生命保険でお金を借りる方法、銀行借入よりお得!?
9割以上の方が加入している生命保険ですが、この生命保険でお金を借入できることをご存知でしょうか。
生命保険には、「契約者貸付制度」というものがあり、この制度を利用して生命保険会社から融資を受けることができます。
生命保険の契約者貸付制度は、銀行や消費者金融のカードローンよりもお得に借入できる制度なのですが、この制度自体をしている人はあまり多くありません。
今回は、お得に借入できる契約者貸付制度についての活用法を紹介していきます。
- 執筆者の情報
- 名前:梅星 飛雄馬(55歳)
職歴:地域密着の街金を30年経営
目次
生命保険の契約者貸付制度ってなに?
生命保険の契約者貸付制度は、銀行や消費者金融のカードローンなどでお金を借りるのとは、根本的に違っています。
銀行や消費者金融のカードローンは、借入申込者の信用に対して融資をしますが、契約者貸付制度は保険の解約返戻金を担保に融資を行います。
したがって、無担保・無保証人でお金を借りるカードローンとは、タイプが全く異なるわけです。
しかし、契約者貸付制度を利用できるのは、生命保険ならなんでもいいのかというと、そういうわけではありません。
生命保険の契約者貸付制度を利用できるのは、担保となる解約返戻金がある生命保険でなければなりません。
つまり、掛け捨ての生命保険では契約者貸付制度を利用することができないということです。
自分が加入している生命保険に解約返戻金がついているのか、それとも掛け捨てなのかは、生命保険証券を見れば一発で分かります。
生命保険証券の表面または裏面に、経過年数ごとの解約返戻金表が表示されていれば、その生命保険では契約者貸付制度が利用可能です。
また、1年に1回生命保険会社から送られていくる「保障内容のご案内」にも、作成時点の解約返戻金が記載されていますので、これを見ることでも契約者貸付制度が利用できる保険なのかを確認することができます。
契約者貸付制度がある保険の種類
前項でご説明したように、掛け捨て型の生命保険では契約者貸付制度を利用してお金を借りることができません。
あくまでも、解約返戻金がある貯蓄型の保険である必要があります。
ここで、解約返戻金がある保険の種類をいくつかご紹介しましょう。
- 養老保険
- 終身保険
- 個人年金保険
- 学資保険
お金を借りることができる貯蓄型の保険種類については、生命保険会社によって販売している保険の種類が様々であり、医療保険やがん保険にも解約返戻金があるタイプのものもあります。
自分が加入している保険に解約返戻金があるのかどうかは保険証券などを見ることで確認できますが、保険証券を見るのがちょっと面倒だなという人は、保険担当者に聞いてみるか、または保険会社に電話をすれば良いでしょう。
なお、解約返戻金は保険料を支払うごとに積み立てられていくお金ですから、保険に加入して間もない場合は、契約者貸付制度を利用できないこともあります。
生命保険の契約者貸付制度の借入金利は高いの?
お金を借りるということは、当然お金を返さなければなりませんし、利息を含めて返済するのが普通です。
契約者貸付制度を利用して、解約返戻金を担保にお金を借りたのは良いけれど、あまり金利が高いのでは銀行などのカードローンを利用した方が良かった、となりかねません。
契約者貸付制度の貸付金利については、生命保険会社各社によって多少異なりますが、概ね3%前後となっています。
そのため、銀行で15%、消費者金融で18%が一般的な金利のカードローンよりも、お得に借入することができます。
生命保険でいくらまで借りることができるの ?
契約者貸付制度で借りることができる金額は、毎月保険料を支払っていると、解約返戻金も毎月多くなっていきますので、借りようと思ったときによって変わってきます。
借入できる一般的な割合は、解約返戻金の80%から90%の範囲です。
したがって、解約返戻金が100万円あれば、80万円から90万円の範囲内でお金を借りることができますし、解約返戻金が50万円なら40万円から45万円程度が借りることができる金額になりますね。
実際に借りることのできる金額は変動してしまうため、制度の利用を考えたときは、自分がどの程度借りられるのかを担当者や保険会社に確認してみるのが最も確実で早い方法です。
生命保険の契約者貸付の返済方法は?
