高利金貸し会社ってどんな仕組みで儲かるの?【元貸金業者が語る】
金貸し会社ってそんなに儲かるのか。儲かるとすればどのくらい儲けることができるのか気になりませんか。
30日間無利息サービスは初回限定ではあっても、1カ月分の利息収入が入らなければ会社としては収益ゼロです。儲かるシステムとはどのような仕組みなのでしょうか。
- 執筆者の情報
- 名前:梅星 飛雄馬(55歳)
職歴:地域密着の街金を30年経営
収益源は利息収入
金貸し会社の収益源は会員が支払う利息収入が大部分を占めています。
大手金貸し会社になれば株式投資や為替取引によって収益をあげているところありますが、ほとんどの場合はお金を貸すことによって得ることのできる利息です。
利息収入は1回払いよりも分割払いの方が多く利息を得ることができます。
返済期間が長期になるほど金貸し会社が受け取ることの出来る利息額は増えてきます。
大手金貸し会社が標準としている貸出金利を年18.0%とし、50万円を借りた場合に得ることができる利息収入をご紹介しましょう。
なお返済は利息だけではなく元金も一定額納めるとして計算します。
・1回払い:7,397円
・12回払い:5万68円
・24回払い:9万9,088円
・36回払い:15万736円
・48回払い:20万4,976円
・60回払い:26万1,760円
以上のように返済回数が長くなるほど、会員が金貸し会社に支払利息額が増えてきます。金貸し会社は長期にわたって返済してくれる会員を多く持っているほど儲かるシステムです。
金貸し会社はあまり儲からない?
上記の利息額を見て、50万円の貸し出しを行って得ることができる利息は12回払いでも5万円か、あまり儲からないものだな、と思うかもしれません。
確かにその通りですね。利回りを計算すれば年10%です。
家電量販店で50万円相当の電化製品を販売すれば、値引き分を考えても粗利は最低でも30万円はあるでしょう。
たった1回の取引で30万円の利益を上げることができる家電量販店と、金貸し会社の利回りを考えれば割に合わないのではないかと思うのは当然です。
たとえ60回払いで貸し付けたとしても利息収入は26万円を超える程度ですから、投資の割合には儲からないと考えても不思議ではありません。
現在の金利水準でも金貸しは儲かる
とはいえ、貸金業法が改正になってから金貸しの儲かる割合は少なくなりましたが、上手にお客さんと付き合っていると利息制限法の金利でも金貸しは十分に儲かります。
100万円未満の貸付であれば金利年18.0%までとって良いのです。単純計算で一年あたりにお客さんが支払ってくれる利息は18万円です。
10年も支払ってくれたら180万円の利息ですね。
もちろん途中で元金充当もすることでしょうからそんなに利息は入ってこないとしても、現実問題として利息だけの支払いや、元金を支払ったとしてもコミコミ1万円や2万円の支払で済ませてしまうのです。
大手の金貸しだって本当に返済が苦しいなら、今月は利息だけでお願いしますとカードローンセンターのオペレーターに言えば許してくれますよ。
それに返済期日に遅れたら、延滞金として金利年20.0%までとっても良いのです。
もちろん利息をダブって取ることはできませんが、利息の代わりとして延滞金高い金利で支払ってくれれば金貸しはそれは儲かりますよ。
ですから支払い期日に遅れてもすぐにお客さんに連絡することはありません。
滞納の常習者は別としても、普段滅多に滞納することがないお客さんなら支払期日から遅れること一週間くらいは黙って様子を見ていますね。
そうすれば一週間分の延滞金をもらうことができるじゃないですか。
例えば金貸しでも零細なところになると営業貸付残高は1億円程度になっているところも少なくありません。
でも1億円を貸付して一年間にもらうことができる利息は平均で1,600万円くらいです。たった1,600万円と思うなかれです。
1億円の資金は1回投入するだけで、後は寝て待てば利息がどんどん入ってくるのです。それこそ10年も金貸しをやったら零細金貸しでも1億6,000万円の利息が入ってくるわけです。
経費として年間600万円使ったとしても黙って1,000万円の利息が残るのは金貸しにとってはたまりませんね。
貸付残高が1億円くらいの金貸しになると、ほとんど社長1人です。社員はいません。貸付残高が2億円になって初めて従業員が1人増えるくらいですね。
