ノンバンク社債法とはどういった法律なのか?
カードローンやキャッシングなど、消費者金融や信販会社からの借入を利用している方に参考になる法律に「ノンバンク社債法」があげられます。
この法律はカードローンなどの金利に影響する法律として意外に重要です。
「ノンバンク社債法」について解説します。
目次
ノンバンク社債法の概要
ノンバンク社債法というのは、1999年5月に制定された法律で、正式名称を、「金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律」(通称「ノンバンク社債法」)と言います。
ノンバンク社債法が対象とする「金融業者」とは、金銭の貸付を業として行う事業者をさします。
貸付を行う事業者ですが、銀行を含まないため、一般的に「ノンバンク」と呼ばれている事業者が、このノンバンク社債法の対象になります。
なお、ノンバンク社債法は、金融業者自身の資金調達を規制する法律であって、ノンバンクからお金を借入する人を規制する法律ではありません。
ノンバンクは、元々、法律上の規制によって、資金調達を実質的に銀行からの融資に制限されていました。
しかし、ノンバンク社債法が成立したことによって、「社債」、「コマーシャルペーパー」など、様々な資金調達方法を利用できることになりました。
借入利用者の立場から言って、ノンバンクがどういった資金調達を行うかは関係ないと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
一般的に、社債や、コマーシャルペーパーといった資金調達方法は、金融業者にとって、銀行などからの借入に比べて、低コストでの調達が可能となります。
ノンバンクにとって調達コストが低くなれば、その資金を用いた貸付業務においても、最低限確保しなければいけない金利を低下させることができるようになります。
そのため、ノンバンクから借入する消費者も、その分、低金利で借入できるようになる可能性があるのです。
ノンバンクとは?
なお、こちらの「ノンバンク社債法」は、「ノンバンク」を対象とした法律です。
しかし、ノンバンクという言葉の意味を正しくご存知でしょうか。
せっかく、ノンバンク社債法のことを知っても、対象となる金融業者の範囲が解らなければ、法律の意味を正しく理解することはできないため、「ノンバンク」ついても確認しておきましょう。
「ノンバンク」とは、一般的に「預金等を受け入れないで与信業務を営む事業者」を指す言葉です。
つまり、預金等を受け入れるのが「銀行(バンク)」であって、預金等の受け入れをしていないもののうち、貸付業務を行っている事業者を「ノンバンク」と呼ぶわけです。
ノンバンクの具体例をあげれば、消費者金融、信販会社、リース会社、クレジットカード会社などがあげられます。
それぞれ、法律上は、「銀行法」ではなく、「貸金業法」に基づいて、融資を行っている貸金業者と言われる会社になります。
つまり、ノンバンクというのは、貸金業者と言われる金融業者のことになります。
ノンバンクには、個人の消費性資金を貸し付けするものと、事業資金を融資するものに分かれます。
ノンバンク社債法が成立するまで、ノンバンクは、預金等を受け入れていないうえに、社債などによる資金調達もできていませんでしたので、銀行融資による資金調達に依存していました。
それが、今回ご紹介しているノンバンク社債法の成立によって、資金調達の幅が広がったというわけです。
禁止されていた理由
しかしながら、それまでなぜ、ノンバンクは社債等の発行による資金調達を禁止されていたのでしょうか。
元々、貸金業者は、「社債の発行により不特定かつ多数の者から貸付資金を受け入れるときは、その業務が銀行業務的性質を帯びることとなり、銀行等のように法令の厳重な規制を受けない貸金業者にこれを認めることは著しい弊害を生ずる」と考えられていました。
つまり、ノンバンクを規制する法律は、銀行法などに比べると厳格ではなく、緩いものと考えられます。
そのため、銀行と同じように、不特定多数の方から資金を集めて融資を行うと、弊害が出てしまうという考え方があったのです。
しかしながら、環境の変化とともに、上記のような規制にも変化がありました。
不特定多数の個人から直接資金を調達する預金は別として、証券取引所などを経由する資金調達は別物として考えられるようになったのです。
社債による資金調達を規制する商法や、証券取引所のルール、投資家保護のための諸制度が整備されたことによって、ノンバンクの社債発行などを規制する必要性が薄れたと考えられるようになっています。
既に、資金調達を行う市場自体のルールが整備されているので、貸金業者の資金調達を規制しなくても、特段の問題がなくなったと考えられるようになったのです。
さらに、ノンバンク社債法の成立による資金調達手段の多様化により、ノンバンクの貸出金利を低下したり、ノンバンクが資金調達を銀行依存から脱却することで、自主性を発揮した営業が可能になるメリットの方が大きいと考えられるようになっています。
ノンバンク社債法の条件
なお、ノンバンク社債法が成立したといっても、全てのノンバンクが社債などの資金調達ができるようになったわけではありません。
ノンバンク社債法によって、社債発行による資金で貸付業務が可能となったノンバンクには以下のような条件が設けられています。
①最低資本金額10億円以上
②金銭の貸付に係る審査の業務に3年以上従事した者が2名以上いること
以上のような条件が設けられています。
さらに、銀行なみに詳細な経営情報を開示することも必要となります。
こういった条件を満たすことのできるノンバンクは、かなり大手や、中堅以上のノンバンクに限定されるでしょう。
小規模で事業を行っているノンバンクの場合、最低資本金の額や、経営情報の開示など、必要な条件を満たせないという事業者も多いでしょう。
つまり、ノンバンク社債法の成立によって、同じノンバンクと言われる事業者であっても、大手は有利な条件での資金調達が可能となり、一方で、小規模なノンバンクの調達環境は変わらないというように差が生まれているのです。
そのため、ノンバンクからお金を借りたいと思っている方は、大手のノンバンクから借入する方が、有利な条件で借入できる可能性が高いということになります。
まとめ
ノンバンクと言われる貸金業者の資金調達を規制する法律に「ノンバンク社債法」と言われるものがあります。
従来、ノンバンクは、貸付業務のための資金調達を、銀行からの借入などに制限されていました。
しかし、ノンバンク規制法の成立によって、社債発行などによる資金調達も認められるようになったのです。
社債発行などの資金調達が可能になることで、ノンバンクの調達コストは低下することが期待されます。
その効果として、ノンバンクが貸付する際の金利が低下することも期待できます。
しかし、ノンバンク社債法は、適用されるノンバンクに条件があるため、大手や、中堅以上のノンバンクに制限されると考えた方が良いでしょう。
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