国の教育ローンは追加融資ができるのか?方法や審査基準を徹底解説
国の金融機関である日本政策金融公庫は、公的な教育ローンである「国の教育ローン」というローンを扱っています。
本来、ローンというものは収入が高い人の方が審査に通りやすいのですが、国の教育ローンは収入が一定以下でないと借りることができない珍しいローンです。
その意味でも、収入が低い人が子供の教育資金を用意するうえで強い味方ということができます。
しかし、お子様が複数いる家庭では、追加融資を受けることができなければ2人目以降の子供の学費が用意できないこともあります。
また、1人しか子供がいなくても、さらに進学した場合や2年目以降の学費のために追加融資の必要が生じることも考えられます。
国の教育ローンで追加融資を受けるということは可能なのでしょうか?
この記事では国の教育ローンや、金融機関の教育ローンで追加融資を受ける方法や審査の基準などについて徹底解説を行っていきます。
この記事はこんな人におすすめ
今回ご紹介する記事は、こんな人におすすめの内容となっております。
- すでに国の教育ローンを借入している人
- 追加で教育資金を借入したい人
- 銀行の教育ローンにおける追加融資について知りたい人
国の教育ローンは追加融資可能
結論的に言えば、国の教育ローンは追加融資を受けることができるローンです。
むしろ、銀行のローンよりも追加融資に対して非常に寛容であると言えるでしょう。
普通の銀行は子供の数が何人であろうと、親の年収によって貸し付けることができる金額は限られますが、国の教育ローンは子供の人数に応じて親が借りることができる金額が変化するためです。
そのため、2人目の子供の入学資金などを借りることも可能となっています。
また、外国の教育施設に3ヶ月以上在籍する場合、借入の上限金額がアップする制度もありますので、国内よりもお金のかかる留学資金についても対応してくれます。
ただし、国の教育ローンは利用できる世帯収入の上限(後述します)が定められていますので、上限以上の世帯収入がある場合は利用することができないことに注意しなければなりません。
子供1人あたりに限度額が設定
日本政策金融公庫の国の教育ローンが、銀行の教育ローンよりも優れているところは、「子供1人あたりに融資限度額が設定されている」という点です。
通常、銀行の教育ローンは、子供が何人であろうと融資限度額は親の年収に比例します。
例えば、年収600万円の人がその半分の300万円までしか借りることができないとすると、この人は子供が何人であろうと合計300万円までしか借りることができません。
子供が1人だけなら、その子供1人に対して300万円を使うことができますが、子供が3人の場合には子供1人当たりに対して100万円しか、ローンから利用することができないことになります。
また、最初の子供にローンからお金をかけすぎてしまうことによって、2人目以降の子供にはローンから回すお金がないという状況になってしまうことも考えられます。
しかし、国の教育ローンの場合には、子供1人当たりで融資限度額が決まっているため、子供の数が多い人の方が合計で多くの金額を借りることができるというメリットがあります。
1人350万円まで追加融資可能
国の教育ローンで、子供1人に対して融資される限度額は350万円までです。
このため、初年度子供の入学金などのために融資を受け、2年目、3年目とお金が必要になるタイミングの都度、子供1人につき350万円までなら追加融資を受けていくことが可能になっています。
例えば、初年度に200万円を借りたとして、2年目に100万円、3年目に50万円というように、希望する金額の分を追加融資してもらうことが可能なのです。
銀行の教育ローンの場合は、申込者の年収によって融資の上限額が決められていますので、年収によっては2年目、3年目に追加融資を受けることができないこともあります。
低所得者ほど、銀行の教育ローンからは追加融資を受けることが難しいのですが、一定基準以下の世帯収入を対象としている国の教育ローンだからこそ、子供1人の上限額の範囲内であれば追加融資を受けられるのです。
子供の数に応じて追加融資可能
子供の数に応じて、親が借りることができる融資限度額が異なる国の教育ローンは、2人目以降の子供の教育費に対しても、子供1人当たり350万円を限度として追加融資が可能です。
そのため、1人目で350万円の融資枠を使い切ってしまったとしても、2人目、3人目の子供に学費が必要になるタイミングで、子供1人当たり350万円を限度として追加融資を受けることが可能になります。
基本的に、国の教育ローンは親名義で融資を受けるものですので、子供の数が多ければ多いほど親が抱える借金は大きくなってしまいます。
例えば、子供が3人いて子供1人あたり350万円の限度まで国の教育ローンを借りた場合には合計で1,000万円以上の借金を背負ってしまうことになります。
子供が卒業後に子供が返済していくなどの計画を立てて、無理なく返済するようにしていきましょう。
追加融資は新規借入時と同じ要領
では、追加融資はどのようにして行うのでしょうか?
