外構費用は住宅ローンに組み込める?その他の支払い方法は?
住宅を新築する際にはいろいろな費用が必要ですが、それら費用の1つに「外構費用」があります。
外構工事はそれなりのお金を必要とするため、住宅の新築費用と同じようにできればローンで支払いたいところですが、それは可能なのでしょうか。
リフォームローンなどであれば問題なく利用することができ、住宅ローンとして組むことは原則NGです。しかし、ちょっとしたコツで組み込むことができます。
住宅ローンで外構費用を支払う方法は?
結論から伝えると、外交費用を住宅ローンとして組むことは原則としてNGです。
外構は住宅に付随するものですから、住宅ローンも外構工事の費用を支払うために利用できると思われているかたも多いと思いますが、実は原則として外構工事の費用を支払うために住宅ローンを利用することはできません。
住宅ローンは、あくまでも「住宅の建築費用に限る」としているものが多いです。住宅ローンを利用して外構費用を支払おうとしていた人は、資金計画を見直さなければならない可能性もあります。
しかし、「≪原則として≫利用することができない」と言ったからには、住宅ローンで外構費用を支払うことができる方法がないわけではありません。
家の建築費用に外構費用も含めてしまう
そのような方法の1つとして考えられるのが、家の建築を行ってもらうハウスメーカー等に家の建築と外構工事をまとめて依頼することで、家の建築費用に外構費用を含めてしまうという方法です。
一般的に家の建築は工務店やハウスメーカーに、外構工事はエクステリア専門業者に任せることが多く、家の建築費用と外構費用は別々のところに支払わなければならないので、住宅ローンで外構費用を支払うことはできないとされています。
しかし、ハウスメーカー等に外構工事までまとめて依頼することで、外構費用を住宅ローンでまかなうことができるようになる可能性が出てきます(実際の判断は各金融機関で異なる)。
外構工事を専門の業者にお願いせずにハウスメーカーに任せてしまうことには、多少のデメリットがないわけではありませんが、外構費用を住宅ローンでまかなうことができるというメリットがそれを上回るのであれば、こういった選択肢もありではないでしょうか。
担当者にお願いしてみる
金融機関や住宅ローンの担当者によっては外構工事を専門の業者に依頼する場合でも、外構費用を住宅ローンでまかなうことを認めてくれる場合もあるようです。
「家の建築と外構工事を別の業者が行う場合は住宅ローンで外構費用をまかなうのは無理」というのが一般的ではあるものの、最初から諦めてしまわずに念のため担当者に相談してみるといいでしょう。
外構費用には何が含まれる?
「外構費用」といっても、具体的にどのような費用が含まれるか分からないという人も多いのではないでしょうか。
外構費用は、駐車場や塀・門扉、玄関アプローチといった外構の工事に必要な費用のことを指し、新築の家を建てる場合、総費用のおよそ2割前後を占めるのが相場といわれています。
外構は英語で「エクステリア」と呼ばれ、室内装飾のことを表す「インテリア」と対になる言葉であると聞けば、外構費用にどのようなものが含まれるかも分かりやすいです。
外構費用を支払えるローンは?
