給料前借は法律違反となる場合があるってご存知ですか?

実際に給料の前借りをしたことがある人はどのくらいいるのでしょうか。テレビやドラマの世界ではしょっちゅう出てくる給料の前借り。

実は給料の前借りは労働基準法違反になる場合がある、ということをご存知でしょうか。でも給料前になってどうしてもお金が必要というときの神頼みとしてはあってほしい制度です。

執筆者の情報
名前:梅星 飛雄馬(仮名)
年齢:55歳
性別:男性
職歴:地域密着の街金を30年近く経営

給料前借りは労働基準法に抵触?

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給料前借りができない理由は労働基準法第25条に抵触するおそれがあるからです。

同法によると、働いている社員が出産や病気、災害など非常時において請求があった場合、既に働いている分の賃金は支払わなければならない、と定められています。

この条文で大事なところは、「既に働いている分の賃金」の前借りであれば会社は働いている社員に対して支払っても構わないというところです。

通常給料の支払いは締め日があって支給日が定められていることが多いですね。

例えば給料の締め日が10日で支払日が翌月の10日だとしましょう。そうすると締め日から支払日までの間に1カ月のタイムラグが発生します。

その間に社員がどうしてもお金が足りない、このままでは生活できないし仕事すらままならないかもしれない非常事態が発生した場合は、タイムラグを無視して締日以降の働いた分を給料の支給日を待たずして請求することが可能としています。

ところが社会通念上考えることができる給料の前借りは、すでに働いている分の賃金ではなく、これから仕事をするということを条件にして翌月分の給料を先に借りてしまうことです。

簡単に言えば借りたお金を働いて返すという意味になってしまいますね。

労働基準法では将来支払う給料を前借り分から差し引いてはならないことを原則的に禁止しています。

会社から言わせれば、給料の前借りとして先にお金を貸したのだから、働いて返せとなりますね。これでは強制労働を強いることになってしまいます 。

強制労働も法律で禁止されていますので、給料の前借りを行う場合はかなり慎重に行わないと法律違反として摘発される可能性が高いのです。

給料の前借り自体は違法ではない

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前項でご説明したように、すでに働いている分の賃金についての前借りは、それ自体違法行為ではありません。

もちろん会社側も社員からの請求があった場合、応じなければならないことが定められているように、非常時においての給料の前借りは合法です。

ただしあくまでも給料の先払いではなく、すでに働いている分の賃金であることが必要です。

たとえ来月の給料の先渡しが会社と社員との間で合意がなされていたとしても、まだ労働していない賃金を前借りとして貸すのです。

給料は労働した賃金分を後払いにしてもらうのが通常ですから、労働基準監督署に見つかってしまうと会社処罰されてしまうのです。

会社は給料の前借りを断れない?

なお給料の先渡しではなく、既に働いた分の賃金の先払いを社員から求められた場合、会社は応じる義務があります。

その代わりパチンコや競馬などのギャンブルに使うためのお金が必要だから、またはギャンブルに使ってしまってお金がなくなってしまったからという理由では、会社側も快く給料の先払いをすることはできませんね。

あくまでも社員の非常時のために給料の先渡し制度があるわけです。

いやーちょっと借金の返済でお金が足りなくなっちゃって、では非常時とは言えませんね。

給料の先渡しを利用する場合でも、会社側が非常時であると判断しなければ断ることが可能です。

給料先渡しの非常時とは?

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給料先渡しが認められている社員の非常時とは法律の条文では大まかなことしか書いてありませんので、具体例を上げてご紹介したいと思います。

・社員、及び社員の妻が出産する費用
・社員または社員の家族が病気やケガで入院する費用
・社員の家族や親族で冠婚葬祭など急な出費がた場合
・自然災害、若しくは火災などで甚大な被害を受けた場合
・社員の結婚によって必要となる費用

以上の様な突然の出費を非常時と考えることが出来るでしょう。

給料の前借り(先渡し)の理由が、本当は非常時ではなくクレジットカード利用代金の返済のためとか、飲み会が続いちゃってお金が足りなくなっちゃった、という理由ではさすがに非常時とは言えませんね。

どうしても給料の前借り(先渡し)を希望する場合は、上記の様にいかにも非常事態発生でお金が必要ですというように取り繕うか、本当のことを話しして社長や経理部長との直談判でお願いするしかありませんね。

会社にとってなくてはならない社員という存在なら、非常事態でなくても、まあいいか、と仕方なく応じてもらえるかもしれません。

給料の前借りは即日とは限らない

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給料の前借り(先渡し)をお願いしても、カードローンのように即日融資(借入ではありませんが)というわけには行かない場合があります。

