借入金の又貸しや名義貸しが銀行にばれたら返済はどうなる?
家族や友人や恋人が銀行の審査に通過できなかったから、自分名義でお金を借りて、そのお金を家族や友人や恋人に貸し付けるという行為はかなり頻繁に行われています。
特に子供の自動者ローンなどを親名義で借りて、返済は子供が行うなどということはかなりよくある話です。
しかし、これは立派な又貸しです。
又貸しを気軽に行っていると、あとから大きなリスクが生じることもあることをご存知でしょうか?
この記事では借入金の又貸しを銀行が禁じる理由と、又貸しのリスクについて解説します。
借入金の又貸しは基本的に禁止
銀行の融資においては、ほとんどのローンで借りたお金を他人に又貸しする転貸目的の融資は禁止されています。
カードローンなどの使い道自由な融資の場合でもほぼすべでて禁止されています。
この理由として以下の3つを挙げることができます。
審査は借主に対して行っている
融資の審査は申込人本人に行っています。
申込人が「返済に問題ない」と判断できるからこそ融資を行うのです。
しかし、このお金を他の人に貸し付け、その人が返済していくのであれば、審査の前提が根底から覆ってしまいます。
お金を貸すことができる人に融資を行っているのにも関わらず、実際に返済するのは別の人であれば審査を行う意味が全くありません。
審査対象の人にしか融資を行わないため、又貸しは禁止されているのです。
債務不履行のリスクが高くなる
銀行にとって、又貸しは貸したお金が返済されないリスクが高くなるといえます。
又貸しによって、融資金を受け取った人は銀行にとってはどこの誰か分かりません。
当然ながら、どこの誰か分からない人にお金を貸したら、返済が履行されるかどうか不透明です。
また、書類上の借主も自分が実際に借りたお金ではないため、実際に自分が使う目的でお金を借りた人よりも返済に対するモチベーションは確実に低いといえます。
つまり、返済に対する責任主体が非常にあいまいになってしまい、又貸しは貸したお金が返済されないリスクが非常に高くなってしまうのです。
銀行は資金使途も審査対象に
融資を受ける際には資金使途(お金の使い道)を記入しなければなりません。
この中に、通常は転貸資金と記載する項目はありませんし、仮に記載したとしてもまず融資を受けることはできないでしょう。
審査の際には、「融資金を何に使用するのか」も審査対象となるため、転貸資金として申込を行っても審査にはほとんどの場合で通過できません。
また、嘘の資金使途を記述して後で嘘がばれてしまった場合には、銀行から一括返済などを迫られる可能性もあります。
法律では禁じられていない
借入金の又貸しは、ほとんどのローンで禁止されていますが、又貸しは法律によって禁止されているわけではありません。
銀行が独自に禁じているだけですので、中には転貸が可能な融資も存在します。
転貸が認められるローンも存在
借入金の又貸しがなぜ禁止されているのかといえば、銀行にとって債務不履行となる可能性が高くなるためです。
このため、確実に返済が履行されるローンの場合には転貸目的でも融資を受けられることもあります。
具体的には預金担保貸付、不動産担保ローンの一部などです。
このようなローンは返済が履行されなくても、担保となっている預金や不動産などから回収が可能になるため、融資金を他人に貸したとしても回収には問題ないため、又貸しも認められる場合もあるのです。
又貸しは借主にリスクがある
借りたお金を第3者に又貸しした場合、最もリスクがあるのは、借主本人です。
実際には自分が借りたお金でないにも関わらず、すべてのリスクを負う可能性があるため又貸しはしない方がよいでしょう。
あくまでも返済義務は借主にある
借りたお金を他人に又貸しし、貸した人から毎月数万円ずつ返済していくという約束を取り付けていたとしても、そのような約束に法的な拘束力があるわけでも何もありません。
あくまでも、法的に返済義務を負っているのは借主本人です。
このため、又貸ししたお金が自分に返済されなかったとしても、借主には返済義務が生じてしまいます。
他人の借金を自分が返済しなければならないリスクをよくよく覚悟する必要があります。
必要な時に借金ができない可能性
借りたお金を又貸ししたとしても、借主はあくまでも自分です。
このため、自分の信用情報に借入金があることが登録されてしまいます。
カードローンや無担保融資の場合には、借入金の総額が限られています。
他人に貸すお金を借りているだけであるにも関わらず、融資限度額に引っかかり、自分が本当にお金が必要になったときに融資を受けることができない可能性があります。
信用情報がブラック化する可能性も
又貸しした人が、借主名義のカードや通帳によって直接銀行へ返済している場合には、借主は返済状況について全く把握できていないことになります。
もしかすると、自分の知らないところで返済に遅れているかもしれません。
その場合には、信用情報には傷がついてしまうことになるため、いざ自分が融資を受けようと思った際に、知らぬ間に信用情報に傷がつき、融資を受けられない可能性があります。
又貸しがばれたらどうなる?
