかし急な入り用ができたとか、ちょっとお金を使い過ぎてしまったということで1万3,000円を用意できない場合があったとしましょう。
返済期日が近づいていて最低支払い金額が支払えない、と手をこまねいていても返済期日を過ぎてしまうと返済滞納です。
返済滞納してしまうと延滞金が発生しますね。延滞金の金利は借入金利よりも高く年20.0%となるのが普通です。
ただでさえ返済が出来ないのに、借入金利よりも高く延滞金を支払わなければならないとなると返済はますます難しくなってしまいますね。
そこでどうしても最低支払金額が用意できないのです、とアコムに連絡すれば「では今回だけ利息だけの返済ということでいかがでしょうか」と提案されるでしょう。
30万円の利息はひと月4,438円くらいですから、最低支払い金額である1万3,000円よりも少ない金額ですね。
とりあえず利息だけ支払っていれば返済滞納とはならないため、延滞金を発生させることなく今月は無事に通過できます。
ではジャンプさせた元金充当分は翌月に加算されるのかと言うとそうではありません。
もちろん最低支払金額以上支払うことができますので、自主的にジャンプさせた元金充当額を加算して返済すれば、初期の返済計画に戻せますね。
ジャンプはクセになりやすい
サラ金の返済でジャンプを一回でもしてしまうと、何回でも繰り返してしまうお客さんがいます。
利息だけ返済していれば何の文句も言われないから、何回でもジャンプしてやれ、のように慢性化してしまいます。
しかしジャンプは利息だけの返済で、何度返済しても借入残高は減りません。
今回だけ利息でお願い、という言葉を何度お客さんから聞いたかわかりません。先月も言っていませんでしたか?と言っても、悪いねぇ、とかわされてしまうとどうにもなりませんね。
ジャンプで延滞にならないなら一見良さそうにも見えますが、借金完済の日にちを先送りにしてしまうため実際はお客さんのためにはなりません。
サラ金にしても大手のように資金力がたっぷりあるところなら、多少ジャンプされても資金繰りに困るということはないでしょう。
街金でジャンプされるのは、万が一お客さんが返済不能となった場合に借入残高が減っていないためリスクが大きいのですよね。
そのためサラ金によっては一年にジャンプできる回数を2回までとか3回までのように決めている業者もあるくらいです。
ジャンプさせないのはひいてはお客さんのため
サラ金のお客さんが返済できないと言っているのにジャンプさせないなんてかわいそうじゃないか、と思う人もいるかもしれませんね。
でもそうじゃないんですよ。ジャンプさせないのはお客さんのためなんです。毎月利息だけの返済を許していたらいつまでたっても借金は減りません。
30万円を借りて毎月4,500円の利息を返済していても、30万円の借金は永遠に残るわけです。
利息だけ返済してくるお客さんというのは、生活に困っていることが多く、近いうちに債務整理してしまうサインと見ることもできますね。
債務整理されてしまったのではサラ金は損してしまいますので、できるだけ損害額を少なくするためにも、生活の見直しをさせることや、どうして利息だけの返済なのか理由を聞くなど対策をとっています。
闇金のジャンプは大歓迎?
サラ金にとってジャンプはあまり歓迎したくないことですが、闇金にとってのジャンプは大歓迎です。
なぜなら闇金の金利はサラ金の比ではなく、信じられないような高金利だからです。闇金からお金を借りたら10日で返済することを約束させられてしまいます。
金利は10日で50%。例えば闇金から10万円を借りたら10日後には利息5万円を加算した15万円を返済しなければなりません。
闇金からお金を借りるくらいですから相当お金に困っているはずですよね。
10日後に「すみません利息だけでお願いします」と言うと、あっさり利息5万円と更新手数料1万円だね。だから6万円支払ってくれる?、です。
2回もジャンプしたら12万円の返済です。これで返済不能となっても闇金は痛くも痒くもありません。
それどころか3回、4回ジャンプさせればそれだけ儲かるわけです。いつまでも利息返済してくれるならとことん搾り取ってやろうというのが闇金の考えです。
ジャンプしたら翌月はなるべく多く返済する
サラ金からお金を借りてジャンプしたら、翌月は少しでも多く加算して返済しましょう。これは返済地獄にならないためにはどうしても必要なことです。
無駄な生活費は使っていないか、節約できるところはないか見直すところは見直して、できるだけ借金を完済できるように計画を立てましょう。
サラ金の返済は、お金に余裕があるなら月に何回でも返済することができます。たとえ1,000円でも2,000円でもこまめに支払っていくことが早期借金返済につながるのです。
