口座売買について体験談を交えて徹底解説!時効はある?
筆者の回りには、口座売買でお金を調達したことのある人が数人います。
その中のひとりは先月逮捕され現在罪を償い中です。
何故口座売買は増え続けるのか、そこには個々に抱える問題の違いはあります。
色々調査してみましたが、その結果、口座売買で最も多い年代層が20代から30歳代後半が多く、中でも平成27年までは圧倒的に男性が多く、女性の割合は10~20%位でした。
しかし平成28年くらいからは女性の割合が30%を超えるデータがあります。
その背景には若い人の多重債務者が増えてきたことに原因のひとつがあるようです。
では何故若い人の多重債務者が増えてえきたかについて考えてみましょう。
- 執筆者の情報
- 名前:鈴木桂馬(仮名)
年齢:64歳
職業:ライター(自身も闇金利用経験有)
利用した貸金業者数:30社(内闇金5社:約30万)
この記事はこんな人におすすめ
- 口座売買に興味を抱いた人
- 口座売買をするとどうなるのか知りたい人
目次
口座売買で自首した体験談①
1.当事者の生い立ち
まずは、事件を起こした当事者について触れておきます。
昭和35年生まれ現在52歳、男性。 中田馬五郎(仮名)。
生まれは九州の福岡県で、幼い頃父親が勤めていた炭鉱が閉山になり、本人11歳のときに大阪に出てきています。
その頃の家族構成は両親と妹の4人暮らしで、ごく普通の生活を過ごしていたようです。
小学校、中学校、と地元の学校を卒業して、高校は今ではあまり人気とは言えない工業高校へ進学して、卒業後大阪の私鉄の今で言うメンテナンスを行う所へ就職をしました。
人生の歯車が狂い闇金との付き合いが始まるきっかけは、もうこの頃から芽生えていたようです。
何故なら、就職して自分で給料を手にしてまず経験したのが、酒、パチンコだったそうです。
わずか19歳の若者が「借金」という扉を開いて入り込むことになり始めたときだったそうです。
人の性格や体質は、ひょっとして一生涯直らないものではないかと本人を取材しているときにふと思いました。
今回の逮捕の原因となった口座売買も、自分の欲望、すなわちギャンブル依存症による借金返済のために行ったものです。
同じような事実は高校を卒業後約30年の間に何度もあったそうです。
その繰り返しにおける代償として”離婚”や”親からの勘当”に”退職”等、若い頃から借金とは縁が切れなかったみたいです。
人は人生の中で幾度となく失敗をしますが、成功もあります。
長い人生で建て直す機会も当然あると考えるように、今回の当事者も30年の間に元に戻す機会はあったそうです。
しかし、最終的に自分自身の性格の甘さによって、自分の欲望を抑えることができず、60歳を目の前にして始めてと言えど、警察に世話になることになります。
このように、若い頃から欲望と借金との板挟みの人生で、19歳の借金の始発駅から始まった借金路線の終着駅が今回の”逮捕”ではなかったかと思われます。
2.借金ができる原因はギャンブル
冒頭の本人の生い立ちでも述べてきましたが、若い頃からギャンブル好きな性格で、特に10年前からスロットマシンに夢中になって、仕事での収入のほとんどがスロットに消えていってしまいました。
その段階で自分の愚かさに気づけば、このような人生を歩まなくても済んだことだと思います。
しかし、実際はその敗けを取り返そうとあさはかな考えになり、最初は仕事仲間から少額の借金をしてまた挑んでいましたが、結果、ギャンブルは勝つことより負ける方が多い事実は世間一般的に分かっていることだと思います。
しかし、ギャンブルに限らずその道に没頭する人の考え方や生き方は、全く縁のない人には到底理解し難いことではないでしょうか。
本人も、まだ自分自身の生活許容範囲内での趣味やギャンブルであれば、今回の事件までは発展することはなかったと、ふとため息混じりで漏らしていました。
そんなギャンブルの負け、取り返し、借金の繰り返しを数年行い、もう仕事仲間さえ貸さなくなって、消費者金融での借り入れに挑みますが、人生の半分以上を借金と共に生きてきた人物のクレジットヒストリーでは通常の金融機関や消費者金融ではもちろん審査に通りません。
インターネットで借入先を検索
そんな本人が唯一、借入先等の情報を調べられる手段が「ネットカフェ」で、ある程度は見よう見まねでネットでの検索くらいはでき、そこで検索エンジンに「確実に融資してくれる」「ブラックでもOK」「即時融資」「安心闇金」等の、キーワードで検索して借入先の情報を集めていたようです。
ネットで最初に申し込みをしたのが昨年のクリスマスくらいで、東京の中小の消費者金融に個人情報を流して借り入れをしてみたようで、結果は融資不可能だったそうです。
中小と言っても貸金業者の認可を受けていれば、当然個人信用情報機関へ個人情報の照会をします。 結果は見えていたことではないでしょうか。
普通の考えでは、もう消費者金融でさえ貸さない状況になっていれば、まっとうに働き立ち直ることを考えるはずだと思いますが。本人は普通ではありませんでした。
この段階でも仕事仲間も、含めかなりの借金が体中にのしかかって来ていたようです。
闇金業者から融資の連絡
そんな中、今年の成人式のあと1月17日に、雨で日雇の仕事にあぶれ、3畳一間の簡易宿舎にいたとき、1本の電話が入ったので出てみたそうです。
すると、「本日は融資の必要がないかお電話をさせて頂きました。
私、馬田と申します」と丁寧に名乗ったそうです。
本人にしてみれば、一瞬「やった」と思ったそうですが、ふと我に返ると「審査通りますか?」と相手に尋ねたら、「すぐに審査しますので少しお時間ください」と言って、40分後に電話があり「残念ですが通常の融資では現状は無理です」「そうですか」とあきらめかけたとき・・・・
「使ってない銀行口座を持っていませんか」と聞かれ、持ってないと返答すると「もし持っていれば2~3万は出しますよ」との誘いの言葉があったそうです。
それが闇金との深く、つらい付き合いの始まりになることとなります。
3.闇金への第一歩
17日の電話で、本人は闇金で口座売買の話はあると聞いたことがあったそうですが、”口座売買”でお金を得ることの真実を、身をもって知ることは始めてでした、これが人生の結末への道になるとは、このとき思ってもいなかったと私は感じます。
このような闇金の実態を知り、ネットカフェで情報を検索して、闇金Aへ借り入れの申し込みをしてみると、本人によると”やった”と思ったくらい、今までどこも通らなかった審査が通り、貸してくれたそうです。
しかし、貸付の内容を聞くと元本5万円で、先引き利息15,000円(週に3割)で事務手数料5,000円で手元に35,000円しか振り込まれないそうです。 完済する場合は65,000円になります。
一か月借り完済するときには50,000円の元本に利息60,000円合計110,000返済することになり、いつまでも利息に縛られ、元本完済に至らない状態にもっていくことが闇金のスタイルで、本人はこの事実を勘違いして融資の審査に通ったと思っていたそうです。