銀行などのカードローンの場合、多くの場合で毎月返済していかなくてはなりません。
しかし、契約者貸付制度の返済は、毎月決まった返済日があるわけではなく、都合が良いときに返済できるだけの金額を返済すればOKです。
利息に関しても、契約者貸付の残高に組み入れられることになりますので、教育カードローンのように利息だけを返済することも必要ありません。
また、残高が借入可能な金額の範囲内であるうちは、保険会社から請求されることもありませんので、借りていることを忘れてしまう可能性があることが玉に瑕です。
契約者貸付制度の利用方法
契約者貸付制度の利用方法は、各生命保険会社によって少し異なります。
ここでは、大手国内生命保険会社の第一生命を例に挙げて、契約者貸付制度の利用方法を紹介していきます。
店頭の場合
店頭で契約者貸付制度の申し込みをする場合、契約者本人が第一生命保険の「ほけんショップ」へ行きます。
この際、契約者貸付制度を利用する保険契約の証券番号が必要となりますので、保険証券や生涯設計レポートを持参するようにしましょう。
店頭では、請求手続きに関する書類への記入が必要となり、手続きが完了すると口座へ入金してくれます。
担当者の場合
契約者貸付制度の利用は、保険に加入したときの担当者に連絡をすることでも手続きができます。
担当者に契約者貸付制度を利用したいことを伝えると、担当者は請求に必要な書類を持って訪問してくれます。
加入したときの担当者がすでに辞めていたとしても、別の人が担当となってますので、生涯設計レポートなどに記載されている担当者に連絡することで手続きが可能です。
電話の場合
電話で契約者貸付制度を利用する場合は、第一生命の「コンタクトセンター」に電話しましょう。
コンタクトセンターへは、0120-157-157に電話することができ、音声案内に従ってボタン操作するだけで申し込みすることができます。
この際、証券番号が必要となりますので、保険証券や生涯設計レポートなどをあらかじめ準備しておくようにしましょう。
また、すでに「第一生命カード」または「第一生命サービスパスポート」を持っているという場合には、「電話1本!振込くん(0120-817-256)」に電話し、音声案内に従ってボタン操作することで申し込むことができます。
WEBの場合
第一生命のホームページには、契約者だけが利用できる「ご契約者専用サイト」があります。
契約者貸付制度は、ここにログインして、「資金の借り入れ・引き出し(インターネット振込くん)」へアクセスすることで手続きができます。
手続きが完了すると、登録済口座へ送金してくれます。
ATMの場合
「第一生命カード」を持っていると、ATMでも契約者貸付制度を利用することができます。
第一生命では、自社でもATMを保有していますし、全国各地にていけいATMがあります。
提携ATMの一部を紹介しますと、コンビニではセブンイレブンやローソンがありますし、銀行ではみずほ銀行やりそな銀行、ゆうちょ銀行があります。
カードさえあれば、利用可能なATMを操作することで簡単に借りることができますので、この方法が最も利便性の高い利用方法であるといえます。
契約者貸付制度の特徴
契約者貸付制度というのは、本来は契約者が一時的にお金に困窮した際に、すぐに保険の効力が無くなってしまうことで被ってしまう不利益を、極力なくすために始まったサービスです。
あくまでも契約者保護を目的としたサービスであり、契約者貸付制度で収益をあげることは考えていません。
そのため、非常に低金利で借りることができ、保険会社としても解約返戻金を担保にすることで、回収にかかわる余計な労力をかける必要もありません。
契約者貸付制度の特徴を簡単にまとめますと、
- 3%前後の非常に低い金利で借りられる
- 毎月返済する必要がない
- お金に余裕がある時に好きな分だけ返済できる
- 第一生命のようにカードがあると、ATMなどで急な出費にも対応できる
- 解約返戻金が担保となっている(限度額は解約返戻金の8割~9割)
というように、銀行や消費者金融などから借りるよりもお得で、非常に利便性の高いサービスとなっています。
生命保険を解約すると一括で返済が必要?
