法人を解散したときの借入金はどうなるの?

 5.0  (4)
+ この記事を評価する
×
 5.0  (4)

この記事を評価する

決定

企業は後継者がいなかったり、経営悪化で今後の見通しが立たなかったりする場合は、法人を解散させることも考えます。

法人解散時の清算方法を一歩間違えると借入金の一括返済を求められたり、多額の税金を払うことになったりしますので注意が必要です。

法人の解散時に気になる疑問点を、まとめましたので見ていきましょう。

執筆者の情報
名前:馬野 伸斗(50歳)
職歴:信用組合に20年以上勤務

会社を解散登記したら負債はどう処理する?

会社を解散登記したら負債はどう処理する?

会社を法務局へ解散登記手続きする前に、負債を清算したいところです。しかし、多額の借入金が残っていたら、完済できない可能性があります。

そこで、借入金を完済できないときの注意点をまとめましたので確認しましょう。

会社解散時の借入金の返済

会社は解散すると、銀行から借入金の一括返済を求められる可能性があります。

それは、銀行取引約定書という銀行に差し入れた契約書での取決めに、「清算開始の申立てによる期限の利益喪失」ということが明記されているからです。

これは、簡単にいうと「会社をたたんだら、返済日を待たずに一括返済してもらいます」ということです。

もし会社が一括返済をできない場合は、銀行は連帯保証人に催促をしたり、担保に差し出した土地や建物の処分を検討したりします。

また保証協会付融資で、銀行借入が保証協会からの返済によってゼロになった場合でも、今度は保証協会から催促がきますので注意しましょう。

関連記事をチェック!

1688view

銀行取引約定書とは融資希望者と銀行間の約束

最近ではカードローンを事業資金として利用できる商品も出てきていますね。 無担保・無保証で融資取引ができるのは、大変便利なことです。しかし、どの銀行でも通用するわけではありません。 事業資金は銀行窓...

代表者が会社にお金を貸しているとどうなる?

代表者が会社にお金を貸しているとどうなる?

中小企業の場合、会社の支払いを社長個人の財布から立て替えることも多いでしょう。

ただしこの立替えは、社長が会社にお金を貸したこととなり、会社にとっては役員借入金という負債として残ります。

会社を解散するときの役員借入金の清算方法は、銀行借入と異なりますので、そのポイントについて順番に確認していきましょう。

多額の役員借入金があるときの対策

役員借入金は、社長の立替えが積み重なると膨大な金額となるため、会社が解散するときに返済できない可能性もあります。

そのような場合は、社長が貸付金をもう返さなくてもいいよという債権放棄の手続きをすることで、会社の役員借入金をゼロにすることができます。

しかし、債権放棄をすると多額の税金が発生する可能性がありますので注意しましょう。

それは社長が債権放棄をすると、会社にとっては債務免除益といって、なくなった借金の金額分が会社の利益となり法人税が発生するからです。

ただし、これから話をする方法で法人税をゼロにすることもできますので覚えておきましょう。

債権放棄のタイミングが重要

社長が債権放棄をすると、会社は債務免除益という黒字が発生しますが、債務免除益は会社の繰越欠損金という会社の赤字と相殺することができます。

ただし、繰越欠損金は赤字を繰り越しできる期限が最長で9年しかないため、会社を解散するときには期限切れになっている可能性もあります。

そこで、会社の解散が民事再生等の理由であれば、期限切れの繰越欠損金も債務免除益と相殺することができるということを覚えておきましょう。

これは、会社は解散する理由が、会社更生法またが民事再生法による私的整理であれば、期限切れの繰越欠損金の使用が法律上認められているからです。

ただし、期限切れの繰越欠損を利用するには、実際に再生手続きが開始していなければならないといった一定の要件があります。

この要件はシビアであるため、必ず専門家に相談した上で債権放棄をするタイミングを間違えないように注意しましょう。

関連記事をチェック!