これが闇金と深いつながりができ、悲劇の結末の逮捕される日までわずか2か月前の今年1月23日の出来事で、この日から2か月という短い間に、様々な悲劇・違法・恐怖・結末と言ったキーワードの事態が起きてくることは誰も予想していなかったでしょう。
4.闇金の借入先を知った経緯
本人に先月末に取材したときに尋ねたことが、「何社の闇金からどのくらい借り入れできたのですか」と尋ねたら、本人は「最終的に多すぎて、「いつ」「どこから」「いくら」借り入れしたか分からなくなってしまったが、10社くらいから元本にして100万円くらい」借りた事実を言ってくれました。
これだけの数の闇金から借り入れできる情報はどこで入手できたか尋ねると、
このようなサイトから情報を入手して申し込みをしたそうです。
筆者も以前同様の経験をして、記事も出しましたが携帯電話に色々な、闇金からの融資の勧誘が入ってきます。
何故、携帯電話の番号が分かるか筆者も始め不思議に思いましたが、それは簡単なことでネットから色々な所へ申し込みすることでその個人情報が専門の名簿屋に入り、そこから闇金に流れ、携帯電話に入ってきます。
通常の金融機関では多重債務者や他社での借り入れ件数、金額が多い申し込み者には融資できないようになっていますが、今回の借り入れについてはほとんどが無審査・異常な利息で貸付けを行っているので、これだけの数の闇金から借り入れができたと思われます。
5.闇金から詐欺的な借入
今年の1月に初めてヤミ金とのつながりができ、わずか2か月あまりで10社100万円もの融資を受けられたことも驚きますが、その間高い利息の支払い、もちろん元本は完済できることはありません。
10社の闇金とどのように2か月間接触してきたか疑問に感じ尋ねると、これは本人の天性と言うか特技と言うか、話術のうまさで闇金に利息期限の繰延べ等で対応してきていたそうです。
裏を返せば噓のうまさではないでしょうか。
取材でも本人は、今までの人生の中で噓による人生を過ごしてきたことを明確に答えていました。
注目すべき点が、今回逮捕の要因のひとつでもあります。それは詐欺行為による借り入れを行っていたと本人の自供で分かったそうです。
100万円の借り入れはよく考えると、いくら闇金でもまともな申し込みでは融資しないと思います。
どのようにして詐欺的な借り入れを行ったかは現状警察以外分かりませんが闇金を騙して借り入れできる話術があったことにすごさを感じます。
2か月の間利息の支払いのために他社から借り入れしてそれを充てる、いわゆる自転車操業で、自分で自分をおとしめることになっていることに何故気づかなかったかと思います。
利息の支払いに行き詰まった最終的手段として、一部の闇金から次のような指示がありました。
本人も利息の支払いの行き詰まりから、実施することを決意したのです。
1. 銀行口座の売買
2. 口座の送り先の中継
以前筆者も口座売買について記事も執筆した経験がありますが、
今回の本人への取材内容と比べると規模、組織力等の違いや、今、口座売買を行っている人が全国で増加してきていることに驚きを隠せません。
1と2については次項で詳しく報告させてもらいます。
6.闇金の借り入れ条件
本人の記憶がはっきりしている範囲で条件等を聞くことができました。
ほぼ条件は、利息3割から5割(1週間) だそうです。他にも大半の借入先の共通点として
1. 審査らしきものはなかった
2. 身分証明書の送付もなかった
3. 電話と緊急連絡先で借り入れできた
とのことです。
いずれの所も闇金特有の無審査、高利息、短期貸付け、初回は少額の2万から3万(これは借りての返済不能になったときのリスク回避)は闇金の基本でもあります。
7.闇金からの借入相場一覧
ここに明記する内容は本人が逮捕され、事情聴衆でも言った借入先、借入額、利息、口座売買の相手をまとめたもので、逮捕される重要な証拠として取り扱われたリストから取ったものです。
闇金業者 | 利息 | 利息の周期 | 借入元本 | 手元振込 | 利息金額 |
---|---|---|---|---|---|
闇金A | 3割 | 10日 | 355,000円 | 244,000円 | 106,000円 |
闇金B | 2割 | 7日 | 150,000円 | 109,000円 | 30,000円 |
闇金C | 5割 | 7日 | 100,000円 | 50,000円 | 50,000円 |
闇金D | 5割 | 7日 | 130,000円 | 60,000円 | 70,000円 |
闇金E | 2割 | 7日 | 320,000円 | 290,000円 | 64,000円 |
他に4~5人から30万円くらいあるそうで、この数字は元金はともかく、手元に振り込まれた金額については本人の唯一残った口座の通帳から確認させてもらいました。
数字の真実を、確証をすると共に、ひとりでこれだけの闇金を相手にしたことに、更なる驚きと体中に恐怖を感じました。
筆者も過去には闇金からの借り入れ、口座売買の実態を今回と同様なかたちで取材により記事を掲載してきましたが、過去の取材した中で、このような闇金との付き合いをした人はいませんでした。
8.口座売買の現状は利息取立ての手段
1月中旬に始めて(?)闇金からの借り入れを行い、わずか2か月で100万の借り入れをして、自分の年収に近い金額を闇金から借り、その結果がいかになっていくかはテレビドラマや映画のように、うまくまとまることは絶対に有り得ません。
利息だけでも、週に20~30万近くなってきて、不思議なことはこのようになってきて、当事者は「どうのようにして多数の闇金と金額を解決するつもりだったのか」この点について、本人から回答を得ることができませんでした。
想像ですが、当事者は身内、兄弟もなく独り身なためどんな仕打ちを受けても、また逃げてもひとりなら大丈夫だと思ったのではないでしょうか。
しかし、現実は自分が思っているようには決してならなかったようです。
次ページで詳しく報告させてもらいますが、当事者以外にも回りへの多大なる危害、迷惑が連日続いたそうです。
利息の返済のため、同業他社から短期融資の繰り返しをやってきても、最終的にはそれさえ不可能になったそうです。
しかし、偶然にも2月上旬に1月の成人式頃に電話があった馬里という人物から電話があり「どうですか融資できますけど口座ありますか」と、偶然とは怖いものだと思いました。
その頃の心境について、さすがの当事者も「ヤバイ」と思い、既にもう闇金からの借り入れさえできない状態で、自分で返済しなくていい資金は「口座を売る」ことで利息返済資金を調達するしかないという誤った考えになり、口座の新規開設がこの頃から始まっていきます。
9.口座売買による収入
馬里という人物から電話があったときに本人は、頭のすみに「いくらで売れる」かというあさはかなことが走ったようです。
実際その電話から3~4日後に馬里という人物に当事者自ら電話を入れ、交渉したそうです。