闇金はジャンプさせる場合に手数料を取る
仕方ないね今回は利息だけということで手を打ちますが、更新手数料として1万円支払ってくださいね、となるのです。
闇金としては元金を返済しない懲罰金の意味合いを持たせているのかもしれませんが、お金を借りた人にとっては、ただでさえ高い金利なのに更新手数料を支払うなんてかなり厳しいことには違いありません。
しかし相手を怒らせてしまうと何をしてくるかわからない人達です。なんとか利息分だけは自分で用意できても、更新手数料の支払い分まで考えていなかったお客さんは親や友人からお金を工面しなければならないのです。
更新手数料を支払えないお客さんは書類を書き換える
闇金から借りているお客さんのなかには、利息の返済や更新手数料の支払いさえできない場合がありますね。
10日ごとにやってくる返済期日に利息も元金も入金してくれないのでは闇金も当てが外れてしまいます。
そこで闇金は返済期日を次の10日後に延長する代わりに、借用書の書き換えを行い一旦精算して再貸ししたような形にします。
借用書の書き換えの流れを簡単にご説明します。
①10万円貸付(返済日には10万円と利息3万円が必要)
②10日後の返済期日に利息3万円と更新手数料1万円が支払えない
③20万円の借用書を作成し、利息と更新手数料の4万円を差し引いて6万円をお客さんに渡す
闇金のお客さんの借金はたった10日で10万円から20万円に増えてしまいました。
闇金は「どうせカネがないんだろう。6万円渡すからさ、これでパチンコで稼いでこいよ」というわけですね。
ジャンプを繰り返すと借金が膨れ上がる
闇金から20万円の借金を背負わされてしまったお客さんは、再び10日後に返済期日を迎えます。
20万円を返済するには利息6万円が必要です。合計で26万円用意しなければなりません。これで稼いでこいよと言われた6万円もあっという間に消えてしまい、手元にはお金が残っていません。
そこでもう一度闇金に頭を下げて懇願するのです。この間貸してもらった6万円で何とかしようと思いましたが手元にはお金がありません。今回だけもう一度ジャンプしてもらえませんか?
闇金はお客さんに借金回収できるだけの財産がある、または親兄弟親戚から借金回収できる見込みがある場合に限ってジャンプをしてくれます。
今回26万円返済しなければならなかったお客さんは、再度借用書を書き換えるはめになるのです。
①26万円返済ができない
②30万円の借用書を作成して、利息6万円と手数料1万円を差し引き3万円をお客さんに渡す
これが最後だぞ。3万円貸してやるからパチンコで一発当ててこい!と激励されて闇金の事務所を後にします。
このように最初闇金から10万円借りたのにたった20日で借金が30万円まで膨れ上がってしまいました。
まるで雪だるまのように借金が増えてしまい、利息も更新手数料支払えないと最終的にはパンクするでしょう。
闇金は金利30%なら3回ジャンプさせれば儲けが出る
なんとか闇金の利息は用意できた場合でも、金利が30%の場合は3回ジャンプさせれば闇金の儲けです。
10万円を貸したとしても10日ごとに利息3万円と更新手数料1万円の4万円をもらうわけですから、3回ジャンプさせればそれだけで12万円ですね。
1カ月で元金を差し引いても2万円残ります。これで元金は確保です。万が一お客さんがパンクしても闇金は十分利ざやを稼げるわけです。
もちろんパンクしないお客さんなら、1カ月で12万円の利益が出てまだ貸付残高が10万円残っているのですから、さらに利益を伸ばすことができますね。
元金10万円を用意できなければ毎月12万円を延々支払い続けていかなければなりません。
完済の見込みが立たない場合にはどうしたらいいのか
真っ先に行うことは警察への連絡と、そして弁護士などを間に挟んで解決することです。
よく「闇金は違法なのだから支払う必要はない」という文言を目にしますが、その理屈がとおるような集団ではありません。
中途半端な法知識を振りかざすと、逆鱗(げきりん)に触れてしまう可能性も十分に考えられます。
ひとりで闇金に立ち向かうのは、大変危険な行為です。
そのため闇金に強い専門家(弁護士など)に、まずは相談をすることが解決への糸口になります。
まとめ
闇金にしても消費者金融でも、ジャンプすることはあまりいいことではありません。
返済できない事情があり仕方がない状況だったとしても、ジャンプをするなら1回が限度だと自分でルールを決めておくことがトラブルを回避する方法になるでしょう。
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