政府が言う国の借入金とは

ニュースなどでよく聞く「国の借金」という言葉。自分が借金したわけではないのに「国民1人あたりの借入金は○○万円」などという言葉も耳にします。

一体、国の借入金とはどのようなものなのでしょうか?国民は本当に国の借入金を返済しなければならないのでしょうか?また、このまま借金が増え続けると何が困るのでしょうか?

執筆者の情報
名前:手塚 龍馬(36歳)
職歴:過去7年,地銀の貸付業務担当

国の借金とは

国債は国の借金といわれていますが、国が借金をするイメージが、沸かない人もいるでしょう。

そこで、政府の財政を一般企業の経営活動に置き換えてこれから説明をします。

国(政府)の借金

政府は一般企業と同じように、経営活動していると考えてもいいでしょう。

それは、税収という収入から、国の公共サービスという事業のための支出があるからと考えてください。

これらはすべて国家予算に基づいて、運営が行われているのです。

したがって、政府にも一般企業と同様に資産がありますし、借入金といった負債もあるのです。

ただし近年は政府の財政状況は厳しく、企業でいう赤字経営が続いており、借金なしでは破綻してしまう状況です。

国は税収で公共サービスを展開しているわけですから、税金収入が減れば当然に公共サービスができなくなりますし、公共サービスが過剰であれば赤字になります。

現在は景気が悪く税収も上がらず、サービスも過剰になっている状態といえるでしょう。

そのため、借金を抱えている状態ですが、その借金の額は1,000兆円超といわれていますが、その内訳について確認してみましょう。

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借金の種類

政府の借金の過半数を占めるのが国債です。

これは一般企業でいう株のようなものですが、詳しい内容や種類は後で詳しく話をします。

また国債以外にも、政府は手持ちの余裕資金として、民間の銀行から借入することもあります。

さらに年金預り金についても、将来返済する義務があるという意味では借金のひとつといえるでしょう。

このように、国も一般企業と同じように何らかの方法で資金調達をしている点を覚えておきましょう。

国の借入金とは何か

そもそも国の借入金とは何を示すのでしょうか?国の借入金に該当するものとして普通国債、借入金、短期政府証券などが該当します。

普通国債

普通国債とは、政府の支出を賄うための資金調達の手段として発行される債権(借金)です。普通国債には建設国債と特例国債(赤字国債)、満期を迎えた国債を返済する(借り換える)ために発行する国債である借換債が該当します。

財務省発表の2016年11月現在の普通国債発行残高は約926兆1千億円となっています。

借入金

政府借入金とは国債とは異なり、国会の承認手続きを得ないで、運転資金のような形で金融機関などから政府が資金調達する方法です。財務省発表の2016年11月現在の借入金合計額は約53兆6千億円となっています。

短期政府証券

短期政府証券とは財政法や特別会計に関する法律等に基づいて、国庫や特別会計等の一時的な資金不足を補うために発行される短期の国債を示します。

原則として13週以内に償還されるものとなっています。発行方式は公募入札方式で、発行条件と買取希望額の公募を行います。財務省発表の2016年11月現在の短期政府証券の発行残高は約82兆7千億円となっています。