馬五郎:「口座を作りましたがどうしたらいいんですか」と尋ねてみると 馬里 :「どこの銀行ですか」 馬五郎:「F銀行です」 馬里 :「ネット銀行はそんなに出せません、すぐに止まるため」 馬五郎:「ではいくらですか」 馬里 :「2万です」 馬五郎:「それでもいいです。どうしたら振り込みしてもらえるんですか」 馬里 :「ネット銀行ならキャッシュカードはいりません、ログインパスワード、乱数表の数値を教えてもらい、こちらで使えるかチェックして確認できたらすぐに振り込みます。振込口座お願いします」 |
こうして、先方の指示通りパスワードと乱数表の数値を教えて、3時間後に自分の口座に2万円振り込まれてきたそうです。
この一件が、闇金の底なし沼にはまっていくきっかけになっていったようです。
10.資金調達のために続く口座開設
F銀行の口座を売ったことによる振り込みが2万円あり、そこで普通はその2万円から少しでも利息に充ていくように考えますが、当事者の考えはそうではなかったのです。
口座代金が入金されたことは、仕事の休憩時時間にスマホのアプリから確認して、仕事が終わると一目散にコンビニに行って2万下ろしてパチンコ屋に行き、スロットの前に座ったようです。
彼のあさはかな手段としては、「どうせこの2万だけでは、全部の利息を払えないと思い」この資金元手にスロットで増やそうと、意味の分からない行動に出ていき、結果、「また負けた」のはお分かりの通りで、売ったお金は1円も返済に充てられずパチンコ屋に消えていったようです。
いつも負け続けていたら、当事者もあきらめていたかも知れませんが、たまに10万円以上勝つときがあったので、その余韻がいつも体から離れなかったことが、今回の事件の一番大きな原因かも知れません。
当事者の考え方の基本が、取材でも言っていましたが「何とかなる」で19歳から今まで生きてきたようです。
スロットに負けたときにも「また口座を作って売れば金はできる」と、さも口座売買が違法ではないようにさえ思えてくる行動でした。
2月中旬には利息の支払いで延滞による、督促が一段と強くなってきたので当事者も急いで新規口座を開設して売却代金を利息に当てる決心をして、まず自宅の近くの銀行から開設していきます。
G銀行 | H銀行 | I銀行 | J銀行 | K銀行 | |
---|---|---|---|---|---|
売却時期 | 2月中旬 | 2月中旬 | 2月下旬 | 3月中旬 | 3月中旬 |
売値 | 40,000円 | 60,000円 | 50,000円 | 30,000円 | 30,000円 |
送り先 | 福岡県博多 | 福岡県博多 | 福岡県博多 | 東京世田谷 | 東京世田谷 |
買手 | 闇金A | 闇金A | 闇金A | 闇金C | 闇金C |
人は色々な性格があり、その性格もいい面や悪い面と両方あり、いいとこは伸ばして、悪いとことは直していくことで成長してきます。
しかし、今回の当事者のように若い頃から自分自身のすすむ道が間違いだらけで、自分の愚かさにも気づかず、現在まで生きてこられたことに、今回当事者の”運の強さ”という言葉が適切かどうかは分かりませんが、感心させられます。
11.銀行からの通告
わずか1か月の間に5銀行のキャッシュカード、通帳、乱数表、トークン等を渡して得た金額は21万円になりそれのほとんどが利息に充てられたようです。
買った闇金もその口座を早速利用しているようですが、詐欺等に使われるのかについては分かりません、
現在警察の方で、詐欺等に使われ被害者が出ていないか、調査しているようです。
もし、振り込み詐欺等に使われて被害者が出ていたら、口座売買だけの罪に被害者の分まで加わり重い罪になるでしょう。
闇金が個人口座を利用する頻度はひとつの口座で、1か月くらいで、その間に契約者からの利息、元金等集中的に振り込みに利用していきます。
銀行は、この異常なお金の出入りと、様々所からの振り込みが続いている、状況に違和感を抱いて本人宛に口座状況の確認の連絡(手紙)があり、不審だと思われたら添付のような口座利用停止通知が届きます。
現在は全国銀行協会システム等により詐欺等に利用された情報は一斉に各銀行に流れて、一瞬にして他の自分の口座も凍結させられて二度とその銀行では口座開設ができなくなります。
当事者も次のように各銀行から通知が届いたそうです
銀行名 | 届いた日 | 通知内容 |
---|---|---|
G銀行 | 2月末 | 利用停止通知 |
H銀行 | 2月末 | 利用停止通知 |
I銀行 | 3月6 | 利用停止通知 |
J銀行 | 3月中旬 | 利用停止通知 |
K銀行 | 3月中旬 | 利用停止通知 |
以上のような銀行の処置に対し、当事者は今後罪を償い社会復帰するときに色々と生活するうえで、銀行の口座が必要になってきますが、口座を開設することは、今回の件でかなり難しくなることだと思います。
12.闇金にとって口座は使い捨て
筆者が以前口座売買の取材をしたときに、元闇金の幹部からの証言で闇金の利用する口座は、
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このような条件で口座を開設させて、1か月から2か月利用して、次の個人口座を使うようです。
そのために闇金はひとつでも多くの個人口座が必要になり、自分たちの安全確保のために、決して口座と携帯電話は長い間同じものを使用しません。
13.自首の決断
3月に入り、ますます闇金への利息の支払いが困難になってきて、3月8日に当事者とその友人と筆者で本人の今後のことを相談して、さすがの当事者もこれ以上はどうしようもないと覚悟して、自首することになりました。
そのときにもっと早い時期なら、まだ方法は他にあったかも知れませんが、今となってはかなり遅い気はしました。
それから、出頭する3月20日の勾留される、運命の日まで毎日半日以上にわたりこの記事の取材を行いました。
最終的に取材が完了したのが3月17日の深夜で朝まで3人で飲み、語らい、真夜中の静まりかえった部屋の中で3人の声がやたら楽しそうに響いていました。
14.司法の助け
今まで強運な人生を送ってきた当事者には、まだその強運が残っていました、口座売買という犯罪に対する罪の償いは、何らかの結果が警察から言われることだと思います。
それに対しては素直に償うことにしていました。
もう一つの懸念材料が、利息も含め支払いをしなかった、多くの闇金からの、取立ての恐怖に対して、自分はしばらく警察の中にいるため安全はどこよりも確保されていますが、借り入れするときに緊急連絡先を言った友人などの電話に本人に連絡が取れない分、代わりに督促や居場所の確認、嫌がらせ等が押し寄せる可能性がありました。
そんなとき、筆者がいつもお世話になっている会社の、社長さんからの情報で、区民会館で闇金など、債務の無料相談をやっていることを教えられ、「無料相談だから大して力にならないのでは」と思いましたが、相談日が2日後であったので期待せず何か得るものでもあればと思い、当日相談に行ってみました。
