楽天銀行から法人も融資を受けられる?
ネット専業銀行として知名度の高い楽天銀行で、法人企業や、個人事業主も融資を受けられるのをご存知でしょうか。
上手く活用すれば、中小法人や、個人事業主は、資金調達手段を多様化できます。
楽天銀行の法人向け融資商品について解説します。
- 執筆者の情報
- 名前: 芦田春馬(39歳)
職歴: 銀行と消費者金融,計15年勤務
目次
楽天銀行とは?
楽天銀行とは、楽天市場や、プロ野球球団で有名な楽天グループが運営するネット専業銀行です。
独自の店舗や、ATMを持っておらず、インターネット上での手続きや、提携ATMを利用して取引を行うのが特徴です。
ネット専業銀行の多くは、決済サービスや、個人向け融資(カードローンや、住宅ローンなど)に限定してサービス展開しており、店頭型の銀行に比べ、取り扱い商品が少ないのがデメリットとも言えるでしょう。
楽天銀行も、決済サービスと、カードローン、住宅ローンなどの個人向け融資を主力商品として事業を展開しています。
楽天銀行ビジネスローンを開始
元々、決済サービスや、個人向け融資を主として取り扱ってきた楽天銀行ですが、2016年から、法人・個人事業主向けに、「事業性資金」の融資も取り扱いを始めています。
ビジネスローンによる融資
一般的な銀行の法人融資の場合、取引先の状況や希望に応じて、様々な融資商品から選択、アレンジして融資を行います。
しかし、楽天銀行の事業性融資は、「ビジネスローン」1本に特化しています。
そのため、定型化されたビジネスローンの商品性に適合する事業主であれば良いですが、基準に合わない取引先に対して、「柔軟に対応する」という対応はできません。
楽天銀行のビジネスローンは、100万円~1億円以内の金額を、最大5年間まで借入することができます。
ビジネスローンタイプでの融資で、1億円という金額は「かなり大きめ」の額といって良いでしょう。
資金使途は、運転資金を対象としており、設備資金には対応していません。
なお、楽天銀行ビジネスローンの商品案内には、「金利」に関する内容は含まれておらず、非公開となっています。
適用金利の範囲も公表されていませんので詳細は不明であり、実際に借り入れ申込して、審査に通過するまでは、「どれだけの金利」で借入できるかが解らない取り扱いとなっています。
有担保型ビジネスローン
また、楽天銀行ビジネスローンのもう1つの特徴は、「担保が必要」となることです。
楽天銀行ビジネスローンの商品案内上も、「担保は原則必要」と明記されています。
そのため、担保となる資産を持っていない事業主は、資金調達に利用できない商品となっています。
なお、楽天銀行ビジネスローンは、経営者、実権者の連帯保証は必要ですが、第3者保証は不要となっています。
楽天スーパービジネスローン概要
まずは楽天スーパービジネスローンの概要について解説していきます。
楽天スーパービジネスローンは必要書類が少なく、気軽に申込を行うことができるという点が商品の特徴です。
主な商品の概要は以下のようになっています。
商品概要
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必要書類
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法人の場合には決算書が不要という点が非常に特徴的で、これまでのビジネスローンではありえない手軽さで申込をすることができます。
これは、楽天スーパービジネスローンの審査方法に起因します。
楽天スーパービジネスローンの特徴
楽天スーパービジネスローンは特徴の多いローンです。
楽天市場に出店している店舗しか申し込みを行うことができず、融資限度額も3,000万円と無担保のビジネスローンとしてはかなりの高額までの融資に対応しています。
楽天市場出店店舗のみ
楽天スーパービジネスローンに申し込むことができるのは楽天市場に出店している法人と個人事業主だけになります。
楽天市場に出店していないと審査材料がないため、残念ながら楽天スーパーローンを借りることはできません。
最短翌営業日融資
楽天スーパービジネスローンは申込から最短で翌営業日には融資を受けることができます。
楽天市場などのセール前に大量に仕入れを行いたいときなどの緊急の資金繰りにも楽天スーパービジネスローンは最短翌営業日融資でしっかりと対応してくれます。
融資限度額が大きい
楽天スーパービジネスローンは融資限度額が3,000万円までと大きいことが特徴です。
楽天スーパービジネスローンは楽天傘下の楽天カードの融資です。
つまり、貸金業者のビジネスローンなのですが、貸金業者の無担保ビジネスローンの融資限度額は300万円から1,000万円までというのが相場です。
しかし、楽天スーパービジネスローンは3,000万円までの高額融資に対応していますので、それなりに規模の大きな会社でも必要な運転資金を用意できる可能性があります。
極度型と証書型が選択できる