契約者貸付制度では、毎月の返済は必要なく、基本的には満期までに完済すれば良いです。
しかし、保険の見直しなどにより、生命保険を解約する場合には、借りている分を一括で返済しなくてはならないのではと心配になります。
契約者貸付制度を利用している状態で保険を解約した場合、解約日時点の解約返戻金から、契約者貸付制度で借りている残高が差し引かれてお金が戻ってくることになります。
つまり、保険を解約するために、わざわざ一括で返済しなくても良いということです。
解約返戻金の一定割合(借入限度額)を超えると返済が必要
契約者貸付制度では、どのようなことがあっても保険会社から返済を求められないのかというと、そうでもありません。
先ほど、契約者貸付制度にかかわる利息は、元金に組む入れられるとお話しました。
つまり、まったく返済をしていないと、利息がどんどん元金に組み入れられ、最終的には借入限度額を超えてしまうことになってしまいます。
借入限度額を超えてしまった部分に関しては、保険会社から請求されることになり、期限までに返済する必要があります。
保険会社が、いくらサービスとして貸付を行っているものでも、回収が困難になることは避けなければなりませんので、返済が必要ないからといって油断していると、いきなり請求されてしまうことになりますので、注意が必要です。
カードローンとどっちがお得?
以上、ここまで保険の契約者貸付制度についてお伝えしてきましたが、結局のところ一般的なカードローンと比較すると、どちらを利用すべきなのでしょうか?いくつかのポイントで見ていく事にします。
借りられる金額で比較
一つ目が利用可能金額についてです。
この点は、「払い込み済み保険料の総額」と「年収」そして「他社借入金」などが関係してきます。
例えば、年収が多く他社借り入れ金などがない場合は、カードローンの利用を続けていると、最大年収の1/3までは借り入れが可能です。(消費者金融カードローン等の場合)
一方、生命保険などの契約者貸付制度は、支払い済み保険料の90%程度までしか利用は出来ません。
したがって、積み立て金額が少ない場合は、契約者貸付制度よりもカードローンを利用するほうが限度額は大きい…という事になります。
金利で比較
同じ金額を借りる場合に、生命保険の契約者貸付と銀行・消費者金融のカードローンとでは、どれだけ利息に違いがあるのかということを比較していきたいと思います。
なお、借入金額は50万円とし、金利はそれぞれの一般的な金利で計算していきます。
金利 | 30日間の利息 | 契約者貸付制度との差額 | |
契約者貸付制度 | 3% | 1,232円 | ― |
銀行カードローン | 15% | 6,164円 | 4,932円 |
消費者金融カードローン | 18% | 7,397円 | 6,165円 |
このように、カードローンとして低金利で有名な銀行カードーンと比較しても、利息負担はおよそ5千円も違いますし、消費者金融とではおよそ6千円も違います。
先ほどからお伝えしている通り、保険の貸付制度の利率は1%~3%程度になりますので、消費者金融カードローンなどの年率18%と比較すると、断然低利での利用が可能です。
但し、保険会社によっては、高金利時代に払い込みが終了した保険から借り入れる場合、年率で6%程度の金利が複利でかかってくる場合もあります。
現在のところそこまで金利が低いカードローンは中々ありませんが、一部の銀行カードローンで利用実績を積んでいる場合、それと同じ程度の低金利が適用されるケースもありますので、どちらでお金を借りるべきかは微妙なところです。
無利息期間はどうか?
一般的には、金利面や返済期限を考えると、保険の契約者貸付制度のほうがメリットが大きいのですが、消費者金融カードローンには、保険会社にはないサービスがあります。
それは、「無利息キャッシング」です。
例えば、保険の貸付制度では借り入れた一日目から利息が発生しますが、アコムやプロミスなどの消費者金融カードローンを初めて利用する場合には、契約後30日後までは利息がかからない「無利息キャッシング」が利用可能です。
したがって、出来るだけ少額を短期間で返済する事が出来るのであれば、カードローンの無利息キャッシングを最大限利用するほうがメリットが大きいと言えます。