それが、勾留されて5日後の3日24日のことでした。
相談に行き、そのときの担当は司法書士の先生でした。
そこで4~5日半分徹夜取材状態だった記録に基づいて説明して状況確認のために本人との面会も行い、出された結論は司法書士の先生が窓口となり、闇金への返済不能の連絡や法テラスを通じて弁護を行い、当事者は現状では自己破産することで闇金や他の債務から整理できる方法として最適と判断され、警察と司法の管理下に保護されることになりましたが、ことは全てうまく行きませんでした。
15.組織力の闇金の取立て
勾留される日まで毎日数十件の闇金から督促の電話があり、最初の頃は電話に出て曖昧な回答をして対応していたようです。
しかし、闇金の方も曖昧な回答では当然収まりません。
電話での督促の内容も当事者が何かあったときと思い、録音していたものを聞くと・・・・
ここでは掲載できないような恐ろしい言葉による督促が、当然のように連日続けられていたようです。
3月の10日頃から電話に出ないようにすると、その後当然のように第三者への同様な督促が続いていきます。
連絡が取れないようになってから、闇金の次の行動は素早いものだったようです。
今回の闇金はほとんどが東京に拠点をおく所のようで、そこから連絡が取れなくなってから、取立て人らしい人物が自宅に来るまでそんなに時間が掛からなかったようです。
元闇金の幹部に聞くと全国に取り立て専門業者がおり、そこに頼むと即時に取立てに行く組織があることを知りました。
このような事態になることは当事者が一番分かっていた(?)ことでも、第三者への被害については口座売買の罪より重い罪ではないでしょうか。
16.第三者への恐怖の督促
当事者の話によると、今回の督促に絡む第三者は4人で全て友人や仕事の関係者で、共に本人に無断で連絡先を闇金に伝えて借り入れするときの条件にしたようです。
この中には会社の番号も教えたために会社への督促や回収もあったようです。
この事実は、自分が犯した犯罪で第三者を巻き込み、その人たちの生活の安定をも壊すようになってきたことが、今回の最大の罪ではないかと思います。
今後、この人たちにどのようにして謝罪していくのかは警察の裁きのあとになることにだと思いますが、あとの人生の中で正直という言葉で誠心誠意を持って謝罪、償いを人としてやってもらいたいものです。
口座売買で自首した体験談②
大阪の中央区の中堅運送会社に勤めていた、27歳のOLは口座売買による法的な償いにより、自分にとって厳しい現実の裁きを経験しました。
それは自分が生活するうえで「生活のインフラの断絶」というくらいに重要なことです。
口座売買により、表の法的罪の償いと、裏の生活のインフラ断絶という、2つの償いを自分の生涯償うこととなり、表の償いは時期が来ると解放されますが、裏の償いは 解放の時期が分かりません。
これは自分にとって最も厳しい裁きになることは間違いないです。
1.法的対応
この女性の場合 、昨年10月から12月にかけてりそな銀行と三井住友銀行の口座をネットでヤミ金に売買したことにより、その中のりそな銀行の口座が振り込み詐欺に悪用されたことが発覚しました。
結果、前の項で説明しました。
警察主導型により各銀行や関係先に通達が回り一斉に自分の持っている他の口座も含め凍結させられました。
その結果現在まだ警察で他の被害などを調査中ですが、本人によると近々起訴される予定で、その後の状況はまだ判断できないとにことです。
今回の犯罪は初犯で、自分自身で出頭して、全てを正直に告白して反省もしているのために、法的な裁きはある程度軽減されるのではないかと関係者に言われているそうです。
その最終結論はこの一か月の間に決まるそうです。
2.法的な裁きよりつらい、隠れた裁きのつらさ
本人によると口座の売買は法的には違法だと思っていたみたいですが、これほどの結果になるとは本人も分かっていないかったのが一番怖い状況です。
しかし、今まで見た売買経験者はほとんどが同じ状況でした。
現在は法的な最終の判断が下されるまで待つ状態ですが、現在法的な償いよりつらい裁きに対して、苦悩する日々を迎えて今までにない悲痛の状態になっています。
これも、もとをただせば「1枚の口座2万円」で売ったことにより、法的には前科に等しいくらいの「刻印」が押され、実生活では全てを失い、生活の維持が困難な状態になっていきます。
余りにも自分自身にとって一生の中での損失が大きいか分かってほしいものです。 27歳の人生で!!
3.本人の告白
自分の持っている銀行口座の凍結により、自分の生活にここまで影響するとは人は、予想はしていませんでした。
その中の苦しい状況を本人の告白により紹介させて頂きます。
◆ 給与振込ー 自己都合退職
勤めていた中堅運送会社の給与は、本人が売った口座の他に給与振り込み用として持っていた、ゆうちょ銀行へ毎月振込でいました。
しかし銀行口座が一斉に凍結され、ゆうちょ銀行の口座も同時に凍結されました。 それにより毎月振り込まれる給与が振り込みができなくなり、会社から別の口座の申請をするように言われ、一番早く処理のできるネット銀行のイオン銀行へネットを通じて申し込みをしていました。
それから約1週間後 ネットでの返事で「口座が開設できません 」との返事が届きました。
もう一か所、地方銀行への新規口座開設の申し込みを店頭でしてみましたが、同じく口座開設は不可能でした。
このような状況をどのように会社に説明するか、考えた結果会社に「現金払での支払いをできないか」相談してみました。
しかし、会社の返事としては、「何故口座が開設できないか」と尋ねられて仕方なく事実を説明することになりました。 その結果、途中色々なやり取りはありましたが、最終的に自己都合退職に至りました。
ここで考えられるポイントとしては
① 何らかの事情で口座開設ができないような人材を雇用することは会社の規定上難しくなります。
② 本人ひとりのために特別に現金渡しはできないと思います。
③ 会社の規定にそぐわない人材は退職もやむを得ない 状態になってきます。
◆ 日常生活のインフラの断絶
現在社会において日常の生活の中で、支払いというのは公共料金を始め、携帯電話、通販等ほとんどが銀行口座からの引き落としが主体です。
本人の話によると、携帯電話などはクレジットカードか口座引き落としではないと契約の継続ができないとのことで現在は携帯電話が持てない状態になっています。
銀行からの口座凍結通知
この通知が届くと同時に日本預金機構は不正口座の情報として公告が一斉に流れます。
参考URL:http://furikomesagi.dic.go.jp/
情報を受けた銀行は対象者の口座がないか調べ、もし対象者の口座があれば、速やかに口座凍結を行います。
これにより自分の持っている他の銀行の口座も一斉に凍結され利用できなくなります。
Q&A:口座売買に関する質問と回答!時効はある?
