源泉徴収票がない!代わりに所得証明書を提出してもいい?
会社勤めをしている人であれば、なじみのある源泉徴収票です。
しかし、あまり必要とするケースがないことからうっかり紛失してしまって、いざ使う機会になって源泉徴収票が見当たらないという人もいるようです。
そんなときは、所得証明書が源泉徴収票の代わりになる場合もありますので、慌てずに対処しましょう。
源泉徴収票の代わりに所得証明書が使える場合を解説していきます。
この記事はこんな人におすすめ
この記事は以下のような人におすすめの記事です。
- 源泉徴収票が手元から紛失して不安な人
- 源泉徴収票の代わりになる書類を知りたい人
- 源泉徴収票がない場合の対象法を知りたい人
源泉徴収票を紛失した場合の対象法について詳しく解説していきます。ぜひご覧ください。
目次
源泉徴収票を再発行するには?
所得証明書は源泉徴収票がない場合の代わりになるのですが、源泉徴収票は再発行も可能です。
後述しますが、所得証明書の取得には手数料がかかりますし、限られた時間の中で行動しなくてはなりません。
そのため、所得証明書の取得を考える前に、まずは源泉徴収票の再発行を考えることをおすすめします。
まずは源泉徴収票の再発行方法について解説していきます。
原則は勤め先の会社から
源泉徴収票は、今現在勤めている会社や、前の会社を退職した時に貰うものです。
会社では、源泉徴収票などの書類は一定期間保管することになっていますので、依頼をすれば再発行も可能です。
これが源泉徴収票を再発行するために、最も簡単な方法です。
会社は源泉徴収票の交付・再発行をきちんと行うことを義務付けられていますので、依頼をすればほとんどの場合で再発行してくれます。
ただし、再発行を受けるためには1週間程度の時間がかかることになりますので、この方法で対応できるのは源泉徴収票の提出までに時間的余裕がある場合に限られます。
税務署でもコピーをもらうことはできる
会社は従業員が源泉徴収票の再発行の依頼をした場合、それに応じなければならない義務がありますが、それに応じてくれない会社もあるようです。
事情を話しても源泉徴収票の再発行に対応してくれない場合や、前の勤務先のため相談しにくいなどで貰うことができない場合は、税務署に行くことで源泉徴収票のコピーをもらうこともできます。
また、前の勤務先が倒産していて、源泉徴収票の再発行を依頼できない場合も、税務署に行けばコピーを貰うことができます。
なお、勤務先が源泉徴収票の再発行に対応してくれない場合、税務署に「源泉徴収票不交付の届出」を提出すれば、税務署が会社に指導してくれる制度もあります。
ただし、税務署で受け取りができるのは年収500万円以上の方のみ
源泉徴収票は、給与をもらっていればすべての人が作成冴えるのですが、そこから税務署に届出されるのは給与所得が500万円を超える場合(年末調整したもの)です。
届出されたものについては、税務署でも保管していますので、申し出があれば貰うことができます。
しかし、給与所得が500万円もない場合は、そもそも税務署に書類がありませんので、コピーを貰うこともできません。
その他にも税務署に源泉徴収票を届出る条件はありますが、条件に該当する人はそこまで多くありません。
基本的には、給与で500万円以上を貰っている人しかコピーを貰うことができないことに注意しなければなりません。
もしも500万円も給与を貰っていないという場合はやはり勤務先からもらうしかありません。
勤務先や前の勤務先が再発行に応じてくれない場合には、税務署で「源泉徴収票不交付の届出」を出して、税務署から勤務先に再発行するように指導してもらいましょう。
急ぎの場合は区役所で所得証明書を発行しよう
源泉徴収票の再発行に対応してもらえたとしても、すぐに貰えない場合もあります。
会社にもよりますが、1週間もかかってやっと貰えたということもあるようです。
源泉徴収票を使用するまでに余裕がある場合はそれでも良いのでしょうが、急いで使用したい場合は間に合わない可能性もあります。
その場合は、源泉徴収票の再発行ではなく、市・区役所などで所得証明書を発行しましょう。
直接、市・区役所などの受付窓口にいって手続きをすれば、その場で発行してもらうことができます。
申請方法は簡単で、市役所や区役所などの市区町村役場の税務課などの窓口に行って、所得証明書発行の書類を記入するだけになります。
所得証明書の発行を受けるためには必要書類や発行料金が必要になりますが、詳しい発行手続きは詳しく後述していきます。
所得証明書の発行に必要なものは?