金融商品としての国債

先ほど国債は銀行を通じて一般個人でも買えるという話をしました。

そこで、国債は預金や投資信託といった他の金融商品と何が違うのかについてまとめましたので、そのメリットやデメリットについて紹介します。

国債のメリット

買手にとっての国債は、まず安全面でメリットがあります。

それは、民間金融機関に比べて政府が破綻する可能性は低く、買手にとっては投資したお金が将来ほぼ間違いなく戻ってくるからです。

また、国債は期間が長くなるほど金利が高くなり、また金利が代わらない固定金利タイプと半年ごとに金利を見直す変動金利タイプを選ぶことができます。

したがって国債は、今後の金利情勢と金利の選択方法次第では、有効的な資産運用の手段になるといえるでしょう。

国債のデメリット

国債は話ししたようなメリットがありますが、金利が高い商品ではありません。

例えば、2017年9月時点の5年固定個人向け国債の表面利率は0.05%です。

これは、都市銀行の5年定期の平均金利である0.01%よりは高いのですが、一部のネット銀行よりは低くなります。

例えばイオン銀行の5年定期の金利は0.10%です。

このことから、国債は安全性が高くても高い利回りが期待できるものではありません。

また、銀行預金と同じように20%程度の利子税がかかりますので注意しましょう。

公債を覚えよう

公債を覚えよう

国は災害時の復旧や福祉活動、高速道路の建設などの事業を行うときに、消費税などの税金だけでは財源が足りないといった場合に公債を発行して不足分の財源を補っています。

そこで、国の資金調達の方法である公債とは、具体的にどういったものなのか解説していきます。

国債と地方債の違い

国や地方公共団体は、税金だけでは財源が足りないときに債権を発行して、それを国民などに買ってもらうことで不足を補います。

これは、国や地方公共団体の借金になります。

そして、国が発行する債券を「国債」、地方公共団体が発行する債券を「地方債」と呼んでいます。

また、国債と地方債を合わせて総称を「公債」といいますが、国債と地方債の違いを見ていきましょう。

国債とは?

国債とは国が発行する債券です。

発行された国債は証券会社、銀行、保険会社などが買います。

他にも個人投資家が銀行や証券会社などを通して買うことも可能です。

国債を買うとお金を貸しているわけですから、購入者に利息が支払われます。

通常の国債は年に2回の利息が支払われます。

そして、国債には満期(償還日)があり、満期を迎えると貸したお金が返ってくることになります。

地方債とは?

地方債は、地方公共団体が資金を借入れたことによって負う債務のことで、その返済が一会計年度を越えるものをいいます。

地方公共団体が発行する債券ということもあり、国債に次いで信用度や安全性が高い債権といわれています。

購入価格も手ごろで利率も高く途中解約も可能ですが、発行する自治体の財政状況によって利率が違っているため、利回り格差が生じやすいというデメリットもあります。

そのため、地方債の「購入」「売却」には十分に注意が必要です。

日本銀行は国債の引受けを行わない

日本銀行による国債の引受けは、財政法第5条により、原則として禁止されています。

国債の引受けとは、日銀が金融市場を通さずにお金を刷って国債を購入して、政府へ直接資金を提供することです。

これをしてしまうと、お金を刷ればいつでも政府は資金を手にすることができることになり、通貨の増発につながってしまいます。

なお、日本の戦後の物価が100倍にもなったといわれているハイパーインフレを引き起こす要因のひとつとなったのは、この日本銀行の国債の引受けだといわれています。

その教訓をいかして現在は法律でこのようなことが禁止されているのです。

2017年現在では、先進各国でも中央銀行の国債の引受けは禁止されています。

国の借金は現在1062兆円

上記の普通国債、借入金、短期政府証券のすべてを合計すると、2016年11月現在の借金合計額は1062兆円となっています。

この数字は増え続けており、今から20年前の1997年は約355兆円、15年前の2002年は約607兆円、10年前の2007年は約834兆円、5年前の2012年は約939兆円となっています。

この20年間で700兆円程度の借金が増えていることとなり、まさに異常な伸びであるといえるでしょう。

ちなみに、地方自治体の借金(地方債残高+交付税特会借入金残高+企業債残高)の合計も200兆円程度あるため、今現在、国と地方の借金の合計は1,260兆円以上あることになります。

国民1人あたりの借金は現在838万円

現在日本国民の人口は総務省の発表によると1億2675万人とされています。単純に国の借金をこの数字で割ってみると、国民1人あたりの借金は約838万円となっています。

地方の借金も合わせた国民1人あたりの借金は約1002万円となります。この借金は誰が返済していくのでしょうか?

国の資産とは

国には借金ではなく、資産もあります。国有財産、出資金等の資産を売却することで返済に充てることもできるのではないでしょうか?

また、単純に借金だけをカウントして国の借金はいくらとカウントすることはナンセンスです。純債務はいくらか、債務超過状態か否かも考えてみなければなりません。

2014年時点で、日本国は様々な資産を合計すると約680兆円もの資産を保有しています。このうち、現金預金、有価証券、貸付金、運用寄託金、出資金等の金融資産は500兆円近くにもなっています。

役所、道路、橋、戦艦、戦闘機などの固定資産は150兆円近くなっています。金融資産とはすぐに換金可能な資産です。

独立行政法人などへの出資金は天下り先となっている独立行政法人などの出資法人を民営化すればすぐに換金可能です。

固定資産をすぐに資金化することは難しいでしょうが、日本国には世界最大の資産を持っていることもまた事実です。

つまり、民間企業で例えるなら、バランスシートが資産も負債も膨れ上がっている状態となっており、資産も負債も小さくするオフバランス化をする必要があるといわれています。

とは言え、資産よりも負債のほうが多い状態であることは間違いありません。単純に負債である1062兆円から資産である680兆円の差額である382兆円分が日本国が債務超過に陥っているといえます。

借金はすべて将来世代へのツケになる?

