総量規制の対象外って?急な医療費なら借りられる?
消費者金融のカードローンなどから既に、総量規制にかかる程度のお金を借りている場合は、お金を借りることが難しくなります。
そこで、命に関わる病気などで急な入院などをしなければいけないときに、どうしようと困ってしまう人もいるでしょう。そんなときにお金を調達する方法をまとめました。
目次
総量規制ってなに?
カードローンを利用するとすると、よく総量規制という言葉を聞くかと思います。そこで、総量規制について整理をしておきましょう。
総量規制とは多重債務者を減少させる対策として、国で2006年に貸金業法を改正したことによって生まれた法律です。
なお、多重債務者とは複数の貸金業者(銀行を含む)から借金をして、毎月の返済が大変で生活が困窮している人を言います。
景気が悪くこの多重債務者が増加していたため、貸し過ぎ防止策として消費者金融などの貸金業者に対して総量規制を貸金業法に盛り込みました。
借入額を収入の3分の1までに制限
総量規制とは銀行以外の貸金業者からカードローンを利用するときに、年収の3分の1までとしている法律です。これは貸金業法「(過剰貸付け等の禁止)第十三条の二」に盛り込まれています。
そして、この年収というのは本人の年収になりますので、専業主婦は年収がないことになります。したがって、貸金業法では専業主婦がカードローンで、お金を借りることできないことになってしまいます。
しかし、このことを打ち消す法律が存在していて、貸金業法施行規則「(個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約等)第十条の二十三」に配偶者貸付という制度があります。
この制度により、配偶者の同意を得ることでカードローンを作れることが認められていますが、大手消費者金融では取扱いをしていません。
対象となる借入
全ての借入が総量規制の対象となるわけではありません。ここまで説明をしてきましたが、銀行以外のカードローンに対して規制がかかります。
総量規制はもともとお金を借りることが難しい人が、消費者金融に借金をするケースが多かったために法的に規制をはかったものです。
また、消費者金融のカードローンのほかに、クレジットカードに附帯しているキャッシングも規制の対象です。
銀行や信用金庫などの銀行系のカードローンは、独自の審査に基づきお金を貸しているために総量規制の対象から外れています。
銀行系は貸金業法には規制される業態ではありませんので、総量規制が関係がないのです。銀行は銀行法、信用金庫は信用金庫法など規制を受ける法律が異なります。
総量規制の対象外ってなに?
総量規制の対象にならないということは、具体的にどういうことなのでしょうか。
先に話をしたように、貸金業者にのみ規制をしているもので、銀行系などの預金なども取扱いをしている金融業者には総量規制は当てはまりません。
また、そのほかにもお金を借りる理由によっても総量規制の対象外になることもありますので、しっかりとポイントを押さえておきましょう。
総量規制の対象とならない【除外貸付】
総量規制の対象とならないものは、銀行系以外の業態の貸出し全てではありません。先にも話をしていますが、キャッシングなどのカードローンが対象となります。カードローンは資金使途(お金の使い道)が自由です。
これに対して、資金使途に決まりがある目的ローンがあります。住宅購入資金のための住宅ローンや、マイカー購入のための自動車ローンが代表的な目的ローンです。このような、目的ローンは総量規制の除外貸付となります。
貸金業法施行規則「(個人過剰貸付契約から除かれる契約)第十条の二十一」に不動産を担保にする貸付や、自動車の購入資金については除外されることが明記されています。
緊急の医療費などはOK【例外貸付】
貸金業法施行規則「(個人過剰貸付契約から除かれる契約)第十条の二十一」に不動産を担保にする貸付や、自動車の購入資金については除外されることが明記されているほか、本人や親族で生計を一にしている医療費の貸付についても、総量規制の例外貸付としています。
高額療養費に対しての貸付は、総量規制の対象とはなりませんので、万が一医療費でお金が必要な場合は金融機関に相談をしてみることもいいでしょう。
また、例外貸付のなかには、複数のカードローンなどをまとめる「おまとめローン」も入っています。
これは、多重債務から生活を改善するために、借入者にとって有益なローンであるため総量規制から除外されています。
総量規制対象外の銀行系カードローン
総量規制の対象となるのは、銀行系以外のカードローンであることは既に話をしました。では、なぜ銀行系のカードローンは総量規制の対象にならないのか、少し掘り下げてみましょう。
この理由も既に少し触れていますが、上手にカードローンを利用するためにはしっかりと押さえておきたいポイントですので覚えておきましょう。
貸金業法の制限を受けない
銀行系のカードローンは、貸金業法の規制に縛られないため、総量規制の対象外となっています。
銀行は銀行法、信用金庫は信用金庫法、信用組合は「中小企業等協同組合法」「協同組合による金融事業に関する法律」によって規制がかけられているのです。
これらの法律では、預金者の保護が謳(うた)われています。銀行系のカードローンは、預金をしてもらった人のお金を、金融機関で貸していることになります。
したがって、金融機関では貸したお金が返ってこなければ、預金者にお金を返せなくなります。
このことから、貸金業法に制限をされなくても、銀行独自の審査を行わなければ預金者の保護ができないため、総量規制の対象としなくても問題がないとされているのです。
メガバンクの自主規制
銀行系のカードローンは総量規制の対象外となっていることは、消費者金融からお金を借りている人にとっては知られていることが多いようです。
したがって、多重債務者が銀行のカードローンに申し込みをしているという問題が、2016年頃から話題になっています。
そして、2017年4月に銀行カードローンの過剰貸付が問題視され、参議院委員会でも議題としてあがりました。
全国銀行協会でこの参議院委員会の議題の前に、カードローンに関する自主規制を2017年3月に各銀行へ通知を行っています。
このことを受けて、メガバンクなどではカードローンの審査について以前より更に厳格に行われるようになりました。
まとめ
総量規制でお金が借りることができない人でも、万が一の入院などで高額な医療費がかかるときには、金融機関に相談をするとお金を借りることができる可能性があります。
総量規制には例外貸付もありますので、万が一のときなどにしっかりと内容を理解して上手にお金を借りることをおすすめします。
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