私学共済制度なら借入だって低金利!
一口に社会保険制度と言っても、その制度内容は加入している保険組合によって様々で、受けられるメリットも大きく違ってきます。
一般的には健康保険という認識が強いのですが、知れば知るほど羨ましくなってしまうのが、その保証内容です。
- 健康保険料
- 貸付制度
- 積立貯金制度
- 傷病手当金
- 結婚手当金
そこで今回は私学共済制度にはどんな特徴があるのかを理解してもらった上で、そのうらやましくなるメリットについて説明していきます。
目次
私学共済制度とは?
公的医療保険への加入は我々日本国民に課せられた義務ですが、この公的医療保険で度々比較に挙がるのが下記の2つです。
- 社会保険 会社員等の雇用者が加入している保険
- 国民健康保険 自営業者や年金受給者が加入している保険
日本の保険制度は大きく分類すればこの2つになり、これら公的医療保険へ加入していることで、病院に支払う診療代金が3割負担ですむ恩典を受けることができます。
またこの両者には下記のような大きな違いがあり、一般的には社会保険に加入した方が被保険者の負担が軽くなる大きなメリットがあります。
- 社会保険の保険料は雇用先と被保険者が折半
- 社会保険は被保健者の扶養とすることができ、支払う保険料に変わりがない
そして今回説明していく私学共済制度はこの社会保険の1つで、そのほかにも多くのメリットが受けられことから、多くの人が羨む社会保険の1つと言われています。
それではまずこの私学共済制度の社会保険とは、どのようなものなのかを説明していくことにしましょう。
私学共済制度は公的医療保険の1つ
社会保険を公的医療保険の1つだと思っているかたもいるようですが、これは大きな勘違いです。
国民健康保険は公的医療保険に限った制度ですが、社会保険は公的医療保険だけでなく、年金や労働保険といった多岐にわたる保証が受けられる制度となっています。
よって、「社会保険=公的医療保険」というのは間違いではありませんが、決してこれが正しい認識ではないことを、まずはよく理解しておいてください。
それではまずここでは社会保険の公的医療保険に焦点を絞って、話を進めていくことにしましょう。
先に説明したように公的医療保険は社会保険と国民健康保険の2つに分類することができますが、社会保険はさらに下記の4つに分類されます。
- 組合健保 大企業の雇用者(700人以上の従業員を持つ企業)
- 協会けんぽ 一般企業の雇用者(中小企業)
- 共済組合保険 国家公務員や地方公務員、私学の教職員
- 船員保険 船舶使用者に雇用されている船員
どんなところに勤務しているかで、加入する公的医療保険が違ってくるというわけですね。
また公的医療保険を使用した際の診療負担をする保険者も、下記のように違ってくるため、被保険者が3割負担という点に違いはありませんが、保険料等の詳細な部分には多くの違いが見られます。
そして今回の主題となっている私学共済保険は共済組合保険となり、共済組合でも下記のように共済組合保険者が違ってきます。
- 国家公務員 国家公務員共済組合(衆議院共済組合、外務省共済組合など)
- 地方公務員 各種地方公務員共済組合(市町村職員共済組合、地方職員共済組合など)
- 私学の教職員 日本私立学校振興・共済事業団
私学共済制度の加入資格
私学共済制度は私立学校勤務の教職員を対象とした社会保険で、日本私立学校振興・共済事業団(以下、私学事業団)によって下記3つの事業管轄が行われています。
- 公的医療保険
- 長期給付(年金)
- 福祉事業(貸付や宿泊施設経営)
私立学校勤務の教職員は私立学校教職員共済法によって加入が義務付けられており、自分の意志で未加入や脱退を選択することはできません。
私立学校に勤務した時点で下記に該当する人以外は加入資格を得て、同時に加入することになるというわけです。
- 専任職でない場合(他に本職を持っている)
- 臨時採用の場合(日雇いや、2ヶ月以内の短期勤務)
- 常勤勤務でない場合(非常勤講師など)
私立学校に勤務したからといって、必ず加入資格が発生するわけではありません。
特に常勤勤務でない場合には、加入資格があるのかをよく確認する必要があるでしょう。
私学共済制度の健康保険料率は低い
私立共済制度の公的医療保険料を短期給付掛金と呼ぶのですが、注目してもらいたいのがその保険料の低さです。
保険料を決定する2018年度の平均保険料率は9.215%でしたが、短期給付掛金の保険料率は8.482%と平均よりも低い数値を示しています。
実際の支払額となる労使折半で考えれば、平均は約4.6%、私学共済制度が4.241%です。
目に見て驚くような差ではありませんが、確実に優遇されているのは明らかですよね。
組合保険のように組合が保険料を設定できる大企業では2.0%から3.0%とさらに低いものもありますし、下記のようにさらに優遇されている共済組合も見られますが、メリットの1つであることには違いありません。
- 文科省共済組合 4.047%
- 神奈川県共済組合 4.200%
- 富山県共済組合 4.088%
(*個人負担料率)
私学共済制度の加入者貸付でお得に借入!