労働基準法第25条に書いてあるのは、社員の非常時において既に働いた分の賃金を先渡しすることは認められる、または社員からの請求があった場合は支払いに応じなければならないことが書いてあるだけです。

いつまでに給料の前借り分を支払わなければならないという日にちまでは規定されていません。

会社には会社の事情がありますから、急に20万円先に渡してください、と言われても会社も困ってしまいますよね。

給料の前借りは即日と決まっているわけではありませんので、今日頼めば今日のうちにお金が手に入ると予定するのはちょっと危険ですね。

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前借りで借りれる金額

給料の前借り(先渡し)で借りることができる金額は、あくまでも既に働いた分の賃金です。

前回の給料日から10日しか働いてなければ、10日相当分の賃金。給料日から20日働いていれば20日相当分の賃金しか受け取ることができません。

もちろん給料の先渡しを受けてしまえば、給料日になると先渡しした分だけ差し引かれてしまいますので、給料の前借りは計画的に行う必要がありますね。

給料が30万円なのに、給料の先渡しで15万円受け取ってしまうと、給料日に支給されるのは残りの15万円だけです。

これではさすがに生活していくことができませんね。

じゃあまた給料の前借りでしのげばいいと考えるのは、さすがにいかがなものかと会社側が判断する可能性が高いですよ。

給料の前渡しは社内貸付金とする

給料の先渡しではなく、本当の意味での給料の前借りを頼む場合は会社に社内貸付制度があるかどうか確認してみましょう。

労働基準法によってまだ労働していない賃金の先払いは禁止されています。

その理由は既にご説明したように給料の先払いを給料賃金と相殺することができないこと、及び強制労働が禁止されているからです。

しかし既に働いた分の給料の前借りだけではお金が足りないというケースもありますよね。

そのような場合は給料の前借りではなく、会社からお金を借りるようにすれば法律上違反にはなりません。

社内貸付制度があればそれを利用するのもひとつの方法ですね。

また社内貸付制度がないとしても社員と会社の間で金銭消費貸借契約書を結び、利息を支払い支払期日を決め返済していくことは貸金業法上も問題はありません。

会社の温情で「利息なし」としてしまうと、利息相当分が社員の利益となってしまい贈与の対象と見られることがあります。
無駄な税金を支払わないように、お金を借りる場合には最低金利年1.8%以上で契約するようにしましょう。

なお金銭消費貸借契約書の形式は素人ではなかなか判断が難しいところですので、インターネットで公開しているテンプレートをダウンロードし作成すると良いですね。

給料前借りする場合の利息はいくらまで?

給料前借りできる社内貸付制度がある場合、会社は貸金業者ではありませんので、金銭消費貸借契約書の利息は出資法で定める上限金利、年109.5%(うるう年は年109.8%)までが有効です。

しかし利息制限法以上の金利で利息をとった場合は、超過分につき借主に返還しなければならない規定があります。

会社としてもお金に困っている従業員にお金を貸し付けるのですから、利息で儲けることは考えていないでしょうし、利息制限法以上の利息を取られることはまずありません。

きちんとした社内貸付制度であればおそらく金利は民法に従って年5%程度であることが多いです。

例えば30万円を借りると1カ月あたり利息はおよそ1,232円です。1カ月後に全額返済すれば借入額30万円と利息1,232円支払えば借金完済です。

たとえ分割払いになったとしても、利息は毎月の給料で分割払いすることによって元金が減るため利息は徐々に減っていきますので、返済回数が10回になったからといって1,232円x10回=1万2,320円ということはありません。

ただし金額によってはアドオン方式で社内貸付する場合もあり、その場合に支払う利息は、1カ月あたりの利息x返済回数、で計算されることもあります。

公正証書ならより安心

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社員の給料の額によって金銭消費貸借契約書だけでは、会社を退職されたら踏み倒されてしまう可能性も出てきます。

その場合は金銭消費貸借契約書に強制執行認諾文言を書き入れ、公証人役場に出向き会社の代表(委任状があれば誰でも良い)と借主が印鑑証明書と実印を持って行きましょう。

金銭消費貸借契約書を公正証書にしてしまえば、仮に社員が急に退職しても強制執行によって財産を差し押さえることも可能です。

公正証書作成すれば給料の前借りする社員にとっても、必ず返済しなければならない気持ちが芽生えるはずです。

給料前借りで所得税がかかるケースとは?

