車を購入するお金を親から借りるとき注意すべきこと
車を購入するとき、親から援助を受けようと考える方もいるのではないでしょうか。
しかし、車を購入するお金を親から借りるときは、注意しなくてはいけない点があります。
特に贈与税が発生しないようにすることには十分に注意が必要です。
今回は、車を購入するお金を親から借りるときに注意すべきことを紹介します。
この記事はこんなひとにおすすめ
この記事は以下のような人におすすめの記事になります。
- 車を購入するにあたって親の援助を受けたい人
- 贈与税が課税されるかどうか心配な人
- 贈与税を支払わずに親の援助を受ける方法を知りたい人
親の援助で自動車を購入するリスクとメリット、贈与税の概要について詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
目次
車購入の援助が110万を超えると贈与税が発生
親からのお金をもらうと、贈与税が発生することがあります。
贈与は年間110万円までは非課税ですが、110万円を超える贈与に関しては課税対象となります。
「贈与ではなく、車を買うお金を借りるだけ」と、贈与税とは無関係だと考えている人も多いと思います。
しかし、親からお金を借りる場合でも「贈与」とみなされ、贈与税が発生してしまう場合があるので注意が必要になります。
借りる場合でも贈与税が発生する場合がある
親から高額のお金を借りる場合は、注意しなくてはいけないことがあります。
というのも、1月1日から12月31日までの1年間で、110万円を超えるお金を無利息で借りる場合は、贈与とみなされて贈与税がかかってしまう可能性があるからです。
車を購入するお金を全額親から借りる場合は、110万円を超えてしまう可能性が高くなりますので、110万円を超えてしまう場合は、注意するようにしてください。
借用書を作成し、わずかでも金利を設定し、毎月返済を行い、「贈与ではない」と客観的に証明できるようにしておいた方がよいでしょう。
贈与税の計算方法
1年間で110万円を超えるお金を無利息で借りた場合は、贈与税の対象になってしまうということは理解できたと思います。
そこで気になるのが、贈与税がどのくらいかかるのかと言うことではないでしょうか。
贈与税は、「課税価格(贈与財産-110万円) × 贈与税率 – 控除額 = 贈与税額」で計算されます。
また、贈与税率や控除額に関しては、課税価格によって変動します。
参考までに、課税価格による税率と控除額の一部を紹介します。
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
~200万円以下 | 10% | なし |
~400万円以下 | 15% | 10万円 |
~600万円以下 | 20% | 30万円 |
~1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
例えば、150万円を親から無利息で借りた場合を考えてみます。
課税価格は「150万円 – 110万円 = 40万円」となります。
この場合、税率が「10%」、控除額は「なし」となります。
したがって、贈与税は「40万円 × 0.1 = 4万円」となります。
親から車代の援助を受けた場合の金額の贈与税の目安は以下の通りとなります。
贈与金額 | 200万円 | 300万円 | 400万円 | 500万円 |
---|---|---|---|---|
控除額 | 10万円 | 10万円 | 10万円 | 30万円 |
税率 | 10% | 15% | 15% | 20% |
贈与税 | 8万円 | 27万円 | 42万円 | 72万円 |
もしも高級車を購入するために500万円もの金額を親から援助を受けてしまった場合には、72万円もの贈与税が取られてしまう可能性があります。
ちなみに、500万円を金利2%で返済期間5年で借りた場合の利息負担額は258,296円です。
借りた方が贈与税を支払うよりも圧倒的に安いというケースも考えられます。
親から援助を受けて、必ずしも贈与と判断されるかどうかは分かりませんが、万が一贈与と判断された場合の贈与税と、ローンで借りた場合の利息負担額を比較して、リスクの少ない方法で自動車購入資金を調達した方が無難でしょう。
親からお金を借りるメリットは?
そもそも、車を購入するお金を親から借りるメリットは何があるのでしょうか?
メリットがなければ、親からお金を借りようとは思いませんよね。
前述したように、贈与税が発生したとしても数万円程度であることが少なくないので、例え贈与税が発生したとしても借入による利息を負担するよりもメリットがある場合も多いのです。
この他にも親から借りることにはいくつもメリットがあります。
ということで、まずは、車を購入するお金を親から借りるメリットを紹介していきます。
利息がかからない
車を購入するとき、自動車ローンを組む方法やカードローンでお金を借りて支払う方法などがありますよね。
しかし、金融機関から車を購入するためのお金を借りてしまうと、利息が発生します。
一方、親からお金を借りた場合は、利息がかからないまたは、利息を低く抑えることができる可能性が高くなります。
借りられる可能性が高い
金融機関でお金を借りる場合は、必ず借入審査があります。
借入審査に通過できない場合は、自動車ローンを組むこともお金を借りることもできません。
しかし、親からお金を借りる場合は、審査がありませんので、借りられる可能性が高くなります。
当然、親の経済状況や親との関係などに影響を受けますので、借りることができないこともあります。
しかし、特に問題がない場合は、高確率で貸してくれるのではないでしょうか。
注意点としては、借りたお金はしっかりと返済するということです。
親子だからと言って、いい加減な返済をしてしまうと信用を失ってしまう可能性もありますので、返済は確実に行うようにしてください。
車購入の贈与税を抑えるには
前述したように、親から車購入のためのお金を借りてしまうと、110万円を超える分に関しては贈与とみなされ、贈与税が発生してしまう場合があります。
親から借りたお金に対して贈与税が発生しないようにするためにはどうすればよいでしょうか?