市・区役所で所得証明書を発行してもらうためには、所定の申請書の他にも必要となる書類があります。
本人が直接申請する際は簡単なのですが、本人以外が申請する場合は、先に本人から記入・押印してもらわなくてはなりませんので、事前の準備が必要になります。
本人確認書類
所得証明書取得のために必ず必要となるのが、本人確認書類です。
- 運転免許証
- 健康保険証
- パスポート
- マイナンバーカード
- 住民基本台帳カード
本人確認には、上記のような本人であることを証明する書類が必要です。
基本的には顔写真付きの運転免許証であれば十分でしょう。
なお、本人以外の人、つまり代理人が手続きする場合は、代わりに手続きを行う代理人の本人確認書類が必要になりますので、注意しなければなりません。
発行手数料
市・区役所が所得証明書を発行するにあたっては、発行手数料がかかります。
300円程度であることが多いようですが、自治体によってはこれよりも高額になることもあるようです。
1,000円札一枚持っていけば確実に取得できますが、発行手数料は市・区役所によって異なりますので、気になる人は事前に調べておくようにしましょう。
代理の場合は委任状
本人以外の人が手続きをする場合、その人の本人確認書類の他に、委任状も必要です。
委任状は本人(委任をする人)が、誰に手続きを委任するのか、何の書類が必要なのかを記入し、押印(認印可)します。
委任状は市・区役所のホームページからダウンロードすることもできますので、印刷して本人に記入・押印してもらいましょう
なお、本人の代わりに家族が申請する場合も委任状が必要になります。
家族だからといって、委任状を持っていかなければ無駄足になってしまいますので注意しなければなりません。
また委任者が記載した委任状の他にも実際に役所に行く代理人の方の本人確認書類も必要になりますので、忘れずに持参するようにしてください。
源泉徴収票と所得証明書は何が違うの?
そもそも、源泉徴収票と所得証明書にどのような違いがあるのでしょうか。
あらためて確認してみましょう。
源泉徴収票とは?
給与所得者の給料から所得税や市県民税などが引かれることを源泉徴収と言い、天引きされた所得税は会社が代わりに納めています。
所得税は収入に対してかかるものですが、毎月引かれている源泉徴収される所得税は、本来計算されるときに考慮される社会保険料控除や扶養控除などが反映されていません。
そのため、正確な所得税額ではなく、ざっくりした税額で天引きされています。
そこで1年間の収入額が確定する12月になると年末調整を行って、各種控除なども考慮した正確な所得税を計算します。
その結果が記されたものが、源泉徴収票というわけです。
源泉徴収票は給与所得者であれば発行される書類なので、正社員に限らずパートやアルバイトでも発行されます。
収入金額から各種控除を差し引き課税金額を算出して税額を計算してありますので、額面年収と手取年収を把握することができます。
また、支払者の記載がありますので、勤務先の証明にもなります。
このため、カードローン審査などで在籍確認が電話でできない場合に、勤務先の証明として使われることもあります。
所得証明書とは?