748view

役員借入金を付け替えして様々な問題に準備をしておこう!役員貸付金との違い

会社にとって、役員借入金は返済する必要がありません。 ただし、多額の役員役員借入金を残しておくことと経営上は好ましくありません。 それは、役員借入金が増えることで銀行融資や税金面に影響するからです...

繰越欠損金がないときは

債務免除益と相殺できる繰越欠損金がない会社は、機械設備や備品といった固定資産や、在庫等の棚卸資産が残っていないか確認をしましょう。

会社が過去に取得した資産は、解散時に処分をすれば売却損や除却損といった、含み損が発生する可能性があります。

こういった損失も、繰越欠損金同様に債務免除益と相殺することができますので是非覚えておきましょう。

関連記事をチェック!

648view

累積赤字と社長借入金|銀行融資との関係は?相続税対策は?

中小企業で赤字が続いている会社は、社長借入金が多額になっている傾向があります。 ただし、この状態は銀行融資が不利になったり、また社長に相続税が発生したりする可能性があり好ましくありません。 節税目...

法人解散と役員借入金の資本振替処理

役員借入金の免除益は、繰越欠損金と相殺できますが、役員借入金を免除せずに資本勘定に振り替えて、繰越欠損金と相殺することも可能です。

それは、中小企業は会社と社長の財布の明確な区別がなく、会社が社長から借りた役員借入金は実質的に社長が出資した資本金と見られるからです。

ただし、役員借入金を資本勘定に振り替えるには、現物出資という手続きが必要となり費用がかかります。

したがって、役員借入金が残っている会社は、解散するときに役員借入金を資本に振り替えるのではなく、債務免除益を発生させて繰越欠損と相殺することをおすすめします。

関連記事をチェック!

1762view

会社から役員がお金を借りるメリット・デメリット

役員個人が会社からお金を借りることは、中小企業の中では少なくありません。 会社から役員個人への貸付金を「役員貸付金」と言います。 役員貸付金はうまく活用すれば、役員報酬で会社経営が圧迫されることを...

銀行借入が残っていると返済は軽減される?

銀行借入が残っていると返済は軽減される?

会社が解散するときに、銀行からの借入金は原則一括返済する必要がありますが、逆に返済額が軽減される可能性も考えられます。

それは、銀行にとっても無理な一括返済を求めるより、少額ずつでも完済してもらう方がいいからです。

また、担保付融資でも銀行は無理に社長の自宅を取ろうとはしませんし、保証協会付融資でも信用保証協会は会社に代わって銀行に代位弁済したいわけでもありません。

したがって、時間はかかっても必ず返済するというスタンスで社長が銀行に相談することで、返済額が軽減される可能性がありますし、担当が今後の解散手続きに協力してくれる可能性もありますので覚えておきましょう。

関連記事をチェック!

262view

銀行借入をリスケジュールとはどういう意味?その後はどうすれば良い?

「毎月の返済がおぼつかない。」 そんなことにいならないために、検討してほしいのがリスケジュールです。 リスケジュールはある意味、資金調達と同じ効果を発揮し、その上、会社立て直しを図ることを可能にし...

まとめ

会社は解散するときに銀行借入はもちろんのこと、日ごろから社長が何となく立替えしてできた役員借入も清算する必要があります。

また、中小企業が10年以内に解散する確率は90%を超えるといわれてますので、まだ現役の経営者も今回の話をきっかけに、役員借入金や繰越欠損金について意識してみてはいかがでしょうか。

関連記事をチェック!

746view

会社が倒産した場合には借入金はどうなる?

執筆者の情報 名前:馬沢結愛(30歳) 職歴:平成18年4月より信用金庫勤務 法律上は会社と個人は別もの 借入と会社の倒産について調べていると、倒産した際に残っている借...

