金融の世界は面白い!「人生ジェットコースター」貸金経験者の本音
借入のすべて サイト責任者
小林修(こばやし おさむ)
経歴について
大学のサークルの財テククラブがきっかけ
―まず、 プロフィールから教えてください。
小林:私は大学のサークルでいわゆる財テククラブに入っていて、学生から出資を募りながら株式投資をメインにやってました。で、たまたま飲み屋で地元の消費者金融の社長と懇意になって、やってみないかと誘われたんです。
―在学中に3千万も儲けたそうですね…すごいですね。ご自身でやっていけるという自信はあったんですか?
小林:自信はないですね。それよりも、小口だけど確実に儲かるよとそそのかされて、儲けた資金を使って実際やってた感じです。
学校で知れ渡り活動休止に
小林:でも、学内で活動が知れ渡ってしまい、卒業と同時に活動休止しました。その後儲けたお金をサークル内で分けて、たまたま今の奥さんと出会いました。相手の親父さんが銀行勤務と聞いて、銀行でごり押しして担保で銀行から借りて、2億借りてもらって2年で返しました。
2年で2億返済するほど儲かった
―この時26歳で…社員40名いたと。やっぱりすごい儲かってました?
小林:儲かってましたけど、みんなガラ悪かったんで大変でした。
―多いときはどれぐらいの顧客が?
開業3年目から営業所展開
小林:当時6店舗営業所がありましたから、6,000~7,000ぐらいいました。
―利息収入年間14億円超と聞きました…金額がもう信じられないですね。
小林:ちゃんとした帳簿があればいいんですけどね。大体の金額ですけど。当時はもう大判振る舞いやってましたから。
会社設立後の裏話
―会社設立後の裏話があったらお願いします。
小林:よくあるのが、政治家の名前を出して、あいつにいくらやったのに「あの国会の答弁はなんだ」とかですね。
結局、貸金業法がだんだん改正になってくるときって、出資法が年率が下がってくる。そういう話じゃないんじゃないかという。
―お金とか支払われたんですか?
小林:だって会員(長野県貸金業協会)ですから。県単位であった協会で買って、会員が立て替えてもらったんだなってことで、ありがとうございましたって。
社員食わしてるうちは色々大変だったですよ。
開業当時の貸付金利は年73%!
小林:やり始めたときに、3年ごとに上限金利が下がってくっての知らなくて、ずっと73%のままで行くと思ったんです。結局73%から3割くらい下がりましたね。
もう今は、みなし貸金業者として債権回収。
―これが徐々に回収不可能になってると。
小林:そうですね。みんな払わない。払えって言えないんですよ。過払金があるんで。
だから、もうあとは取れない。取れても1億円取れるかどうかだろうみたいな。そういうのは10年かかってとか、そんな感じですから。
過払い金で潮目に遭遇
―記憶に残ってることでいくと、不当利益返還請求ですか。
小林:そうです。昔は過払金請求っていわずに、昔からあったんです、過払金っていうのは。それが2006年の最高裁判決でガラッと変わって 裁判起こされると大概負けてました。
一応前から不当利得返還請求っていうのはあったんです。ですから、最初から弁護士とか司法書士は知ってたんです。
―それまで最高裁じゃなかったってことですか? 地裁とか?
小林:地裁で始まって、高裁、次東京最高裁に上がってったんですね。そういうのが立て続けに判決出たんで、もう弁護士たちは大手を振って。
過払い金請求は20兆円の市場
―弁護士とか儲かり得るところがうまくPRをさせた?
小林:ですね。その当時貸金業全体で20兆円の市場でしたから、もう宝の山です。地元に知り合いの司法書士がいて、その人にこういう仕事あるよって勧めたんですよ。お客さんどんどん紹介してあげて、家建てましたもん。
―(司法書士に紹介することに)なんのメリットがあるんですか?
小林:とりあえず恩を売っておこうと。どんどんお客さん紹介したら家は建てるは、事務所は開くは、司法書士の法人化ですごい儲けたんです。私が得た利益ってのは、自分の会社のお客さんで相談行ったときにアドバイスを貰うっていう…。
契約期間の分断
他にも裁判では2006年まで負けなくて。一番の争点になったのは契約の期間の分断なんですよね。
1回貸しました。契約は残ってるけど残高はゼロです。半年後にまた借りに来ましたっていうのは、全部一緒っていう考えと、ここで切れてるんだから不当利得あったとすればこの部分だけでしょとか、その考え方の違いで。
―当時、夜の街を歩けなくなったって聞きましたが、どういうことですか?
小林:これもお客さんの中には、暴力団関係者の方も多いんですよね。そうするとやっぱり街で会って声かけられるんですよ。それで有名になってしまって。
街に飲みに行くと、私が組に入ってんじゃないかってお店の人も嫌がるし。
私が狙われたわけじゃないですけど、隣の人が殺されそうになったこともありました。
―結構ヘビーなご経験があるんですね。
返済せずに逃げた客の家にて自力回収
―会社にいかつい系の方はいらっしゃらなかったんですか。
小林:アホなやつはいましたけど、暴力団関係はいないです。
仕事は楽しかった
―会社で5回以上年を越したと聞きましたが、どういうことですか?