新築を建てる際に必要な費用の2割前後となると、かなりまとまった金額になるので、できればローンを利用して支払いたいところですが、外構費用を支払うことに適したローンはどのようなものがあるのでしょうか。
リフォームローン
まず考えられるのは、リフォームローン等の住宅のリフォームに必要な費用を支払うためのローンです。
銀行や信用金庫等の金融機関で取り扱われていることが多いので、普段利用している金融機関でいくつか比較検討してみるといいでしょう。
金融機関によっては「エクステリアローン」のような、エクステリアの工事費用専門に利用することができるローンを取り扱っている場合もあります。
リフォームローンとエクステリアローンのどちらもを取り扱っている金融機関の場合には、どちらを利用したほうが有利な条件で融資を受けられるかを比較したうえで、実際に利用するローンを決めるといいでしょう。
フリーローン
リフォームローン・エクステリアローン以外では、外構工事の費用を専門にしたローンはほぼありませんが、資金使途自由のフリーローンであれば外構費用として利用することも可能です。
資金使途が自由なので、外構工事に伴ってどうせだから内装にも少し手を加えたいというような場合にも、フリーローンで借り入れた資金を利用することが可能です。
ただし、資金使途が自由なローンの常として、フリーローンの金利は他のローンの金利よりも少々高めに設定されていることが多いので、リフォームローン等を利用する場合よりも返済負担が重くなりやすいということには注意しておいたほうがいいでしょう。
外構費用を「住宅ローンに組み込んだ場合」と「別途リフォームローンで借りた場合」の比較シミュレーション
ー | A:住宅ローンに組み込み | B:住宅ローン+リフォームローン |
---|---|---|
借入金額 | 3,000万円 | 3,000万円 (住宅ローン2,400万円+リフォームローン600万円) |
住宅ローン金利 /借入期間 | 年0.950%/35年 | 年0.950%/35年 |
リフォームローン金利 /借入期間 | ー | 年3.0%/10年 |
毎月の返済額 | 8万3,988円 | 住宅ローン:6万7,190円 リフォームローン:5万7,936円 計12万5,126円(11年目以降は住宅ローンのみ) |
総返済額 | 3,527万4,935円 | 住宅ローン:2,821万9,937円 リフォームローン:695万2,320円 計3,517万2,257円 |
差額 | 毎月の返済額:リフォームローンを払い終える10年目まではBが4万1,138円高いが、それ以降は1万6,798円安い 総返済額:Bが10万2,678円安い |
※元利均等払い、ボーナス払いなし、融資手数料なし、固定金利なし
借入金額や返済期間によって異なりますが、上記表の場合は「B」がお得になります。「A」は返済期間が長引いていることが高額になった要因と言えるでしょう。
信販会社のローンを利用する際の注意点
外構工事をエクステリア専門業者にお願いする場合は、金融機関の取り扱う住宅ローンが利用できない可能性が高い代わりに、その業者が提携している信販会社のローンを利用することが可能です。
信販会社のローンを利用する際に注意しておきたいポイントを、いくつか挙げていきましょう。
業者によって利用できるローンは固定
信販会社も銀行や信用金庫等と同じくたくさんの会社があり、それぞれの会社によって取り扱っているローンの特徴は異なります。
しかし、エクステリア専門業者経由で申し込みを行うと、その業者が提携している信販会社のローンしか利用することができないので、事前にいろいろな信販会社のローンについて調べていても意味はありません。
エクステリア業者が提携している信販会社のローンが、自分にとって納得のいくものであればいいですが、そうでない場合にはエクステリア業者から選びなおさなければならない可能性も出てきます。
エクステリア業者と契約を行う前に、提携している信販会社はどこかを確認しておくというのも1つの手段でしょう。
銀行のローンより金利が高い場合が多い
信販会社が取り扱っているローンは、エクステリア業者で外構工事の契約を行う際に一緒に申し込むことができます。そして、申し込んだ翌日(早くて当日)ぐらいには審査結果が分かります(銀行のローンの場合は2週間前後かかるケースが多い)。
このように利便性においては非常に優れている信販会社のローンですが、利用する際に大きなネックとなりえるのが「金利の高さ」です。
信販会社のローンを利用する際に適用される金利は、銀行のローンを利用する際に適用される金利よりも総じて高めになっていることが多いので、返済負担は重くなってしまいがちです。
住宅新築のために住宅ローンを利用していると、そちらの返済だけでも家計にかなりの負担になっているはずなので、外構工事に関わる返済はできるだけ抑えたいところですよね。
実際に利用する前にきちんと返済シミュレーションを行って、返済しきれそうだということを確認したうえで申し込む必要があります。
お金は工事を行う業者に振り込まれる
銀行のローンを利用する場合と信販会社のローンを利用する場合の違いは、「融資を受けたお金がどのように取り扱われるか」というところにもあります。
銀行のローンを利用する場合、融資を受けるお金は申し込み者に直接振り込まれる形になるのが一般的ですが、信販会社のローンを利用する場合は、エクステリア業者に直接工事代金が支払われるのが一般的です。
融資を受けたお金が自分を経由しようがしまいが、最終的にエクステリア業者に支払われる形に落ち着くはずなのでそこまで気にすることでもないかもしれませんが、普段銀行のローンを利用することが多いという人は、お金の流れの違いに戸惑わないようにしましょう。
外構工事を行うタイミングはいつ?