基本的に追加融資だからといって、特別な手続きは必要ありません。
申込方法は、新規に申し込んだ時と同じであり、銀行や日本政策金融公庫で行います。
新規で国の教育ローンを借りた時と同じように申込を行い、同じ書類を用意する必要があります。
国の教育ローンは、用意する書類が多くて面倒なローンという点で有名ですが、追加融資の際にはこれらの書類を全て最初から用意する必要があるため、手続き自体はかなり煩雑になるというデメリットがあります。
この点はカードローンの増額手続きなどと異なり煩わしいのですが、国の教育ローンの追加融資は増額ではなく新規借入という扱いになるため、この点は仕方がないかもしれません。
増額ではなく新規借入
銀行の教育ローンは、カードローンのように限度額が設定され、その枠の中から必要に応じて借り入れていくという商品が存在します。
このようなローンの場合には、カードローンの限度額を増やす時のように簡単に増額手続きをする形で追加融資を受けることになります。
しかし、国の教育ローンは、一括融資ですので、追加融資と言っても新たに別の借入をするという形になります。
このため、追加融資の手続きは新規借入時と全く同じような手続きを行う必要があるのです。
銀行や政策金融公庫へ申込
国の教育ローンは、日本政策金融公庫の窓口やホームページ上でインターネットから申込をすることもできます。
また、ほとんどの銀行や信用金庫で受付の代理を行っています。
このため、どこに申し込みを行ってもよいのですが、最も簡単なのは、日本政策金融公庫へ直接申し込みを行うか、新規借入をした時と同じ窓口を使用するというが適切でしょう。
必要書類
国の教育ローンは、申し込みの際に必要になる書類の数が多い融資です。
初めて借入をした際も「書類が多くて面倒」だと感じた人も多いかもしれませんが、2回目以降の追加融資の際にもこれらの書類は全て必要になります。
主に必要な書類は以下のような書類ですが、連帯保証人を立てる場合には、必要書類はさらに多くなります。
スムーズに融資を受けたい場合にはあらかじめ以下のような書類を用意していくようにしましょう。
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追加融資でも審査はある?
国の教育ローンで追加融資を受ける際にも、審査は行われるのでしょうか?
先ほど述べたように、国の教育ローンの追加融資というのは「新たに新しい国の教育ローンを借りる」という手続きになるため、審査は1から行われます。
新規借入時と同じように審査がある
追加融資の際も、新規借入時と同じような審査が行われることになります。
また、2回目以降の追加融資の場合には、これまでの国の教育ローンの返済に遅れがないということも重要になります。
1回でも遅れた場合には借入ができなくなるわけではありませんが、返済の遅れが恒常的になっているような人は、追加融資を断られてしまう可能性も少なくありません。
信用情報も審査される
国の教育ローンでは、信用情報への照会も行っています。
民間金融機関とは異なるため、ブラックの場合やクレジットヒストリーに問題があるような場合に必ず審査に落ちてしまうというようなことはありません。
しかし、他からの借入金が多いような場合や、1回目に国の教育ローンを借りてから他債務が増えて、他の借入金の返済に遅れが多くなっているような場合には、「これ以上の融資は厳しい」と判断されて審査に落ちてしまうということは可能性としてゼロではありません。
収入基準も審査される
国の教育ローンが民間銀行などの教育ローンと比較して最も特徴的な点が、収入が低い人の方が借りやすいという点です。
この点は、民間金融機関とは正反対になります。
民間金融機関では、収入が高い人の方がどのようなローンでも審査に通りやすいのですが、国の教育ローンでは収入が一定以下でないと借りることができないのです。
世帯収入の限度は子供の数に応じて決められており、例えば、子供の人数は3人の場合には、世帯収入は990万円以下でないとなりません。
年収990万円の人が子供1人あたり350万円まで借りたとすると、合計で借入額は1,050万円となり、年収以上の金額を借りることができてしまいます。