契約者貸付制度のメリット
代替的な銀行借入である銀行カードローンと比較しても、契約者貸付制度にはたくさんのメリットがあります。
うまく活用すればきっとお得になるはずですので、以降では、メリットの詳細についてご説明いたします。
金利が低くなる可能性があります
契約者貸付制度で借りる場合の金利は、保険会社毎や、対象となる生命保険(契約時期など)によっても異なります。
そのため、実際には対象となる保険会社へ確認することが必要ですが、おおむね6%以下となる可能性が高いです。
大手生命保険会社である日本生命の例をご紹介すると、平成26年4月2日以降契約の保険が対象であれば3%、それ以前の最も高いケースで5.75%となっています(平成28年4月1日現在)。
一方で、三菱UFJ銀行のカードローン(「バンクイック」)の場合、極度額100万円以下で最大14.6%が適用されます。
利用限度額が大きくなると金利は低下し、最大の500万円の場合、1.8~6.0%の金利が適用されます(2017年6月1日現在)。
もっとも好条件で調達できた場合は、銀行の金利の方が低くなりますが、それはかなり銀行の審査で信用力が相当あると判断された方となります。
そうで無い場合(極度額が低い場合など)では、銀行からの借入金利は高くなってしまう可能性が高く、契約者貸付制度はお得ということになります。
保険を解約しなくて良い
借入が必要なったのが一時的な理由によるものである場合、その原因が無くなれば元通りの生活に戻りたいと考えられます。
元々、理由や、意図があって生命保険に加入してきたのに、一時的な資金需要が理由で保険を解約するのは惜しいですよね。
特に生命保険によっては、満期となるまで継続するほうがお得で、途中解約すると解約返戻金が減少してしまうものもあります。
せっかく積み立ててきた保険ですから、出来れば続けたいところです。
契約者貸付制度を利用する場合、保険を解約する必要がありませんので、資金需要に対応しながら、保険契約は継続することが可能です。
生命保険の契約者貸付には審査があるのか
契約者貸付制度は、解約返戻金を担保に入れるわけですから、保全が図られています。
銀行や消費者金融などが信用情報機関に加盟するのは、借入の申し込みを受けた場合に、その人に信用力がどの程度あるのか、返済能力があるのかなど確認するためのものです。
常に解約返戻金によって保全が図られている契約者貸付制度において、利用者に信用や返済能力があるのかを判断する必要はありません。
また、解約返戻金がある保険は保険料が高いですので、信用や返済能力がない人が十分な金額を借りられるだけの保険料を払い続けられるわけもありません。
したがって、契約者貸付制度には審査がなく、たとえ金融事故を起こしたブラックの人でも借りることはできますし、年収の1/3近く借りている人でもお金を借りることが可能なのです。
もうどこからも借りることができない、自己破産するしかない状況になったとしても、これまで頑張って払ってきた契約があるのであれば、生命保険の契約者貸付制度で乗り切ることも十分に可能なのです。
生命保険の契約者貸付制度で借入すると信用情報に載るの?
契約者貸付制度では審査が必要ありませんので、生命保険会社は信用情報機関に加盟していません。
信用情報機関に加盟していなければ、信用情報を照会することもできませんし、お金を借入しても個人情報を登録することや変更することもできません。
つまり、生命保険会社の契約者貸付制度は、信用情報機関にノータッチと考えて良く、これ以上お金を借入すると総量規制オーバーになって、他のカードローンやクレジットのキャッシングに影響が出るのではないかと心配する必要も全くないのです。
生命保険の解約返戻金で即日融資はできるのか
契約者貸付制度では、一般的に保険会社が申し込みを受付してしてから2日前後で銀行口座に振り込まれます。
手続きを郵送で行う場合には、書類が保険会社に届くまでの時間を考えると、申し込みから振込まで5営業日はかかるかもしれません。
ただし、第一生命のようにATMで契約者貸付制度を利用できる場合は、カードさえ持っていれば即日で借りることも可能です。
法人契約の生命保険でも契約者貸付制度で借入できるの?