先に説明したように私学共済制度は公的医療保険だけでなく、勤務している教職員への福祉事業を展開しています。
その1つが加入者貸付です。
加入者は私学共済制度を実務している私学事業団から、下記名目において年率2.26%(2019年1月現在)という低金利で貸付を受けることができます。
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それではこれら貸付条件について簡単に説明しておきましょう。
一般貸付
一般貸付の条件は下記のとおりです。
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教育貸付
教育貸付の条件は下記のとおりです。
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借入額は1学年で必要になる額が上限となり、申し込みには下記の条件が必須となります。
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結婚貸付
結婚貸付の条件は下記のとおりです。
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住宅貸付
住宅貸付の条件は下記のとおりです。
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借入限度額は借家の場合は200万円となり、上乗せ額は下記のとおりとなります。
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災害貸付
災害貸付の条件は下記のとおりです。
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医療貸付
医療貸付の条件は下記のとおりです。
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私学共済制度の加入者貸付の審査はゆるい
私学共済制度の加入者貸付は住宅貸付を除けば、決して高額借入ができるものではありませんが、低金利であることからもメリットの高い借入方法と言えるでしょう。
そしてこの私学共済制度の加入者貸付は、低金利に加えて、金融機関と比べれば借入審査が極端に通りやすいという驚きのメリットも兼ね備えているのです。
加入者は金融機関に借入申込するよりも、まずはこちらの利用を検討してみるべきでしょう。
審査に通りやすい理由
それでは私学共済制度の加入者貸付の審査は、通りやすいと言われているのでしょうか。
その最も大きな理由は私学共済制度の加入者貸付を行っているが、銀行消費者金融といった金融機関ではなく、私学事業団が福祉事業として行っているという点です。
金融機関は福祉事業ではなく、利息獲得という営利目的を前提とした事業ですから、返済不能というリスクを減らすために、厳しい審査を行わざるを得ません。
ですが私学事業団は福祉事業の一環として、加入者貸し付けを行っています。
この目的が大きく違っていることが、一番の原因となってくるのです。
この加入者貸付は融資というよりも、企業間でよく見られる社内貸付と考えた方がいいでしょう。
そしてこの加入者貸付の審査が通りやすい理由として、押さえておいてもらいたいのが下記の3点です。
- 個人信用情報への照会がない
- 総量規制の対象外
- 給与や退職金が担保となるため
この3つを把握してもらえれば、なんで審査が通りやすいのかを理解することができるでしょう。
個人信用情報への照会がない
加入者貸付の審査では個人信用情報の照会が行なわれません。
個人信用情報とは申込者の借入状態や返済状況を確認するために、金融機関の借入審査では必須とされています。
ここで他社借入額が大きすぎたり、返済状況に問題があった場合には、まず審査を通過することはできません。
借入審査やローン審査で審査落ちする、最も多い理由がこの個人信用情報にあると言えるでしょう。
しかし、加入者貸付では個人信用情報の照会が行なわれないので、情報に問題のあるかたでも審査に影響することはありません。
個人信用情報の確認をするとしないでは、審査通過にどれほどの違いが出てくるのかは、これ以上説明しなくてもお分かりいただけますよね。
総量規制の対象外
総量規制は年収の3分の1を超える個人貸付を禁じた法律です。
これは貸金業法に定められたものですから、基本的に遵守するのは消費者金融をはじめとする貸金業者のみとなります。
ですが近年、過剰融資を弾劾された銀行においても、貸付上限額を総量規制に準じる傾向が見られるため、全金融機関からの借入は総量規制を基準にしていると考える方が無難でしょう。
よって、今は新規借入で総量規制を超えそうな方は、金融機関からの借入は厳しいのが実情です。
しかし、これも加入者貸付では影響することはありません。
申込者の借入状況を確認するには、個人信用情報を照会するしか手がないからです。
となれば総量規制で審査落ちすることのない、この加入者貸付の審査がいかに甘くなるかは一目瞭然ですよね。
給与や退職金が担保となるため
先に説明した各種加入者貸付の借入限度額を見てもらってもわかるのですが、この加入者貸付は給与や退職金が担保として扱われている感が否めません。
特に貸付額が「申込時の退職金額+上乗せ額の範囲内(上限2,000万円)」と記載されている、住宅貸付は明らかに退職金を担保としていると考えられます。
残りの加入者貸付でも「標準報酬月額12ヶ月分(上限500万円)」「標準報酬月額6ヶ月分(上限200万円)」のいずれかとなり、貸付額が給与基準とされていることからも、給与に応じた貸付を行い、貸し過ぎない配慮がされていることがうかがえます。
これくらいの給与があれば、これくらいは無理なく返せるだろうといった具合です。
こうした担保があることで、私学事業団も安心して貸付でき、その分、審査も甘くなるということでしょう。
まだまだある私学共済制度のうらやましいメリットはコレ!
