慰謝料が払えないときの借入は銀行の多目的ローンでOK?
離婚や不倫、交通事故や過失で相手にケガをさせてしまうと慰謝料として損害賠償をしなければなりません。
しかし手元に現金がない場合は借入に頼らざるを得ないのが現状です。
離婚や不倫の慰謝料は保険で賄うことができません。
借入しやすいのは消費者金融ですが、慰謝料の金額によっては借りることができない可能性が出てきます。
その場合銀行の多目的ローンで借入することはできるのでしょうか。
慰謝料は不法行為による損害賠償のこと
一般的に慰謝料と聞くと離婚や不倫を連想することが多いと思います。
確かに民法第709条によれば、
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
となっています。
離婚や不倫は明らかに故意によって相手の利益を損害しているわけですから、慰謝料を支払うのは当然のことですね。
しかし慰謝料はそれだけではありません。
交通事故や相手にケガをさせてしまった場合にも発生するものです。
交通事故での治療費や入院費は自動車保険の任意保険でカバーできても、精神的な苦痛に対しての慰謝料の支払いまではなかなかしてくれません。
慰謝料の請求金額は相手に与えた苦痛がどの程度あるのか、加害者の支払い能力がいくらあるのかによって金額が様々です。
相手から請求される慰謝料の額が多い場合は高すぎて払えないとなることもありますので、そのような場合はどうすれば慰謝料を支払うことができるのか考えておく必要がありそうです。
慰謝料は個人賠償責任保険で何とかならないか?
火災保険や自動車保険に加入していると保険の営業担当者から「個人賠償責任保険に入りませんか」と勧誘されたことはありませんか?
現在支払っている保険料に月額100円程度の金額を加算すると、最大1億円までとか無制限に損害賠償してくれるという保険です。
自転車に乗っていて相手にケガをさせてしまった、とかアパートに住んでいて水道のだしっぱなしで床を水浸しにしてしまい、下の階に住んでいる人にも迷惑をかけてしまった場合に、損害金を支払ってくれる便利な保険です。
個人賠償責任保険で賠償金が出るのはあくまでも過失でなければならず、故意で物を壊すことやケガをさせた場合は保障されません。
離婚や不倫などで相手に損害を与えてしまったのだから、個人賠償責任保険で慰謝料分くらいは保険金が出るのでしょうか?
離婚や不倫は過失で行うものではなく、明らかに故意性に起因するものですよね。よって個人賠償責任保険では慰謝料を賄うことはできないのです。
離婚による慰謝料はどのくらいかかるの?
離婚の慰謝料はなぜ離婚することになったのか理由が重要で、不倫のように明らかに不法行為で行った場合は、相当激しい精神的な苦痛を与えることになりますね。
結婚していた期間がどのくらいだったのか、何年にわたって不倫を重ねていたのかということも慰謝料の金額を決める判断材料となるようです。
それに加害者の収入がどのくらいあるのか、返済能力の程度によっても異なってくるでしょう。
芸能人など収入が多い場合は慰謝料の額が億単位になる場合もありますが、一般サラリーマンの場合はそれほど高額になることはありません。
不倫が原因で離婚した場合の金額は、離婚の原因や婚姻期間、加害者の社会的地位や支払い能力、また離婚したことによって相手が住む場所を失った場合に自活していけるだけの能力がどのくらいあるのかも加味されます。
婚姻期間が長ければ長いほど慰謝料は高額になる傾向があり、相場的には200万円から300万円を慰謝料とする離婚が多いと言われています。
身体的・精神的なDVの慰謝料はどのくらいかかるの?
DV被害の状態や、暴力を受けるまでの原因や回数などによっても違いますが、概ね50万円から500万円が慰謝料として請求される場合が多いと言われています。
もちろん暴力行為が一回だけなのか日常的に行われているのかによっても違い、暴力によるケガの状態や後遺症が残った場合などはさらに慰謝料の額が増えるようです。
不倫による離婚やDV被害による離婚にしても、金額が少なければなんとかなるかもしれませんが、さすがに金額が300万円を超えるようになると、一括で支払うのはちょっと難しいのではないかとなるのが普通ですよね。
慰謝料が払えないとどうなるの?
慰謝料が個人賠償責任保険で保障されないとなると、自分でなんとかお金を作らなければなりません。
もちろん裁判によって慰謝料の額が確定しても、現在の収入ではとても支払うことができないことを裁判官に訴えれば、一括払いでなく分割払いにしてもらうことも可能でしょう。
これは裁判の過程で判断されることですから、返済能力を超えた慰謝料を確定するかどうかは裁判次第といったところでしょう。
しかし損害賠償の責任が重い場合は、どうしても一括払いでなければならないと判決を下されることもあり、裁判によって慰謝料の金額が確定してしまった場合は慰謝料を支払う義務が生じてしまいます。
では慰謝料が支払えなかった場合はどうなってしまうのでしょうか。
離婚調停による慰謝料の不払いは差押手続きされる
離婚調停が成立して慰謝料の額が確定したのに、相手が約束したお金を支払ってくれない場合は、すでに判決による債務名義を取得していることになりますので、債権差押手続きをすれば強制執行で取り立てることができます。
これを債権差押命令申立といいますが、必要な書類を揃えて強制執行手続き費用として実費分、およそ1万円程度を支払うと、慰謝料を支払わない相手の財産や給料を差し押さえすることが可能です。
銀行預金口座や給料など、一定額を差し押さえされてしまい、給料を差し押さえされてしまった場合は会社にまで裁判所から差押命令書が届きますので恥ずかしい思いをしなければなりません。
払えないものは払えないと居直っても、強制的に給料が差し押さえされてしまったら完全にアウトですね。
◆裁判所 債権差押命令申立てに関する手続案内
銀行の多目的ローンで借りることはできる?
差し押さえだけは何とか防ぎたい場合、金融機関からお金を借りて支払うことはできないことではありません。
ただし消費者金融から借りる場合は総量規制によって年収の1/3までしか借りることができません。
年収が300万円なら100万円まで、年収が600万円でも200万円までです。
慰謝料の金額が200万円を超えてしまうと、銀行から融資を受けるしか方法がありません。
銀行の目的ローンで慰謝料を借りることができるかについては、使い道は自由としていても使用目的を明らかにする書類を提出しなければなりません。
慰謝料の支払いを理由に借りれるかどうかは銀行との相談が必要ですね。
慰謝料の分割払いや減額交渉する
銀行でお金を借りれないとなった場合は、慰謝料を分割払いにしてもらうことや慰謝料の金額を減額してもらう交渉をするのが現実的です。
個人が交渉した場合は感情的になってしまい、なかなか合意に達することは難しいでしょう。
その場合は弁護士を仲介窓口にするとうまくいく場合があります。
ただし弁護士費用もかかりますので、いくら減額できるのか、弁護士費用はどのくらいかかるのか、足が出ないように事前に相談しておきましょう。
タグ:借金・お金の悩み
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