2億円の貸付で年間の利息収入は3,200万円。
従業員に給料を年間500万円支払って、経費に600万円かかったとしても2,100万円は残るのですから、現在の金利水準でも十分に金貸しは儲かります。
金貸し会社は固定客を持っている
しかし大切なことを忘れていますね。
家電量販店は毎日一定数以上の顧客が電化製品を購入するとは限りません。
売れるときもあれば売れないときもあるのは至極当然なことです。また在庫抱えてしまうリスクを常に考えなければなりません。
在庫は販売しなければ利益を生み出しません。そればかりか仕入れ代金にかかる費用や、金融機関からの借入で購入したとなると支払利息もかかってきます。
どうしても現金化しなければならない場合はセールなど仕入原価スレスレ、または原価割れで販売しなくてはならないこともあります。
金貸し業者は一度お金を貸してしまえば、毎日黙っていても利息収入が積み上がります。そして何より会員は固定客として見ることができます。
営業貸付残高が100億円ある、とすれば金貸し会社は毎日100億円の商品を販売しているのと同じです。
どんなに大きな家電量販店でも毎日の売上を100億円達成するのはまず無理ですよね。
その無理な売り上げをたった1回契約するだけで保持して行くことができるのが金貸し会社です。
会員数が多いほど儲かる
例えば大手金貸し会社のトップは顧客会員数が120万人を超えていると言います。そして平均貸出金額はおよそ50万円とも言われています。
それぞれの会員が50万円の返済を5年で行えば、金貸し会社が得ることのできる利息収入はざっと計算すると、3,140億円を超えます。1年あたりの利息収入は628億円です。
当然ながら営業貸付残高もそれなりに必要になったとはしても、金貸し会社がそれほど率の悪い営業しているとは言えませんよね。
中小の金貸し会社だとしても、会員数が1万人いるだけで5年あたりの利息収入は26億円を超え、1年当たりで5億2,000万円の利息収入を得ることができるのです。
会員数の少ない街金業者でも1,000人の会員を持っていれば、1年で5,200万円の利息収入を得ることができるのですから、金貸し会社は収益性の高い業種であると考えてもおかしくはありません。
リボ払いによって儲かる金貸し会社
金貸し会社はカードローン方式によってお金を貸すことでさらに利息収入を増やすことができます。
カードローンの特性であるリボ払いです。
リボ払いは利用限度額内であれば返済途中でも追加借入することが自由にできます。
冒頭でご説明した利息収入は一度借入を行い、12回や60回で借金を完済した場合の利息収入です。
支払わなければならない利息は順調に返済していけば徐々に減っていきます。
しかし返済途中で追加借入れを行えば、再度初めから高い利息を支払わなければなりません。
2回や3回返済しただけで追加借り入れを行えば、ほとんど利息だけを支払っているのと変わりはありません。
そうなると50万円を借りてしまえば、1年間に支払う利息は金利年18.0%なら9万円です。
順調に返済していけば5万円で収まる利息が9万円の利息に増えてしまうのです。
人の心は弱いです。
借入当初はお金を借りたら必ず返済する、それも短期間で返済すると決め込んで契約しても、返済途中に何か欲しいものがある、または急な出費が起きてしまったとなってしまうとつい借入を行ってしまいます。
カードローン契約は返済期限が定まっていないため、利用している間はずっと利息を支払い続けなければなりません。
だからこそ一度カードローンでお金を借りてしまうとなかなか借金を返済することができないと言われる理由です。
金貸し会社は貸し倒れリスクがある
もちろん金貸し会社にも貸し倒れリスクはあります。貸し倒れリスクは業界平均でおよそ10%と言われています。
仮にこの小さい街金業者で考えてみると、50万円の貸付を1,000人に対して行えばリボ払いの誘惑に負けた顧客が支払う利息は1年でおよそ9,000万円と見積もることができます。
貸し倒れリスクが10%なら、会員が1,000人なら100人ですよね。それぞれ50万円を貸付しているわけですから損失額は5,000万円です。
損失額5000万円は街金業者にとって大きな損失であることは間違いありません。
しかし利息収入が9000万円あれば差額4,000万円を確保できるのです。