所得証明書とは前の年の1月1日から12月31日までにあった所得と、所得に対して課税される所得税や市・県民税など住民税の額を証明する書類です。
別名『課税証明書』とも呼ばれて、所得のない人は所得がないことを証明する『非課税証明書』があります。
当年の所得証明書は翌年の6月頃から発行が可能で、納税を行っている市・区役所等で発行申請を行うと、受け取ることができます。
課税標準額は給与収入以外の全ての収入が記載されています。
源泉徴収票が当該勤務先からの収入しか記載されていないことに対して、所得証明書は全ての収入が記載される書類になるので、複数の収入がある人は、源泉徴収票ではなく、所得証明書を提出しないと、正確な収入を証明することができません。
提出前に確認したい所得証明書のチェックポイント
源泉徴収票を提出する場合、勤務先から貰ったものをそのまま提出すれば良いです。
しかし、源泉徴収票の代わりに所得証明書を提出する場合、無効となる所得証明書を提出してしまう可能性もあります。
所得証明書を提出する際は、その前に以下のポイントに注意しなければなりません。
証明書が最新の年度であるか
所得証明書は、最新年度ものだけでなく、過去7年度分を申請して取得できます。
大抵は最新年度のものを取得するのですが、間違って過去7年度分を申請してしまった場合には、間違った年度のものを提出してしまう可能性があります。
所得証明書は必ず最新年度のものを提出することになりますので、提出前に有効な年度のものかを確認しましょう。
また、所得証明書は前年分が発行されるのは6月〜7月頃になります。
このため、1月〜5月くらいに役所から所得証明書を取得したとしても前々年の所得証明書しか取得することができませんのでこの点には十分に注意が必要になります。
また、提出先によっては「取得日から6ヶ月以内」の所得証明書でなければならないなど、最新年度のものでも有効期限が定められている場合もありますので、取得日にも注意しましょう。
記載されている所得の期間
所得証明書を取得するタイミングによっては、前々年度のものしか取得できないこともあります。
前々年度のものでも、それしか取得できなければ、それが最新年度のものとして取り扱われますが、記載されている期間は確認しておくようにしましょう。
所得の金額
源泉徴収票や所得証明書を提出するケースでは、申告した年収を確認するための場合がほとんどです。
そのため、自分が申告した年収と、所得証明書に記載されている所得の金額に差があると問題になってしまいます。
特に、所得証明書の所得金額よりも多く申告した場合、嘘をついていると思われてしまいます。
ローン審査においては、大幅に差があれば虚偽申告をしたとして審査落ちとなるケースもあります。
提出する際は、所得証明書の所得金額と申告する年収が一致しているかを必ず確認するようにしましょう。
申込時から手元の源泉徴収票を用意して、書類を見ながら申込フォームに入力する方法がおすすめです。
源泉徴収票の代わりに所得証明書が利用できるのはどんなとき?
源泉徴収票の提出を求められたけれど、紛失などして手元にないというとき、所得証明書が代わりとして代用できる場合もあります。
では、どのようなときに源泉徴収票の代わりとして所得証明書を利用できるのでしょうか。
ここでは、源泉徴収票の代わりに所得証明書が利用できる場合を紹介していきます。
カードローンや住宅ローン
一定額以上のカードローンや住宅ローンの申込みの際は、源泉徴収票だけでなく所得証明書などの収入証明書の提出が認められています。
貸金業法の決まりでは以下のいずれかに該当する場合には必ず収入証明書の提出が必要で、ほとんどの場合で所得証明書の提出で問題ありません。
- 貸金業者からの借入が50万円を超える場合
- 他社借入と合わせて貸金業者から100万円を超える借入をする場合
申込者の勤め先や勤続年数、返済が可能かなど、申込者が虚偽の申請をしていないか確認をするために書類提出を求めているので、必ずしも源泉徴収票が必要というわけではないのです。
直近の所得証明書で代用が可能ですし、他にも給与や賞与の明細書、確定申告をしている人であれば確定申告書でも可能です。
なお、住宅ローンの場合は2~3年分が必要になりますので、所得証明書を3年分取得するお金も余分にかかってしまうことも理解しておきましょう。
賃貸の入居審査
アパートなどの入居審査は、家賃の支払いが可能なのか審査をします。
支払いが滞る恐れのある人に入居してもらうことは、不動産屋さんにとってデメリットしかありませんので、年収や税金の支払いに滞りがないか知る必要があります。
源泉徴収票でなくても、上記のことはわかりますので所得証明書や確定申告書、場合によっては銀行の通帳などでも対応してくれる可能性があります。
保育園の入園申込
認可保育園などの保育料は、源泉徴収票に記載されている所得や納税額から算出されますので、子供の保育園入園の際、給与所得者は提出を求められます。
しかし、源泉徴収票がなんらかの理由で提出できない場合は、所得証明書などでも代用が可能な場合があります。
あくまでも保育料の決定に必要となる書類なので、所得と納税額がわかるものであればいいというのが理由です。
