障害年金のみでも融資可能な商品や制度を紹介
障害年金を受給している場合、障害を理由に借りられるローンが制限されて、思うようにお金が借りられないこともあります。
しかし、障害年金を受給していたとしても借りられるローンは、世の中にたくさんあります。
例えば、金融機関のカードローンや住宅ローンの中にも、障害者が利用できる商品がいくつもあるため、諦めずに申し込みしてください。
また、障害者向けの公的融資制度もあるため、今回は金融機関のローンに限らず、様々な融資や借入方法を解説します。
目次
障害年金でも借りれる金融機関のローンはある?
障害年金を受給している人でも、借りることができる金融機関のローンはいくつかあります。
基本的には審査基準や申込条件内に、持病や障害についての記載がなければ、他の条件を満たすことで、障害とは関係なく借入が可能です。
ここでは、それぞれ具体的なローンを見ながら解説します。
融資条件に当てはまれば審査通過の可能性はある
金融機関が取り扱うカードローンやフリーローンであれば、融資条件に当てはまれば審査通過をする可能性があります。
カードローンやフリーローンの場合、融資条件として見られる項目に安定収入があるかどうかというものがあります。
この安定収入があるかどうかは、現在仕事を行っており定期的な収入があれば、条件を満たしていると判断されます。
障害年金以外に仕事を行い収入がある人は、特別な条件がない金融機関のローン商品に申し込みしてみてください。
障害年金受給者が対象のローンもある
金融機関のローンの中には、障害年金受給者を対象にしたローンも存在します。
例えば、近畿産業信用組合が用意している身障者福祉ローン「安心」は、障害年金受給者対象のローンで、返済が遅れなければ無利息で借入ができるローンです。
ローン名 | 身障者福祉ローン「安心」 |
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借入利率 | 無利息 |
借入金額 | 1口座10万円まで |
使い道 | 自由 |
借入金額が10万円と少額ですが、無利息で借り入れができるという点は大きなメリットであるため、近畿産業信用組合の営業地区に住む人は検討してみてください。
また、その他の信用組合や信用金庫でも似たようなローンが用意されていることもあるため、生活圏内の金融機関を調べてみるのもおすすめです。
障害年金でも住宅ローンのフラット35に申し込める
障害年金を受給していたとしても、フラット35であれば住宅ローンに申し込みができます。
一般的な住宅ローンの場合には、障害年金を収入とみなしてもらいにくいため、収入の条件を満たせずに審査に落ちてしまうことがありますが、フラット35の場合には障害年金も収入として扱ってもらえます。
ただし、障害年金は住民税や所得税が非課税であるため、別途年金を記載されている書類を準備しておいてください。
精神障害者は団体信用生命保険に入れない
精神障害者の場合は、病気の種類によっては団体信用生命保険に加入できない可能性があります。
具体的に以下の疾患がある人は、団体信用生命保険に申し込み時に告知をしなければなりません。
精神病 | 神経病 |
うつ病 | 自律神経失調症 |
アルコール依存症 | 薬物依存症 |
知的障害 |
これらに該当する障害の場合には、告知後に審査が行われ保険への加入ができない可能性があります。
フラット35は団体信用生命保険への加入が必須ではありませんが、その他の住宅ローンでは加入が必須の場合もあるため気を付けてください。
金融機関の教育ローンを障害年金で借りるのは難しい
金融機関の教育ローンを借り入れする場合、収入が障害年金だけであったり、仕事での収入が少額であったりすると、審査に落ちやすくなってしまいます。
このように金融機関の教育ローン審査に通りにくい人は、公的制度を活用して教育資金を準備してみてください。
公的制度である生活福祉資金貸付制度は、障害者向けの融資制度であるため、金融機関の教育ローンに審査落ちをしたとしても申込可能です。
生活福祉資金貸付制度に関しては、後ほど詳しく解説をするため、以下の項目も確認してください。
障害年金でも借りられるローンの注意点
障害年金を活用して借り入れができるローンを紹介してきましたが、いくつかローンを利用するときに注意しなければならない点もあります。
具体的には、以下のようなポイントに注意が必要です。
それぞれ、どのような点を注意しなければならないか、詳しく確認していきましょう。
障害年金のみの人は融資を受けにくい
障害年金しか収入のない人は総収入額が少ないため、融資を受けにくくなっています。
実際に1級と2級の障害基礎年金の支給額を例として見ていきましょう。
- 1級は年間974,125円(月額で81,177円)
- 2級は年間779,300円(月額で64,941円)
障害年金は上記のように、1級でも月額8万円程度の支給になります。
認定される級が下がるとさらに支給額が減るため、金融機関に収入が少ないと判断されてしまいます。
障害年金を収入として見てくれるかがポイント