口座売買がどれだけ大きな犯罪であるかを伝えることができたでしょうか。
口座売買に対するよくある質問に答えていきますので、参考にしてください。
口座売買は犯罪!
口座売買に対して、どのような認識を持っているかは、人それぞれではないでしょうか。
自分の持ち物を売買するのだから、別に問題はないのではないかと思う人もいるでしょう。
お金が手に入るならと使っていない口座を、不用品を売却するような小遣い稼ぎ感覚で売ってしまう人もいるようです。
しかし、口座売買は立派な犯罪であるため、絶対に行ってはいけません。
実際に口座売買をすると、どうなるのかを見ていきましょう。
口座売買による法的処罰
今まで取材も含め口座売買を行った人に会ってきましたが、ほとんどの人が口座を売る時点で法的な処罰やあとのことなど頭の中にない状態です。
ここでは注意勧告の意味で、口座売買の法的処罰を少しあげてみますので、今口座を売ろうとしているあなたはこのような刑罰を受けることを覚えておいてください。
① 裁判で口座売却が詐欺罪(通帳詐欺)になったとき
(刑法246条1項) 「人を欺いて財物を交付させたものは」 10年以下の懲役に処する と規定しています。
② 売った相手と共犯(共同正犯)の疑いがあるとき
起訴され6か月以上5年以下の懲役です。
また、別の罪状として収益移転防止法違反に値した場合は(第27条2項)1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金刑になります。
私の友人の場合を参考にしてみると、友人は自ら罪を認め自首したことで刑が軽減され(刑法第42条1項) の判例では、略式刑で懲役刑は免れると思います。
このように口座を売るということは、法的にかなり重罪になることを覚悟のうえで行動をしてください。
口座を売るということは法的処罰だけではなく自分自身の一生涯を棒に振るような隠れた処罰も出てきますので、それを踏まえたうえで今口座を売る予定のあなたへ忠告します。
口座の売買はすべきではありません。
銀行口座の凍結
もし、ヤミ金に口座を売った場合には1か月から2か月くらいで銀行から問い合わせがきます。
何故なら本人の居住地以外で多数の振り込み、出し入れ等の状況に銀行もそれに対しての問い合わせを行い不自然と判断されると口座停止通知が届き、取引停止となります。
それと同時くらいに銀行協会や日本預金機構に口座凍結の情報が流れ、預金機構は凍結情報を公告します。
その情報は銀行協会加盟の全ての銀行に流れて、売った口座以外で他の銀行口座も全て凍結されます。
その結果は、自分が生活するのに、現在社会で口座の重要性は口座凍結後に痛いほど分かるようになります。
そのような状況になると一番生活の面で困るのは給与の振り込みです。
現在は日雇労働者か日払い派遣等といった所以外の勤務先は、ほとんどが給与振り込みになっており、口座が持てないと同時に通常の会社やバイト先に勤めることができなくなります。
今回取材の中で何人かの口座を売った人に話を聞くことができました。
殆どほとんどの人が次のような共通のことがあります。
① 自分の口座も凍結される
売却した口座だけでなく、日常的に使っていた自分名義の口座が凍結されて使えなくなってしまいます。
給与が振り込まれない、自動引き落としができないなどの不都合が生じるため、様々な弊害が起こり始めてしまいます。
② 新規口座の開設ができなくなる
今使っている口座が使えないのであれば、新しく口座を開設すればいいじゃないかと思うかも知れません。
しかし、口座売買をしたという事実が、銀行に知れ渡っているため、新しく口座を作ることはできません。
③ 半永久的に口座が持てない
一時的に口座が持てないだけであれば、一定期間を乗り切ることができれば良いでしょう。
しかし、今後は半永久的に口座が持てない状態になってしまいます。
また、口座の売買を行う可能性を疑われるため、仕方のない処分と言えるでしょう。
④ 退職に追いやられる
幾つかの会社、バイト先に面接しあと給与振込の口座がないために採用されなかったことが何度かありました。
振込の口座がないためにこのような結果になることは、売る段階で分かっていると、当然ヤミ金への接触はしないでしょう。
色々な法律家の意見やアドバイスを聞いても半永久的に口座は持てないとの見解がほとんどです。
携帯電話の契約もほとんどがクレジットカードか口座引き落としで、クレジットカードも口座がないと作れません。
このように現在の生活においては、銀行口座がないとほとんどの契約が不可能となってしまう可能性があります。
ヤミ金にお金の相談は絶対しないことを重ねて忠告します。
口座売買が罪になるケースとならないケース
一口に口座売買とは言っても、状況によっては罪にならなないことがあります。
罪にならないケースを紹介するからと言っても、口座売買を推奨しているわけではありません。
飽くまでも、犯罪に巻き込まれることを避けるための知識だと考えましょう。
罪になるケース
最初から他人に売却したり、貸したりする前提であるのに、銀行に黙って口座を開設しただけで詐欺罪となります。
また、既に開設済みの口座を売ったり、譲渡したりすると犯罪となります。
罪にならないケース
では、今度は罪にならないケースを見ていきましょう。
罪にならないケースのひとつ目は、通帳やキャッシュカードを渡した相手が、他人になりすまして悪用としていることを知らなかった場合となります。
仮に相手が、趣味で全国の銀行キャッシュカードを収集しているのだと噓を吐いていたとしても、本当にコレクターだと思っていたのであれば罪に問われません。
また、もうひとつのケースが、通帳やキャッシュカードを誰かに渡さなければならない正当な理由がある場合です。
この問題で重要なことは、自分は正当な理由があると思っていたというだけではなく、一般的に考えて正当な理由があると判断されるかどうかになります。
口座売買に狙われやすい人とは
口座売買に狙われやすい人は、やはりお金に困っている人でしょう。
冷静な判断ができる状態であれば、自分の個人情報が詰まっている通帳や、キャッシュカードを誰かに渡すのは気が引けるでしょう。
しかし、お金がどうしても必要なときは、とにかくお金を準備することを優先してしまいます。
ふだんは警戒することでも、恐らく大丈夫だろうと考えてしまいがちですので注意しましょう。
買われた口座は詐欺に利用されている!