民間企業で例えてみましょう。確かに借金はいずれ返済しなければなりません。しかし、民間企業には負債もあれば資産もあります。銀行が考える融資不可能な企業というのは、債務超過かつ3期連続で営業赤字の企業です。

借入金の返済は資産と負債の交換ですので、収支を求める損益計算書では考慮されません。

つまり、現在382兆円の債務超過を改善できるだけの収益を上げることができれば問題ありませんし、これができないのであれば債務超過はどんどん拡大して、やがては破たんするしかないということになります。

政府にとって収益とは税収です。つまり、国債の借り換え分以外の支出を税収が上回ることができれば会計上は問題ないことになります。

借金は借り換えができるため、借金額をそのまま将来世代への負担と考えてしまうことは短絡すぎです。債務超過を改善できる収益を得られるかどうかのほうが、企業の財務状況を見る目線では重要になります。

ましてや政府は税率を自由に決めることができますし、借金の借り換えによって返済を先延ばしにすることも自由ですので民間企業よりも有利だとすらいえます。

この支出と税収を示したものがいわゆる「プライマリーバランス」というものです。

プライマリーバランスとは

プライマリーバランスとは、税収から、国債の返済分を除いた支出を差し引いた金額がプラスかマイナスかという考え方です。

企業の収支を計算する損益計算書と同じようなもので、損益計算書にも借入金返済分は加味されていないように、プライマリーバランスも借入金の返済分は加味されません。

日本のプライマリーバランスは2009年のリーマンショック時に-45兆円、2012年ごろには税収が回復傾向になったことから-37兆円、2014年のアベノミクスによる企業収益の増加の影響で-25兆円、2015年には-16兆円、2017年は-21兆円となっています。

いまだにプライマリーバランスは赤字ですが、回復傾向にあることだけは間違いないようです。

プライマリーバランスが黒字化できれば新た借金を増やす必要はないため、債務超過でもいずれ回復できるという考えが企業分析目線ではできるのです。

プライマリーバランス悪化の要因

単純に借金の額=国民負担になるとは限らないとここまで説明しました。プライマリーバランスさえ黒字になれば借金は増税なくして国が返済していくことも可能です。

しかし、今後プライマリーババランスが悪化していく要因はたくさんあります。少子高齢化の加速による社会保障費の増大、人口減少による税収減などがその最たるものでしょう。

企業分析目線で見れば、日本国の将来の経営ビジョンはそれほど明るいものではありません。また、金利の上昇なども懸念材料と言われています。

金利が上昇すると国が破たんするとはどういうこと?

「国債価格暴落によって日本がギリシャのようになる」などとよく言われますが、これはどのようなことなのでしょうか?

現在日本国の国債は安全資産として国際的に買われている傾向にあります。また、日銀も異次元の金融緩和によって国債を買いまくっている状態で。国債市場は買い手市場です。

ものの値段は買い手が多いほど上昇しますので、国債価格は上昇しています。

国債は発行時に利払い額が決まっています。10,000円の国債に対して年間100円の利払いを行うのであれば、その国債の利率は1%です。しかし、買い手が多くなり、この国債の価格が12,000円まで上昇した場合には、12,000円に対して100円の利払いですので、利率は0.83%となります。

新規で発行する国債や借り換えによって発行する国債は市中の国債利回りに合わせて金利が決定しますので、政府が借換債を発行する際には0.83%の利息を支払えばよいことになります。

2016年の政府の借換債の発行額は約110兆円です。現在の長期金利は0.07%ですので、借換えの際に支払う利息は77億円となります。

国債は国の信用をあてにして買われています。民間企業であればずっと赤字の企業は信頼されないのと同様に、プライマリーバランスの赤字がずっと改善できない場合には日本国債が信用されずに売りに出されてしまうかもしれません。

先ほどの例でいえば、国債に売りが先行して市場価格が8,000円まで下落した場合には8,000円に対して100円の利払いであれば金利は1.25%へと上昇します。

これが国債価格が下落すると金利が上昇するメカニズムです。仮に現在の長期金利が1%上昇した場合には政府が借り換える際の利息負担は110兆円×1.07%=1兆1770億円にもなってしまいます。

プライマリーバランスが黒字化しても、金利上昇によって支出が増大し赤字となる可能性があるのが国債の金利上昇です。これが「国債が暴落して日本がギリシャのようになる」と言われている所以です。

なぜ借金が増え続けているのか?