規模の小さい金貸し会社ですら利益を確保することができるのなら、大手の金貸し会社ならもっと利益を確保することができるはずです。
なぜなら大手の金貸し会社は審査基準を厳しく設定しているため、貸し倒れリスクは10%未満の5%程度に抑えることができるからです。
大手金貸し会社は借入簡単
大手金貸し会社ほどインターネットやスマホ、自動契約機を通して気軽にお金を借りることができるシステムを持っています。
申込者の利便性を考え土日祝日でも、または夜間22時くらいまでならお金を借りることができるサービスがより顧客を惹きつける材料となります。
即日融資をすることも審査の内容によってはかなり確率的に高くなります。
お金を借りるにしても、コンビニATMから借り入れすることができるのはかなり魅力的に映るはずです。
金利年18.0%でも利益を確保できるのは顧客の心理をついた見事な作戦ですね。
利息は返済期間が長ければ増える
筆者が経営していた中小金貸しもほとんど経費はかかりませんでした。
ホント固定費となるのは人件費と店舗の家賃くらいなもので、OA機器は最初に買ってしまえば後はほとんどお金はかかりません。
金貸しだからといって高級車のベンツに乗ったとしてもリースで落とすことはできませんし、購入しても経費で落とすことは税務署で許しません。
クラウンやレクサスクラスでも、税務署員によく言われました。「この車で集金するの?ありえないよね」ですよ。
したがって営業車も軽自動車を各営業所ごとに2台ずつ購入するだけです。もちろんガソリン代や車検代は経費として落ちますが、接待交際費に関しては厳しかったですね。
税務署の立ち入り調査で、誰を接待するの?絶対することによって何か営業にプラスになるの?と質問されると返答に困ったものです。
話はそれましたが元に戻しましょう。
お客さんが金貸しからお金を借りるのは一瞬でも、いざ返済するとなるとなかなか返済できないのです。
お金を借りる誰もが最初に言う言葉には「今度の給料が入ったら全部返済するから」です。確かに給料は入ったのでしょうか、給料が入ったからといって全額返済する人はいません。
お金って怖いですよね。金貸しからお金を借りたのにお金を財布に入れた途端、自分のお金になってしまうようです。
もう自分のお金か金貸しからお金を借りたお金なのか区別が出来なくなっているのですよ。
ですから給料が入っても、入ったお金は自分のお金、金貸しから借りたお金も自分のお金と思うものですから、返済するのがもったいなく感じてしまうのです。
そうなってしまうと金貸しとしてはニヤリとなるわけです。
たった10万円の返済のために2年や3年平気でかかりますからね。
契約では毎月1万円ずつ、または1万5,000円ずつとと書いてありますが、返済する際にお客さんは平気で「今月は利息だけ」と言ってきます。よくても「利息込みで5,000円で」とか「今月は1万円で何もかも」です。
話が違うじゃん? と言っても「パチンコ屋負けちゃったからさ悪いね」でおしまいです。
借りる金額が大きくなれば返済期間も長くなる
借りている金額が30万円くらいになると、長いお客さんで20年以上返済していた人もいましたね。
契約通りにきちんと返済していれば長くても3年もあれば返済できるのですが、借入残高が少なくなると返済途中でも追加借入をしてしまうのです。
一番長いお客さんで会社立ち上げ当初から30年以上付き合ってきた人もいますね。お金はあって困ることはありません。
お金があれば売っているものなら何でも買えるし、どこかに遊びに行く資金としても使うことができますね。
大手の金貸しになるとローンカードを発行しますね。
ローンカードは全国のコンビニで利用できるわけですから、旅先でお金が必要になったら利用限度額内でいくらでもお金を借りれてしまうのです。
金貸しからお金を借りて早く返済すれば利息も少なく返済できるのに、お金の魔力は怖いですね。
夜の歓楽街で遊ぼうか、と思った途端「お金が足りないじゃないか」というわけでコンビニに直行するのです。
返済方法もいけないですよね。リボ払いは金貸しにとってこれ以上ない儲けの種ですよ。
借りる方にとっても極端な金額を借りない限り毎月同じ返済額を支払っていれば、良いのですからお金を貸す金貸しにとっても、お金を借りるお客さんにとってもWIN=WINの関係ですよね。
消費者金融の全盛期っていつ頃?