 5.0  (4)
+ この記事を評価する
×
 5.0  (4)

この記事を評価する

決定

コメントを投稿できます (感想,相談歓迎です!金貸しのプロ対応します)

  1. 小林修さん|2019-10-11 09:41:22

    こんにちは。
    借入のすべて、小林です。

    お役に立てて良かったです。
    またなにかあったら質問してくださいね。

  2. ミステリーさん|2019-10-09 23:38:03

     どうもありがとうございます。 ほっとしました。
    助かりました。

  3. 小林修さん|2019-10-09 08:45:20

    こんにちは。
    借入のすべて、小林です。

    こちらで読解力不足がありました。お詫びして訂正します。

    会社清算が目的なら、債務免除によって会社に利益がでても所得税や法人税は発生しません。
    余剰金に分配により、社長が金銭を受け取っても、債権放棄によって損失計上することになりますので、個人にも各種税金はかかりません。

  4. ミステリーさん|2019-10-08 15:37:47

     会社清算中です。社長借入金の処理で理解できないことがあります。
    上の説明に、”債権放棄”をすると多額の税金が発生する可能性があります。
    一方で、下の回答で社長からの借入なら”債務免除”して利益がでても税金は掛からないとあります。社長からなら債権放棄、会社からなら債務免除で同じことではと思いまいます。違っているのでしょうか? よろしくお願いいたします。

  5. 小林修さん|2019-10-04 09:30:10

    こんにちは、
    借入のすべて、小林です。
    仕分け上は「売上」でOKです。
    その結果、会社に利益が出たとしても、会社清算するわけですから、課税対象にはなりません。
    実務上は、利益は株主への実質的な配当となります。

  6. ミステリーさん|2019-10-02 15:16:56

     ご回答、本当にありがとうございます。 助かります。
    借入金を減らすために、商品を売却する場合、売却額は売り上げとして計上するものですか、ただ貸借対照表で、商品をゼロにして、その分の借入金を減らすだけでいいのしょうか ?  事務所の備品を現物支給することは単純に現物支給をしたとして、その分借入金を減らそうと思っています。

  7. 小林修さん|2019-10-02 08:28:46

    こんにちは。

    >会社に残っているパソコン関係、事務用品関係を代表者に現物支給として支給することで、借入金に充当することはできませんか ?‌
    これは良い方法ですが、個人への売却金額に注意してください。市場価格と大きく離れて売ってしまうと税務署から指摘されます。

    >在庫品で残っている商品を借入金を減らす材料に使えませんか
    お金を借りている代表者に売却して相殺できます。 

  8. 小林修さん|2019-10-02 08:23:13

    こんにちは。
    借入のすべて、小林です。

    結論から申しますと、

    会社清算の処理につき、債務免除した際の利益については、特例により会社に税金はかかりません。

  9. ミステリーさん|2019-10-01 12:18:52

     会社清算中です。 会社代表者からの借入金が未処理で残ってます。
    会社に残っているパソコン関係、事務用品関係を代表者に現物支給として支給することで、借入金に充当することはできませんか ?
    また、在庫品で残っている商品を借入金を減らす材料に使えませんか ?
    よろしくご教授願います。

  10. ミステリーさん|2019-10-01 11:55:42

    会社清算準備中です。 会社代表者とその妻からの借入金があります。
    10年分の繰越欠損金を債務免除益で充当しても、まだ借入金が残ります。この残った分は、”債務免除”ができれば、代表者も妻も了承してます。
    残った借入金が会社利益になり、税金が掛かることを心配してます。
    よろしくご教授願います。

  11. 小林修さん|2019-09-05 10:05:40

    こんにちは。
    借入のすべて、小林です。

    その借入金は社長さんからの借入でしょうか?
    もしそうなら「債務免除」してあげてはどうでしょうか。
    会社を清算することが決まっている場合は、債務免除で利益がでても税金はかかりません。

  12. ミステリーさん|2019-09-04 18:32:57

     会社清算中です。 非常に役に立ちました。 債務免除益以上に借入金がある場合に、何か借入金を減らす方法はありませんか ? 清算結了までにどうしても借入金が残った場合には、それは会社利益になるのですか ?

サブコンテンツ

皆に選ばれているカードローン

新生銀行カードローン レイク
プロミス
アコム

特徴で選ぶカードローン

関連する記事

カードローン申込体験談