借金が1000万円!返済方法はあるのか?
借金は一度増え始めると、1,000万円を超えるのにそれほど時間はかかりません。
しかし、これ以上借金を放置しておくのは得策ではありませんね。
これ以上借金を増やさないために頑張って働いて収入を増やすか、債務整理をするのかどちらか選択が求められます。
より実践的な、借金1,000万円の解決方法をご説明します。
- 執筆者の情報
- 名前:梅星 飛雄馬(55歳)
職歴:地域密着の街金を30年経営
この記事はこんな方におすすめです
- これから借金をしようとしている方
- 現在借金中で返済が苦しい方
- 身内や知人に借金の相談を受けた方
ぜひ参考にして下さいね!
目次
1,000万円借金した場合でも返済は可能なの?
1,000万円という金額は、一部の富裕層でない限りはとても大きな金額です。
日本における給与所得者の平均年収が420万円であることを考えると、その額の大きさがイメージできるでしょう。
では、1,000万円借金した場合でも返済は可能なのでしょうか?
借金が返済できるかどうかは、人それぞれの状況によって異なります。
年収の高さや資産の状況によって、同じ1,000万円という額だとしても、返せる場合とそうでない場合があります。
後述する内容をご理解いただき、ご自身の状況はどうなのか、検証してみる必要があるでしょう。
1,000万円も借金するってどんな状況?
お金が必要となって借金をするという機会は、多くの人が経験している筈です。
しかし、個人が1,000万円を超える借金を行うケースとなると、それほど機会は多くないでしょう。
そもそも、1,000万円も借金するってどんな状況なのでしょうか?
ここではその典型パターンとして、「①住宅ローンを組んだ」「②奨学金を借りた」「③事業に失敗した」「④高額な賠償請求をされた」「⑤2010年までにお金を借りた」の5つについて紹介します。
①住宅ローンを組んだ
住宅ローンを組んだ時には、1,000万円を超える借金になることが一般的です。
マイホームを購入する場合、多くの人が頭金以外の部分を、住宅ローンとして借金するため、1,000万円以上の借金は珍しくありません。
マイホームは人生でもっとも高い買い物といわれているため、一旦借りると何十年も住宅ローン返済をし続けていくことになります。
ただし、年功序列や終身雇用制が崩壊している現在では、普通に会社で働いていても給料が上がる保証がどこにもありませんので、住宅ローン返済が生活を圧迫するといったケースを想定しておく必要があるでしょう。
身の丈に合った価格の住宅を購入するということが、重要となります。
②奨学金を借りた
親の財政が苦しい家庭では、奨学金を借りて大学に進学するという学生が多いです。
統計によってその割合は異なりますが、大学昼間部で2割程度、博士課程では6割前後の学生が、奨学金を利用しているという統計もあります。
奨学金は無利子のものや有利子のものなどさまざまですが、一部の成績優秀者が受けられる返済不要の奨学金でなければ、借りたお金ですので返さなくてはなりません。
奨学金の辛いところは、社会経験がなく、年齢の若い学生の段階で借金をしているため、社会人になってもマイナスからのスタートとなるところです。
社会人に成り立ての20代前半は、さまざまなことにチャレンジして、見識を広める時間のはずですが、借金返済によって出遅れてしまうことになります。
奨学金を利用して進学することで、大学進学というメリットが得られる反面、社会人のスタート段階で借金を背負うことも踏まえて、慎重に検討しなければなりません。
③事業に失敗した
事業に失敗した場合には、1,000万円を超える借金を抱える可能性が考えられます。
運転資金として借り入れたものの、事業に失敗してしまったことで、借金だけが残るケースもあります。
また、最初は借金をせずに事業運営をしていたものの、だんだんキャッシュフローが悪くなり、資金が回らなくなってくることで、徐々に借金を増やしてしまうケースもあります。
従業員を雇っている場合には、従業員の給料を借金で賄う苦しい経営を迫られることもありえますので、資金繰りは常に管理しておかなければなりません。
また、黒字にもかかわらず、顧客から回収できずに黒字倒産する企業もあります。
事業というのはチャレンジをする分だけリスクが付いてまわりますので、さまざまな想定をした上で、利益追求とリスクヘッジを同時に行わなければなりません。