ここまでは、個人が契約する生命保険についての契約者貸付制度でお金を借りる方法をご紹介してきましたが、参考までに法人契約でも契約者貸付制度で借入は可能なのかをご説明します。
結論から先に言いますと、法人契約の生命保険でも契約者貸付制度でお金を借入することができます。
もちろん、せっかく加入している生命保険を解約する必要はありません。
利用するためには、生命保険会社や担当者に契約者貸付制度でお金を借りたいことを伝えるか、個人と同じようにインターネットで申し込むことによって、事業性資金を調達することが可能です。
銀行などから資金調達をする場合は審査がありますが、契約者貸付制度であれば審査もありませんし、連帯保証人を立てる必要もありません。
また、申し込みから早ければ2、3営業日、遅くとも7営業日程度で手続きが完了しますので、1ヶ月以上もかかってしまう可能性がある銀行融資よりも、スピーディーに借りることができます。
法人が生命保険に加入するのは、経営者や役員が必要とする保障や従業員への福利厚生など、保険本来の目的もさることながら、資金調達における緊急時の備えとしても活用できますので、非常に便利です。
契約者貸付制度を利用する際の注意点
生命保険の契約者貸付制度は、上手く活用することで非常にメリットのある借入方法です。
しかし、利用するにあたって注意しなければならないこともあります。
きちんと契約者貸付制度を利用してなかったことで、保険本来の目的である保障が受けられなくなってしまう可能性もありますので、利用する際はリスクに関しても十分に認識しておく必要があります。
満期保険金額や祝い金が減ってしまう
養老保険のように満期がある保険種類において、契約者貸付制度を利用したまま保険契約が満期を迎えると、満期保険金から契約者貸付制度で利用した金額が差し引かれることになります。
例えば、満期保険金額が100万円の保険契約において、契約者貸付制度の元利金合計が90万円で満期を迎えたとしてます。
そうすると、満期保険金額100万円から契約者貸付制度の返済のために90万円が差し引かれ、10万円しか受け取ることができなくなってしまいます。
また、保険の中には生存祝い金があるものもあり、所定の期間が経過した時点で生存していると、祝い金として一時金を受け取ることができます。
契約者貸付制度を利用している場合、この祝い金までも返済に充てられることもあり、祝い金が減額されてしまう可能性や無くなってしまう可能性もあります。
契約時期によっては貸付金利が高い
先ほど、契約者貸付制度の金利を3%前後とお話しましたが、これは今保険に加入した際に利用した場合の金利です。
というのも、契約者貸付制度の金利というのは、加入した時期の政策金利や長期プライムレートなどによって適される金利が違ってきます。
例えば第一生命の場合、加入時期が1999年4月2日以後であれば、金利は3.00%となっています。
しかし、1994年4月1日以前に契約したものに関しては、金利が5.75%となっています。
このように、契約者貸付制度の金利はその時代の情勢によって変化しており、どの契約であっても3%で借りられるわけではありません。
ですが、銀行や消費者金融で借りると、15%や18%といった金利で借りることになりますので、たとえ契約者貸付制度の金利が5%前後であったとしてもお得に借りることができます。
手続きが面倒なケースがある
二つ目のデメリットは「借り入れまでの手続きとスピード」です。
保険会社によっては、契約者専用のカードが発行されていて、そのカードで即日ATMから借り入れが出来る場合もありますが、それ以外は貸付制度の申込書を取り寄せたり、WEBで申し込みを行ってから、1週間~10日程度で借入金が振り込まれるケースもあります。
期限がない分ルーズになりがち
三つ目は先ほどご紹介した返済期限がない…という事の裏返しになりますが、返済期限がない分返済がルーズになる点が挙げられます。
もしずっと返済をしなかった場合、先ほどもお伝えした通り貸付利率が複利でかかり続けますので、雪だるま式に債務が増える事にもなり、注意が必要です。
家族に知られるリスクがある
カードローンなどでキャッシングをする場合、できる事なら家族に知られたくないという方が殆どだと思います。
しかし、保険の契約者貸付制度を利用した場合、ほとんどの保険会社からは貸付制度を利用した旨の書類が自宅に届きます。
その封書を開けられない限り、家族にはバレませんが、普段届かない書類が届いた時点で怪しまれますので、注意が必要です。
契約者貸付けを返済しない場合にはどうなるのか
返済日が決まっていないということは、生命保険会社からの督促もないということです。
そのため、ついうっかり借入れの事実を忘れてしまう人もいます。
しかし返済日や督促はなかったとしても、金利は確実に発生しますので、そのまま返済をしなければどんどん借金はふくらんでいきます。
しかも契約者貸付けの金利は複利と言って、返済が遅れれば利息が雪だるま方式でふくらむ性質をもっています。
契約者貸付金利の複利とは
仮に契約者貸付けで100万円借りて、利息が3%だと仮定します。