楽天スーパービジネスローンは一括融資の証書貸付と、限度額を作成しその後は必要な資金を限度額の範囲内で自由に借りることができる極度型を選択することができます。
大きな仕入れを行いたいなどのまとまった使い道がある場合には証書貸付が有効ですし、毎月の運転資金を少しずつ借りたいとか、いざという時のために限度額だけ作っておきたいというような場合には極度型にメリットがあります。
審査基準
楽天スーパービジネスローンの審査の基準は楽天市場での取引実績です。
決算書や確定申告書による審査は、どうしても粉飾の恐れがあるため、楽天ではより確実に事業を評価できる情報である楽天市場での取引実績という点を審査で材料にしています。
決算書などから審査を行わず、取引を元に審査を行うローンをトランザクションレンディングと言いますが、楽天スーパービジネスローンはまさにこのトランザクションレンディングに該当するローンと言えるでしょう。
楽天市場での取引実績
審査基準は楽天市場での取引実績です。
決算書などの粉飾のリスクがあるものよりこちらの方が正確な情報を元に審査を行うことができます。
単純に売り上げの規模だけでなく、売り上げの上昇率など企業の成長性も楽天市場での取引実績から審査しているようです。
他でどんなに業績が良くても楽天市場での販売実績が悪い企業の場合には楽天スーパービジネスローンの審査に通過できないことがあります。
楽天市場での口コミ
楽天市場内での口コミも重視されるようです。
決算書からは見えない定性的な部分も、楽天スーパービジネスローンでは顧客から当該店舗に対するダイレクトな意見である口コミを参考にして企業の価値を図っています。
この点からも新しい融資と言うことができるでしょう。
個人は信用情報
個人事業主が楽天スーパービジネスローンを借りる場合には信用情報も審査されます。
借入が多い人や他のローンやカードの支払いに遅れが多い人、ブラックの人は楽天スーパービジネスローンを借りることは難しいでしょう。
他の楽天決済に延滞していない
楽天カードや楽天市場の利用料など、楽天の様々な決済に遅れていないことも融資の条件になります。
利用できる方は?
次に、楽天銀行ビジネスローンの基準に適合して、実際に借り入れ申込できる方の条件を整理しておきましょう。
1つ目の条件は、前述の通り、「担保」を有していることです。
楽天銀行ビジネスローンは、有担保型の融資商品であり、担保となる資産が無い法人は融資を受けることができません。
2つ目の条件として、楽天銀行に口座を保有している必要があります。
法人ビジネス口座、もしくは個人ビジネス口座を持っていることが必要条件となります。
既に口座をお持ちであれば良いですが、お持ちで無い場合には、口座の開設が条件となりますので、借入までに時間がかかってしまいます。
3つ目の条件は、「業歴が3年以上」あることです。
楽天銀行ビジネスローンに借入申込できる方は、「確定申告」、もしくは「確定決算書」を3期分提出できる方となっています。
そのため、3年以上の業歴があり、過去3回以上の申告を終了していることが申込の最低条件となっています。
4つ目は、「税金の滞納」や、他金融機関からの借入に対し、支払いを延滞していないことです。
一般的な銀行融資においても、税金滞納中、他行延滞中の方は融資審査に通りませんので、一般的な申込条件と言って良いでしょう。
楽天銀行ビジネスローンで融資を受けるためには、以上の申込条件を満たしたうえで、実際に楽天銀行に対して借入申込を行い、審査に通過する必要があります。
なお、楽天銀行ビジネスローンは、法人企業、個人事業主のどちらでも借入申込が可能です。
楽天銀行ビジネスローンのメリット
楽天銀行ビジネスローンを利用するメリットについて整理しておきましょう。
来店不要で申込可能
楽天銀行ビジネスローンを借入申込するには、事前に楽天銀行サポートデスクに電話相談したうえで、電話・郵送といった手続きで申込を行います。
直接、店舗に来店して手続きする必要がないため、手間をかけず、申込手続きを簡単に行うことができます。
信用力の高い借入
ビジネスローンを借入する場合、利用されることが多いのは、ノンバンクと呼ばれる貸金業者が取り扱っているビジネスローンです。
貸金業者は多数存在しており、千差万別ですが、借入する側にとって、「怖くないか」、「取り立てが厳しくないか」、「悪質な業者でないか」といった点は不安に感じるものです。
楽天銀行ビジネスローンは、銀行が取り扱う融資商品であり、楽天グループという知名度も信用、安心につながります。
最大1億円までの借入額
楽天銀行ビジネスローンの借入可能額は最大1億円です。
銀行や、貸金業者が取り扱うビジネスローンでの借入可能額は、取り扱い金融機関毎で異なりますが、数百万円~数千万円といった範囲で限定されていることが多く、1億円というのは、借入規模の大きい商品であると言えるでしょう。
もちろん審査結果次第ですが、借入可能額が大きいのは、楽天銀行ビジネスローンのメリットと言ってよいでしょう。
デメリットは?
