出資法とは

出資法はカードローンなどお金を借りている人が利息や保証料、遅延損害金などの金利設定がどのような仕組みで決められているのか知っておいて損はない法律です。

利息を定めた法律には利息制限法がありますが、出資法は金利の制限をするのが目的だけではなく、利息制限法の補完となるべき重要な内容が含まれています。

決して難しい法律ではありません。わかりやすくご説明していきたいと思います。

執筆者の情報
名前:梅星 飛雄馬(仮名)
年齢:55歳
性別:男性
職歴:地域密着の街金を30年近く経営

出資法とは

そもそも出資法とは正式な名称ではなく略称です。出資法の正式な名称は、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」と言います。

あまりにも法律名が長すぎるために、広く馴染めるように「出資法」と簡略化して呼んでいるのです。

出資法は消費者金融だけが知っていれば良いと言うわけではありませんよ。

お金を貸し出す金融機関だけでなく、個人間融資にも重要な法律で、法律の内容を知っているか知らないかで損得が決まる場合もあります。

法律の条文はわずか9つしかなく、第1条から第9条までで金利の規制や出資金の預け入れ、及び預かり金の禁止、浮貸しの禁止などお金を貸し出す場合に必要で、かつ重要な条文が含まれています。

出資法が制定されたのは1954年、昭和にすると29年6月23日に施行され、出資法の最新版は2016年6月13日に改定されたものが現在でも使用されています。

同じように金利について定めている法律として利息制限法がありますが、出資法は利息制限法では定められていない部分を補完し、貸金業者だけではなく個人のお金の貸し借りについても制限を定めています。

第9条までしかない出資法でも全てをご説明するのは、あまりにも長くなってしまいますので、重要な項目である金利の定めを中心にご説明していきたいと思います。

出資法の上限金利

現在の出資法の上限金利は年109.5%(うるう年は年109.8%)です。

この金利が適用されるのは個人間融資のみであって、消費者金融のように貸金業者が営業目的で金銭の貸付を行う場合の上限金利は年20.0%です。

出資法の金利改正について

出資法が施行されてから現在に至るまで20回の改正が行われ、上限金利の変更や罰則規定の適用及び処分の内容を主として変遷してきています。

中でも私たちに影響が大きかったのは上限金利の改正です。

出資法が1954年6月23日に公布された時点での上限金利は、年109.5%(うるう年は年109.8%)までが有効とされ、個人間融資でなくても貸金業者が営業目的でお金を貸し付ける場合でも認められていました。

その後、貸付上限利息の改正は5回行われています。

出資法の改正によって上限金利がどのように現在の水準まで引き下がってきたのか年代順に並べてみましょう。

①金利年109.5%(1954年)
②金利年73.0%(1986年10月31日まで)
③金利年54.75%(1991年10月31日まで)
④金利年40.004%( 2000年5月31日まで)
⑤金利年29.2%(2010年6月17日まで)
⑥金利年20.0%(2010年6月18日から)

驚くべきことに日本中がバブルに湧いた時期の上限金利は年54.75%までが有効とされ、消費者金融を始めとして貸金業者はかなりの利益を上げていたことがわかりますね。

しかも20世紀が終わろうとする時点まで、上限金利が40.004%だったことを考えると、当時お金を借りていた人は利息が高く、返済するのもやっとだったのではないかと推測できます。

ようやく上限金利が現在の水準になったのが2010年6月18日の貸金業法改正時であることを考えても、大手消費者金融をはじめとして多くの貸金業者が莫大な利益を得ていたであろうと予測するのは容易なことですね。

以上のように出資法の上限金利は、およそ50年の年月を費やし、やっと利息制限法との金利二重構造がなくなったわけです。

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利息制限法とグレーゾーン金利

利息制限法の上限金利は利息制限法が施行された1954年6月15日以来変更はありません。

・10万円未満の貸付:金利年20.0%
・10万円以上100万円未満の貸付:金利年18.0%
・100万円以上の貸付:金利年15.0%

つまり出資法が施行されてから、利息制限法による上限金利と出資法による上限金利には大きな差があり、過払い金請求が広く世間に知れ渡る前からグレーゾーン金利は存在していたのです。

