おまとめローンの審査基準はカードローンより厳しい?
「おまとめローンの審査は厳しいから、銀行カードローンでおまとめを」などとよく言われますが、本当にそうなのでしょうか?
最近は銀行カードローンの審査は厳しくなっているため、複数の借入金をまとめたいと考えている人はカードローンよりもおまとめローンを利用したほうが、複数の借入金の1本化に成功する可能性が実際には高くなります。
この記事では、おまとめローンとカードローン審査の違い、カードローンでおまとめをすることが厳しい理由などについて具体的に解説していきます。
- 執筆者の情報
- 名前:手塚 龍馬(36歳)
職歴:過去7年,地銀の貸付業務担当
目次
カードローンとの違い
おまとめローンにはカードローンの審査ではフォーカスされない審査のポイントがいくつかあります。
おまとめ以外には使用できない
おまとめローンで借りたお金はおまとめ以外には1円も使用することができないのが一般的です。
ローンの審査の際には資金使途も審査され「この使い道にこんなにお金が必要か?」という目線で審査が行われます。
しかし、おまとめローンの場合には、信用情報から他債務がいくらあるのかは丸裸になっているため、資金使途に関して審査されることはありません。
他債務の返済状況も審査される
おまとめローンでは、おまとめ予定のローンの返済状況がとても重要になります。
返済に遅れがあるローンは不良債権1歩手前のローンです。
他社の不良債権をわざわざ自社で引き受けることは普通は行いません。
この点はカードローンよりもおまとめローンが厳しい目線で審査を行う点であると言えるでしょう。
おまとめローンの審査は厳しい?
「おまとめローンの審査は厳しい」とよく言われますが、本当にそうなのでしょうか?
実はおまとめローンはカードローン審査では審査落ちになるような状態の人でも、審査に通過できる仕組みとなっています。
具体的には以下の理由から「おまとめローンの審査はカードローンよりも厳しくない」ということができます。
他債務があっても問題ない
おまとめローンはそもそも他債務が多い人専用のローンです。
審査で不利になる条件の1つとして他債務が多いということが挙げられます。
特に借入本数がすでに3本以上あると多重債務者とみなされ、まずカードローン審査には通りません。
しかし、他債務が多い人の借入を1本化するのがそもそもおまとめローンの目的ですので、おまとめローンの場合には他債務が多いということは全く問題になりません。
金額が多くても金利が高い
おまとめローンは金額が高額になってもリスクに応じて金利が変動するのが一般的です。
「おまとめローンは借入額が高額になるから審査が厳しい」とよく言われますが、高額融資が厳しい人は、高い金利で拾われる可能性があるため、必ずしも高額=審査が厳しいとは言えません。
むしろ、リスクの高い人でも高金利で審査に通過できる可能性があるのがおまとめローンということもできるでしょう。
それほど厳しいわけではない
結論的に言えば、多重債務者であることはそもそも問題にならず、高額になっても高金利で拾われる可能性があるおまとめローンの審査はそれほど厳しいというわけではないようです。
ただし、銀行の審査は消費者金融からの借入がある人は厳しい目線で審査するため、消費者金融からの借入を銀行のおまとめローンでまとめようとする場合には審査が厳しくなることもあります。
就業に関する基準
おまとめローンの審査は厳しくなると言いましたが、もう少し、具体的な内容でご説明いたします。まず、おまとめローンを利用できる方の就業条件から見てみましょう。
各銀行や、消費者金融で、明確に表示されていないこともありますが、専業主婦、パート、アルバイト、日雇いといった方のご利用は、かなり難しいと考えられます。
そもそも、こういった方は、収入の安定性が低い、もしくは無収入と考えられています。
そのため、仮に新規で借入が出来たとしても、50万円以下の小額な金額に限定されることが多いでしょう。
おまとめローンの基準として見れば、審査に通過することは困難ですし、そもそも現在の借入残高が50万円を越えているなら、借入できる可能性は相当に低いと考えられます。
銀行が融資するおまとめローンであれば、年収は200万円以上、勤続年収は2年以上が望ましいですが、少なくとも1年以上は必要です。
審査に通過できる可能性の高い方は、給与所得者(サラリーマン)で、正社員、契約社員として雇用されている方と考えられます。
他社借入に関する条件
次に、既存の借入状況に関する、審査のポイント解説いたします。
借入状況の重要なポイントは個人信用情報です。
個人信用情報に傷があると落ちます
個人信用情報とは、個人向けに融資を行う金融機関が必ずと言って良いほど確認するもので、信用調査会社から提供される、各個人の借入状況に関するデータです。
この個人情報から、それぞれの借入残高だけでなく、借入件数や、カードローンなどの極度額の貸付の場合には、その極度額も判明します。
さらには、過去に延滞していた方や、破産などの債務整理を行われた方は、その履歴も見ることができます。
おまとめローンの審査としては、まず、延滞情報や、債務整理の履歴などがある方(これを個人信用情報に傷があるなどと言います)は、まず審査に通過することが出来なくなります。
多重債務のなかで、返済が困難になったとしても、延滞してしまうと、おまとめ出来なくなってしまうので、注意が必要です。
おまとめを望むのであれば、借り換えが終わるまで、なんとか返済を継続しておく必要があります。
借入件数が多すぎると審査に落ちる?