又貸しが禁止されているローンで、又貸しがばれてしまったら銀行からペナルティが課せられる可能性があります。
どのようなペナルティの可能性があるのでしょうか?
一括返済を迫られることも
銀行は期限を融資しています。
融資を行うということは、貸したお金を先の期日まで返さなくてもよいということなのです。
これを期限の利益といいますが、期限の利益は契約時に締結した契約通りに融資を受け、返済を行うからこそ与えられるものです。
又貸しが禁止されているローンで、又貸しが銀行にばれてしまうと、契約違反に該当します。
また、又貸しは銀行にとって債務不履行になるリスクが最も高い契約違反です。
このため、又貸しがばれると期限の利益が喪失する、つまり、貸しているお金をすぐに一括返済してくださいという要求を銀行が行う可能性があります。
保証会社付きローンは代位弁済も
今や、ほとんどの銀行ローンでは、保証会社の保証がついています。
このため、又貸しが銀行にばれた場合には、代位弁済請求が行われる可能性があります。
代位弁済請求とは、銀行が保証会社に対して、貸しているお金の残金を立て替えてもらう請求です。
こうなると、信用情報はブラック化してしまいます。
しかし、保証会社も又貸しの場合には代位弁済に応じないこともありますので、又貸しがばれて代位弁済が行われる可能性があるかどうかは、銀行と保証会社によってケースバイケースです。
銀行も又貸しの可能性を考慮済み
銀行は又貸しを基本的に禁じていますが、そうはいっても実際には使い道の自由なカードローンなどにおいては、もしかしたら貸したお金が又貸しされるかもしれないという可能性は考慮に入れています。
そのため、カードローンは借りたお金の使い道を一切確認しないのです。
又貸しのようなリスクをとっても収益が見込めるよう、カードローンは金利が高く設定されているのです。
一般的に、カードローンで又貸しが銀行にばれても、返済が期日通りに履行されている限りは不問にすることが多いようです。
一括返済を迫られたときの対象法
又貸しがばれて一括返済を迫られたときにはどうすればよいのでしょうか?
手元にお金があったり、親族などからお金を調達できる場合には問題ありませんが、そうでない場合には自己破産するしか方法がなくなってしまいます。
自己破産をちらつかせる
又貸しがばれて、返済が期日通りに行われている場合には、銀行に自己破産をするしかない旨を伝えましょう。
銀行にとっても自己破産によって1円も回収できなくなるよりも、毎月返済してもらう方が損失はないことになります。
ましてや、これまでの返済が期日通りであれば、返済には問題がないため、交渉はさらに有利に進みます。
あまりよい手段とは言えませんが、自己破産を銀行にちらつかせることが最も効果的な交渉方法です。
借金の名義貸しは?
配偶者や友人に、「自分はローンを組めない、返済は自分がするから名義だけ貸して!」と頼まれることもあるでしょう。
それをいわれるままに応じると借金の名義貸しとなりますが、どのような問題があるのかこれから説明をしていきます。
債権者(金融機関)にとって誰の借金?
名義貸しした借金は、貸手である金融機関にとっては、名義を借りた第三者ではなく名義貸しをした本人の借金と見なされます。
なぜならば、金融機関は免許証や収入証明書で本人確認をしており、名義貸しの事実を知ることができないからです。
したがって、名義貸しした借金の返済が遅れた場合、名義を貸した本人が返済請求をされますので注意しましょう。
他人に借金の名義を貸すのは違法
そもそも借金の名義を貸すことは違法行為です。
もし金融機関に名義貸しがばれたら一括請求を求められるだけでなく、最悪の場合は刑事訴訟に発展しかねません。
また、自分の借金ではないと主張しようが、金融機関にとっては一切関係ありませんので、少しでも早く完済する必要があります。
知らない・関係ないは通用しない?