無担保ローンで年収以上の借入ができるという点も、銀行などの民間金融機関では考えられないことですので、この点も国の教育ローンの大きな特徴と言えるでしょう。
子供の数に応じた収入限度額は、以下の通りになります。
それ以上年収がある人は、残念ながら国の教育ローンを利用することはできません。
1人:790万円 2人:890万円 3人:990万円 | 4人:1,090万円 5人:1,190万円 |
融資までには20日程度
国の教育ローンに申し込みをしてから、融資されるまでには20日程度かかります。
これは、新規借入時も追加融資の際も同じです。
民間銀行と比較して融資までには時間がかかるローンですので、早めに申し込みを行っておくことをおすすめします。
銀行教育ローンの追加融資
銀行教育ローンは、子供の人数が何人であろうと、借りることができる金額は親の年収に比例します。
このため、追加融資を受けることができるかどうかは、子供が何人なのかではなく、親の収入などの返済能力がどの程度なのかということに左右されることになります。
また、銀行教育ローンのほとんどは、保証会社がつきます。
そのため、新規申し込みや増額申し込みをすると、銀行と保証会社それぞれの審査を受けなくてはなりません。
それでも、審査や融資のスピードは国の教育ローンよりも早いのが一般的です。
証書貸付は新規融資
銀行によって、教育ローンの融資形態は異なります。
一括融資の銀行で追加融資を受ける場合には、必要書類を1から用意して、新しい教育ローンをもう1本借りるという手続きになります。
もともと教育ローンの借入が1本ある人が追加融資を受けた場合には、教育ローンの借入が2本になるということです。
※既存の教育ローンと新規の教育ローンを一本化して融資する銀行もあります。
返済は借入本数が多い方が大変になることが多いため、返済計画も十分に立てた上で追加融資を検討しましょう。
極度型貸付は増額
銀行によっては、教育ローンがカードローンのように限度額を設定し、その限度額の範囲内で必要に応じて借入をしていくという商品があります。
このようなローンを極度型貸付と言いますが、極度型貸付で追加融資を受ける場合には、極度額を増額するという手続きになります。
カードローンの増額をイメージすると、わかりやすいのではないでしょうか?
極度型貸付の教育ローンは、子供が在学中は利息の支払いだけを行うというのが基本的な返済方法になり、子供が卒業後に証書貸付に借り換えて元金の返済がスタートするという形になります。
このため、追加融資を受けても借入本数は1本のままですので、返済は複数本の教育ローンを借りた場合よりは大変ではないでしょう。
親の年収が追加融資を左右する
追加融資の審査基準は、やはり親の年収です。
先ほど述べたように、教育ローンの適性な融資額は親の年収の2分の1程度です。
最初に融資を受けた時に、年収の2分の1よりも余裕がある場合には、追加融資を受けることができる可能性は少なくありません。
しかし、すでに年収の2分の1の枠をある程度使ってしまっている場合には、追加融資の審査に落ちてしまう可能性が高いと言えます。
また、そのほかに信用情報などもしっかりと審査が行われます。
銀行教育ローンの審査
銀行などの民間金融機関の審査は、基本的には他のローンの審査基準と大きくは変わりません。
教育ローンという公共性の高い使い道だからこそ、金利が低く設定されているというだけで、教育ローンだから審査基準が優遇されるということは全くありません。
主な審査のポイントは、以下の通りです。
年収が多いほど借りやすい
民間金融機関の審査では、年収が高い人ほど多くの金額を借りることができます。
年収が高い人の方が、多くの金額の返済に耐えることができるため、当然と言えば当然です。
教育ローンの場合、年収の2分の1程度が借入額の限度ですが、教育ローンは公共性が高く、子供が社会人になってから返済をするような計画を立てることもできるため、年収の2分の1を超える借入をすることも可能です。
とは言え、返済負担率があまりにも多くなってしまうような融資までしてくれるわけではなく、年収を超える融資を受けることはほぼ不可能です。