社内貸付制度によって会社が役員又は従業員に貸付を行う場合注意しなければならないのは所得税です。

国税庁が定める金利以下で貸し付けた場合や無利息で貸付を行った場合は、給料前借りした社員が利益を得たことになり所得税を支払わなければなりません。

平成29年度以降に貸付を行った場合の基準金利は年1.7%です。

給料の前借りを社内貸付制度で貸し付ける場合で年1.7%よりも低い金利で貸付を行うと、実際に支払った利息との差額を所得税として課税されます。

なお以下の場合に限って無利息又は基準金利よりも低い金利で貸し付けを行った場合は、所得税が課税されることはありません。

・災害や病気など一時的に多額の生活資金が必要となる場合
・会社が金融機関から借入れる平均金利と同じ金利で貸し付ける場合
・上記以外で基準金利と実際に支払った利息の差額が1年で5,000円以下の場合
国税庁 金銭を貸し付けしたとき

給料の前借りは派遣会社でもできる?

派遣社員が給料の前借りをお願いするのは、実際に給料が支払われる派遣元です。そのため給料を前借りする場合は派遣元へ頼まなければなりません。

給料の前借りは前項でご説明した通り給料の先渡しとして行うのが普通で、派遣会社が派遣社員に社内貸付制度でお金を貸す制度はほとんどありません。

法律によってまだ働いていない分の給料を借りることはできませんので、借りれるとしても既に働いた日数分のみです。

給料の先私ができるかどうかは派遣会社によって違いますので、とりあえず派遣会社のコーディネーターと相談してみましょう。

ただし労働基準法では非常時の場合給料先渡しが認められていますので、どうしてもお金が先に必要だとなった場合はコーディネーターに相談し会社に掛け合ってもらいましょう。

給料の前借りと退職の関係

こんな話を聞いたことがあります。

会社との金銭消費貸借によって給料を前借りしている場合は、全部返済しなければ退職することができないと言うのです。

前借りした金額を全額返済することができないなら、無給で働いてもらうしかないと無茶な条件をつけられてしまうことがあります。

まず問題になるのが前借りした分を無給で働いて返済することです。

既にご説明のように強制的に働かせるのは労働基準法に違反する行為です。

憲法によって職業選択の自由がある限り、いつでも自由に会社を辞めることができるはずなのです。

現在働いている給料よりも、条件が良く仕事内容もピッタリだと言う場合は、たとえ給料前借りしていても、職業選択の自由によって新しい職場に転職することが可能です。

結局のところ給料の前借りを金銭消費貸借によってお金を借りたわけですから、銀行や消費者金融と同じように民間の金融機関からお金を借りたのと変わりはありません。

会社の就業規則によって、会社を辞める場合は会社を辞める14日前に申請しなければならないなど条件がある場合は別としても、給料の前借りがあるからといって長い期間無給で働かせることはそのまま強制労働です。

金銭消費貸借契約によって借りたお金は、契約に基づいた返済期日や返済方法で返済すれば良いわけですから、給料前借りを理由に退職できないということはありません。

どうしても話がこじれた場合は弁護士や司法書士など法律の専門家に相談すると良いでしょう。

給料の前借りは出世に響く

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社内で出世を希望しているなら給料の前借りはしない方が良いでしょう。

給料の先渡しは非常時のためのお金ですから、それほど問題にならないとしても給料の前借りを申請してしまうと、お金の管理ができない社員と烙印を押されてしまう可能性が高いです。

お金の管理ができないというのは致命的です。

お金の管理ができないのに会社の運営を任せることはできない、またはお金の管理ができないのに人の管理が出来るはずがない、と判断されてしまうからです。

給料の前借りする金額にもよりますが、5万円程度の金額なら前借りではなくカードローンの利用で一時的にしのぐと言う方法なら出世に影響することはないでしょう。

例えば新生銀行カードローンレイクで5万円を借りても最大180日無利息です。また180日以内なら何度借りても利息はかかりません。

給料が入ったら5万円を一括で返す。

そしてまた翌月になってどうしてもお金が足りなくなったらまた5万円を借りることを最大180日繰り返すことが可能です。

または新生銀行グループのノーローンを利用すれば永遠に利息を支払うことなくお金を借りることもできますよ。

ノーローンは1週間以内の返済であれば利息はかかりません。

たとえ10万円借りても給料が入ったら一括で10万円を返すことを1週間以内に行えば、何度でも無利息でお金を借りることができます。

消費者金融カードローンは利息がかかるから使いたくない、なるべく利息がかからないように給料の先渡しや給料の前借りでなんとかしたいと思うかもしれませんね。

しかし消費者金融も少額短期の利用なら、上記のように無利息でお金を借りることもできるのです。

会社に迷惑をかけることなくお金を借りれるのですから利用しない手はありませんね。

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