また、次のポイントとして、おまとめローンが多重債務者の方を対象とした貸付とは言っても、件数が多すぎる方というのは、敬遠されてしまいます。
おまとめローンで審査に通過できる可能性が高いのは、2~3件程度の借入がある方で、4件以上になると、かなり困難になってしまいますので、注意が必要です。
借入件数が多すぎる方は、銀行や、消費者金融から信用されなくなってしまいます。
そのため、借入件数が多くなり過ぎないうちに、おまとめしておいたり、既存カードローンの借入可能枠に余裕があるなら、他のカードローンとまとめてしまうなど、件数が多くなってしまわないように管理されておくのが良いでしょう。
他社への申込が多いと駄目
おまとめローンに限定せず、カードローンなどの審査でも同じですが、他の銀行や、消費者金融などに対して申込件数が多い方は、審査で敬遠される傾向にあります。
これは、審査において、個人信用情報を確認した際に、自分たち以外の方が、その申込人の個人信用情報をどれだけ照会しているかという履歴を見ることができます。
そして、履歴の件数 = 借入申込件数として推測されているのです。この申込件数が多いと敬遠されるのは、「それだけの回数、審査に落ちた」と考えられるからです。
通常、おまとめローンであれば、銀行もしくは消費者金融で1回借入できれば十分ですので、審査に通過していれば、その金融機関の申込に至っていないはずです。
そのため、審査で落ちたために、現在、申込を受けているのだと推測されてしまいます。
金融機関の審査では、常に十分な情報を持って審査できるわけではないので、限られた情報から「推測」しつつ、審査を行います。
そして、他の申込先の審査でたくさん落ちている方は、何かネガティブな情報があると推測されてしまうため、その後の審査に通りにくくなってしまいます。
銀行や、消費者金融では、個人信用情報の内容を、貸付拒否の理由として明言するということはあまりありません。
こういった理由で審査に落ちる場合は、あいまいな理由が説明されるか、もしくは、なんの説明もされないままに、審査に落ちましたという連絡だけが来るもともあります。
審査で嘘をつくと駄目
おまとめローンに借入申込するうえで、やってはいけないことをご説明いたします。
借入申込をする際に、ご年収や、勤務先情報、現在の既存借入残高で嘘をつくということは、絶対に行ってはいけません。
おまとめローンの場合、所得証明書を提出したり、勤務先への在籍確認が行われますので、年収・勤務先情報に関する嘘は、すぐにばれてしまいます。
また、既存の借入状況なども個人信用情報から確認されてしまいます。
もし、これらの内容で嘘をついたことがばれてしまうと、それだけでも、審査に通過できなくなる可能性が高くなります。
銀行や、消費者金融では、嘘をつく方は、信用できない相手として、貸付を行ってもらえなくなるのです。
そのため、年収、勤務先、借入残高など、申込書に記載する内容で、嘘は絶対行ってはいけません。
極甘審査ファイナンスは違法な業者
一般的におまとめローンの審査は通常のローンの審査よりも厳しくなります。
他社からの借入を全て合わせた高額の貸し付けとなりますので、金融機関からすれば貸倒れのリスクが大きくなるため、慎重に行われるからです。
では極甘審査ファイナンスの場合はどうかというと、極甘審査と言っているだけあって審査は他社よりも甘くなります。
しかし、極甘審査ファイナンスでローンをまとめるのはやめておきましょう。
貸金業法では広告に使用しても問題ない文言が決められており、極甘審査という言葉を使用してはいけないことになっているのです。
つまり極甘審査ファイナンスは違法な業者=闇金ということです。
なぜ極甘審査ファイナンスの審査が甘いのかというと、金利が本来認められた数値よりも高く設定されていることや違法な取り立てでなんとしてでも貸付金を回収しようとするからです。
ですので、たとえ審査が甘いとしても極甘審査ファイナンスでおまとめローンは利用してはいけません。
そもそも闇金でおまとめしても、金利が現在よりも高くなりますので逆効果です。
おまとめローンかカードローンか
おまとめを行うメジャーな方法として、おまとめ専用のおまとめローンか、使い道自由なカードローンという2つの方法があります。
両社はそれぞれ審査の基準が異なりますので、まずはその違いから説明していきます。
カードローンは新規貸付と同じ基準
カードローンは何に使用しても自由ですので、おまとめにも使用することができますが、注意しなければならないのはおまとめだからといって、新規で融資を受ける場合と審査基準は変わらないという点です。