自分が名義貸しの事実を知らなかった場合は、借入れの契約自体を無効にできる可能性があります。
例えば、自分の免許証を盗まれて勝手に借金を作られた場合などです。
ただし、名義貸しの事実を知っていた場合は無効にはできませんので注意をしましょう。
銀行や消費者金融は融資をした後に必ず名義人に契約書を郵送しているため、そのときに「知らない」と主張しなければ借金の存在を認めたことになる可能性があります。
このように、借金の名義貸しには様々なリスクがありますので絶対にしないようにしてください。
名義貸しした相手が返済できないときの解決策
名義貸しした借金は、きちんと返済さえされていれば大きな問題にはなりません。
ただし、名義を貸した人が返済できなくなった場合はどうすれば良いのか、その対策方法を確認しましょう。
自ら返済するしかない?
名義貸しした借金は最終的に自分が返済しなければなりません。
それは先ほど話しした通り、誰に名義を貸そうが借金は自分のものだからです。
もし返済しきれない額の借金が残っていた場合、名義人自らが債務整理をすることになります。
名義を貸した借金は債務整理できる?
名義貸しした第三者が債務整理をしても、金融機関の借金はなくなりません。
したがって、名義人自らが債務整理の申立てをする必要があります。
当たり前の話ですが、弁護士に支払う債務整理の費用や、今後の借入が難しくなるというペナルティは全て名義貸しした本人が負うことになりますので注意しましょう。
相手に請求できる?求償権とは
借金を名義貸しした場合、名義人は名義貸しをした第三者から返済額を請求することができます。
この権利を求償権といいます。
ただし、金融機関と名義人の法律関係と、名義人と第三者の法律関係は別問題ですので、第三者が返済しなかったとしても名義人は金融機関の返済をしなければなりません。
立替金の請求には補償がない
先ほど話しした求償権は、法律的な強制力がありません。
したがって、第三者が支払わない場合は自らが訴訟を起こさなければならず、その費用や時間がかかってしまいます。
また回収できるとしても、その金額は自分が払った返済分に限られますので注意しましょう。
過払い金で減額できることも
名義貸しした借金は、過払い金請求で残高を減らせるかも知れません。
例えば、利息制限法以上の金利で返済していた場合などです。
この場合は戻ってくる利息は名義人本人に戻ってくる可能性がありますので覚えておきましょう。
弁護士に相談しよう
ここまで名義貸しした借金の清算方法について話ししました。
しかしどの方法が一番であるかは、名義貸ししたときのやり取りや交わした書類、また金融機関の借金の内容によって異なります。
したがって、まずは弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
名義貸しを頼まれる前に知っておきたいポイント
先ほど話ししたように名義貸しには様々なリスクがあり、できるだけ避けたいものです。
そこで名義貸しを頼まれたときの対策方法をまとめましたので紹介します。
自分が貸手になる
名義貸しをどうしても断れない場合は、自分と名義を貸す人とで借用書を交わすようにしましょう。
借金の存在を明確にすることで、先ほど話しした求償権と併せて貸金返還請求権を行使することができます。
ただし、金融機関は「又貸し」は禁止していますので、あくまで自分のお金を貸したようにしなければなりません。
相手に債務整理をさせる
名義貸しを求められたら、その相手が借入が一杯で追加融資を受けられない状況であると考えられます。
そのようなときは、相手に債務整理をすすめるのも解決策のひとつです。
名義を貸したとしても、結局借金返済のために借金をすることになりますので、任意整理や個人再生から提案してみてはいかがでしょうか。
名義貸し詐欺に注意!
自ら借金ができない人に対して、名義を貸すからといって手数料を払わせる業者がいます。
ただしこれは、手数料だけ払わせて何もしない悪徳業者です。
知り合いがこのような詐欺に騙されないようにも先ほど話ししたような対応をしてあげましょう。
また、逆に名義を貸してくれたら謝礼金を払うという業者もいます。
そして、返済はこちらからするから一旦借入額を全額振り込んでほしいというのです。
こちらに関しても、振り込みしたお金を盗む悪徳業者のひとつですので気をつけましょう。
まとめ
借入金の又貸しを行うことはほとんどのローンで禁止されています
これは、銀行にとって借入金の返済が履行されないリスクが高くなるためです。
又貸しが銀行にばれてしまったときは、銀行から一括返済を迫られたり、保証会社への代位弁済請求が行われる可能性があります。
銀行に又貸しがばれなかったとしても、知らないところで信用情報に傷がついていることがあります。
さらに、自分が本当にお金を借りたいときに借りることができないことがあり、借入金の名義人にとってはリスクしかありませんので絶対に又貸しはしないようにしてください。
タグ:借金・お金の悩み
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