外構工事は建物工事とは別物なので、家を新築する際に必ずしも外構工事を並行して行う必要はありません。
外構工事を行うタイミングについて、考えていきましょう。
家を新築する際に同時に行う
割合的にもっとも多いのは、やはり家を新築する際に外構工事も同時に行ってしまうというパターンです。
建物工事と外構工事は別物とは言え、どちらもそろってはじめて「家」なわけですから、建物だけ先に完成させてしまっても味気ないと感じる人は多いのでしょう。
新築工事と外構工事のタイミングをズラしてしまうと、それぞれのローン返済時期もズレてしまい常に何かしらのローンの返済を行い続けるようなことになってしまうため、ローン返済をまとめて終わらせてしまうために、同時に工事を行いたいと考える人もいるようですね。
新築後にある程度お金が貯まってから
新居の建築だけでもかなりお金が飛んでいくことになるのは確実なので、負担が一時期に集中するのがイヤだという人は、家を新築した後にお金の貯まり具合を見ながら外構工事を行うというパターンもあります。
外構工事に中途半端なお金しかかけられずに、納得のいかない出来栄えになってしまうのは家主としても不本意でしょうから、しっかりお金をかけられる時期まで待つというのは十分ありえる選択肢でしょう。
ただし、外構工事を行うのをあまりに遅らせすぎると建物の耐用年数にも関わってきますので、お金と相談とは言いつつもなるべく早く外構工事を行うことをおすすめします。
自分たちで随時DIY
外構工事はエクステリア専門業者に任せるのが一般的ですが、そちら方面の知識と技術と熱意があれば、自分たちでDIYしてしまうことも不可能ではありません。
DIYすることで、業者に任せるのとはまた違った味のある出来栄えになり、オンリーワンの作品を作り上げることが可能です。
ただし、外構は家の外観をよくするのと同時に、自然災害等から建物を守る役目も担っています。
生半可な知識でDIYを行うと、せっかくのマイホームの劣化が早く進んでしまって修繕によりたくさんのコストがかかってしまう可能性もあることは、十分考慮に入れておくべきでしょう。
外構工事の際に注意しておきたいこと
エクステリア専門業者に任せるにせよDIYを行うにせよ、外構工事の際に注意しておきたいことをいくつか挙げていきましょう。
自分たちでしっかりイメージしておく
まず、外構をどのような形で整えたいかについてのイメージを持っておくということが、もっとも重要です。
DIYを行う場合はもちろんですが、業者に任せる場合にもどのようなイメージで工事を行ってほしいかということを的確に伝えなければ、自分たちの思い描くような完成形には至りません。
業者からもある程度のプランは提示されると思いますし、自分たちのイメージが完璧に反映されるわけでもありませんが、自分たちなりのイメージをきちんと思い描けていると、事前の打ち合わせ等もスムーズに進めていくことができます。
業者選びをしっかり行おう
外構工事を業者に任せる場合は、業者選びが最大の争点になるはずです。
外構工事を専門に請け負う業者はたくさんいますが、正直当たりはずれも大きいので、しっかりした工事を行ってくれる業者を選ばなければなりません。
いい業者を見極めるためのポイントは「こちらの質問に的確に答えてくれるかどうか」で判断することができるでしょう。
エクステリア業者は、外構工事のデザイン等に関してある程度のパターンを有していることが多いため、実際に工事を行う際にはいくつかのパターンの組み合わせで工事を行うことも少なくありません。
そのような場合に、たとえ既存のデザインの切り貼りであったとしても「なぜこのようなデザインになったのか」という質問に対して、きちんと住む人の視点に立った説明ができる業者はいい業者と判断できます。
「最近はこのデザインが流行りですよ」「うちの会社ではこれをオススメしてます」というような、住む人の視点に立っていないような回答をする業者は、外構工事を任せる相手としてはあまりおすすめできません。
デッドスペースを作らないように
「空間を生かす」というのは建物や庭の設計において非常に重要なことですが、外構工事の場合は空間を意識しすぎると、デッドスペースを生んでしまうことにつながりかねません。