カードローンには借りることができる金額が年収の一定範囲内と定められています。
消費者金融は総量規制という法規制によって総額で年収の3分の1以内。
銀行は法的な縛りはないものの、年収の2分の1程度という自主規制を定めています。
銀行でおまとめを行う年収400万円の人が借入できる金額は凡そ200万円程度となりますが、すでに200万円の債務がある人は審査の際には他債務200万円と判断され、この人はそれ以上の金額を借りることができません。
おまとめで既存債務の200万円を返済する予定だとしても、申込段階では200万円の借金があるため、これ以上の借入は不可能なのです。
そのため、年収が多いとか、既存債務の金額が少ないような場合以外はカードローンでのおまとめは難しいといえるでしょう。
おまとめローンは独自基準
銀行や消費者金融にはおまとめ専用のローンがありますが、この商品はおまとめ以外には1円も使用することができないため、すでに借入金がある人もカードローンのように他債務とはみなしません。
このため、年収に対して一定以上の借入があっても審査に通過できる可能性があります。また、消費者金融のおまとめローンは総量規制対象外で年収の3分の1を超える借入も可能です。
ただし、消費者金融のおまとめローンは消費者金融やカード会社などの貸金業者からの借入以外はまとめることができませんので、消費者金融からの借入が多いという人にはおすすめです。
銀行か消費者金融か
おまとめローンは銀行でも消費者金融でも取り扱っていますが、既存債務の内訳がどのようになっているのかによって、銀行を選ぶべきか消費者金融を選ぶべきかが変わってきます。
銀行審査は甘くない
銀行のおまとめローンの審査はそれほど甘くありません。
特に消費者金融からの借入が多い人は、銀行でのおまとめローンの審査に通過できないことが多いようです。
銀行のおまとめローンは銀行からの借入が多い人が利用するのに適しています。
消費者金融おまとめは甘い
消費者金融のおまとめローンの審査は比較的甘い傾向にあります。
既存借入金の返済に遅れがなければ審査に通過するのはそれほど難しくありません。
しかし、消費者金融のおまとめローンは消費者金融などの貸金業者からの借入金しかまとめることができず、銀行からの借入をまとめることは不可能です。
先ほども述べたように、消費者金融からの借入が多い人には有効な方法です。
おまとめにおすすめ商品
おまとめはカードローンでもおまとめローンでも行うことができますが、各社おまとめに対するスタンスは全く異なります。
おまとめは他社の借入金を奪うことができる一方、他社のリスクを負うことにもなるため、銀行や消費者金融にとってはもろ刃の剣となるためです。
比較的おまとめに積極的なローンとして東京スター銀行カードローン・アイフルのおまとめローンを挙げることができます。
東京スター銀行おまとめローン
東京スター銀行はおまとめの他にもリバースモーゲージや不動産担保ローンなど、他の銀行がリスクが高いと忌避するローンの取り扱いに積極的な銀行です。
このため、おまとめにも積極的です。
銀行からの借入が多い人は東京スター銀行のおまとめローンであれば審査に通過できる可能性は高いといえるでしょう。
アイフル
アイフルは大手消費者金融の中ではもっともおまとめに積極的な会社として知られています。
アイフルのおまとめ専用ローン「おまとめMAX」は最高金利が15%ですので、消費者金融から18%程度の借入が複数ある人は金利的なメリットも望めます。
また、おまとめに積極的ですので、審査基準もそもそも審査が甘い消費者金融の中でも比較的甘くなっています。
カードローンでおまとめは難しい
おまとめローンよりもカードローンでまとめた方が審査通過の可能性が高いなどという意見もありますが、これはむしろ逆であると言えます。
現実的にカードローンを利用して複数の借入金をまとめることができるのは、よほど他債務の合計金額が少ないか、他債務の本数が多いかのどちらかの場合だけです。
基本的には不可能であると考えてもよいでしょう。
理由1:そもそも他債務がある
おまとめをしようとする人はそもそも他債務がある人です。
カードローンは他債務に対してはとても厳格に審査を行いますので、そもそも他債務がある人が銀行のカードローンを借りることはとても難しいと言えます。
カードローンを借りた後に他債務を返済する予定でも、審査はあくまでも申込時の借入状況に応じて審査が行われます。
