夫にお金を貸すときに気を付けたいことを紹介
お金の貸し借りは、たとえ親しい間柄であっても避けたいものです。
もっとも近い間柄である夫婦でも、お金の貸し借りは迷うこともあるでしょう。
夫婦だからといって安易にお金の貸し借りをすると、後で大きなトラブルとなり、離婚となるケースも珍しくないのです。
とくに何度も「お金を貸して」と言いがちなのは夫です(妻は、「お金をちょうだい」と発言する傾向にあります)。
夫にお金を貸すときの注意点をまとめましたので、離婚を回避するため、あるいは離婚後の状況を有利にするためにもぜひご覧ください。
この記事はこんなひとにおすすめ
今回ご紹介するのは、以下の方におすすめの記事です。
- 夫にお金を貸してくれと頼まれている方
- 夫のお金の使い方に疑問を持っている方
- 離婚しそうなご家庭の方
貸したお金を返さない旦那…離婚したい!
男女間の賃金格差は徐々に改正されてはいるものの、選択する職種の違いなどにもより、格差がなくならないのが現状です。
労働政策研究・研修機構が公表しているデータによりますと、2018年時点では、男性の賃金を100とすると女性の賃金はようやく70を超えたところとなっています。
つまり、夫婦2人の共働き家庭でも、お互いの収入が同じ可能性よりは妻のほうが少ない可能性のほうが高いのです。
収入が高いはずなのに「お金を貸して」という夫・・・。
本当にこんな人と結婚していて良いのかと悩んでしまうのも無理はありません。
離婚する理由になるかがポイント
お金の貸し借りを理由に離婚することは可能です。
お金というものは人間性が出ますので、お金の貸し借りによって夫や妻とは婚姻関係を続けられないと判断するのも無理からぬことだからです。
ただし、婚姻中のお金の貸し借りは、使い道によって扱い方が変わるので注意が必要です。
妻から借りたお金を夫が個人的な用途のために使用している場合は、離婚が成立する確率は高くなります。
しかし、生活費のうちの夫の負担分や住宅購入のための費用のように、夫婦どちらかのものとは明確に分けられないもののために夫が妻からお金を借りたときは、離婚理由とは認められないケースもあります。
お金を貸したまま離婚するとどうなる?
離婚後に面倒な手続きをしないためにも、できれば離婚する前に貸し借りは解消しておきたいものです。
とはいえ、離婚となると、お金の貸し借りだけでなく、精神的DVや身体的DV、経済的DVといったさまざまな問題が家庭内に生じているはずですよね?
あまりにも多くの問題を抱えすぎて、「もうお金を返してもらわなくても良いから、早く離婚したい」とお金を夫に貸したまま離婚してしまうケースも少なくありません。
離婚後、少し落ち着いてから、「きちんと離婚前にお金を返してもらえば良かった・・・」と後悔する方もいるでしょう。
お金を貸したまま離婚した場合、後で返済を請求することはできるのでしょうか。
貸したお金の使い道によっては財産分与となる
婚姻中に夫婦で築いてきた財産を、離婚するときにそれぞれの貢献度の割合に応じて分けることを財産分与と言います。
財産分与では、預貯金や住宅、自動車といったプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産もすべて共有財産として見なして分けます。
しかし、夫が妻からお金を借りており、なおかつ夫の個人的な用途のためにお金を使ったということが分かっている場合は、分けた財産から妻にお金を返済することになります。
夫に借金が多いと難しいことも
夫が妻からだけでなくローン会社や知り合いからお金を借りている場合、「離婚するから貸したお金をすべて返して」と妻が要求しても、実現は難しいでしょう。
夫に貸したお金の金額や夫の抱えている借金額から判断して、返済可能だと客観的に判断できる場合は返済してもらえる可能性もあります。
しかしながら、妻への借金返済が離婚後の夫の生活を脅かす程度のときは、うやむやになってしまうことも少なくありません。
周囲からは「借金癖があると分かって結婚したのだから、自己責任でしょ?」などと心無い言葉をかけられることもありますが、暴力癖のある夫を見抜くことが難しいのと同様、借金癖を見抜くこともまた難しいのです。
そもそも夫婦間にお金の貸し借りは成立する?