④高額な賠償請求をされた
何かしらのトラブルが原因で、賠償請求をされた場合にも、1,000万円を超える借金を背負う可能性があります。
交通事故によって人や物に損害を与えたり、公共交通機関を止めてしまうトラブルを発生させたり、その他さまざまな要因によって、自分以外の人に損害を与えた場合には、賠償請求をされる可能性があります。
このようなことを回避するために、損害保険に加入している人もいますが、保険適用外の事案や保険金では賄えない内容の場合には、借金リスクがあります。
⑤2010年までにお金を借りた
個人が1,000万円の借金を作るには、相応の年収がなければなりません。
消費者金融やクレジットカード会社などのカードローンを複数利用しながら借りたとしても、総量規制によって少なくとも3,000万円の年収がなければ、1,000万円という金額の借金はできないからです。
総量規制に関係のない銀行カードローンを利用したとしても、最低年収が2,000万円以上なければ返済能力が不十分であるとみなされてしまい、借りることはまず不可能です。
先述の通り、サラリーマンの平均年収はおよそ420万円と言われています。
とてもではありませんが、1,000万円の借金を作ることはできませんね。
しかし総量規制が導入される前、つまり2010年6月以前から消費者金融やクレジットカード会社などから借金をしている人にとって、1,000万円の借金を作ってしまうのはそれほど難しいことではありませんでした。
年収と同額の借金をすることも、または年収の1.5倍ほどの借金をすることも、できないことではなかったのです。
今となっては信じがたいような話ですね。
そのため、たとえばギャンブルに使うためのお金を、いとも簡単に借り入れで調達できてしまい、どんどん借金額が膨らんでいく人が後を絶ちませんでした。
総量規制とは?
返済能力を超えた借り入れ、業者による過剰貸付が問題になったため総量規制が導入されました。
総量規制とは、改正貸金業法で定められているルールのことで、個人が無担保無保証で契約できる上限額を、年収の1/3までとしたルールです。
総量規制は、消費者金融やクレジットカード会社などに適用され、これによって過剰な融資を防ぐことになりました。
1社からだけでなく、複数社からの借り入れの合計で、年収の1/3を超えられないため、既に借金が年収の1/3近くに達している場合は、新たな借り入れができなくなります。
ただし、銀行カードローンに関しては、貸金業法ではなく銀行法の範疇となるため、総量規制の対象外となります。
そのため、銀行による過剰融資が、総量規制導入前の状況と同じ状況を作っているとの批判の声が多く、各銀行が自主規制に乗り出しつつあります。
1,000万円の借金「返済シミュレーション」
一箇所から1,000万円の借金をしているなら、よほど信用力があり返済能力があると判断されていることでしょう。
銀行カードローンでありがちな、借り入れ金利3.5%で1,000万円を借りた場合の返済額を、シミュレーションしてみましょう。
借り入れ金利3.5%で1,000万円を借りた場合の返済額をシミュレーション | |
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回数 | 返済額 |
60回 | 約18万2,000円 (5年) |
72回 | 約15万4,000円 (6年) |
84回 | 約13万5,000円 (7年) |
一箇所で借りたとしても、とてもではありませんがサラリーマンの平均給与で、1,000万円の借金の返済は不可能です。
総量規制前から借りていると、5社から借りていたとしても借り入れ額の平均額は200万円、6社から借りていたとすれば借り入れ額の平均額は約166万円です。
借り入れ額が少なくなれば金利が高くなるのが一般的ですから、平均借り入れ金利を9.4%として毎月の返済額を計算してみます。
5社借り入れ、平均借り入れ金利9.4% | |
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回数 | 返済額 |
60回 | 約21万円 (5年) |
72回 | 約18万2,000円 (6年) |
84回 | 約16万3,000円 (7年) |
やはり複数借り入れをしていると、返済金額は多くなってしまいますね。
副業で返済は楽になるの?