よほどの大豪邸でもない限り、スペースは最大限に活用したいはずなので、デッドスペースを生み出さないようなデザインを心がけて、業者にもその旨を伝えておくといいでしょう。
ただし余っている空間を無駄にしないようにといろいろな機能を詰め込んでしまうと、今度はかえって使いにくくなってしまいますのでバランスは大事にしましょう。
確定申告の注意点|外構費用が住宅ローン控除されるケースとは
条件付きではありますが、外構費用は住宅ローン控除の対象です。
以下、特例の条件です。
「住居の建築と同時に同業者で外構工事を行い、その費用が『住宅+外構費用の合計10%未満』であれば住宅ローン控除の対象
以下、国税庁のタックスアンサーの引用文です。
【照会要旨】
門や塀等の取得対価の額は、家屋の取得等の対価の額に含まれますか。【回答要旨】
家屋と併せて同一の者から取得する門や塀等で、その取得等の対価の額が僅少と認められる場合には、その門や塀等の取得等の対価の額を家屋の取得等の対価の額に含めて差し支えありません。住宅借入金等特別控除の計算に当たっては、その住宅借入金等の合計額が家屋等の取得等の対価の額を超える場合には、その家屋等の取得等の対価の額を基として計算することとされており(租税特別措置法関係通達41-23)、この家屋の取得等の対価の額には、門、塀等の構築物、電気器具、家具セット等の器具、備品又は車庫等の建物(以下「構築物等」といいます。)の取得等の対価の額は含まれないのが原則です。
しかし、家屋と併せて同一の者から取得する構築物等については実務的にその区分計算が困難であることや、それを厳密に区分することは取引の実情にそわないこととなる場合が想定されるため、家屋と併せて同一の者から取得する構築物等で、その取得等の対価の額が僅少と認められる場合には、その構築物等の取得等の対価の額を家屋の取得等の対価の額に含めて差し支えないこととされています(租税特別措置法関係通達41-26)。
なお、この場合の「僅少と認められる」かどうかは、家屋そのものの取得等の対価の額の多寡にもよるので一概にはいえないものの、通常、門、塀等の取得等の対価の額が、家屋そのものの取得等の対価の額と門、塀等の取得等の対価の額との合計額の10%に満たないといったような場合には、これに該当すると考えられます。【関係法令通達】
租税特別措置法関係通達41-23、41-26引用元:門や塀等の取得対価の額|国税庁
確定申告時には、この点に留意して申告を行いましょう。
外構は家の「顔」でもある
外構には、塀・門扉・玄関アプローチなどが含まれることからも分かるように、外構はいわば家の「顔」とでも言えるようなものです。
家を訪れる人がまず目にするのはリビングでもキッチンでもダイニングでもなく外構なので、どれだけ家の中が立派であろうとも外構がみすぼらしければ、家としての魅力は半減してしまうでしょう。
そのため、外構をどのようなデザインにするかに関しては、新築する家をどのようなデザイン・間取りにするかと同じぐらいの時間と情熱(できれば予算も)を注ぎこんで考えるべきなのです。
新築の建物工事と外構工事ではかかる費用がかなり違うため、どうしても建物のことを中心に考えてしまいがちですが、外構あってこその「住宅」であるということをしっかり意識しておくと、どこに出しても恥ずかしくない立派な住居になることでしょう。
まとめ
以上、外構費用をローンで支払いたい場合の方法についての説明を行ってきました。
外構費用は新築の家を建てる場合の総費用の2割前後、と聞くとあまり大きくない金額のように聞こえてしまうかもしれませんが、そもそも「新築の家を建てる場合の総費用」自体がかなり大きな金額なので、必然的に外構費用もそれなりの金額となってしまいます。
外構費用を住宅ローンでまかなえるかどうかはケースバイケースですが、リフォームローンや信販会社のローンなど、何かしらのローンを用いて支払うことは可能なので、その点については安心していただくといいでしょう。
どのようなローンを利用する場合でも、きちんと返済計画を立てたうえで計画通りに返済を遂行していってください。
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