楽天銀行ビジネスローンを利用するメリットに続いて、デメリットについても確認しておきましょう。
担保が必要
楽天銀行ビジネスローンを借入するには、原則「担保が必要」となっています。
他金融機関が取り扱うビジネスローンの中には、無担保で借入できるものも多くありますが、楽天銀行ビジネスローンには担保が必要です。
そのため、借入できる方も限定されてしまいます。
さらに、条件となる担保の情報も公開されておらず、基準を満たす担保の条件が解りづらいものとなっています。
適用金利が非公開
楽天銀行ビジネスローンを借入する際の適用金利は非公開です。
通常、借入先を決定する場合の重要な情報として、「適用金利」があげられます。
金利が解らない状態で、借入先を決定するのは難しいでしょう。
楽天銀行ビジネスローンは、審査に通るまで、適用金利が解らないうえ、適用金利の範囲も非公開で、解りづらいというデメリットがあります。
時間がかかる
ノンバンクが取り扱うビジネスローンを主として、借入までのスピードが速いのが、ビジネスローンの特徴と言えるでしょう。
最短即日で借入できるビジネスローンまで存在しています。
一方、楽天銀行ビジネスローンは、借入申込するのに楽天銀行の口座を持っている必要があり、開設に時間がかかります。
さらに、有担保型のビジネスローンであるため、担保評価や、担保設定のための手続きなど、無担保型のビジネスローンに比べて時間がかかることが予想されます。
時間が余計にかかることはデメリットとなります。
3年以上の業歴が必要
楽天銀行ビジネスローンは、3期分の確定申告が終了していないと借入申込できません。
業歴が短い方、開業後間もない方は利用できないというデメリットがあげられます。
楽天スーパービジネスローンエクスプレス
楽天スーパービジネスローンをさらに即時性を高めたローンが楽天スーパービジネスローンエクスプレスです。
楽天スーパービジネスローンは、申込をしてから審査を行うという他のローンを同じプロセスで融資を行います。
しかし、楽天スーパービジネスローンエクスプレスは申込をする時には審査が終了しているのです。
むしろ審査に通過した人しか申し込むことができないのです。
特徴を説明していきます。
商品概要
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楽天スーパービジネスローンエクスプレスは、返済方法が特別です。
楽天市場の売上金から返済金が控除されるのです。
楽天スーパービジネスローンエクスプレスは楽天市場内の売上から返済可能と判断できる店舗にしか融資の案内を行っていないため、楽天とすれば絶対に取りっぱぐれる心配はないということができます。
これはAmazonのトランザクションレンディングであるAmazonレンディングでも同じ返済方法が採用されています。
普段から審査されている
楽天スーパービジネスローンエクスプレスに申し込むことができる人は、楽天市場の店舗管理画面のRMSに融資条件が表示された店舗だけです。
つまり、融資条件が表示されている段階で審査は終わっているのです。
楽天は楽天市場の出店店舗を常に審査しており、審査基準を満たしたと判断できる店舗だけに融資条件を表示しています。
売上、売上の推移、口コミ、発送の速度などをAIが恒常的に審査を行っているため、申込後すぐにお金を借りることができる仕組みになっているのです。
審査に通過しないと申込不可能
楽天が普段審査している審査に通過していない人はRMS上に楽天スーパービジネスローンエクスプレスの融資条件が表示されないため、申し込むことすらできません。
この場合には、融資条件が表示されるまで待つか楽天スーパービジネスローンへの申し込みを検討しましょう。
審査基準は取引と口コミ
審査基準は、楽天市場内の販売実績と口コミなどです。
決算書による審査を行わないのがトランザクションレンディングの特徴ですので、普段から顧客対応などには注意しておかないといつまでたっても融資条件が表示されないことになってしまいます。
最短翌営業日融資
楽天スーパービジネスローンエクスプレスは最短翌営業日融資となっています。
審査自体は申込前に完了しているため必要書類の提出や事務手続きなどに時間が必要になります。
まとめ
決済サービスや、個人向けの融資商品で有名な楽天銀行ですが、法人、個人事業主向けの事業資金融資も取り扱っています。
但し、法人向けの融資は、「ビジネスローン」だけに限定されているため、商品の基準に合わなければ、楽天銀行から融資を受けることはできません。
楽天銀行ビジネスローンは、借入可能額が大きめであるというメリットはありますが、「担保」が無いと融資を受けられなかったり、適用金利などの条件が公開されておらず不透明であるなど、デメリットの方が強く感じられます。
総じて、魅力の低いビジネスローンと言えるでしょう。
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