初めて発生する金利は月2,548円ですので、翌月に一括返済をするのであれば1,002,548円返済することになります。
しかし返済をしなかった場合は、翌月には利息込みの1,002,548円が元金となり、この元金に対して3%の金利がつきます。
つまり翌月の金利は2,554円になり、そのまま返済がなければ、またその利息込みの金額が元金(1,002,548 + 2,554 = 1,005,102)となり金利が発生するというのが複利です。
単純に借りた金額100万円に対し3%の利息が発生するのではなく、返済が遅れればその分月の利息も元金に充当されてしまうのです。
そのため、返済期間が長くなればなるほど、想像以上に利息がふくらんでいくのが複利の注意点と言えます。
長期間返済しなかった場合にはどうなるのか
借りた元金以上の金額が元金となり、どんどん金利がふくらんでいき、総返済額も大きくなっていくのが契約者貸付けの複利です。
しかし分かっていてもなかなか返済できず、そのまま長期間返済しなかった場合にはどうなってしまうのかが一番不安に感じるところではないでしょうか。
もし長期間返済しなかった場合は、各生命保険会社によって異なりますが、一般的には顧客ごとに「貸出し限度額」が定められています。
そのまま利息がふくらみ、貸出し限度額に達した場合には、生命保険会社から返済の案内が届きます。
記載された期日までに返済を行わなければ、現在の保険はそのまま解除や失効扱いになります。
失効とは、保険の効力が無くなることであり、もしも失効中に保険金支払いに該当する状態になったとしても、保険金を受け取ることができなくなってしまいます。
保険が失効してしまった場合、復活させることもできますが、復活までの期間分の保険料をまとめて支払う必要がありますし、現在の健康状態を告知しなければなりません。
生命保険は健康状態に問題があると、加入することができませんし、加入できたとしても保険料の割増や保険金の減額されてしまうなど、これまでのように契約できない可能性もあります。
生命保険は万が一の時に備えるものであり、借りることを目的に利用していると、いざという時に保険金を受け取ることができなくなってしまいます。
大同生命での契約者貸付けの場合
保険会社によってどのタイミングで複利が適用されるのかも違っています。
大同生命の例で見ていきましょう。
大同生命は公式ホームページによると、下記のようなことが記載されています。
●契約日に応じて所定の利息が発生し、1年に1回元金に繰り入れられる。(複利計算)
●貸付け元利合計額が解約払戻金を超えたとき、契約が失効してします。
※大同生命公式サイトより引用
つまり大同生命の場合は複利が適用されるのは年に1度であり、もし解約払戻金を超えるまで返済ができなかったら、契約は失効されるということになります。
アクサ生命での契約者貸付制度の場合
アクサ生命の公式ホームページには、下記のようなことが記載されています。
●契約者貸付けの貸付金の返済がない場合は、保険の効力を失う可能性がある。
●貸付け元金と利息の合計が解約返戻金額を超えると、「オーバーローン失効」となる。
●「オーバーローン」となったときには、契約の保障がなくなる。
●保障がなくなる前に、貸付金の全額若しくは一部返済の案内が発送されてくる。
●「契約者貸付金返済のご案内」に記載の返済期限まで入金した場合は保障は継続するが、入金がない場合には契約がなくなる。
※アクサ生命公式サイトより引用
生命保険の契約者貸付で借入するなら計画的に
生命保険の契約者貸付制度は、審査されることがなく、解約返戻金の80%から90%まで借入でき、金利も非常に低いです。
また、返済は元金・利息共に毎月返済しなくても良いですので、お金を借りながらも毎月の負担を気にする必要もありません。
しかし、毎月の返済がないことをいいことに、借りすぎてしまえば残高が膨れ上がり、保険契約が失効してしまう可能性があります。
生命保険の契約者貸付で借入する場合は、毎月いくらずつ返済するのか事前に計画を立てておくようにしましょう。
まとめ
生命保険は日本人の9割以上が加入していると言われていますが、これだけ加入していても生命保険に対して「無駄」「生活費を圧迫している原因」などというように、決してイメージは良いとは言えず、生活費を切り詰める際は真っ先に名前が上がります。
しかし、保険の本来の目的は、家族を残して死亡してしまった場合や、病気となった際の入院や治療費、それに伴って減少した収入を賄うなど、万が一に備えるものです。
確かに、将来必要となる可能性がある資金を備えるために、健康なときに保険料を支払う保険よりも、必要な資金を先に受け取り、それを毎月返済していく銀行などのローンの方が必要性がわかりやすいです。
ですが、生命保険にもお金を貸してくれるサービスがあり、それを利用することで銀行以上に有利な条件で借りることができますので、これを上手く活用できれば生命保険も捨てたものではないと感じるはずです。
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