現在サラリーマンの人が1,000万円の借金を完済するためには、収入を増やさなければ、給料のほとんどを借金返済に回さなければならなくなってしまいますね。
それなら、Wワークで収入を増やして借金返済に充てれば良いのではないかと考えがちですが、たとえ7年返済だとしても、13万5,000円から16万3,000円を稼がなければなりません。
10万円を超えた分は給料からあてがったとしても、毎月最低10万円は稼がなくてはならないのです。
毎月10万円といったら、パート収入とほとんど同じですね。
パートで働いている人も、毎月10万円稼ぐには1日あたり8時間程度の労働時間が必要です。
会社勤めの人がWワークで10万円を稼ごうと思ったら、まず時間が足りませんし、カラダももたないでしょう。
借金返済のためにカラダを壊してしまったのでは、本来の仕事に障害が出てしまいます。
1,000万円の借金をWワークで稼ぎ自力で返済するのは、どうやら現実的ではなさそうです。
着実に返済していくためにはどうすればいい?
借金のことで嘆いていたとしても、自力で返済を行わない限り、借金は1円たりとも減りません。
少しずつでもいいので借金を返済していって、完済までの道のりを一歩一歩進んでいく必要があります。
以下では、着実に返済していくために重要なポイントをいくつか挙げていきます。
生活可能な範囲で無理のない返済計画を立てる
借金の返済を頑張ろうという意識を持つことは重要ですが、あまりに気持ちが入れ込みすぎて、返済に重きを置きすぎることは危険です。
手取り収入から生活な最低限必要な出費を除いて、余ったお金をすべて返済に回すことは、理論上可能ではあります。
ただし、その計画で返済を継続してしまうと、万が一急な出費が必要になってしまったときに対応できません。
また、生活に何のゆとりもなくなってしまうため、遅かれ早かれどこかで気持ちに限界が来るでしょう。
借金を返済するときは、いかに早く返済するかも重要ですが、きちんと返済を継続させられることのほうがさらに重要です。
生活に負担をかけない範囲で、無理のない返済計画を立てることを心がけましょう。
金利が高い借金から返済する
返済計画を立てるときに意識しておきたいのは、金利が高い借金から返済するということです。
金利が高いと、それだけ支払わなければならない利息も多くなるので、家計への負担も大きくなります。
金利が高い借金から優先的に返済していくことで、わずかではありますが返済総額も減りますので、生活にゆとりを持ちやすくなります。
お金の流れを把握するために家計簿を作る
これまで家計簿を付けていない人は、家計簿を付けることで、返済の助けになることが多々あります。
家計簿を付けると、収入と出費のバランスや各出費の金額的妥当性・お金の流れなどが見える化されるので、どこに手を付けて改善すべきかがはっきりします。
家計簿を付けることで、「無駄遣いは避けないと」という心理的抑制が働くことも、メリットですね。
返済しなければならないと分かっているけどつい無駄遣いしてしまうという人でも、毎日家計簿の数字を見ることで、少しずつ無駄使いを抑えられるようになるでしょう。
生活費を見直す
家計簿を付けることで出費を見直す際、生活費はまず手を付けやすい部分です。
たとえば食材の買い出しにしても、毎日スーパーに行って適宜買い物をするのではなく、特売日にまとめて購入することで、食費を節約できます。
この場合、同じ食材を大量に購入することになるケースもありますが、その食材で何とかやり繰りしなければならないため、レシピの幅が広がり、より一層やり繰り上手になれるでしょう。
また、コンビニは24時間営業で品ぞろえも充実しているので、ついつい利用してしまいがちです。
ただ、コンビニで売っているものは基本的にすべて定価なので、コンビニばかり利用していると出費がかさんでしまいます。
コンビニでしか買えないものであれば仕方ありませんが、スーパーでも同じものが買えるのであれば、スーパーを利用することで、少しでも出費を抑えられます。
日用品で必要なものがある場合、購入しようとする前に、自宅にあるもので代用できないか・自作できないかと考えるくせを付けることも、生活費を節約するうえでは非常に重要です。
交際費を見直す
生活していくうえで、会社の人や近所の人などとの人付き合いは欠かせません。
仕事帰りにちょっと一杯とか、ママ友とのランチなどは、ストレス解消のために重要な役割も果たします。
