国の教育ローンを返済できない時はどうしたらいいの?
大学進学や、留学など、学業にかかる費用は大きくなりがちです。
さらに、子供が2人、3人いれば、その分学費は高くなるため、教育ローンで調達される方も多いでしょう。
国の教育ローンが返済できない状態になった場合の対応方法を解説します。
国の教育ローンとは?
国の教育ローンというのは、日本政策金融公庫の教育ローンのことを指します。
日本政策金融公庫は、政府が全額出資して設立している法人であり、一般的に「公的金融機関」と呼ばれます。
つまり、国が行っている金融機関ということです。
日本政策金融公庫は、元々、中小企業向け融資を行う「中小企業金融公庫」と、教育資金などの貸付を行っていた「国民生活金融公庫」が一つになって生まれた金融機関です。
一般に「国の教育ローン」と呼ばれるのは、この日本政策金融公庫のうち、旧国民生活金融公庫が行う教育ローンのことを指します。
日本政策金融公庫と言われるとあまり馴染みの無い個人の方も、「国金」(国民生活金融公庫)と呼ばれると記憶があるという方は多いかもしれません。
教育ローンの借入条件は?
日本政策金融公庫が行う「国の教育ローン」について、その特徴やメリット・デメリットについて、もう少し詳しく確認しておきましょう。
低金利で利用できる
日本政策金融公庫では、教育ローンのことを教育一般貸付(国の教育ローン)と呼んでいます。
国の教育ローンは、最高350万円までの金額を、年1.76%という低金利で借入可能です。
国の教育ローンの特徴を知るためにも、他の民間金融機関の教育ローンと比較してみましょう。
大手都市銀行である三菱UFJ銀行の教育ローンの場合、最大500万円までの金額を、年3.975%という条件で借入できます。
最大借入可能額は、国の教育ローンよりも150万円大きくなる一方、借入金利は、1.76%→3.975%と、倍以上に高くなります。
つまり、国の教育ローンは、借入できる金額こそは低くなりますが、一般的な教育ローンよりも低金利で借入できるという特徴があります。
なお、国の教育ローンの資金使途は、国内の高校、大学、各種専門学校への入学、在学資金に加えて、海外留学にも利用可能です。
利用できる条件
国の教育ローンを利用できる方には、年収による条件が設けられています。
一般的な銀行融資の場合、年収条件と言うと、「必要となる最低の年収額」が定められ、それ以上の年収があれば、さらに融資を受けやすくなります。
銀行融資は、融資後の回収に問題が無いことを重視して審査するため、年収は多ければ多い方が良いためです。
一方、国の教育ローンで定められているのは、「年収の上限」です。
これは国の教育ローンの目的が、親の収入が低い家庭の子供に対しても、教育を受けることを可能にすることだからです。
国の教育ローンは、公的な金融機関が行っている融資であり、民間銀行からの融資が受けにくい方に対する支援という役割が強くなっているのです。
そのため、利用できる方は、一定の年収条件以下の方となります。
なお、年収条件の詳細は以下であり、お子様の人数と、世帯年収で区分が設けられています。
①子供の人数が1人:世帯年収の上限790万円 ②子供の人数が2人:世帯年収の上限890万円 ③子供の人数が3人:世帯年収の上限990万円 ④子供の人数が4人:世帯年収の上限1,090万円 ⑤子供の人数が5人:世帯年収の上限1,190万円 |
返済出来なくなることがある
前述の通り、国の教育ローンには、年収に対する上限が設けられており、収入が低い世帯の方も利用できるように配慮されています。
そのため、民間銀行の教育ローンに比べ、借入後の返済が厳しくなってしまう方も多くなると考えられます。
民間銀行から融資を受けられない方の借入が多くなるため、止むを得ないものと言えるでしょう。
さらに、親が教育ローンを借入したけども、実際の返済は、卒業後の子供が行うことを期待されている方であれば、さらにその可能性は高まります。
仮に大学を卒業して、その後、無事就職されたとしても、新入社員の給与では、それほど大きな返済の余裕が無いためです。
そのうえ、卒業後の就職がうまく決まらないという方であれば、さらに返済は厳しくなってしまいます。
返済出来ない時に対処
国の教育ローンに対して返済できない場合、まずは日本政策金融公庫に相談しましょう。
返済が厳しい理由や、今後の返済をどうするつもりかを説明することで、一時的に返済額を緩和してもらえる可能性もあります。
例えば、教育ローンの対象となった子息が就職できておらず、就職後に返済ができるようになるといった相談をすることが大切です。
国の教育ローンの場合、借入期間の最長は15年間であり、さらに、子息が在学中は、元金返済を据え置くことも可能です。
日本政策金融公庫は公的な金融機関であり、返済条件の見直しであれば、比較的相談にのってもらえる可能性は高いと言えるだろうでしょう。
但し、金利や、元金の一部を免除してもらうような相談は難しいので、あくまで返済方法の見直しに限定されます。
なお、返済が出来ないに、最もやってはいけないのは、相談せずに、延滞したまま放置しておくことです。
どうせ払えないからと、断りなく延滞していると、遅延損害金や延滞利息が発生してしまい、支払わなければならない金額がさらに増加してしまいます。
そのうえ、延滞が続くと、期限の利益を喪失され、借入残高を一括で支払うように請求されてしまうこともあります。
払えないからと放置しておくのは危険です。
債務整理による解決
日本政策金融公庫に対する返済方法の見直しだけでは足らず、そもそも返済できる見込みが立たない場合には、法的な債務整理を検討することも必要です。
債務整理には裁判所を介して行う法的整理と、裁判所を介さない任意整理があります。
前述のような、日本政策金融公庫と個別に協議して返済方法を見直す方法は任意整理に含まれます。
一方、裁判所を介する法的整理としては、個人再生や、自己破産といったものがあげられます。
法的整理では、国の教育ローンが返済できないということを裁判所に認めてもらうことで、返済できない元本や、利息について一部を免除してもらえる可能性があるのが特徴です。
つまり、現在の収入や支出の状況などから判断して、返済可能な金額だけを返済するというのが法的整理です。
法的整理のうち、個人再生は債権者の合意を得たうえで、返済金額や返済方法を見直したうえで、借金返済を継続していく方法になります。
元金や、利息の一部を免除してもらえる可能性があり、減額後の借金を返済していくのが任意整理との大きな違いになります。
それに対して、自己破産は、現在保有している資産を現金化して、その範囲内でのみ返済し、返済できない借金は免除してもらう債務整理となります。
そのため、保有している資産の大部分を失う可能性がありますが、早期に、そして抜本的に借金問題を解決できる可能性が高くなります。
また、自己破産では資産は失いますが、それ以後の収入から返済する必要がなく、生活を再建しやすくなるとも言えます。
なお、債務整理は、法的手続きとして、裁判所の協力を得ながら借金問題を解決できる強力な方法ではありますが、その後、長期間に渡って新規借入や、クレジットカードの作成などは出来なくなりますので、その点は注意が必要です。
まとめ
国の教育ローンは民間銀行の教育ローンに比べ、低金利での借入が可能であり、要件にあてはまる方は是非とも利用したい融資となります。
特に、民間銀行で審査に通らないかもと不安な方におすすめです。
しかし、国の教育ローンであっても、返済できないで放置していると危険です。
遅延損害金が膨れ上がったり、資産や給与に差し押さえされることもあります。
返済できない場合には、まず日本政策金融公庫に返済方法を相談したり、それでも駄目なら債務整理を検討されてみるのが良いでしょう。
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