出資法の金利は貸出金額によって変動することがなく、常に上限金利を定めていたわけです。

直近の出資法の金利で言えば2010年6月17日までの上限金利は年29.2%です。

しかし利息制限法の上限金利は、10万円未満の貸付に限って言えば年20.0%、100万円未満の貸付に限って言うと金利は年18.0%だったわけです。

出資法は10万円未満の貸付についても上限金利を29.2%と定めていたのですから、金利の差は次のようになります。

・10万円未満の貸付:金利差9.2%
・10万円以上100万円未満の貸付:金利差11.2%
・100万円以上の貸付:金利差14.2%

出資法と利息制限法という2つの金利を定める法律があったため、最終的に出資法が改正されるまで金利差はグレーゾーン金利と言って、長らくお金を借りていた人を苦しめていたのです。

しかし出資法の上限金利は合法であって違法ではありません。

消費者金融がお金を儲けたいがために出資法の金利を適用したのではないか、と言うのは無理があります。

なぜなら当時の行政監督庁であった金融庁や旧大蔵省は、定期的に消費者金融に監査を行っても、出資法での貸付は見過ごされていたからです。

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出資法違反は刑事罰対象

利息制限法の上限金利を超えてお金を貸しても行政罰、つまり民事事件として扱われるのに対して、出資法の上限金利を超えて貸し出しすると刑事罰を科せられます。

出資法は高金利での貸付を規制したものですから、違反した場合は5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、及び両方を併科されることになります。

ただし貸金業者の場合の罰金は3,000万円以下となっています。

個人間の貸付ならうるう年を除いて年109.5%超の貸付契約、貸金業者が営業目的で行う場合は、うるう年に関係なく年20.0%超で貸付契約を締結した場合は、個人、法人に関わることなく一律に処分されることになっています。

貸金業者が貸付契約を結ぶ場合の上限金利の考え方は、20.0%/365日で求められた金利が1日の刑事罰金利となる点に注意しなければなりません。

しかし消費者金融として登録営業している場合は、利息制限法に基づいて契約していることが一般的ですから、利息の計算方法にうるう年と平年とで分けて計算しても出資法違反となることはまずありません。

◆平年の利息計算方法
・利息額=借入残高x金利/365日x利用日数

◆うるう年の利息計算方法
・利息額=借入残高x金利/366日x利用日数

以上のように計算しても、 大手消費者金融に見られるように、貸付上限利息を金利年18.0%としている限り問題はありません。

保証料と出資法の上限金利の関係

出資法は消費者金融だけを対象にしているのではありません。銀行による貸付も出資法の上限金利を超えてはいけないことになっています。

銀行から お金を借りる場合に保証料を別途加算される場合がありますよね。

極端な例を言えば事業性資金貸付、金利年15.0%、保証料年5.5%などのような契約があったとしましょう。

銀行を含めた貸金業者が保証業者と結託して多額の保証料を受け取る可能性も否定できません。

上記の例で言えば実際、借主が支払う金利は15.0%+5.5%=20.5%、となりますよね。

保証料は利息ではないから出資法の制限を受けないと考えがちですが、金銭の貸付契約に保証料の規定がある場合は出資法の制限を受けます。

つまり、貸付契約における金利と保証料の金利の合計が出資法の定める上限金利である年20.0%を超えた場合は刑事罰の対象となります。

遅延損害金の上限金利

出資法では遅延損害金の上限金利でも定めてあります。

貸金業者のように営業目的で貸付する場合の遅延損害金の上限金利は、利息と同じように年20.0%に引き下げられていることも注意が必要です。

出資法が改正される前、2010年6月17日までの遅延損害金の金利は、貸付金利の1.46倍まで有効とされていましたが、法律が改正されてからは1.46倍の規定は個人間融資のみ有効となっています。

仮に貸付金利が利息制限法に基づいて年18.0%と法律の範囲内に収まっていても、遅延損害金の上限金利を1.46倍である年26.28%を取ってしまうと出資法違反として罰せられます。

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出資法の他の目的

参考までに出資法の他の目的についても簡単にご説明しておきます。

まず出資法は出資金の預け入れの制限を行っています。

これはどういう意味かと言うと、不特定多数の人から出資を募って、1年後には25%の利息をつけて返還する、というような出資金詐欺の取り締まりにも役に立っています。

投資ファンドを設立するには法律によって認可されなければ営業できません。

また営業目的で不特定多数の人から預り金をするのも出資法違反です。

銀行が他人からお金を預かることができるのは銀行法によって認可されているからです。

預り金ではなくて借入金ですよと言い訳しても、多数の人から金銭の受け入れをした場合は刑事罰として処分されますので注意しましょう。

出資法違反は5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金に科せられてしまうことを忘れてはいけません。

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