借入依存度とは総資産の中で借入金の割合を示す指標

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会社の財務状態や健全性を示す指標はたくさんありますが、銀行融資の審査の際によく使われる指標として「借入金依存度」という指標があります。

借入金依存度とはどのような指標なのでしょうか?また、自社が銀行で融資を受けやすくする際にはどのような点に気を付ければよいのでしょうか?

執筆者の情報
名前:手塚 龍馬(36歳)
職歴:過去7年,地銀の貸付業務担当

借入金依存度とは

借入金依存度とは会社の総資産のうち、借入金がどの程度の割合あるかを示す指標です。

資産には現金や、売掛金、土地、建物、棚卸資産などの資産がありますが、その資産をどのように調達しているかを示す指標です。

財務状態が健全な会社の貸借対照表は極端な例でいうと以下のようになります。

資産負債・資本金
現金(100万円)
売掛金(50万円)
土地(300万円)
建物(500万円)
棚卸資産(50万円)
資本金(1,000万円)
計(1,000万円)計(1,000万円)

このような貸借対照表の会社はめったにありませんが、この会社は現金や土地建物などのすべての資産を自己資本で賄っているといえるため、超健全企業であると言えます。

一方、借入金が多い会社の貸借対照表は以下のようになります。

資産負債・資本金
現金(100万円)
売掛金(50万円)
土地(300万円)
建物(500万円)
棚卸資産(50万円)
短期借入金(100万円)
長期借入金(400万円)
割引手形(100万円)
資本金(400万円)
計(1,000万円)計(1,000万円)

この場合には短期借入金、長期借入金、割引手形合わせて借入金が600万円ありますので、現金や土地建物などの資産1,000万円のうちに6割を借入金によって調達しているということが分かります。

このように、会社の資産のうちの何割を借入金から賄っているかを示す指標が借入金依存度という指標です。

借入金依存度の計算式

借入金依存度はすべての借入金、割引手形、社債等を総資産で割るだけです。

上記の事例で計算してみましょう。

借入金依存度=(短期借入金100万円+長期借入金400万円+割引手形100万円)÷総資産1,000万円×100=60%となります。

先ほども述べたように、この会社はすべての資産の60%を借入金から調達しているということが分かります。

数値の目安、基準

業種によっても異なりますが、借入金依存度によって、その会社が財務的に健全かどうか、借入金に対する依存度が高すぎないか、これ以上の借入れは難しいとか、まだ借入れを行う体力が残っているなどと言ったことを判断する1つの指標とすることができます。

数値によって分かること

借入金依存度から分かることは、借入金からどの程度資産を調達しているかという点です。

これによって、その会社の借入れが多いのか少ないのかの1つの目安にはなりますが、必ずしも借入金依存度が多いか少ないかだけではその後の融資の判断にはつながりません。

例えば100%融資を受けて工場を建てたばかりの会社は、資産の中で高い割合を占めるものは工場設備であるため、借入金依存度が高くなって当たり前であるためです。

また、借入金依存度が高くても、現金があるような場合にはそれほど問題はありません。

銀行から頼まれて、必要ない現金を手元に持っているという会社が稀にありますが、それはこのパターンです。

一方、売掛金や棚卸資産が多いような会社で借入金依存度が高いような場合には、会社の経常運転のための資金の多くを借入金によって賄っている状態ですので、借入金がない場合には資金ショートしてしまうという危険をはらんでいると見ることが出来ます。

また、借入金依存度が高く、土地や建物の割合が多いような会社の場合には、不要な会社の資産を売却して借入金を返済することで、会社の財務内容を健全化することができる余地が残されていると言えます。

【業種別】目安

業種別の借入金依存度の目安は以下の通りです。

  • 卸売業で50~55%
  • 製造業で60~65%

そのほかの業種であると30%を超えると危険水域であると言われています。

業種によっては設備投資にお金がかかり借入金依存度がどうしても高くなってしまうというところもありますので、一概に何%の場合は必ず危険水域ということはできませんが、目安としては以上のようになっています。

【会社の規模別】目安

小さな会社ほど借入金依存度が高くなれば、倒産や資金ショートの危険水域になってしまうのですが、開業まもなくは開業時の借入れが多いですので、借入金依存度が高いのはやむをえない部分もあります。

会社の規模によって借入金依存度だけで財務内容の健全性を判断するのは難しいのですが、設備資金を借りてもいないのに、借入金依存度が高いような会社は規模に関わらず危険性を孕んでいると考えたほうがよいでしょう。