それでは、買われた口座はどのようなことに使われるのかと言うと、オレオレ詐欺などの振込先になります。
詐欺に使われる口座は、警察などに通報があった時点で使えなくなりますので、いくらあっても足りません。
そこで、ヤミ金からお金を借りて、返済ができなくなった人などに声を掛けて、口座を集めます。
ヤミ金からお金を借りると、借りる前よりも苦しい生活を送ることになるため、ふだんなら口座を売却しないような人でも、売却せざるを得ないと思ってしまうでしょう。
例えばヤミ金で、初回5万円借り入れした場合
- 先引き利息1万(一般的には週2割)
- 事務手数料5,000円
手元には3万5,000円しかありません。
元金会わせて10万以上の返済になり、1年間では膨大な利息になり払うことになります。
返済ができないときに口座売買の話を打診されることがあり、それに乗じて口座を売った場合「そのあなたの口座が振り込み詐欺等の特殊詐欺」利用され、特に高齢者に多額の被害が出ていることは覚えておきましょう。
平成28年の振り込み詐欺・特殊詐欺認知・検挙状況
「被害届」
(1) 情勢全般
○ 認知件数は14,151件(前年比+327件、+2.4%)で、前年から微増。被害額は406.3億円(-75.7億円、-15.7%)と2年連続で減少したものの、依然として高水準。
○ 既遂1件当たりの被害額は、306.9万円(-70.5万円、-18.7%)。
○ 8道県において被害額が半減した一方で、神奈川、愛知、大阪など一部の大都市圏では、認知件数が増加しています。
被害額のいずれも増加しています。
こうした被害届を提出している人の多くは高齢者で1件当たり300万もの被害にあっています。
高齢者がこつこつ貯めたお金が、詐欺にあってだまし取られるための道具に「あなたの売った口座が利用されて」いるかも知れません。
口座を犯罪に利用されないためには
自分の口座が他人の手に渡ったときに、どれだけの被害が出ているのかを知ったら、次は犯罪が起こらないように対応することが重要です。
仮に売買していなくても、紛失した口座が悪用される可能性が十分にありますので注意しましょう。
口座買取サイトや掲示板に惑わされない
甘い誘いには十分に注意してください。
どれだけ優良そうに見える口座買取サイトであったとしても、口座を売買することは犯罪です。
また、掲示板で口座を売ってほしいとなどと、コメントしている人とも接触してはいけません。
違法金融からお金を借りない
既に紹介しているように、ヤミ金融業者などからお金を借りると、法外な金利のせいで借金地獄に陥ってしまいます。
借金を返済できなくなると、口座の買取りを持ちかけられ、滞納しているために断りきれなくなってしまうでしょう。
お金を借りるときは、正規の金融機関からだけにしてください。
通帳やキャッシュカードは厳重に管理
通帳やキャッシュカードは、紛失や盗難の被害に遭わないように、厳重に管理しなければなりません。
落とした財布の中に入っているキャッシュカードを悪用される機会は、ほとんどないと思うかも知れませんが、悪用を考えている人の手に渡った場合には危険です。
紛失したことに気づいた時点で、金融機関に電話して利用できないようにし、警察で紛失届を提出するなどの対応を行ってください。
また、信用できる人だからと言って、簡単に人に通帳やキャッシュカードを渡してはいけません。
詐欺には引っ掛からないと思っているかも知れませんが、詐欺師は人に信用されるように振る舞いますので、誰にも渡さないことが最も安心と言えるでしょう。
金に困って口座を売る前にできること
借金問題に苦しんでいるのであれば、口座の売買を考えるよりも、債務整理を検討するべきです。
口座を売却することで手に入る金額は、借金総額に比べると微々たるものでしょう。
一時しのぎにはなりますが、根本的な解決になりません。
借金問題の解決を真剣に考えるなら、専門家に相談することが一番です。 債務整理に強い弁護士事務所に相談するなどして、早期解決を目指しましょう。
なお、無料相談を実施している弁護士事務所もありますので、気軽に問い合わせてみてください。
口座売買の実態
口座売買を行うことで、自分だけではなく多くの人に被害が広がってしまうことは分かったことでしょう。
ここからは口座売買の実態を紹介していきます。
1.若い年代の口座売買増加
口座売買が増える、つまり口座を売る人が増える、では何故口座を売らなければいけないか?と突き詰めていくと、最後にたどり着くのは「貸してくれる所が、ヤミ金しかなかった」という回答がほとんどです。
その結果どのようになっていくかは大体同じケースです。
◆ 利息を払うためにまたヤミ金から借りる
◆ 利息を払えなくなったために口座売買で払った(払わされた?)