全盛期の絡みで言うと経済の全盛期はまさに、1980年代から1990年代前半にかけてのバブル景気ですよね。
今の若い人じゃあ分からない話でしょうけど、その頃は今とは比べ物にならないほど水商売が盛んで、キャバクラや風俗も入り待ちをするくらいにお客が並んだものです。
確かに客引きも多かったですが客引きしなくても、お客さんは入れ食い状態でしたね。
飲み代はすべて接待、経費で落とすのが普通で、今のように自腹を切って得意先を接待するなんてことはなかったですよ。毎日が宴会状態、遊び放題の時代でもあったわけです。
まもなく財テクブームが流行って株取引や不動産売買が盛んになり、1989年12月には株価が3万9,000円近くまで上がったものです。
消費者金融の全盛期もちょうどバブル景気と同じくらいですね。
と言うか消費者金融はあまり世の中の景気と関係がありませんでしたが、確かに1980年代から中小消費者金融を始めた筆者にとっては、笑いが止まらないほど利益が出ました。
お金を貸すことで多額の利益が出たという点では、バブル景気と重なったとも言えますね。
何しろ1983年までの上限金利は出資法の年109.5%、出資法改正によってちょっと下がったなと思っても1983年での上限金利は年73.0%。
そして1986年には年54.75%、1991年には年40.004%と、上限金利もバブル景気に始まってバブル景気に終わったとも考えられなくもないです。
現在の上限金利である年20.0%から見れば、圧倒的に高い金利ですよ。消費者金融を1980年以前から始めていた業者なら、たった1年で資金を2倍にできたのですから。
さすがに上限金利年109.5%の破壊力は凄まじいですよね。10万円を貸しても1カ月で9,000円の利息です。
現在では9,000円の利息を稼ぐには60万円くらい貸さなければならないのですから、同じ利益を出すのに資金が6倍以上必要なんですよね。
1983年の出資法改正で消費者金融が減った?
消費者金融の衰退が始まったのは1983年の第1回目の出資法改正、という意見もありますが筆者はそうは思っていません。
1983年の出資法改正は同時に貸金業法の改正でもあって、当時は貸金業規制法と言いましたが貸金業を行うにあたって厳格な審査が行われたため、暴力団関係者や今で言うところの反社会勢力が闇で貸していた闇金が減ったに過ぎないからです。
確かに出資法改正前は貸金業を営む業者は、正規業者と闇業者を合わせて20万社以上あったと言われています。
無登録の貸金業者を排除する目的で設けられた貸金業規制法よって、貸金業者は約3万社まで減少しています。
しかし逆に考えてみれば資金需要者にとって違法な金利でお金を貸す貸金業者がいないということは、安心して借りれる正規の貸金業者が残ったともなるわけですよね。
3万社に減ったと言われる消費者金融でも、市場規模は20兆円産業と言われ日本経済の底上げに多大なる尽力を及ぼしたことは言うまでもありません。
ですから闇金業者がいなくなって消費者金融が冬の時代に入ったというのは、ちょっと考え方が違うかなという感じです。
相変わらず出資法の上限金利は年73.0%だったわけですから、10万円を月貸せば6,000円の利息をもらうことができたのです。
資金が潤沢にない中小消費者金融でも、営業貸付残高が5億円くらいあれば単純計算で利息は1年間で3億6,000万円ほど入ってきたのです。
これを消費者金融の全盛期の続きと言っても全く過言ではありませんね。
消費者金融が全盛期から転げ落ちた2006年1月
消費者金融にとって全盛期の終わりを告げたのが、出資法の上限金利は違法と判断された2006年1月のことですね。
ですから消費者金融の全盛期は何と1980年から2006年まで26年間続いたことになりますね。
盛者必衰の理を表すではありませんが、頂点を極めた産業はいずれ衰退することを実感した年でした。