借入金依存度以外の指標の見方

会社の財務内容や健全性を判断するにあたっての指標としては以下のようなものがあります。

借入金依存度だけではなく、様々な指標を使って様々な角度から会社の内容を判断することが重要です。

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キャッシュフローが近年重視傾向

先ほどから述べているように、借入金依存度だけではその会社が健全か否かを判断することはできません。

銀行が実はもっとも重視しているのはキャッシュフローです。

キャッシュフローとは実際にお金があるかないか、使えるお金はいくらかなどを計算するものす。

黒字でも資金化にならない売掛金や手形などの売掛債権が多い場合にはキャッシュフローがプラスにならない場合もあります。

このような場合には往々にして黒字倒産という現象が起きます。

借入金月商倍率もチェックされる

借入金月商倍率とは借入金が月商の何倍かということを示す指標です。

計算式は以下の通りです。

借入金月商倍率(か月) = (短期借入金+長期借入金)÷月平均売上高

要するに、借入金が月商の何ヶ月分あるのかを示す指標で、6か月以内なら大丈夫などと言わるケースも多いです。

この場合にも設備投資などで多額の借入を行っているような場合には、借入金月商倍率はあまり意味をなさなくなりますので、あくまでも審査の1つの指標として使われる程度であると認識したほうがよいでしょう。

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自己資本比率で健全性をアピール

自己資本比率とは借入金依存度とは全く別の概念です。

総資産のうち、自己資本がどの程度の割合を占めるのかを示す指標です。

計算式は以下の通りです。

自己資本比率=資本金÷総資産×100

先ほどの事例で言うと、400万円÷1,000万円×100=40%となります。

自己資本が多い企業ほど健全な企業ということができ、給料や仕入などの支払いを借金に頼らなくても自己資金から賄うことができるため安全な会社であるということが出来ます。

反対に自己資本比率が低い企業は給料や仕入れなどの経常運転資金が銀行からの借入金がないと回らないことになるため、危険な企業であると判断できます。

TKC経営指標のデータによると、自己資本比率の平均は赤字企業で-4%、黒字企業で27%、優良企業53%となっています。

黒字企業であっても借入金に頼った経営を行っていることが窺えます。

自社の自己資本比率との比較として参考としてみてください。

借入金依存度以上に重要な指標

借入金依存度は会社の健全性を示す指標の1つに過ぎません。

銀行が会社の審査を行う際には、借入金依存度よりも重要な指標があります。

代表的な指標は以下の3つです。

①収益を出しているかどうか

単純に通常の営業活動の中で収益を出しているかどうかが最も重要になります。

指標がどうであろうと、すべての大前提は本業で利益を出せる構造かどうかであるためです。

特に重要な指標は営業利益です。

営業利益とは会社の通常の営業の中で利益が出せているかどうかを示すものです。

売上-売上原価―経費で計算できるものであると考えてください。

営業利益から支払利息などの営業外の費用を引いたものを経常利益といいます。

経常利益は会社の借入金の期限延長などを行うなどの工夫で黒字に持っていくことができますが、営業利益が赤字の場合には本業の業務そのものに問題があるという証拠です。

このため、3期連続で営業赤字のような企業の融資は厳しいと言えます。

また、1期だけでも赤字の場合には、特別事情による偶発的な赤字とか、来期からは建て直せる要因がないと、融資が断られる場合もあります。

いくらお金を貸しても本業で収益を出せない構造であるならば、融資の意味が全くないためです。

②キャッシュフローは健全か

先ほど説明したキャッシュフローですが、利益が出ているかどうかと同じように、キャッシュフローは最も重要な指標になります。

いくら黒字になっていても、売掛金や受取手形などの売上に伴う債権が凍り付いているのであれば、黒字倒産になってしまうこともあるためです。

このような状況を改善するために割引手形や売掛債権担保融資やファクタリングなどと言った手法があります。

③償還財源はあるか

償還財源とは借入金の返済を行うだけのキャッシュがあるかどうかです。

キャッシュフローがプラスになっていても、借入金の年間返済額に満たない額であった場合には「借りたお金をどうやって返済していくのか」という話になり、融資が受けられない可能性もあります。

借入金は長期にわたる場合もあるため、営業活動によるキャッシュフローが償還財源をカバーしている状態が望ましいと言えます。

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借入金依存度を減らす方法

借入金依存度を減らして、自己資本比率を高める方法としては以下の方法があります。

自己資本比率が高く、借入金依存度が低い企業ほど、借入を行いやすくなりますが、借入金依存度が高い企業ほど借入を必要として、自己資本比率が高い企業ほど借入金は必要ないというジレンマがあることも事実です。