夫婦とは、「一緒に生計を立てていく家族」ですので、お金の貸し借りが成立しにくいという面があります。
一緒に家計を運営するわけですから、お金の貸し借りというよりは、不足しているお金を配偶者が払うという風に受け取られかねません。
結婚前か後か、また、お金の出どころはどこかという視点から、夫婦間でも貸し借りが成立するのか見ていきましょう。
結婚前に旦那に貸したお金
結婚する前に夫にお金を貸した場合は、家計を一緒に運営する前のことですから、本来ならば全額返済してもらえるはずです。
借用書などの貸し借りを証明する証拠があるときは、返済を要求することが可能です。
「返すからちょっと待って」といったような借金を認める内容のメールや借金の一部を返済したことが分かる通帳の履歴も、貸し借りの証拠として使用できることがあります。
ただし、最後に夫からの返済を受けた日付から、あるいは夫に最後に返済を催促した日付(メール等の証拠が必要です)から10年が経過していると、消滅時効が援用されて返済を請求できなくなることがあります。
消滅時効が成立する前に、早めに夫から「返済する」等の借金を認める内容の文書を受け取っておきましょう。
結婚後:お金の出どころは独身時代の貯金
結婚後、独身時代の貯金からお金を貸したときは、夫は妻の財産を使用したことになりますから、本来ならば全額返済してもらえるはずです。
しかし、夫に貸したお金の使途が夫の個人的なもの(趣味やギャンブル、投資など)であることを証明できないときは、家計を維持するために貯金を使ったと結論付けられてしまうことが多いため、貸したお金が返ってこないことが一般的です。
法的手段に訴える場合は、借用書もしくは借金の存在が分かるメール、貸したお金の使途が夫の個人的なものであることを証明するものなどをそろえておきましょう。
結婚後:お金の出どころは結婚後の稼ぎ
結婚後も、個人の名義で財産を形成することは可能です。
お小遣いを切り詰めて貯金をしているのに、夫が「貸してくれ」と言ってお金を奪っていくのは辛いですよね。
しかし、結婚後の財産は夫婦の共有財産とみなされますので、収入が多いほうが少ないほうの支出を支えること、また、支出が少ないほうが多いほうの支出を支えることは、貸し借りとはみなされないことが一般的です。
この場合も、法的手段に訴えるとするならば、借用書や使途が生活費ではないことを示すもの、夫が「個人的な借金を妻からしている」ということを認める文書・メールが必要になります。
結婚後:お金の出どころは夫の稼ぎ
妻が専業主婦で、夫の収入はすべて妻が受け取り、夫にはお小遣いを渡しているというご家庭もあるでしょう。
お小遣いが足りないときに、夫が「妻から借りる」という形で不足分を補うことがあるかもしれません。
この場合は、夫のお小遣いの用途がギャンブルや個人的な浪費と認められる証拠がない限り、貸し借りと認められることはほぼありません。
安易に夫にお金を渡す前に、お小遣いの使途を明確にすることが大切です。
夫のお小遣いが少なすぎると判断できるときは、お小遣いアップも視野に入れておきましょう。
使いみちによっても返してもらえるかは変わる
お金の出どころや借金をした時期(結婚前か結婚後か)という点も重要ですが、何にお金を使ったかという点も重要です。
妻から借りたお金を夫が個人的なものに使用したときは返済してもらえる可能性が生じますし、家族のためや夫婦共通のもののために使用したときは返済してもらえる可能性は低くなります。
夫の個人的なもの
夫の個人的なものには、趣味や交際費、被服費などが含まれます。
例えば、家族のレジャーや日常の送り迎えに利用する車は夫婦共通の財産とみなされますが、夫が個人的な趣味で使用する車やコレクション目的の車は夫の個人的な財産と判断できます。
また、夫に浪費癖があり、消費者金融や知人から個人的に借金をしている場合も、夫婦の共通の借金とはみなされず、夫の個人的な借金と判断されます。
その他にも、妻とは面識がなく、しかも親族や姻族の関係ではない人の冠婚葬祭費なども、夫婦の共通支出ではなく夫の個人的な支出とみなされる可能性が高いでしょう。
◇夫の個人的なもの
- 個人的な借金
- 夫の生活費
- 冠婚葬祭費
夫婦共通のもの
夫が「車を購入したいけれど、お金がないから貸して」と妻に言ったとしましょう。
車は夫の名義で購入したとしても、家族みんなで使うのなら、家族の共有財産ということになります。
共有財産を購入するための資金を妻が出したということになり、夫婦間の貸し借りとは認められないことが一般的です。
その他にも、以下の使途に関しては、夫が「貸して」と言った場合であっても夫婦共通の使途と判断されます。
◇夫婦共通のもの
- 住宅ローン
- マイカーローン
- 起業資金
夫だから口約束の貸し借りだけど大丈夫?