問題として考えられることは、何故ヤミ金から借りないといけないような状態になったか、借りた結果口座売買までに発展していくことに問題があると思います。
その問題のひとつとして考えられるのが、若い人の多重債務増加で、今は容易にクレジットカードが持てまた簡単決済で後払い等の買い物をしやすい環境にあります。
その簡単さに買い物しすぎたり、高価な携帯電話に様々なオプションを付けたり毎月の分割支払いを滞納するなどを繰り返した結果、多重債務者になるようです。
そして通常の金融機関から借り入れできない状態になり、ヤミ金に手を出すようになります。
2.理解していない罪の重さ
今までの調査で口座売買へ発展するケースとして以下のような場合がほとんどです。
① ヤミ金の毎週の利息が払えなくなったとき、ヤミ金から口座売買の話を持ちかけられる。「口座を売るなら2万くらい出しますよ」等の・・・誘いによる売買 |
② ヤミ金に融資の相談をしたとき、「融資はできるが毎週の返済用にあなたのカードか口座が必要です」という融資できることを条件での口座を渡す。・・・安心感をつのらせる売買 |
③ 自分がお金を調達しないと行けなときにSNS、メール電話で「どこよりも高く口座を買いとります」の連絡が入り、お金が必要なために電話してしまう・・せっぱ詰まった売買 |
どのケースにも共通しているのが、自分自身が「せっぱ詰まった」状態にあり、ヤミ金側からすれば好条件の状態にあるということです。
その結果、目の前の自分の状態を何とか乗り越えることができればと、後先のこと等、ましては口座売買が法的にどのくらいの罪で刑罰がどうなるか等はそのときには考えもしていないと思います。
そのときあなたは「ひとつ口座を売ってもまだ他に給与振り込み用の口座もあるので大丈夫」と思っていませんか、それは大きな間違いです。
全ての口座が生涯使えなくなり、新規のどこの銀行口座も開設できません。
既に紹介してあるように、口座売買は自分が思っているよりもかなりの重罪です。
裁判で詐欺罪などが適用されれば10年近い実刑等もあります。
更に法的な償い、裁きは当然ですが自分の生活が生涯不便になるような、見えないつらい償いも発生することがあります。
それについては最後の項目で実体験談を紹介しますので、是非、最後まで目を通してください。
3.口座売買の被害額
次の警察庁のデータでも分かるように、ここ3年間の口座売買の発生件数が5000件を越えてきて、昨年28年度は7000件近い件数で金額も200億を越えるようになってきているようです。
この200億円という金額は一般の企業の売上げではありません。
これはほとんどがヤミ金や詐欺グループによる振り込み詐欺等詐欺用の口座として利用された被害金額で、今口座を売却しようとしている人へ忠告です。
あなたの売った口座により200億円という金額がお年よりや多くの人からだまし取られています。
警察庁HPより
4.口座凍結件数
自分がふだん使用している口座は、口座を売ったことがある方も売らないようです。
売るために新規に口座の開設を行うか、冬眠口座という長年使用していない口座をヤミ金に売るケースが最も多いでしょう。
各銀行は1日で異常なほどの入出金、振り込みのある口座を銀行内のシステムでチェックして要注意口座としてしばらく調査します。
内容としては、例えば口座の開設店が大阪A店でその口座に、1日の振り込み入金額が個人名で1件1万から5万位で100万単位であり、その後出金をしているのが毎回東京のA店や福岡のB店だったりなど、口座の動きに異変を感じたときには速やかに「口座凍結通知書」を口座の所有者と関係先に送付されます。
次のデータが示すように口座売買の発生件数とリンクするように凍結されている口座があることが分かります
※警察公式ページより
警察はこれらの犯罪性にある口座を警察庁の「口座凍結名義人」リストに載せ、犯罪性について調査します。
また疑問に思われるかもしれませんが、自分が直接ヤミ金に売った口座ではないのに何故凍結されるのかと疑問になりますね。
それは各銀行は、自分の所の口座も犯罪に利用されたのではと判断して口座凍結を決断します。
それは法的にも認められていることです。
既に説明ししていますが自分の口座を売るということは、自分が想像している以上に法的な罰や他の自分の口座へ影響してきます。
口座凍結の流れ
口座凍結には2つの次のようなケースがあります。
1.警察・銀行主導
① 警察の主導型
個人の口座が何らかの犯罪に関連している疑いがあれば、全国銀行協会に「捜査協力依頼」を出します。
銀行協会はその情報に基づき各銀行へ通達します。
② 銀行主導型
口座の所有者から銀行へ紛失や盗難の連絡があった場合、警察に連絡と同時に 口座凍結を行い、全国銀行協会に連絡して、各銀行へ情報を提供します。
各銀行は匹敵する名義人名の口座がある場合名義人へ「口座凍結通知書」を送付します。
銀行から口座凍結通知書が送られてくると、もうあなたの口座は「出すこと」も「入金すること」も 「振り込み」することもできません。
2.凍結口座の解除
警察主導型であっても銀行主導型であっても口座凍結リストに載ってしまうと、口座の解除はほぼ不可能です。
もし、銀行に相談に行って銀行が解除可能と返事をしたとしても、最後に言われるのは「警察が解除できれば」という条件がつきます。
警察に相談に行くと警察で言われるのは、「あなたは違法なことを行いやって、いけないことを犯したので簡単には解除できません」だと思います。
一度銀行口座を凍結されると自分の生活において全てに支障が出てきます。
例えば、携帯電話の引き落とし、公共料金の引き落とし、他の支払い等口座引き落としが一般的ですが、一番大切なのは給与振込です。
もし、口座が止まった場合あなたはどうしますか?
会社の方に手渡しで、給料お願いしますか?
会社は当然他の銀行口座を出すように言われます。
そんなときにどのように対応しますか。
「口座凍結になり口座が持てません 」と正直に言いますか?
もし、そのような発言を聞いたら会社はどうするでしょうか。
最近の筆者の回りで同じような事例で自己都合退職させられたケースがあります。
それだけ銀行口座を持てないということは、自分の生活ラインを遮断されるようなものです。
そんなことは口座を売る前に誰も考えてないと思います。
この記事を読んで、口座売買の実態を知ったのなら、絶対に口座を誰かに渡してはいけません。
3.口座凍結広告
振り込み詐欺の多発により平成20年6月に施工された「振り込み詐欺救済法」で口座売買によってヤミ金に渡り、振り込み詐欺に利用されて被害が出た場合に、その被害者を救済する目的において制定された法律です。
流れとしては、
[口座を売った当事者] ➡ [銀行へ盗難、紛失届] ➡[銀行は口座凍結処理] ➡「預金保険機構へ連絡」 ➡ [預金保険機構は詐欺被害の広告を告知] ➡「各銀行は広告告知を見て該当口座があるときは凍結処置及び通知」 |
振り込み詐欺被害にあった当事者は、自分の口座のある金融機関行き被害申請を行い、認可されるまで90日くらいは掛かります。
{支払い額} 口座売買による口座で詐欺に利用された口座残高や被害者の数によっても支払い額は変わります。
口座売買口