次になぜ借金が増え続けているのかをみていきましょう。

原因は大きく分けて2つ考えられます。

  • 少ない税収
  • 少子高齢化に伴う社会保障費の増加

それでは1つずつ見ていきましょう。

少ない税収

日本の消費税は現在8%です。

しかし目をヨーロッパ諸国に向けてみると、消費税は20%以上の国が多いです。

人口の減少による消費の増減で税収は変わりますが、消費税が1%上がると税収は2兆増えると言われています。

つまり日本の消費税を20%にすれば24兆円も税収が増えるということになります。

ということは毎年の借金は40兆から16兆に減らせることが出来ます。

なぜ日本は税金を上げないのか

ではなぜ日本は消費税を上げないのかという疑問が湧いてきます。

それは政府が国民の顔色を伺いすぎていることに原因があります。

どういうことかと言うと、政府が成り立つのは国民があるからです。

それで国民に支持さ続けなければいけないとなると、増税すると国民に支持されないとわかっているから、増税に踏み切らない。

日本国民の顔色を伺い続けた結果、増税に踏み切ることをせずどんどん借金が増え続けてしまったということです。

少子高齢化に伴う社会保障費の増加

次に借金が増え続けている原因の2つ目を見ていきます。

それは社会保障費の増加です。

社会保障費とは医療費や年金などの費用です。ではなぜ社会保障費が上がってきているのでしょうか?

日本は高齢化で高齢者が増え保険料、年金を支給する割合が増えるのに、それのお金を賄う若者が少子化によって少なくなっているからです。

その問題から目をそむけず政府は改革をしていく必要があるでしょう。

次に、日本には融資資産が500兆円あるから実際の借金は少ないというトンデモ意見を見てきましょう。

融資資産が500兆円だから大丈夫?

日本には融資資産が500兆円あると言われています。

その内訳は、全国の国道や自衛隊の戦車、国会議事堂などの建造物や年金積立金です。

日本が借金を返せなくなって破産したら、そういった国有財産や年金積立金を売ればいいという理論を振りかざしているのです。

しかし考えてみて下さい、国道や建造物を売るといってもはたして買い手はあるのでしょうか?すぐに現金化なんてもってのほかです。

また国民がせっかく貯めた年金積立金を借金返済に費やすのでしょうか?

そんな事をしたら、高齢化真っ只中の日本の高齢者はどうなるのでしょうか?さらにこれから高齢者になる人たちはどうなるのでしょうか?

こう考えてみると全く現実的でないことが分かりますね。

なので融資資産が500兆円あるから大丈夫という意見を鵜呑みにするのは非常に危険です。

国債の100%が円だから安心?

また日本は国債が100%だから安心だという意見もあります。

どういうことでしょうか?

現在の日本の国債状況は96%は日本人が日本円で買っており、残りの4%もまた海外の投資家が日本円で買っています。

なのでいざとなったら日本政府が借金分円を印刷して返すことが出来るよということです。

つまり、借金はしているけど、お金を新しく作れるからから大丈夫という理論です。

しかし、そんなことをしてしまうと、円の価値が下がり、ハイパーインフレになってしまいます。ハイパーインフレになってしまうと、円の価値が1/10の価値しかもたなくなります。

例えば、年金を毎月20万貰っていた高齢者は実質2万しか支給されなくなり、1ヶ月を2万で生活しろということになってしまいます。

なぜ金融機関は国債を購入するのか?

なぜ金融機関は国債を購入するのか?

理由の1つ目は貸したお金が返ってくる可能性が一番高いのが国債だからです。

国と個人や企業で破産の可能性を考えてみると、圧倒的に破産する可能性が低いのが国です

つまりリスクが少ないから国債を購入しているのです。

理由の2つ目は国債を購入しなければ、日本は破錠してしまうからです。

日本が破綻しないために金融機関が出来ることは国債を買うことのみなのです。

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まとめ

国の借金は増え続けています。政府の収入が税収である限り、いつかはその税収の中から返済していかないのは間違いありません。

しかし政府には資産もあり、収支もあります。つまり独立した法人であると考えることもできます。ましてや民間企業と異なり、政府は借金を借り換えるという権利も持っています。

単純に国民が返済していかねかればならないと考えるのではなく、企業分析のように考えると、収支を改善するということがいかに重要であるのかがよくわかります。

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