借入金というのは、年収が低い人だからこそ必要とするものですが、銀行借入の場合には、お金がある人ほど融資を受けやすいという特徴があるのです。
また、返済期間中に転職などで収入が少なくなってしまうリスクがないとこも重要であり、そのためには勤続年数の長さも必要になります。
親1人あたりに融資限度額が設定
教育ローンを借りるのは、あくまでも親です。
そのため、親1人あたりに借入限度額が設定されます。
子供が1人であろうが3人であろうが、年収が同じであれば原則的に借入限度額も同じになるというのが、銀行などの民間金融機関の特徴です。
したがって、子供の人数が多い人は、民間金融機関の教育ローンだけでは子供の教育費を賄えないことにもなり兼ねません。
奨学金制度の検討
国の教育ローンは親である保護者が借りるのに対し、奨学金は進学する子供が自らの教育資金を借りる(返済義務のない「給付型」もあります)制度です。
しかし、子供だけでは将来仕事をし始めてから返済できなくなる可能性もありますし、未成年者も多いですので、保護者が保証人となります。
奨学金制度の対象は、大学等へ進学する人や高校を卒業後2年以内の人であり、利用のためには制度を運営するところの審査を受けなくてはなりません。
当然ですが、審査に通ることができなければ奨学金制度を利用できません。
また、奨学金は在学中の人でも利用できます。
学校独自の奨学金制度紹介
奨学金というと、後述する日本学生支援機構をイメージしますが、学校独自の奨学金制度もあります。
学校独自の奨学金は、大学はもちろん、専門学校でも扱っているところがあります。
では、学校独自の奨学金制度がどのような内容となっているのかということを、明治大学が実施している奨学金制度を挙げて紹介していきます。
【明治大学】
奨学金の名称 | 給費奨学金 | 明治鋼業奨学金 |
---|---|---|
採用枠 | 1,400名程度 | 3名程度 |
金額 |
| 年額約3万円 |
学力 |
| |
所得要件 |
| なし |
学校独自の奨学金制度では、利用できる枠が定められていることがほとんどです。
また、この他にも、給付型の奨学金制度を実施している学校もありますので、進学または在学する学校の奨学金制度を確認することをおすすめします。
なお、学校独自の奨学金制度だけでなく、各都道府県でも奨学金制度を実施していますので、そちらについても確認しておきましょう。
日本学生支援機構の奨学金制度紹介
最も知名度のある日本学生支援機構の奨学金制度には、「給付型」と「貸与型」の2種類があります。
給付型の奨学金とは、教育資金の給付を受けられるものですので、将来返済する必要がありません。
これに対して貸与型の奨学金は、ローンと同じでお金を借りるものです。
貸与型にはさらに「第一種」と「第二種」があり、第一種は無利息で借りることができます。
第二種は、借入金利があるタイプであり、在学期間中は無利息なのですが、3%を上限とした金利がつきますので、返済時には利息とともに返していく必要があります。
その他に、多くのお金が必要になる入学時に、奨学金を増額して貸与(借入金利あり)する「入学時特別増額」というものもあります。
給付や貸与、第一種や第二種というように、日本学生支援機構には奨学金の種類が多いですので、それぞれの特徴や利用基準をよく確認することをおすすめします。
まとめ
国の教育ローンは、子供1人当たり350万円を限度として、追加融資を受けることが可能です。
そのため、子供の数が多くても追加融資によって、1人1人に教育資金を用意することができるため安心です。
しかし、その分、親名義での借入が多くなりすぎてしまうという懸念が生じます。
借りやすいことがメリットの国の教育ローンですが、親の年収から鑑みて明らかに借りすぎの状態になってしまう可能性があるという点がリスクです。
そのため、子供が社会人になったあとは子供が自分で返済していくなどの計画を立てた上で国の教育ローンを有効活用するようにしてください。
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