急に成長しすぎたという見方もありますし、お金を貸せば利息が簡単に儲かることで多くの業者が参入してきたことも消費者金融を衰退させてしまったわけかもしれません。
さて出資法の上限金利が違法と判断されてしまった2006年1月は、まさしく消費者金融業界を震撼させるもので、大手消費者金融を中心に契約書の条文の書き換え、上限金利の引き下げを行なったものの結局は無駄でした。
これは何を言っているのかと言うと過払い金のことです。
2010年6月には出資法の上限金利が年29.2%から年20.0%になることが既定路線だったため、消費者金融各社は、営業所の統廃合や人員削減などを行ってなんとか生き残ろうと模索していたのですがね。
しかし過払い金請求問題がニュース番組、ワイドショー、週刊誌などで報じられるとそれまで沈黙してきた弁護士や司法書士が砂糖に群がる蟻のように消費者金融を痛めつけたのです。
過払い金請求って何のこと、という人まで掘り起こし、今まで支払ってきた利息が戻ってきますよ、借金がゼロになりますよ、と言葉巧みに誘い法律の専門家は高額な報酬を受け取ると言う貧困商売って言うんですかね。
せっかく消費者金融が出資法の上限金利と利息制限法の上限金利が一致する、日本貸金業協会が立ち上がる、統合された信用情報機関が設立される、というのに溺れる犬を棒で叩いてきた法律の専門家は「カネの亡者」に見えたものですよ。
全盛期の時代が終わったと悟った武富士の倒産
消費者金融の全盛期に君臨したのが武富士です。創業は1966年で団地に住んでいる主婦にお金を貸すことで莫大な利益を上げた消費者金融ですね。
当時の金利は年109.5%ですから、10万円を貸しても月に9,000円の利息です。お金を集金するにも団地ごとに集金すれば、毎日100万円程度の利息を稼ぐことができた時代です。
しかしその武富士も出資法の上限金利引き下げは何とか持ちこたえたものの、致命傷となったのがやはり過払い金請求問題です。
武富士が抱えていた過払い金の総額は2兆円を超えるとも言われ、とても支払いきれないと考えた武富士は会社更生法を申請し最終的には2011年に倒産しています。
栄枯盛衰は世の習いの象徴だったのが武富士だったのです。
2006年から2016年まで続いた消費者金融冬の時代
消費者金融の全盛時代が終わり冬の時代が始まったのは2006年から2016年頃までです。
過払い金請求には時効があって、すでに借金を完済している人が過払い金請求できるのは10年に限られたからですね。
その間にアコムは三菱UFJフィナンシャル・グループへ、プロミスはSMBCグループへ、そしてレイクはSBI新生銀行グループの傘下に入り、過払い金請求や金利の引き下げで収益悪化した消費者金融がじっと耐えていた10年間でした。
現在でも過払い金請求は一部続いていますが、消費者金融業界ではすでに峠は越えたとみなしており、2017年以降からは実際に過払い金請求額も減っているようです。
3万社あった正規の消費者金融は約2,000社まで減少し、地元に密着した経営をしていた零細貸金業者は廃業を余儀なくされました。
消費者金融が冬の時代に突入すると同時に、代わりにカードローン業界を席巻したのが銀行カードローンです。
銀行カードローンが消費者金融に迫る勢いになったのが2010年を過ぎたあたりからで、2017年には消費者金融業界全体の貸付残高よりも、銀行カードローンの貸付残高の方が多くなるほど銀行カードローンは巨大化して行ったのです。
再び消費者金融の全盛期は来るのか
消費者金融業界全体が縮小されたものの、再び消費者金融が脚光を浴びるかもしれない事案がありましたね。
・みずほ銀行とソフトバンクによって消費者金融「J.Score(ジェイスコア)」の設立
・銀行カードローンの即日融資が事実上停止になった
衰退産業であればレイクとジェスコアは消費者金融業界に参入してきませんね。
それにお金を借りたい需要が求めるのはやはり即日融資です。