① 口座売買による口座が利用された口座へ振り込みをされた金額が、その振込口座に全額残っていたら全額返金「振り込み詐欺が電話で指定する口座(口座売買による)に100万振り込んでまだ振り込んだ口座の残高が100万出ていたら全額返金」
② 犯罪口座に残高が振り込んだ金額より少ない場合は金融機関はそれを補塡する必要はなく残高を被害者の数で分配する。
③ 犯罪路用口座残高が1000未満の場合は支払いの対象にはならない。
自首から実刑までの流れ
友人は10社くらいのヤミ金から借り入りを行い、利息だけでも相当な金額になり、返済が滞りました。
その結果どうなるかと言うと、当然、朝が来るのが恐ろしくなっていたそうです。
今の法律では夜の取立てや勤務先への強引な取立ては法律で禁止されています。
そのために友人も夜は一時的に安どできたそうです。
ある日3人だけで相談して、地元の警察へ出頭し保護してもらうことに本人を説得しました。
それから2~3日後に出頭、これから本人も経験のない体験をすることになります。
1.出頭から取調べの流れ
「留置所」
出頭した日は、朝から気持ちとは裏腹に快晴で、近所の食道に入り3人で朝食を取り、時計を見ると9時を過ぎていたので、もうひとりの友人が「行こうか」と声を掛け、店をあとにしました。
そこから5分くらいな所に警察署があり、入り口に警官が立っていて「どちらへ行かれますか」と訪ねられたので、「ヤミ金に口座を売り出頭しました」と言うと「生活安全課に行ってください」と言われ、案内通りに行きました。
対応してくれた生活安全課の刑事に出頭した理由を話すと、テレビドラマで見るような取調室へ案内されたそうです。
その日から約2か月以上にわたり取調べが行われて、留置所での生活が始まりました。
留置所暮らしの中で本人が助かったことは、取調べの最中にもヤミ金からの督促の電話がなり、そのときに担当刑事が電話に出てくれて、「大阪府警〇〇署やけどお宅の件で取り調べ最中」と答えると、以後そこからの督促がなくなったことだそうです。
また自分の携帯も当然調べられ、ヤミ金の電話番号も全て調べられとのことでした。
刑事から確認の電話をされると途中で電話を切ってしまう等、警察という名前の威力を感じたそうです。
取調べはヤミ金への接触の原因から始まり、想像を絶するような膨大な取調べになり、この時点で警察庁の口座凍結リストに登録され、銀行協会にその情報が流れて各銀行にも情報提供されます。
長期間の取調べの最後に、刑事から売った口座の状態を説明され、振り込み詐欺に利用された口座のATMから現金を引き出した手先の顔写真も明確に取られていて、それが本人の住んでいる所からはるか遠方で利用されていました。
警察の捜査力のすごさを取調べのときに痛感したそうです。
2.検察庁の取調べから起訴
「執行猶予」
警察の取調べが終わり、1か月後くらいに検察庁より呼出しがきます。
それは警察の取調べ調書の確認と、その取調べに対して異議がある場合の申立てを行うためです。
もし、申立てがある場合正式裁判にするか、異議申立てがない場合は略式裁判で罰金刑にするかの選択があり、本人は「異議申立てありません、略式裁判」でお願いしますとの回答で、何とか検察庁の初回の取調べは終えました。
執行猶予が付くだろう程度の認識しかなかったので、これから起きる、塀の中の経験をするとは想像もしませんでした。
検察庁の取調べを受けて、約2週間後に大阪地方裁判所より略式命令書が届きます。
今回の一連の罪に対する罰金の金額も明記されており、本人にとって一番の問題は罰金は一括納付が規定で、現在の本人の生活状態では一括納付は不可能で、友人と共にお金の調達と罰金の分割についてネットの事例や法テラスの無料相談等にも行き意見を聞きましたが、分割納付は「ただ払える状態ではない」だけの理由では不可能との意見で、もし払えない場合は次のようになることを、教えられました。
3.裁判所から略式書が届く
実際に送付された略式書
1.略式命令書から約一週間から10日で 一括納付書が届きます。
2.一括納付書の期限までに支払えない
3.納付期限を過ぎて10日間くらいで督促状が届きます。
4.督促状が届いても支払いを行えない
5.地元の警察の刑事と検察庁の職員が自宅訪問をして逮捕拘留になります。
罰金の支払いはできないと実刑
皆さんは交通違反 、スピード違反等で罰金を支払った経験はあると思います。
罰金が小額のときはあまり心配はしませんが、罰金の額が高額になったとき支払に不安を感じます。
そこで質問です「罰金は分割で支払うことができるでしょうか?」
答えは、基本的には分割支払いはできません。
何故なら罰金も罪を犯した刑罰で、例えば他の事件で懲役2年等の判決が決定したとき、もっと刑を短くしてほしと言うのと同じだからです。
裁判所で決定した罰金も少なくしたり、分割で支払いをしたりすることは、決定した刑を曲げることになるため、検察庁は基本的に分割納付に同意しません。
今回も、前項目の2の段階で検察庁微収係りに分割納付のお願いを行いましたが、結果は認められませんでした。
しかし、法律の中には分割納付などの相談があった場合は、相談に乗るようにとの規定もあり、検察庁がやむ得ないと判断するようなときは分納ができたとの事例もあるそうです。
ちなみに、口座を売った側の、罪の略式罰金刑の額は10万円~50万円くらいになります。
5.刑務所中の生活
今回の当事者も罰金納付期限まで、いろんな所で借り入れを行いましたが、罰金の30万が集まらず、検察庁に全額一括納付は不可能と連絡を行い、その結果1月22日から大阪の拘置所で一日5,000円の簡単な仕事を行い、その賃金を30万円分の罰金に充当するという生活を約2か月塀の中で送りました。
昨日、本人と会うと労役に就く悲壮感は全く感じられず、むしろ明るい表情にさえ見えました。
本人に問いただすと2か月間仕事、宿、食事、ヤミ金からの追い込みの心配をしないで済むことが、彼の表情に表れていました。
現在、国内でこのような考えを持っている人が多くなり、あえて罰金を払わず労役に就けば罰金はなくなり三食寝床付きなために、定員一杯の所があるとのことです。
国も労役期間中の食事代、作業服代等の費用が増えてきて、更に罰金の徴収もできないために分割納付の緩和をはかり、分納でも入金ができれば費用削減と収入につながるために、現在見直しが検討されています。
まとめ
使っていない口座を売却するだけと考えると、口座売買は気軽なお小遣い稼ぎのように感じますが、実際には重罪であることを忘れてはいけません。売買した口座だけでなく、同一名義の口座が全て凍結され、新しく口座を開設することもできなくなってしまいます。
一旦、口座が凍結されると、凍結を解除することは非常に困難になり、これまで通りの生活を送ることは困難です。また、給与振込用の口座がなければ就職することも困難です。
引き落としやクレジットカードの利用もできないため、非常に不便な生活を送る必要があります。
借金問題が原因で、口座を売ろうと考えているなら、弁護士に相談して債務整理を行うべきでしょう。
口座売買に至る人の多くは闇金を利用し、闇金に手を出すきっかけとなりやすいのが個人間融資です。
下記ページでは、個人間融資の危険性やお金が必要な時の対処法を解説しています。知らぬ間に犯罪に巻き込まれることの多い個人間融資。そうなる前に理解を深めてみてください。
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