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株主資本を厚くする

会社のスポンサーを見つけて資本金を厚くする方法が株主資本を厚くする方法です。

方法としては上場や、新株発行、第三者割当増資などがありますが、いずれの方法も上場企業のような規模の大きな企業しかできない方法です。

中小企業で資本を厚くする最もポピュラーな方法としては、会社のオーナー社長が自分の個人資産を会社へ出資しする方法です。

この場合は当然ながらオーナー社長が個人資産をある程度もっているということが前提となります。

有利子負債を削減する

有利子負債を削減するとは、利子のつく銀行からの借入金や社債などの借金を減らすということですが、経常的に借入金に頼っている会社はなかなか借入金の額が減っていかないということも事実です。

中小企業で借入金依存度を減らす最もポピュラーな方法としては以下の方法が考えられます。

中小企業は会社のオーナー社長や家族親族の預金を「代表者借入金」として計上している場合がありますが、この際に借入金ではなく、出資という形をとって、借入金を資本金とすることで、借入金依存度は低くなります。

この方法を行う際のデメリットは会社の経営権や所有権を自分以外の人が持つことになりますので、自分本位の会社経営ができなくなるという点です。

ただし、銀行も会社の査定を行う際の借入金依存度を計算する際には代表者借入金などの実質的には出資に近い借入金を排除する場合も少なくないため、それほど意味はないかもしれませんが、少なくとも決算書の見かけがよくなり、印象としてはプラスに働く場合もあります。

リース債務を減らす

会社の設備や備品をリースによって導入している場合には、当該資産を導入するための対価として「リース債務」という負債勘定に計上します。

リース債務も借入金依存度を計算する際に考慮されますので、設備や機械を自己資金で購入すれば負債は減って、借入金依存度は低くなります。

ただし、リースには減価償却費を計上しないというメリットがありますので、キャッシュで資産を購入した場合には減価償却費が収益を圧迫するというデメリットも存在します。

ファクタリングを活用する

手形の割引はキャッシュフローの改善にはつながりますが、「割引手形」という負債勘定で処理しますので、借入金依存度を低くすることはできません。

同様に、売掛金を担保にする売掛金担保融資(ABL)という方法で売掛金を担保に借入を起こすことでキャッシュフローの改善につながりますが、この方法も借入金ですので、借入金依存度の改善につなげることはできません。

借入金依存度を改善するにはファクタリングという方法が効果的です。

ファクタリングは売掛金や受取手形などの売掛資産を手数料を支払って売却するという方法です。

この方法であれば、借入を行うことなく資金調達ができますので、キャッシュフローの改善と、借入金依存度の引き下げの両方の効果を得ことが出来ます。

ただし、ファクタリングは売掛債権額面金額の20%程度の手数料が発生する場合もありますので、借入金の支払利息よりもかなり大きく収益を圧迫することになります。

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キャッシュフローの見方

営業活動によるキャッシュフローは以下のように計算します。

当期利益+減価償却費-税金

当期の利益から損金算入している実際にはお金が動いていない費用である減価償却費を足します。

その後、今後支払う税金を差し引いた金額が営業活動によるキャッシュフローです。

支払った経費をすべて差し引いた後に手元に残る金額を算出したものですので、少なくとも、この金額の範囲内までは借入金の返済が可能であると分かります。

この他、設備投資や資産の売却などによって、キャッシュがプラスになったのかマイナスになったのかを示す投資活動によるキャッシュフローがあります。先行して設備投資を行うのが一般的な企業活動ですので投資活動によるキャッシュフローはマイナスになることが多いです。

財務活動によるキャッシュフローとは借入や社債の発行、返済、償還等によって、キャッシュがマイナスになったのかプラスになったのかを示す指標です。

借入を行えばキャッシュは増えるため、財務活動によるキャッシュフローだけ増えても当該企業の業績が良いとは言えません。

それを今後返済していく原資となる営業活動によるキャッシュフローがプラスとなっていないと、借入金の返済を賄うことができないためです。

キャッシュフローはすべての指標をトータルで見ることが重要になります。


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まとめ

借入金依存度はあくまでも会社の健全性を把握するための1つの目安に過ぎません。

無理に借入金依存度を低くしようとして、ファクタリングなどで多額の手数料を支払う必要まではないのではないように筆者は感じています。

設備投資を借入によって行えば当然ながら借入金依存度は高くなりますし、運転資金は会社にとって必要な血液です。

それより大事なことは「収益が上がっているか」「キャッシュフローはプラスか」の2点です。

借入金依存度はあくまでも自社の借入金が同業種と比べて多いのか低いのかを考慮する1つの目安程度に考えておくようにしましょう。

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