夫婦の間の借金は、ほとんどの場合、口約束でおこなわれます。
「本当に返してもらえるのかな?」と不安がよぎるときでも、なかなか「借用書を書いて」「公正証書を作成しよう」とは言いだしづらいものです。
とくに結婚したばかりのときや夫がすぐに切れる性格のときは、「家庭に波風を立てないためにも、口約束にしておこう」と考える妻は多いでしょう。
口約束だけではだめ、借用書が必要
夫だからと言って簡単な口約束でお金を貸し借りすると、後でトラブルとなる場合もあります。
法律的な意味では口約束も契約のひとつですが、離婚したりトラブルへと発展したりするときは、口約束だけでは心もとないものです。
お金の貸し借りをしたという証拠を目に見える形で残すためにも、借用書を作成することをおすすめします。
借用書と言うと改まった感じがして難しそうと思われるかも知れませんが、実は誰でも簡単に作成できます。
とはいえ、抑えなくてはいけないポイントもあります。裁判になったときに効力のある借用書の書き方を見ていきましょう。
借用書の書き方
借用書には通常の借用書と金銭消費貸借契約書の2種類があります。
借用書は基本的にお金を借りる夫が作成して、お金を貸してくれる妻が確認して署名し保管します。
借用書の書き方は、司法書士事務所や行政書士事務所などのホームページでも公開されていますし、wordにもひな形があるので参考にするといいでしょう。
一方の金銭貸借契約書は、夫と妻の両者が署名と押印してそれぞれが1通ずつ保管します。
借用書に書く内容
借用書はどちらかが保管するため、改ざんされるリスクや破棄されるリスクがあります。
しかし、金銭貸借契約書なら2通作成しますので、どちらか一方が改ざんすることや故意に破棄することは回避できます。
なお、金銭貸借契約書には、必ず以下の6つの項目を含めてください。
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さらに、利息を付ける場合は、次の項目も合わせて書きます。
- 利息
- 遅延損害金
- 期限の利益喪失の条件
連帯保証人を立てる場合は、連帯保証人の氏名・住所を記します。
分割払いで返済する場合には、以下の項目も借用書に必要です。
- 利息
- 返済方法
- 返済日
- 遅延損害金
作成の注意点
お金を貸してから借用書を作成することもあるでしょう。
お金を貸した後に借用書を作成するときは、次の点に注意してください。
- 金銭貸借契約書ではなく、「債務承認弁済契約書」とする
- 内容は借用書と同じ
<実印を使うときは印鑑証明書を添付する>
押印は実印を使用する方が、信用が上がります。
なお、実印を押したときは、借用書(金銭貸借契約書、債務承認弁済契約書)に印鑑証明書も添付しておきましょう。
<利息は年5.0%以下が穏当>
利息は、利息制限法で定められている利率の範囲で設定してください。
10万円未満を貸すときは年20.0%以下、10万円以上100万円未満を貸すときは年18.0%以下、100万円以上を貸すときは年15.0%以下に定めます。
とはいえ、夫婦ですから、年5%以下が穏当でしょう。
<収入印紙を貼る>
夫に貸すお金が1万円以上の場合は、収入印紙が必要となります。
どちらかが原本を片方が副本を保管することになりますが、収入印紙は原本のみで構いません。
<公正証書を作成しよう>
自分で借用書を作成しても、法的な効力はあります。
しかし、裁判となると借用書の正当性が問われるだけでなく、「本当に夫が返済すべきお金か(=夫婦や家族のために使ったお金ではないのか)」という点まで問われますので、貸したお金が全額返ってくる可能性は低くなってしまいます。
借用書の法的効力を高めるためにも、第三者である公証人が作成する「公正証書」を用いることがおすすめです。
また、公正証書を作成する際に「債務者(この場合は夫)への送達」と「強制執行の文言付与」を済ませておくと、万が一、夫が返済しない場合には、裁判を経ずに夫の財産や給与を差し押さえることができます。
夫に貸す金額が大きい場合や離婚した場合には、送達と強制執行の文言付与を済ませた公正証書が借金を取り返す材料になりますので、面倒でも実施しておくようにしてください。
次の記事では効力のある借用書の作成方法と公正証書について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
夫にお金を貸す時の注意点
夫にお金を貸すことは悪いことではありません。