ただし、提出の時期や自治体によっては必ず源泉徴収票でなければいけないなど、対応が異なる可能性がありますので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
児童手当の受給申請
児童手当とは中学生以上の子供を扶養している場合に以下の金額が支給される公的な扶助制度です。
児童の年齢 | 児童手当の額 (一人あたり月額) |
---|---|
3歳未満 | 一律15,000円 |
3歳以上 小学校修了前 | 10,000円 (第3子以降は15,000円) |
中学生 | 一律10,000円 |
児童手当をもらうためには認定申請という手続きを行う必要があり、この際には収入を証明する書類の提出が必要になります。
収入証明の書類として所得証明書での代用が可能なケースもあります。
詳しくはお住いの市区町村役場の職員へ確認してみましょう。
配偶者扶養の認定申請
配偶者扶養控除とは納税者に収入収入の低い扶養家族の配偶者がいた場合、納税者の税負担が軽減される制度で最大38万円が控除される仕組みです。
配偶者扶助を受けるためには配偶者の年収が以下の条件を満たしている必要があります。
- 60歳未満の人は年収130万円未満:(月額換算108,334円未満)
- 60歳以上の人または60歳未満の障害年金受給要件該当者:年収180万円未満(月額換算150,000円未満)
配偶者扶養控除の認定の際には、配偶者の収入を証明するために配偶者の源泉徴収票を提出する必要があります。
この際にも、源泉徴収票がない場合には所得証明書が源泉徴収票の代わりとして認められる場合があります。
遺族厚生年金の受給申請
遺族厚生年金とは、厚生年金受給者が死亡した場合には、その年金受給者の配偶者に支給される年金です。
受給条件のとしては配偶者の年齢が850万円未満であることが必要です。
配偶者の年収を証明する書類として、所得証明書が証明書類として認められる場合があります。
所得証明書で代用可能な場合がほとんど
所得証明書で代用が可能な例を一部紹介してきましたが、ほとんどの場合、源泉徴収票の代わりに所得証明書やその他の収入証明書等で代用することが可能です。
また、所得証明書は全ての所得の証明となりますのでアルバイトやパートなどの掛け持ちをしている人にとっては、1枚で証明ができるので所得証明書の方が提出書類としては、望ましい場合があります。
所得証明書では代用できないこともある
ほとんどの場合、源泉徴収票の代わりに所得証明書が利用できると紹介してきましたが、どうしても所得証明書では代用できない場合があります。
所得証明書では代用がきかず、源泉徴収票が必ず必要なときを紹介します。
確定申告
確定申告や転職のときは、必ず源泉徴収票の添付が必要となっているので、所得証明書では代用ができません。
確定申告というと、自営業の人や個人事業主が行うものと思いがちですが、会社勤めの人も必要な場合がありますので気を付けましょう。
平成30年から副業が法律により解禁され、会社勤めの人でも副業をする人が増えてきました。
2か所以上から給与が支払われている人は、確定申告をする対象となります。
つまり、会社勤めの人でも副業をしている場合は確定申告が必要というわけです。
他にも給与所得者で、年間収入が2,000万円以上の人など確定申告が必要な場合がありますので、申告を忘れないように気を付けましょう。
また、そもそも所得証明書は確定申告が終わった後に作成される書類ですので、確定申告の期日である3月15日には所得証明書をとっても前々年のものが直近になります。
確定申告時点では所得証明書では物理的に前年の所得の証明は不可能なのです。
転職
今まで勤めていた会社を辞めて転職をするとき、転職先からその年に既に支払われている源泉徴収額や社会保険料などを把握するために、源泉徴収票の提出を求められます。
転職先が年末調整を行うことになるので、源泉徴収票を作成するにあたって前の会社の記録が必要というわけです。
どちらも当年の所得と課税額を必要としますので、所得証明書を代わりに利用することはできません。
源泉徴収票は再発行が可能
冒頭でもお話しましたが、源泉徴収票を無くしてしまった場合でも、源泉徴収票を再発行してくれる会社がほとんどです。
源泉徴収票の交付や再発行を行うことは法律で義務付けられていますので、勤めている、また勤めていた会社に事情を説明して再発行してもらうようにしましょう。
また、税務署でも発行が可能ですが、年収500万円を超える人にしか発行されませんので気を付けましょう。
ただし円満に退職していない会社などは、源泉徴収票の発行を請求しても応じてくれないケースもあります。
会社が再発行に応じてもらえない場合には税務署に届出を出すことで指導してくれますので、税務署に相談して損はないでしょう。
まとめ
所得証明書をはじめとする収入証明書が、源泉徴収票の代りに利用できる場合がほとんどですが、所得証明書の発行には手数料がかかりますし、市・区役所などへ出向く必要があります。
源泉徴収票は会社から無料で、年末調整が行われれば申請しなくても手に入る書類です。
いざというときは源泉徴収票の方が便利ですし、大事な書類に代わりありませんので、発行されたら失くさないように大事に保管するようにしましょう。
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