しかし、飲み会に一回顔を出せば数千円単位の出費(あるいはそれ以上)になるので、人からの誘いをすべて断らずにいろいろな場所に顔を出し続けていると、出費を削ることなど不可能です。
立場上どうしても断れないものや、重要な会合などは仕方ありませんが、時には「今日は遠慮しとく」と断れる勇気を持ちましょう。
契約を見直す
スマートフォンのかけ放題プランや保険のオプションなど、当初はよかれと思って契約したものでも、あらためて見なおしてみるとあまり必要なかった、ということがあります。
こういったものはもちろんタダではなく、契約している以上は毎月一定の金額を支払い続けなければなりません。
「あってもあまり意味がないな」「ここまで手厚い内容じゃなくていいな」というような契約がある場合は、解約もしくは違う契約に切り替えることを、検討してみましょう。
固定費は一度削減できれば、その後ずっと効果が続きます。
たとえば、契約を見直して毎月5,000円の出費削減に成功したとすれば、年間の出費が6万円減ったことになるわけですから、非常に大きいですよね。
ボーナスや残業代など流動的な収入は当てにしない
借金の返済は継続して行わなければならないものなので、返済計画も毎月固定で入ってくるお金を頼りにして立てるべきです。
「ボーナスが入れば足りない分の返済ができる」とか、「来月残業して残業代が入れば返済できる」という考えになってしまうのであれば、そもそもの返済計画の立て方がなっていません。
ボーナスや残業代を返済の足しにすること自体は問題ありませんし、完済までの期間が短くなるので、積極的に行っていくべきでしょう。
ただ、返済計画の基本的な部分は、毎月確実に入ってくる手取り収入をもとにして組んでおいて、ボーナス・残業代は+αで考えるようにしておかなければなりません。
会社の都合で残業ができないかもしれませんし、ボーナスが期待していたほどの金額にならない可能性も、十分ありますからね。
残高が減っていくことが自信になる
多額の借金を抱えていると、「本当にこんな金額返せるのかな…」と考えてしまいがちです。
しかし、返済を継続していれば、当たり前の話ですが借金額はどんどん減っていきます。
そして、「自分はこれだけの金額を返済できている」ということが、いつしか自信に変わっていくものです。
特に、借金を半分ぐらい返済できて折り返し地点にたどり着いたときは、「あと半分ぐらいならできそうな気がする」と強く思えるでしょう。
借金返済で心が折れそうになった時は、今までの返済の歴史を振り返ってみて「自分はこれだけやれてるんだ」と、自分自身を鼓舞することも重要です。
返済できない場合は債務整理で人生再チャレンジも視野に…
債務整理をしてしまうと、せっかくお金を貸してくれた銀行や消費者金融などのノンバンクに対して申し訳が立たない、と考える人がいます。
至極真っ当な考えで、見習うべきところはたくさんありますが、ものには限度があります。
さすがに、借金1,000万円を自力で返済するのは限界を超えている、となるでしょう。
借金返済をしたからといって、何かが手に入るわけではありませんね。
自動車ローンのように、借金返済が終われば自動車が自分の名義になるというのであれば、借金を返済しようというモチベーションも高く持ち続けられます。
借金というのはすでに使ってしまったお金であり、いくら全額返済したとしても報われるべきものがありません。
借金1,000万円の返済が滞ってしまえば、信用情報にキズがついてしまいます。
そればかりではなく、金融機関側が裁判により強制執行を行ってくる可能性も、心配しなければなりませんね。
いつ財産の差し押さえをされてしまうのかと不安に駆られているよりは、人生再チャレンジのつもりで債務整理をしたほうが、借金問題を早く解決できます。
債務整理の種類
債務整理方法には、裁判所で行う法的整理と民間で行う私的整理があります。
時間に余裕があり、裁判所から呼び出されてもすぐに応じられるなら、自力で債務整理を進めることも不可能ではありません。
時間がない人は専門家に依頼しましょう。
①任意整理
法律の専門家が債権者と交渉する方法で、内容的には後述する特定調停と同じ効果をもたらします。
利息制限法が定める上限金利(15%~20%)に金利を引き下げ、利息を再計算した上で、将来利息のカットなどにより借金の負担を軽減します。
債権者と和解になれば、任意整理を行うことができ、弁護士や司法書士などが代理人となって交渉をしてくれます。
任意整理でどれぐらい借金が減額されるの?