銀行カードローンが事実上即日融資ができなくなった2018年1月から、どうしても今日中にお金を借りたいという希望を満たしてくれるのは消費者金融だけです。
レイクとJ.Score(ジェイスコア)、どちらも計画を上回るスピードで営業貸付残高を増やしているようですね。
それと2017年頃から盛んになった、貸金業法改正の動きです。
金利は貸金業法を改正する直前の年29.2%まで認めようじゃないか、金利は法律で規制するのではなく市場に任せよう、との考えが出てきています。
もし貸金業法が改正されたら消費者金融は再び脚光を浴び、全盛期を取り戻すかもしれません。
しかし以前のような消費者金融ではありません。安心して借りれる安全な庶民金融としての役割を果たす消費者金融としてでですね。
消費者金融が台頭してくるのがいいのか悪いのかは、市場が決めることです。市場が必要とすれば消費者金融は活発な動きになってくるでしょう。
高利貸しの庶民感覚は?
高利貸しという商売の庶民感覚は人それぞれです。
無登録で貸付業を行っている闇金業者のことを高利貸しと言う人もいれば、消費者金融を高利貸しと感じる人もいます。
結局何を基準にして金利が高いと考えるのかによって、高利貸しとする対象が異なるわけです。
例えば銀行が貸付を行っている住宅ローンの金利を標準に考えれば、銀行カードローンも高利貸しに入るでしょう。
銀行カードローンの金利を表示に考えれば消費者金融は高利貸しの部類に入るわけです。
お金を貸し付けることを生業としている業者の中で最も高い金利を取るのが消費者金融です。
そうなると庶民感覚的には消費者金融が高利貸しの分類に入れられてもおかしくはありませんね。
もっとも2010年6月の貸金業法改正によって、高利貸しと言われる消費者金融は徹底的に金融業界から撤退を余儀なくされ、かの消費者金融の最大手だったT社ですら倒産してしまったほどです。
出資法の改正直前の上限金利は年29.2%。その頃の銀行による無担保無保証の個人向け貸付は年14.5%程度でしたから、やはり消費者金融が高利貸しと言われても仕方のないことかもしれませんね。
高利貸しは商売なのか
一般的に商売と言われる業種は製造業やサービス業、小売業など、製品の材料となるものを仕入れて商品化して販売するか、資本を投じて建造した娯楽施設を顧客に提供して営業収益を上げると考えることができます。
つまりどちらにも共通するのはあらかじめ利益の元となる原料や施設にお金をかけていることです。
しかしせっかく製品化した商品でも売れなければ利益を上げることはできません。
多額の金額をかけて建設した設備を利用してくれないことには利益を上げることはできません。
商売として成り立つには必ず利用する顧客がいなければなりませんね。
しかし顧客は移り気です。
同じ商品でももっと他に安く手に入ることができる企業があればそちらから購入する要因が強いです。
娯楽施設を建設しても入場料が高い、提供されるサービスの品質が悪いと感じれば他業者へ顧客は流れてしまいます。
商売は常にいかに顧客の心をつかむか、そして満足を与えるかで決まります。
それに対して高利貸しはどうでしょう。
高利貸しと言われる消費者金融が顧客に与えるサービスは大手消費者金融になればなるほど画一化しています。
要するに他業種と比べてサービスの質にそれほど差があるとは言えません。
インターネットやスマホから申し込むこともできれば、自動契約機も利用することができる。金利も年18.0%と各社並べたように全く差を生み出していません。
まして高利貸しは顧客の流出を考える必要がないのです。
一度契約するだけで顧客を固定資産とみなすことが可能ですね。
お客は常に安定して存在し、利息を支払ってくれる以上高利貸しが損をすることはないのです。
商品は現金である
ところが高利貸しには在庫管理と言う概念がありません。
お金を借りたいと思っている顧客がいる限り、商品となる現金が売れ残ることはありません。