ここまで私学共済制度の公的医療保険と加入者貸付のメリットについて説明してきましたが、私学共済制度にはまだまだうらやましくなるメリットが存在します。
- 結婚手当金の支給が受けられる
- 積立貯金制度が高利率
- 傷病手当金の支給率が高い
- 安価で福祉施設が利用できる
加入者は上記のようなメリットを受けることができます。
それでは最後にこれら制度のメリットが、どのようなものなのかを簡単に説明しておきましょう。
結婚手当金の支給が受けられる
私学共済制度の加入者は、結婚手当金として8万円が支給されます。
一番メジャーな中小企業の雇用者が加盟する組合保険では、このような制度は見られませんし、以前は多く見られた共済組合でも年々廃止される傾向にあります。
この8万円がもらえるのと、そうでないのではお得感が全く違います。
この点は福祉事業に重点を置く、私学共済制度ならではのメリットと言えるでしょう。
積立貯金制度が高利率
大抵の共済組合では財形制度と同じように、給与天引きによる積立貯金制度を設けていますが、その積立貯金利率がうらやましほど高いのです。
下記は2018年度に高利率を示した共済組合となります。
- 千葉県共済組合 2.10%
- 埼玉県共済組合 1.80%
- 茨城県共済組合 1.66%
- 神奈川県共済組合 1.56%
近年の貯金利率はご存知のように低利率で、利率が高いと言われているイオン銀行の普通預金でも、その利率は0.10%ほどです。
それが千葉県共済組合ならば、その21倍もの高利率で貯金することができます。
となればいかに共済組合の積立貯金制度の利率が高いのか、お分かりいただけますよね。
残念ながら私学共済制度の利率は0.25%と上記のように高利率ではありませんが、それでも銀行金利と比較すればかなりの高利率なのに違いはありません。
銀行にお金を預けても増えることはないと言われていますが、私学共済制度をはじめとする共済組合なら話は別というわけです。
なんともうらやましい話ですよね。
傷病手当金の支給率が高い
傷病理由によって休業することになり、給与支給が受けられなくなった。
こんな時に受け取れるのが傷病手当金です。
この傷病手当金は法律で通常給与の3分の2と支給額が決められているのですが、私学共済ならばそれを上回る通常給与の80%の支給が受けられます。
単純計算で約14%もの支給差額が生まれることになるので、傷病時に受ける安心感は大きく違ってくるでしょう。
給与が60万円ならば、受ける支給額は下記のとおりです。
- 3分の2 40万円
- 80% 48万円
なんともうらやましくなる制度としか言いようがありません。
安価で福祉施設が利用できる
先に私学共済制度では福祉施設の経営が行われていると説明しましたが、加入者はその施設や提携施設をリーズナブルな料金で利用することができます。
- コナミスポーツ
- ゴールドジム
- しがくのやど(全国の提携宿泊施設)
また旅行会社のパック旅行を割引購入できるほか、指定施設利用時にはJRの乗車券を割引購入できるなど、余暇を楽しむ際に様々な優待が用意されています。
詳しくは私学共済制度のHP内にある「とくとく情報(全国共通)」に記載されているので、興味があるかたは覗いてみてくださいね。
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