任意整理の減額がどれくらいなのかは、たとえば250万円借金していた人が、任意整理によって150万円まで減額となるというぐらいのイメージです。
もちろん、人によって状況は異なりますので、1つの目安と考えましょう。
借金1,000万円の場合は、任意整理よりも後述する個人再生や自己破産を選択するケースが一般的となります。
②特定調停
簡易裁判所に申し立てることで、裁判所が任命した調停委員が債権者と借金の軽減や将来支払う利息のカットなど、債務者の収入に合わせて交渉を行ってくれます。
交渉で合意すれば、残った借金額を36回払いで返済することになります。
直接裁判所に申し立てることによって、費用を抑えることが可能です。
特定調停でどれぐらい借金が減額されるの?
特定調停の例としては、250万円の借金が180万円まで減ったという事例があります。
特定調停でも、ちゃんと交渉が合意できれば、しっかりと減額の期待ができるでしょう。
ただし、専門家に依頼しない分、手続きを自分でしなければならない手間があることは、想定しておく必要があります。
③個人再生
個人再生とは、住宅や車などの財産をそのまま維持した状態で、借金を大幅に減少させる方法です。
基本的には借金を1/5まで軽減してくれ、3年間という返済期間で分割返済をすることになります。
そのため、個人再生は借金が大きくて完済することが厳しいが、財産は処分されたくないという場合に、とても有効な方法です。
5,000万円以下の借金なら、個人再生で借金の減額が可能です。
個人再生でどれぐらい借金が減額されるの?
個人再生は借金を1/5まで軽減してくれるわけですから、借金1,000万円なら200万円になります。
200万円を36回払いで返済すると、毎月の返済額は約5万5,000円です。
もしも1,000万円を同じ36回払いにした場合には、毎月の返済額は27万8,000円近くとなりますから、借金の負担が大幅に楽になることが伺えます。
④自己破産
自己破産手続きは、預金や生命保険・不動産など財産の総額が20万円未満の場合は、比較的簡単に行える方法です。
メリットは何と言っても、借金をすべてチャラにできることです。
直接本人が裁判所に申し立てれば費用も安く抑えられ、1万数千円あれば十分です。
自己破産でどれぐらい借金が減額されるの?
自己破産は上記の通り、借金がチャラになるわけですから、1,000万円を借金している場合、丸ごと減額となります。
住宅や車など、資産がある場合には没収されますが、資産を失っても借金を帳消しにしたいという場合には、自己破産によって生活再建がしやすくなるでしょう。
自己破産すると発生する4つのデメリット
借金苦に悩まされてきた人にとって、自己破産は借金を帳消しにしてくれる、夢のような方法です。
しかし、自己破産をすることによるデメリットももちろんあります。
自己破産のデメリットとして、「個人信用情報機関に事故情報として載る(ブラックリスト)」「個人名や住所が官報に掲載される」「20万円以上の財産が差し押さえとなる」「一部の職業に就けない」の4つを解説します。
①個人信用情報機関に事故情報として載る(ブラックリスト)
個人の金融取引(ローン取引)の履歴は、個人信用情報機関に記録されています。
もしも自己破産をしてしまうと、金融事故情報として記録されるため、一般的にいう信用情報ブラックになります。
自己破産による信用情報ブラックとなってしまうと、新たなローン取引が一定期間できなくなりますので、ライフプランに打撃を与える可能性があります。
自己破産をすると、信用情報機関によって5年から10年は新たなローン取引ができません。
住宅ローンやマイカーローンは当然のこととして、カードローンやクレジットカードの発行ETCカード、携帯電話本体の分割払いもできません。
そのことも踏まえて検討する必要があります。
②個人名や住所が官報に掲載される
自己破産をした場合には、官報という国家の公告文書に掲載されます。
一般の人は、官報を読む人は少ないため、官報に掲載されたからといって、誰かに自己破産の事実が知られる可能性は低いですが、信用情報機関や市役所・区の税担当者は見ている可能性があります。
それらの知り合いがいると、知られてしまうケースもあり得ます。
また、闇金業者がチェックし、借金利用のDMを送ってくる可能性もありますので、その場合は相手にしないように気を付けましょう。