しかし、安易に借金を頼むような人間を100%信じることは難しいものですよね。
とはいえ、一緒に暮らしている人に対して「お金を貸さない」と言い切るのも難しいものです。
お金をきちんと返済してもらうためにも、次の3点に注意してください。
- 贈与にならないようにする
- 消滅時効を成立させないようにする
- 計画的に返済してもらうようにする
夫に貸したお金は贈与となることもあるので注意
夫から「お金が必要だ」と言われて、何も考えずにお金を渡すこともあるでしょう。
しかし、たとえ夫婦であっても生活費などの家庭生活に必要なお金のやり取り以外は「贈与」として扱われることがあるのです。
1年間に110万円を超えるお金を夫の個人的な支出に対して渡してしまうと、「贈与」とみなされ、贈与税が課せられます。
贈与税は贈与額から基礎控除額110万円を引いて、税率を掛けて求めます。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
例えば夫に1年間に500万円を渡すと、基礎控除を除いた贈与税対象金額は390万円となり、控除額を差し引いた53万円を贈与税として国に納めなくてはなりません。
贈与税対象額:500万円-110万円=390万円 贈与税額:390万円×20%-25万円=53万円 |
不動産においては例外アリ
貸したお金の使い道によっては贈与としては見なされず、贈与税が掛からない場合があります。
その1つが、「夫婦間における居住用不動産の特別控除」です。
婚姻期間20年以上になる夫婦において、居住用不動産や居住用不動産資金は贈与税が掛からないケースです。
何かしらの理由で離れて暮らすために、妻が夫に住宅や住宅資金を購入する場合もありますので、覚えておきましょう。
利息を定めることで贈与税を回避できる
夫婦間の貸し借りであっても、贈与とみなされて高額な贈与税が発生することは避けたいものです。
贈与税を避けるためには、1年間に110万円以上のお金を渡さないようにすれば良いのですが、夫が高額な借金を求めてくる場合もありますよね。
そこで、贈与税を回避するために使用できるのが「利息」です。
利息を設定しておくと、お金を贈与したのではなく貸したということを証明できますので、贈与税の課税対象にはなりません。
例えば500万円を年5.0%の利息で貸すなら、夫は妻に25万円の利息を支払わなくてはならないことになりますが、国に53万円支払うよりは節約できますし、妻にとってもお得です。
高額なお金を貸す際には、夫に「贈与税を回避するために利息を設定しなくてはいけない」ときちんと説明してください。
個人間の貸し借りの時効に注意
個人間の借金は10年で時効ですので、10年以内であれば返してもらう権利はあります。
ただし、借用書がなく口約束の場合は、夫が「借りた証拠がないから払う必要もない」と言いかねません。
反対に、借用書がないのに「夫に貸した」と言い張る妻もいますので、いずれにしても貸し借りの証拠となるものがなければ、返済してもらえる可能性は低くなってしまいます。
お金を貸した時期より遅くなっても借用書を交わすことは可能ですので、借用書の作成について夫に相談してみましょう。
なお、貸してから「返済を迫った記録(内容証明郵便など)」や「借金を認めた記録(借金の一部の返済、お金を返すという発言など)」があるときは、時効のカウントはリセットされます。
返済計画を立てさせる
「100万円を返して」と妻が言ったときに一括で返済できるような夫は、そもそも妻からお金を借りることはありません。
きちんと返済してもらうためにも、まずは返済計画を立てるように夫に伝えましょう。
夫が返済計画を立てないときは、妻が立てて提示すると良いかもしれません。
無理なく返済できる計画にしておかないと、すぐに返済が滞ることになり、夫だけでなく妻にとってもストレスになります。
毎月の返済額は、お小遣いの3分の1程度の金額に収まるようにしておきましょう。
夫にお金を貸す場合によくあるQ&A
できれば夫婦間でお金の貸し借りはしたくないものです。
夫婦間の貸し借りが夫婦仲を悪くすることはあっても、夫婦仲を強めることはありません。
しかし、「お金を貸してくれないならヤミ金に手を出す」という風に妻を脅す夫もいますので、仕方なくお金を貸すこともあるでしょう。
夫婦間のお金の貸し借りでよくある質問とその答えをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
①お金を貸さないと怒る旦那と離婚したい。円満に離婚する方法は?