親名義で購入した車を使う
親から借りたお金で購入した自動車を親名義人しておけば、外形上は親が自分のお金で自分の車を買っただけですので、贈与とは見なされない可能性が高くなります。
ただし、自動車保険などは、親名義の自動車を家族が乗る形になるので、保険料が上がってしまう可能性が高くなります。
年々かに分けて援助してもらう
前述したように、年間110万円までの贈与でかれば非課税です。
そのため、何年かに分けて110万円ずつ援助してもらい、贈与してもらったお金を貯めておき、お金が貯まった段階で欲しい車を購入するという方法があります。
また、購入時に110万円以内を援助してもらい、残りはとりあえずローンをくみ、毎年110万円以下の贈与を受けた段階で繰り上げ返済をするという方法であれば、贈与税は発生することはありませんし、お金が貯まるまで車を買うのを待つ必要もありません。
定期的な援助の注意点
毎年定期的にも親から贈与を受ける場合には、年間の贈与額が110万円以下であったとしても贈与と見なされ贈与税が発生してしまう可能性があるので注意が必要になります。
毎年同じ時期に同じ額を贈与するなど規則的な贈与をおこなうと、最初から贈与する額が決まっていたものを単純に分割したとみなされ非課税にならない場合があるようです。
毎年贈与を受ける場合には、贈与のタイミングを年毎変えるとか、贈与を受ける金額を微妙に変えるなどして、贈与と判断されないように工夫すること必要がありそうです。
借りたお金を贈与とみなされないためには
車を購入するために親からお金を借りたのに、贈与税がかかってしまうのは避けたいですよね。
ここでは、贈与税を回避するための方法を紹介していきます。
借金であるという借用書を準備する
親から1年間で110万円を超える金額の借入を行う場合は、借用書を作成してください。
贈与税の対象となるのは、1年間で110万円を超える金額を無利息で借入れした場合になります。
したがって、借金であるという証明ができれば、増補税はかからないということになります。
親子で貸し借りを行う際に借用書を作成するポイントは下記の通りです。
- 署名は直筆で行う
- 借入した日を明記する
- 金額は漢数字で記載する(金額の改ざんを防ぐため)
- 返済期間や金利(金利額は社内融資の金利1%~5%が妥当と言われています)を明記する
この他、公正証書で借用書を作る方法なども有効です。
返済しているという証明を残す
借用書の作成を行った後は、返済方法にも気をつける必要があります。
親にお金を返済するときは、ついつい手渡しで返済してしまいそうですが、手渡しで返済してしまうと、返済している証拠が残りません。
返済の証拠がなければ借金と見なされませんので、返済の証拠を残すようにしてください。
そこで、オススメの方法は、銀行振り込みによる返済です。
銀行振り込みの場合は入金履歴が残りますので、返済しているという証拠になります。
110万円を超える車をもらっても贈与となる
110万円を超えるお金を無利息で借りてしまうと贈与税になってしまうと言うことを紹介しました。
では、現金ではなく、車をもらった場合はどうなるのでしょうか?
結論から言うと、車をもらう場合にも贈与税が発生してしまいます。
ここでは、車をもらった場合の贈与税について紹介します。
購入してすぐもらう場合
基本的に贈与税の対象となる条件は、お金を借りる場合と車をもらう場合で違いはありません。
車を購入してからすぐにもらう場合は、もらった車の価格が110万円を超えてしまう場合に贈与税がかかってしまいます。
贈与の対象となるのは、現金だけではなく、あらゆる財産です。
購入してすぐの車は価値が減価しないので、資産価値が110万円を超える場合には贈与税の課税対象となってしまう可能性が高くなります。
中古車としてもらう場合
親が乗っていた車をもらう場合など、中古で車をもらうときは、車両価格の査定が必要となります。
車の買い取りを行っている業者を利用して、贈与される車がどのくらいの金額で買い取り可能であるのか査定してもらってください。
査定価格については、インターネットを利用して一括査定を行っても大丈夫です。
また、査定の見積もりは複数社で行うようにしてください。
というのも、中古の車をもらう場合は、査定が一番低い価格を参考に贈与してもらうことが可能となっているからです。
車の査定を一社しか行わない場合は、高い査定価格で車をもらってしまう可能性がありますので注意してください。
また、査定価格がわかった後は、査定結果を書類で残すようにしてください。
購入しては10年以上経過している自動車であれば、市場価値は110万円を超えるようなことはほとんどないので、贈与税はかからないことの方が多いと考えてよいと思います。
車購入に親から援助を受けるのってどうなの?