③20万円以上の財産が差し押さえとなる
20万円以上の財産があると、それらが差し押さえとなるデメリットもあります。
自宅や車、貴金属、株なども含め、時価20万円を超えるものはすべて失うと考えておきましょう。
現金も、99万円を超える分は差し押さえとなります。
ただし、家具などのように、生活に必須のものは処分されませんので、自己破産後も生活に支障が出ないようには配慮されています。
④一部の職業に就けない
自己破産をすると、一部の職業に就けなくなります。
そのため、借金が帳消しになると喜んでいられないケースもあり得ます。
就けない職業の具体例は以下にまとめますので、参考にして下さい。
職業カテゴリ | 就けない職業 | 根拠となる法令 |
---|---|---|
士業 | 弁護士 | 弁護士法第7条5・第17条 |
司法書士 | 司法書士法第5条3 | |
弁理士 | 弁理士法第8条10・第24条3 | |
不動産鑑定士 | 不動産の鑑定評価にかんする法律第16条3 | |
土地家屋調査士 | 土地家屋調査士法第5条3 | |
宅地建物取引士 | 宅地建物取引業法第18条3 | |
税理士 | 税理士法第4条3 | |
公認会計士 | 認会計士法第4条4 | |
行政書士 | 行政書士法第2条の2の3項 | |
通関士 | 通関業法第6条2 | |
公務員の委員長や委員など | 公証人 | 公証人法第14条2 |
公正取引委員会 | 私的独占の禁止及び公正取引の確保にかんする法律第31条1 | |
人事院の人事官 | 国家公務員法第5条3・第8条1 | |
都道府県公安委員会 | 警察法39条2の1 | |
教育委員会の役員 | 地方教育行政の組織及び運営にかんする法律第4条3 | |
団体企業役員 | 日本銀行の役員 | 日本銀行法第25条1 |
信用金庫の役員 | 信用金庫法第第34条2 | |
商工会議所の役員 | 商工会議所法第15条2・第35条 | |
労働派遣業の役員 | 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等にかんする法律第6条3 | |
金融商品取引業の役員 | 金融商品取引法第29条4の2のロ | |
その他の職業 | 旅行業務取扱の登録者や管理者 | 旅行業法第6条の5・第11条 |
割賦購入あっせん業者の役員 | 割賦販売法第33条の2の6項 | |
貸金業者の登録者 | 貸金業の規制等にかんする法律第6条2 | |
質屋を営む者 | 質屋営業法第3条 | |
生命保険募集人 | 保険業法第279条・第307条 | |
下水道処理施設維持管理業者 | 下水道処理施設維持管理業者登録規程第6条 | |
警備業者の責任者や警備員 | 警備業法第3条・第14条・第22条 | |
建築業を営む者 | 建築業法第8条 | |
風俗業管理者 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等にかんする法律第24条 | |
廃棄物処理業者 (一般・産業・特別管理産業) | 廃棄物の処理及び清掃にかんする法律 | |
調教師や騎手 | 競馬法執行規則第22条第25条 |
借金に過払い金がある可能性
20年くらい前から積もり積もった借金が1,000万円になってしまったという場合は、過払い金が発生している可能性が高いです。
消費者金融会社など、ノンバンクが上限金利を引き下げたのが2006年から2007年頃です。
それ以前からの借金の借り入れ金利は、年29.2%まで有効とされていましたが、借り入れ金額が100万円以上なら法定金利は年15.0%です。
支払っていた利息の約半分が、払いすぎた利息です。
利息制限法に則って引き直し計算を行ってみると、すでに借金をすべて支払い終わっている可能性があります。
返済方法によっては借金がゼロになっているだけではなく、払いすぎた利息が戻ってくる可能性さえあるのです。
そのためにも、金融問題に詳しい弁護士や司法書士など法律の専門家に相談するべきです。
多額の借金における6つのQ&A
多額の借金に関するよくある質問を紹介し、その答えを解説いたします。
それぞれ順番に見ていきましょう。
①多額の奨学金を借りて大学に行くことに意味はあるの?