ローン審査に通過する上で、障害年金を収入として見てもらえるかが重要です。
金融機関のローン商品は、返済能力がないと貸してくれませんので、申込者に安定した収入があるかが審査のポイントとなります。
金融機関によっては、年金受給者も申し込み可能という商品もありますが、このような商品であれば年金を収入としてみなしてもらえます。
借りられるかどうかは、まず利用を検討している融資商品の商品概要説明書を確認して、年金受給者を対象としているかを見るようにしましょう。
障害年金の他に収入があると借りやすい
障害年金以外の収入が少しでもあると、審査に通りやすくなります。
短時間であっても勤続年数が長いと、安定した収入を得ていると判断されることもありますし、不動産を賃貸している場合も、その家賃は収入とみなされるのです。
親から相続などで譲り受けた不動産を活用し、少しでも年金以外の収入があると、申し込める融資商品の幅も広がりますし、審査における印象も違います。
そのため、障害年金以外に全く収入がないよりは、少しでも働いていることでお金を借りやすくなると考えてください。
家族と一緒に暮らしていると有利
家族と一緒に暮らしている人はローン審査に有利になりやすいですが、その理由としては以下のようなものが挙げられます。
- 家族と連絡が取りやすい
- 家族からの資金援助が見込める
もしも、返済が遅れたときに連絡が取れないと、金融機関は貸したお金がなかなか回収できずに困ることになります。
家族がいれば本人に代わって連絡が取れる可能性があります。
このため、金融機関にとっても、貸倒れのリスクを回避するために、家族と一緒に暮らしている人には安心してお金を貸すことができるのです。
また、家族と同居していることで、生活はその家族から援助してもらえる可能性が高く、年金の多くを返済に充てられます。
したがって、アパートなどの賃貸住宅に住んでいる人よりも、家族と一緒に暮らしている人の方が審査通過しやすくなっています。
症状別に借り方が違う
障害年金を受けている人がお金を借りたいという場合、障害によって症状が違うため、カードローンに申し込む方法を考慮する必要があります。
ただし、本人が直接申し込みを行う必要があるため、不明な点があるときは介助者とともに窓口などで確認することをおすすめします。
目が不自由な場合 | フリーコールで連絡し、介助者と契約内容を確認 |
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耳が不自由な場合 | 電話連絡のない申込方法やWEB完結できる商品を選択する |
足が不自由な場合 | 来店不要なWEB完結商品を利用する |
障害年金受給者が利用できる公的制度
障害年金受給者が利用できる公的制度として、以下の様なものがあります。
これらの公的制度は、申込条件を満たしていることで障害年金受給者でも、融資を受けることができたり、資金援助を行ってもらえたりします。
それぞれの公的制度がどのような内容か確認していきましょう。
生活福祉資金貸付制度
生活福祉資金貸付制度は低所得世帯や障害者世帯を対象に、貸付を行ってくれます。
連帯保証人をたてれば金利がかかりませんので、金融機関のローンで借りるよりもお得です。
生活福祉資金貸付制度は、各都道府県社会福祉協議会が実施主体となっており、問合せ先は各市町村ごとの社会福祉議会となります。
貸付け対象 |
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貸付資金の種類 |
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貸付金利子 |
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独立行政法人福祉医療機構の年金担保貸付制度
独立行政法人福祉医療機構の年金担保貸付制度は、年金を担保にして融資を受けるものです。
保健や医療、冠婚葬祭、生活必需物品の購入など、一時的な小口の資金に利用できます。
ただし、足りない生活費を補うための借入や旅行のための借入は、融資の対象外となります。
年金担保貸付制度は、幅広い資金使途(お金の使い道)に対応していますが、銀行や消費者金融のカードローンほど多岐にわたって利用できるわけではない点に注意が必要です。
貸付け対象 | 次の証書を持ち、現在年金の支払を受けている人
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貸付金額 | 10万~200万円 |
貸付金利子 |
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※厚生年金・国民年金情報通より引用
令和4年3月末に申込受付終了予定
年金担保貸付制度は、法律で特別に認められた融資制度ですが、残念ながら令和4年3月末をもって、新規申込受付を終了することが決定しました。
令和4年4月以降は、年金を担保にしてお金を借りることができませんが、代替措置を準備すると公表されているため、年金受給者の借入制度がなくなるわけではありません。