そもそも、一般論として独立した社会人が車購入の代金を親から援助してもらうことはどうなのでしょうか?
「かっこわるい」とか「大人気ない」などの意見もあるようですが、ケースバイケースと言えるでしょう。
社会人1年目で数百万円のローンを組んでしまったら生活が大変だから援助があった方がいいという意見もあれば、ほとんどの人は車のローンは人生で初めて組む大型のローンです。
このため、親に頼らずフルローンで組んだ方が、その後の人生勉強になるという意見も多いようです。
親から援助してもらう時の年齢や、親の収入や資産状況によってケースバイケースと言えるのではないでしょうか?
喜ぶ顔が見たいという親の心情を汲むのも大人の対応
親に余裕があるのであれば、子供に車を買ってあげたいという親の心情を汲み、素直に援助を受けるこも大人の対応の1つと言えるかもしれません。
本当の親孝行とは、親に心配をかけないくらいに早く一人前になることで、それまでは親の援助を甘んじて受け、一人前になった時に親の面倒を見てあげることも正しい親孝行の1つということも言えます。
やはりケースバイケースで、正解がない問題と言えそうです。
ただし、金銭的に余裕のない親の老後資金から援助を受けることは正しいことだとは言えないでしょう。
車購入と親の援助に関するQ&A
車購入代金を親から援助してもらうことに関するよくある質問と回答をご紹介していきます。
①妻の実家からの車購入資金援助は旦那のプライドを傷つける?
傷つけることもあるかもしれません。
ただし、これもケースバイケースで夫婦で「自分達だけでは購入が厳しいから、妻の実家に援助を頼もう」などと、話合った末の結論であれば、プライドが傷つくようなことはなさそうです。
一方、旦那さんに黙って奥さんが実家から援助を受けた場合にはプライドを傷つけることもあるかもしれません。
旦那さんの性格にもよるので、やはりケースバイケースと言えるでしょう。
②車購入資金の援助は相続税精算課税制度を使って非課税にできる?
親の年齢が60歳以上であれば、相続税清算課税制度を選択することができます。
しかし、相続税清算課税制度とは、支払うべき贈与税を相続時に先延ばしにする制度ですので、必ずしも税金を非課税にすることができるわけではありません。
相続税清算課税制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告書を提出しなければなりませんので、申告を忘れないようにしましょう。
③親からの援助は申告しなければバレない?
銀行や自宅などに税務調査が入った場合にはバレる可能性があります。
特に銀行は顧客の預金口座に大きな動きがあった場合、税務署から問い合わせがあると回答しなければならない義務を負っています。
税務署が銀行口座から「贈与があるかもしれない」と判断すると、個人に税務調査が入り、贈与がばれてしまう可能性は十分にあります。
ばれないとタカをくくって家族に贈与を行うことはリスクの高い行為と認識した方がよいでしょう。
④親からの住宅取得資金や結婚費用の援助の一部で車購入した場合の贈与税はどうなる?
2020年3月31日までは住宅取得資金への贈与は省エネ住宅1,200万円まで、一般住宅700万円まで非課税です。
また、結婚・子育て資金に充てるため親から贈与を受けた場合には1,000万円までは2019年3月31日までは非課税となっています。
住宅取得資金に関しては、あくまでも住宅取得にかかるお金だけが非課税ですので、そのお金で自動車を購入してしまったら贈与税が発生するものと思われます。
一方、結婚・子育て資金の場合には、購入する自動車が結婚生活や子育てに必要だと判断される場合には非課税となる可能性が高いた言えます。
⑤義理両親から援助してもらった場合のお礼はどうすべき?
ケースバイケースですが、義理両親が最も喜ぶことをしてあげるべきでしょう。
一般的には親は援助したものをお金で返して欲しいとは考えてはいないものです。
子供の顔を頻繁に見せに行く、義理両親を交えた家族旅行に行くなど、義理両親が最も喜ぶ行為で恩返しをすることが一番の恩返しですので、夫婦で話し合うとよいでしょう。
まとめ
車を購入するお金を親から借りるときに注意すべきことを紹介してきました。
車の購入資金を親から借りる場合は、贈与税が発生してしまう可能性を考える必要があります。
特に、親からお金を借りて新車で購入を考えている方は、贈与税の対象となる可能性が高くなります。
110万円を超えてしまいそうな場合は、利息を明記した借用書を作成し、借金であるという証拠を残すようにしてください。
また、車をもらう場合にも、贈与税はかかってしまいますので、注意するようにしてください。
タグ:借金・お金の悩み