「お金を貸してほしい」という態度ではなく、「お金を貸せ」と強硬な態度を取る夫もいます。
妻が不在中に通帳やキャッシュカードを持ち出し、暗証番号を割り出して勝手にお金を引き出す夫もいるでしょう。
このような夫は、お金がなくて一時的に異常な行動に出ているのではありません。
お金を渡して数日間は機嫌よく暮らしても、手元のお金がなくなればまた妻に対して恐喝行為をおこないます。
妻を財布代わりに思っているような夫は、妻が「離婚したい」と言っても、自分の財布を手放したくないため、容易には納得しません。
円満に離婚することは限りなく難しいですので、まずは別居を実行し、夫と顔を合わさずに離婚条件をまとめられる調停離婚を進めていきましょう。
②旦那の借金で生活苦…妻の稼ぎから出した生活費は返してもらえる?
夫の独身時代の借金や奨学金、結婚後のギャンブルなど個人的な借金が生活を圧迫し、なおかつ、夫の稼ぎはほぼ借金返済と小遣いに消え、生活にかかるお金は入れていない状態。
このような場合は、妻が夫の生活を一方的に支えていることになります。
しかし、夫婦は互いに養う義務があるため、妻の稼ぎから出した生活費を返済してもらうことは不可能です。
後からお金を返してもらいたいと考えるなら、妻が「夫の分の生活費を支払う」のではなく「夫の個人的な借金返済分を立て替える」という風にお金の配分を変えなくてはいけません。
まずは収入に応じた生活費を夫に出させ、借金返済分を妻が貸す(もちろん、借用書か公正証書を作成する)ようにしてください。
③元夫に貸したお金を取り返すには?
婚姻関係が終了した後でも、消滅時効が成立していないのならお金を返してもらうことができます。
しかし、解説してきましたように、借金を返済してもらうには、借用書や返済の意思を見せた文面などの「借金を証明するもの」が必要です。
借金を証明するものがある場合は、早めに法律事務所に相談してお金を取り返しましょう。
なお、住宅などの婚姻中に築いた財産に関わる借金に関しては、財産分与の一部とみなされるときは離婚後2年で消滅時効を迎える恐れがあります。
一刻も早く法律事務所に相談し、お金や財産を取り返してください。
④妻にお金を借りる夫の心理とは?
「家族に迷惑をかけたくない」「幸せな家庭を壊したくない」という気持ちが強い夫なら、妻ではなく銀行や消費者金融などの金融機関からお金を借りるはずです。
しかし、家庭不和の恐れがあるにも関わらず奥さんに「お金を貸してくれ」と言う夫は、妻にお金を借りたら利息を支払わずに済むのではないか、あわよくば返済しなくても済むのではないかと考えていると推測されます。
ただし、例外もあります。
妻に内緒で会社を辞めたときや失業手当を受けていてローン会社の審査に通りにくいときは、誰にも相談できずに妻からお金を借りるという選択肢を選ぶこともあるでしょう。
とはいえ、どんなときでも「貸して」という限り、返済の義務を伴います。
夫にお金をあげる気持ちがないのなら、借用書か公正証書を作成し、返済計画を立ててきちんと返済してもらうようにしましょう。
⑤子供がいるけどお金を返さない主人と離婚できる?
夫の借金癖が子どもの将来に影響を及ぼす恐れがある場合は、離婚することで子どもの未来を守ることも考えてみましょう。
普通ならば、子どもが幼いときは充分に時間をかけて関わり、子どもが大きくなったときには必要な教育を与えていくべきです。
しかし、妻にお金を借りるような夫は、子どもに時間やお金をかけないことが多く、子どもが満足な教育を受けられなくなったり、家庭不和によって子どもが精神的に不安定になったりする恐れがあります。
養育費に対する取り決めを、送達と強制執行の文言を付与した公正証書で文書にし、計画的に離婚を進めていきましょう。
まとめ
妻が夫に貸したお金は、夫婦間でも金銭貸借が成り立ちます。
口約束でも契約を交わしたことになりますが、借用書を作成すると証拠として残すことができるので安心でしょう。
また、お金を貸したと言う理由で離婚することはできますが、お金の使い道によっては離婚の理由とはならないことがあります。
しかし、夫婦間の貸し借りが精神的DVや経済的DVにつながる場合、夫が怠惰なために妻からお金を借りる場合は、離婚の理由になり得ます。
安易にお金を貸すのではなく、夫の性格をしっかりと見極めたうえで、お金を貸すのかどうか決めるようにしてください。
タグ:借金・お金の悩み
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