福祉医療機構の年金担保融資の申込方法
年金担保融資を利用する場合、年金担保融資を受け付けている取扱金融機関に申し込みを行います。
ほとんどの金融機関で申し込みの対応を行っていますが、ゆうちょ銀行、農協、労働金庫などは取り扱っていませんので、他の金融機関で申し込む必要があります。
また、年金担保融資を利用する場合には保証人を付ける必要があるため、事前に声をかけておくようにしてください・
福祉医療機構の年金担保融資に必要な書類
申し込みには以下の書類が必要であり、融資までには4週間~5週間と長い期間が必要です。
書類の用意にも時間がかかることもありますので、できるだけ早めに申し込むことをおすすめします。
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福祉医療機構の年金担保貸付が否決されるケース
年金担保貸付で否決(借りられない)となることはほとんどないのですが、以下のようなケースでは否決になってしまいます。
- 資金使途が融資対象外
- 必要書類が用意できない
- 連帯保証人に問題がある
年金担保貸付では、医療費や介護、冠婚葬祭だけでなく、家電製品購入などの生活必需品購入にも利用可能です。
しかし、生活資金や旅行資金は融資対象外となっているため、資金使途によっては否決となります。
年金担保融資は自己破産しても免責されない
年金担保は自己破産をしても免責されません。
これは、年金を担保にしていることで、福祉医療機構は自己破産に関係なく債権の回収が認められているからです。
したがって、自己破産をしたからといっても、その後も年金は一度、福祉医療機構へいき、返済額分が控除されてから入金されます。
これが完済まで行われますので、年金担保貸付はこれまでと同じように返済していくことになるのです。
日本政策金融公庫の恩給・共済年金担保融資は受付終了
日本政策金融公庫では、恩給や共済年金を担保にしてお金を借りることができていました。
しかし、恩給・共済年金担保融資は、平成31年1月4日をもって受付を終了していますので気を付けてください。
障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度
障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度とは、350万円までの少額預金の利子にかかる税金が非課税となる制度です。
この非課税制度を通称マル優と呼び、障害者年金を受給していたり、障害者手帳の交付を受けていたりすると利用できます。
ただし、預金の種類によっては利用できない可能性があるため、事前に金融機関へ確認しておいてください。
生活保護
てk自力でお金を用意することが厳しく、生活をすることも困難な人は生活保護を受給するという方法もあります。
ただし、生活保護は借入を行ったり、税金を免除したりする制度ではないため、これまで紹介した公的制度とは形式が違うため気を付けてください。
生活保護を受給するためには、現在の収入が生活保護受給の基準を下回り、財産や資金援助を行う親族がいないなどの厳しい条件を満たさなければなりません。
生活に困窮して他の手段を取ることができない状態の人は、受給できないか検討してください。
【豆知識】特別障害給付金は障害年金受給者は受け取れない
特別障害給付金という制度がありますが、これは学生の頃に年金の支払いができなかった人に対して、障害年金の代わりに給付金を支給するものです。
したがって、対象者は障害年金を受給できない人となるため、障害年金受給者は受け取ることはできません。
また、特別障害給付金の受給資格がある人は、平成3年3月以前の年金支払いの義務がない時代に学生出会った人で、障害基礎年金受給対象者であることなど、条件が厳しいため詳しい情報を確認した方がよいでしょう。
ヤミ金や個人間融資から絶対に借りてはいけない
お金の借り先が見つからないからと言って、ヤミ金や個人間融資を活用してお金を借りてはいけません。
ヤミ金や個人間融資は障害年金受給者であっても、融資を積極的に行うため、安易に利用してしまう人がいます。
しかし、これらの業者は国や地方自治体に認められた業者ではないため、違法な利息を請求してきたり、法律違反の取り立てを行ったりするのです。
借りた後に精神的で苦しむ可能性や、家族や職場に迷惑をかけてしまう可能性があるので、絶対にヤミ金や個人間融資は利用しないでください。
障害者年金受給者のローンに関するQ&A
最後に、障害者年金受給者の方が心配する疑問に対し、Q&A形式でお答えしていきます。
まとめ
障害年金を受給している人は、ローンによってはなかなか審査に通らなかったり、申し込み自体ができなかったりします。
しかし、ローンの融資条件を満たせる場合や、受給者を対象にした商品を選ぶことで、障害年金を受給していても借りられるローンはあります。
また、障害年金受給者に向けた公的制度もあるため、ローン以外の方法でお金を用意する方法も検討してみてください。
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