銀行カードローン審査と保証会社の関係性
銀行のローン審査の特徴である銀行と保証会社の関係性について解説します。
銀行カードローンの審査は「ダブル審査」
銀行カードローンの審査は基本的に、銀行の審査、保証会社の審査、というようなダブル審査です。銀行カードローンは保証人不要で契約できますが、これは保証会社が融資の保証をしているから*です。
*一部の銀行では保証会社を付けず直接銀行が融資する形式もあり、その場合審査も銀行だけで完結します
カードローンを契約して銀行からお金を借りると、このような形になります。
- 銀行:債権者(お金を貸す人)
- 利用者:債務者(お金を借りる人)
- 保証会社:保証人(利用者の借金を保証)
保証会社は銀行子会社や系列の信販会社などで、保証人として本利用者が返済不能になった場合は、一括して融資残金を銀行に立替払いします。
これが代位弁済と呼ばれるもので、その後は保証会社と利用者が話し合って返済していくことになります。
保証会社あくまでも会社なのでタダで保証人になってはくれません。保障してもらう対価として保証料を支払うのです。カードローンの場合は毎回の支払金利に保証料も含まれています。
これはカードローンだけでなく住宅ローンも同じ形態です。代位弁済して借金を肩代わりするリスクを負うので、保証をする保証会社でも審査をするのがダブル審査という意味になります。
銀行カードローン審査の流れと保証会社の役割
銀行カードローンにおける銀行と保証会社の関係性に言及したので、ここで銀行カードローン審査の流れを簡単にまとめてみました。ここで説明するのはあくまで一例です。金融機関によって審査方法は異なり、審査の内容は部外秘です。
以下はおおまかな流れで、全てが実際の審査で用いられているものではありません。
- 銀行の審査(一次審査)
ローン申し込みを受け付けると銀行で一次審査をする
チェック項目は反社チェック*と個人信用情報の確認など比較的簡素なもの
*反社会的勢力に属していないか?などを専門のデータベースなどで照会する
一次審査で問題なしとの結果になれば保証会社に審査をバトンタッチする - 保証会社の審査(二次審査)
保証会社でカードローンの審査をする
保証会社の審査基準などは銀行にも開示されていないが、代位弁済して債務を立て替えるという観点から々な角度で審査をしている
また現在は融資審査も機械化*され、蓄積された膨大な情報をもとに数値分析し、審査は正確、公平、スピーディーになっている
*スコアリング審査・AI審査 - 銀行の最終判断(追認)
保証会社から審査に通ったと通知が来る
結果は〇か×か?だけでなく▲*といった場合もある
*保証会社としては断るべきだと思うが、銀行が認めるならOKにする
そして、保証会社の審査結果にもとづいて銀行で最終判断をする*
*保証会社の審査結果を銀行も認めるという意味で追認とも呼ばれる
原則としてどのような審査をしたか?については双方で情報交換されることはなく、ほとんどのケースで結果のみが重視される
保証会社審査を通過しても銀行独自の判断で審査落ちにすることもある*
*詳細は明かせないが、銀行独自に保有する情報などによる個別の判断
基本は「保証会社がOKなら銀行もほぼOK」
銀行によっては融資審査のほとんどを保証会社に委ね、銀行は最終判断をするだけというところも増えています。
こういった意味合いです。
「保証人になるんだから保証会社でお金を返せるか審査してよ。OKなら銀行もOK。だって返せなくなったときは代位弁済してもらうんだから」
もちろんこのような会話や取り決めなどはありませんが、カードローンは銀行から見れば小口の融資で、経費削減・効率化の面から審査も保証会社に任せるところが多いのです。ちなみに私の勤務する銀行もこの形態です。
そのため「保証会社が大丈夫だと言っているわけだから問題はないだろう」と保証会社がOKなら銀行もほぼOKといえるわけです。
審査ポイントの公表資料がある?
カードローン審査のポイントは極秘ですが、実はヒントが公表されています。それは商品概要説明・商品説明と呼ばれるもので、カードローンを利用できる人の条件がこと細かに記載されています。
利用できる人の条件=審査のポイントと考えれば、この商品概要説明で審査のポイントもイメージできます。
例として、楽天銀行スーパーローンの商品概要説明には次のように書かれています。
カードローンにお申込いただける方
以下の全ての条件を満たす方
- 満年齢20歳以上62歳以下の方(※1)
- 日本国内に居住している方(外国籍の方は、永住権または特別永住権をお持ちの方)
- お勤めの方で毎月安定した定期収入のある方、または、専業主婦の方
- 楽天カード株式会社またはSMBCファイナンスサービス株式会社の保証を受けることができる方(※2)
※1但し、パート・アルバイトの方、及び専業主婦の方は60歳以下
※2当行が認めた場合は不要です
銀行員の私はこう読みます。あくまでも個人的見解です。
- 契約年齢が満20歳以上満62歳未満なので未成年は不可で、退職間際の65歳近くまでは申込めない
※成人年齢の引き下げに対応して18歳以上としている銀行も増えています - 日本人でも海外住まいはダメ、外国人でも永住権や特別永住権があればOK
- 返済が滞納したときなどに、連絡が取れなくなったり海外にいて督促が面倒になる可能性のある人はダメ
- 毎月安定した収入の見込める人とあるので、正社員や派遣社員などサラリーマンでなければ審査のハードルは高くなる
- 会社経営者、個人事業主、フリーランスの人でサラリーマンより収入が多い人もいるが、収入の安定性ではサラリーマンのほうが安定しているから。またパートナーに充分な収入があるから、共働きやパートにでなくても良い専業主婦も申込OKになっている
このように商品概要説明書を見ればその銀行における審査の概要も見えてくるので、興味のある人は自分でもご覧になってみてください。
金融機関や消費者金融などの公式ホームページで「商品概要説明」「商品説明」などと検索すれば見つかります。
- 【執筆者】加藤隆二
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勤続30年、現在も銀行員として金融機関に勤務中。住宅ローン、カードローン、事業融資など借入全般の業務に従事。深い知識を生かし多数メディアで情報を発信中。【保有資格】FP2級個人資産相談業務、証券外務員資格、生保・損保代理店資格、その他に銀行業務検定資格を複数保有
【メッセージ】現場一筋の銀行員で、お客様からの相談に乗り、一緒に悩み、考え、アドバイスをした経験では誰にも負けない自信があります。特に「お金を借りる」「お金を返す(返せない)」悩み事には真剣に話を聞き、真摯に答えてきました。今はライターとして、お金を借りる悩みに答え、参考になる情報を発信しています。
タグ:お金の知識
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