人間が人間である以上、それこそ小売店が販売している商品がある以上現金が余って仕方がないということがありません。
商売はそもそも需要と供給のバランスが重要です。残念ながら高利貸しは需要と供給のバランスを考える必要がありません。
世界中に商品が溢れかえっている、お金を出せば売っている商品なら何でも買うことができる時代において、供給が需要上回ることはないのです。
安定した資金現在確保することができれば、高利貸しはお金を貸せば貸すほど儲かる仕組みです。
現に大手消費者金融各社の決算報告書を見る限り、平均利回り利率は年15%から年16%です。
上限金利を年18.0%としている割合にはかなり効率よく資金を運用していることがわかりますね。
しかし一年の利回りが年15%から16%と言う数字は、他業種、例えば不動産販売業者から言わせれば、何んと効率の悪い商売でしょう、と思いますよね。
もっとマクロ的に見ても家電量販店で売っている電化製品の仕入原価は売値の50%程度と言われています。
ところが不動産販売や家電量販店は毎月必ず一定の売り上げを達成することはまずできません。
しかし高利貸しなら一度お金を貸し付けしてしまえば、毎月一定の売り上げを期待することができるのです。
高利貸しの営業貸付残高が100億円なら、毎月100億円の売り上げを小売店が行っているのと変わりがありません。
しかも商品が売れ残る心配もないのです。
高利貸しはリスクが高い商売と言われていますが、信用情報機関の持っているデータが蓄積されればされるほど顧客の信用格付けを行うことがかなりの高確率ですることができます。
前述したように貸付金利が年18.0%でも年間の利回りが15%から16%達成できていることを考えれば、高利貸しは儲かる商売と言わざるを得ないのです。
貸倒リスクは少ない
高利貸しの貸し倒れリスクは平均で5%前後と言われています。
そうなると計算が合いませんよね。貸付金利が年18.0%、利回りが年15%から16%だと貸し倒れ率は2%から3%となります。
確かに計算上はそのようになるかもしれません。しかし高利貸しは遅延損害金を受け取ることができるのです。
貸付金利が年18.0%だとしても遅延損害金の金利は年20.0%です。
毎月きちんと返済期日までに支払う人が少ないということです。しかし遅れても利息を取ることはできます。
顧客全体のうち2%から3%の顧客は返済期日までに間に合わず、遅延損害金を払っていることがお分かりでしょう。
貸し倒れがこれほど低いのは皮肉なことに総量規制によって個人が借りることのできる上限金額が年収の1/3までと規制されたからに他なりません。
返済能力を超えた貸付をしていないため、高利貸しは安定して利息収入を得ることができるのです。
儲からないこともある?
信用情報による顧客の信用格付け、及び返済能力を超えない総量規制によって高利貸しはこれからも儲けることができるでしょう。
高利貸しが儲からないと言われるのは、莫大な資金源が必要なことと貸し倒れリスクです。
しかし大手消費者金融はメガバンクグループの一員となっているため、懸案の一つである莫大な資金源を心配する必要がありません。
第二の懸案である貸し倒れリスクは既にご説明のように審査を厳しくすることで低下させることが可能です。
ただし中小の高利貸しは少子高齢化のために生き残ることは困難です。
新たな付加価値をつけるか、大手高利貸しにはないサービスを提供するなどの対策が求められます。
一日寝れば利息が増える
高利貸しの利息収入は一日寝れば確実に積み上がるのです。
顧客にごますりする必要もなければ、借りてくださいとお願いする必要もありません。
お金は魔物です。お金が多すぎて困ることはありません。むしろ物欲を掻き立てる要因となるのがお金です。
高利貸しは物欲を満たすためになくてはならない存在なのです。
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