銀行カードローンは年収の半分までしか融資を行いません。
例えば年収400万円の人が200万円の他債務をカードローンでまとめたい場合には、いくら資金使途がおまとめでも、すでに借入可能な枠を使い切っている状態になっていますので、それ以上の金額を借りることは困難です。
理由2:そもそも多重債務
カードローンは2本以上の借入があると審査通過がかなり難しくなります。
しかし、おまとめを希望する人は、そもそも2本以上の借入があるためおまとめを希望しているのです。
このため、おまとめ希望でカードローンに申し込む人は、多重債務者という目線で審査が行われます。
資金使途がおまとめであっても、審査を行う時点の状態で審査をするため、おまとめ後に多重債務が解消されるとしても、多重債務は多重債務です。
このため、すでに複数の借入がある人がカードローンでおまとめを行うことは難しいのです。
理由3:高額借入が難しい
カードローンの審査は現在非常に厳しくなっています。
そのため、そもそも数百万円の高額借入が難しいのが現実です。
多くの銀行が消費者金融並みに他債務との合計で年収の3分の1以内までしか融資を行わないという方向性にシフトしています。
「おまとめローンは高額借入が難しい」などと言われますが、現実には銀行カードローンで高額の借入を行うことの方が難しいと言えるでしょう。
理由4:高額借入は審査が厳しい
また、おまとめローンとは異なり、カードローンは金額が高額になればなるほど金利が低くなる設計になっています。
つまり、高額になればなるほど審査が厳しくなります。
金額が高額になっても高金利で審査に通過できる可能性があるおまとめローンと比較して、この点でもカードローンの審査の方がおまとめローンよりも審査が厳しいと言えるでしょう。
消費者金融のおまとめは簡単
複数ある借入金が消費者金融からの借入金であるのであれば、おまとめを行うことは比較的簡単です。
消費者金融などの貸金業者からの借入をまとめるには、それ専用のローンが存在するためです。
貸金業法に基づくおまとめローン
消費者金融の中には、貸金業法に基づくおまとめローンという商品が存在します。
この商品は、貸金業法という法律によって、多重債務に苦しむ人をおまとめによって救済するために設計された商品です。
消費者にメリットがある融資であるため、総量規制の対象外となっています。
貸金業者からの借入だけ
貸金業法に基づくおまとめローンでまとめることができるのは、消費者金融などの貸金業者からの借入金だけで、銀行などの金融機関からの借入金はまとめることができません。
このため、貸金業法に基づくおまとめローンは消費者金融からの借入本数が多い人が活用できるおまとめローンです。
銀行のおまとめローンで消費者金融からの借入をまとめることについては審査が厳しくなるため、消費者金融からの借入が多い人は貸金業法に基づくおまとめローンで1本化を行いましょう。
審査は比較的甘い
貸金業法に基づくおまとめローンは金利が法定金利ギリギリの15〜18%程度の設定となっています。
このため、審査はそれほど厳しくなく、借入本数が多い、借入金額が年収と比較して多いような人でも審査に通過することもできます。
最もおまとめを行うことができる可能性の高い方法とも言えるでしょう。
ただし、おまとめ対象の借入金の返済に遅れが多い場合や、ブラックの人は貸金業法に基づくおまとめローンでも審査に通過することは難しいでしょう。
まとめ
おまとめローンの審査は厳しいとよく言われますが、カードローンによっておまとめを行うのであれば、絶対におまとめローンを利用した方が審査通過の可能性は高くなります。
カードローンは資金使途がおまとめであったとしても、申込時に他債務が多い場合や、借入金額が多い場合には、多重債務や借入過多などという判断になり審査に通過できないことも珍しくないためです。
しかし、おまとめローンは、そもそもが多重債務や他債務の金額が多い人を融資対象としているため、カードローン審査で問題になる部分がおまとめローンの審査では問題にならないことが多いのです。
このため、おまとめ目的であればカードローンよりもおまとめローンを利用しましょう。
また、消費者金融からの借入が多い場合には銀行でまとめることは厳しくなりますので、消費者金融の貸金業法に基づくおまとめローンを利用した方が審査に通過できる可能性は高いでしょう。
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