多額の奨学金を借りて大学に行くことには、果たして意味があるのでしょうか?
たとえば自分がやりたいことがあり、そのために大学を卒業する必要がある場合や、自分が勉強したいことがあって大学に行く場合には、奨学金を借りてでも大学に行ったほうが良いかも知れません。
しかし、漫然と大学に行くというだけでは、あまりにも借金の負担が大きいでしょう。
とはいえ、学歴の高さと年収の多さは比例しますので、まずはライフプランを考えた上で、総合的に判断すると良いでしょう。
②借金返済のために不動産を売りたいけど、諸経費はいくらぐらいかかるの?
不動産を売薬する場合には、まず仲介手数料が必要です。
仲介手数料は、売却価格の3%に6万円と消費税を加えた金額となりますので、覚えておきましょう。
また、契約書に必要な印紙税や、抵当権抹消時の司法書士への報酬など、併せて3万円~4万円も必要です。
それに加えて、引っ越し費用も想定しておきましょう。
③1,000万円の借金があると住宅ローンや教育ローンは組めないの?
1,000万円の借金があるからといって、住宅ローンや教育ローンが組めないということはありません。
返済能力が認められる場合や、担保や保証人によっては、これらのローンを組める場合もあります。
資産状況や年収などを踏まえ、一人一人事情は異なります。
ただし、多額の借金があると審査で不利になることは覚悟しておきましょう。
④多額の借金と同額の不動産がある場合は相続すべき?相続放棄すべき?
相続をする時に、多額の借金と同額の不動産がある場合に、相続すべきか相続放棄すべきかも、それぞれの事情によって異なります。
たとえば、今後不動産が値上がりする可能性があるような場所などであれば、相続しても良いですし、逆に資産価値が下落しそうな不動産であれば相続放棄したほうが良いでしょう。
現在の価格だけで見るのではなく、今後の予想も踏まえて判断しましょう。
⑤日本の平均年収400万円で借金1,000万円を無理なく返済するには何年かかるの?
日本の平均年収は420万円です。
もしも、借金1,000万円を無理なく返済する場合、一体何年かかるのでしょうか?
たとえば、各不動産会社が提供する住宅ローンのシュミレーションでは、家賃は年収の25%以内に抑えることを目安としています。
その目安を適用してみると、年間105万円となり、1,000万円返済するには、約10年かかることになります。
ただし、この目安はあくまでも返済上限の目安ですので、たとえばこの半分のペースで返済をする場合には、約19年必要ということになります。
平均年収の人にとって、1,000万円の借金がどれほど大きな負担なのかが見て取れます。
⑥配偶者が隠れて1,000万円単位の借金をしていた場合は離婚したほうが幸せになれる?
配偶者が、隠れて1,000万円台の借金をしていた場合には、離婚したほうが良いのでしょうか?
これは夫婦ごとに価値観や考え方がありますので、正直なところ何ともいえませんが、少なくとも隠れて借金しているという時点で、夫婦の信頼関係は保てていないのではないでしょうか。
ただし、借金返済という意味では、夫婦二人で協力をすれば一人で背負った借金よりも早く返済できるでしょう。
借金をした理由や、内緒にしていた事情、夫婦関係の状態などによって、離婚の是非は異なります。
このような事態が発覚した場合には、夫婦でしっかりと話し合いましょう。
まとめ
平均年収に近い人にとって、1,000万円の借金は多額です。
何十年も返済していかなければならない金額ですので、今後のライフスタイルに大きな影響を及ぼすでしょう。
多額の借金を背負うケースには、さまざまな事情があります。
どのような事情にせよ、万が一借金をしてしまった場合には、少しでも生活に支障をきたさないように、長期ビジョンでの返済計画を立てましょう。
どうしても返済ができないという場合には、債務整理をするなどの方法もありますので、過剰に悲観する必要はありません。
いち早く生活を立て直しましょう。
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※₁お申込み時間や審査状況によりご希望にそえない場合があります。
※お借入れ総額により収入証明書(源泉徴収票等)が必要です。