小林:大雪で帰れなくなったとか、精査して合わないとか。帳簿の金額と金庫に入ってる金額が万単位で合わないと、誰か取ったんじゃないかみたいな。まぁなかったんですけど。
―土日とかは?
小林:土日もずっと働いてました。 楽しかったですからね、仕事が趣味みたいな感じ。
取り立て行って同情も…
小林:取り立て行って、これ人住んでんのっていう家ありますからね。今まで真面目に返済して突然プツっと切れるんですよ。電話しても出ないから行ってみると初めてびっくりするのありますよ。
―すごい汚いってことですか?
小林:汚いっていうよりも、「これ家?」っていう。「えー、こんなとこ住んでたんだ。じゃあ回収できねえわな」みたいな。逆に同情しちゃうっていう。
金融は面白い!ハードボイルド体験
小林:大手消費者金融の担当と取り立てがたまたま一緒になって、どっちが集金するかで言い争いみたいになって、結局分け合いっこしたとか。
警察と協力関係になることも
県警と協力して共産党党員の動向を探ったりしたこともありました。
貸金業やってると色々情報入ってくるんですけど、選挙のたびに共産党って怪しい動きするんですよね。そうすると地元の警察から協力の電話来たり。共産党員の友達に色々聞いてましたね。
共産党は破防法の対象の党なんですよ。だから警察はいつもにらんでるんですよね。電話番号何番とか、あと盗聴器仕掛けてるんですよ。そういうの協力してくんないかとか。
その代わり協力するからお互いに折り合いつける。こっちもちょっとなんかあったときは、ちょっと許してねみたいな。
―闇金とけんかしたと聞きましたが、何があったのでしょう?
小林:うちのお客さんが闇金から借りてたんですよ。で、相談に乗って。(相手は)暴力団でした。
そうしたら(私の)事務所が、荒らされました。捕まったのかはわかりません。
ネット上の記事について
―ネット上の記事は嘘や説明不足が多いですよね。
小林:審査機関が違うからカードローンが通りやすいとかそんなことないしって、こっちは思いながら。
弁護士の説明不足は罪!
あと弁護士もダメですよね。過払金請求しても信用情報に傷付きませんよとかって言うし。実際傷つきます。傷つかない人っていうのは、すでに借金返しちゃった人。
―過払金請求をすると傷が付くのはどういった理由ですか?
小林:まず受任通知が行った時点で、債務請求の番号(32番)を信用情報に登録します。そうするとその32っていうのが登録されてる間にどこかから照会があれば、「この人ブラックじゃん」ってなりますよね。現在借金があって過払金請求する人はほんと注意しないと。
ブラックでも借りれるの真実とは
―ブラックでも借りれる消費者金融は?
小林:実際よっぽどのことがないと貸さないですからね。貸す(可能性がある)なら街金ですよ。大手と同じ客層狙ってもダメなんで、高齢者に貸すとか。
―高齢者って?
小林:年金受給者。70歳以上はもうほとんど借りられないですからね。
―法律的には問題ないですか?
小林:全然問題ない。 なぜそれを大手がしないかっていうと死ぬまでに回収できないから。
高齢者から回収するときの極意
―そうなんですね。逆に街金の人は高齢者からどのように回収するのですか?
小林:家族と仲良くなっちゃえばいいんですよ。
訪問する時に近所の人とかから下調べするんです。 例えば孫がいるならその子どもが好きそうなお菓子持ってくんです。
で、庭先で子供が遊んでいるからお菓子あげてると中から「あら~」という感じで人がでてくると…。
最初は失敗ばかりでしたけどね。「失礼しまーす」みたいな感じで。
「実は借金があるんですけど、お宅の息子さんに」とかね。最初に借金って聞いちゃうと、みんなあともう聞く耳持たない。またかって感じで。
もちろん、今では本人以外に借金のこと伝えてはいけませんが。
おまとめローンについて
―一時期おまとめローン結構流行ってましたね。あれって銀行が自粛したんでしたっけ?
小林:銀行も自粛しましたけども、官僚とのやり取りで、仕方なく貸金業協会が引き受けたんです。結局年収の3分の1以上、多額貸し付けたのは誰ってたたかれて、「すいません」って貸金業協会が謝って、「じゃあこういう法律にするから協力してね」って。
で、おまとめローンができた。だから貸金業法のほうには、おまとめローンについては何も書かれてない。貸金業規制規則にだけにあるんですね。ですから、おまとめローンは、そんなにはやってたわけではない。
ライターとして
―ライターとしてやりがいと感じる時は?
小林:記事の質問欄で質問をしてもらって、やりとりがあると楽しいですね。
―趣味はどういったことですか?
小林:パチンコやギャンブル、車なども好きです。車はいろいろ乗って、つい最近また買いました。
―楽しみ上手な感じはしますよね。
小林:でも、ほんと人生ジェットコースターで来ました。金融の世界は面白いですね。それも法務部門。督促担当者とかは楽しいと思うんですよ。
―それが楽しいと思える人だったら楽しいですよね。
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