割賦販売法にも総量規制がかかる?~貸金業法との違いも説明~

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消費者金融などから現金を借りるキャッシングを行う場合、年収の3分の1までしか借入れができない「総量規制」が関係してきます。

これは飽くまで貸金業者から借入れを行った場合のみに適用されるのですが、ショッピングや信販会社をとおした場合のローンや分割払は今後どうなっていくのか、解説していきます。

割賦販売法を分かりやすく解説

消費者金融などからお金を借りるときに関係するのが総量規制、ショッピングなど分割で何かを購入するときに関係するのが割賦販売法です。

2つの共通点は年収によって利用できる極度額が変わるということですが、割賦販売法と総量規制では計算方法が異なります。

また分割で買物をするのは洋服などの生活用品を始め、車や住宅など様々な種類が存在します。

多種にわたる分割で購入できるものの中にも割賦販売法で取決めがなされています。

そもそも割賦販売法とは何なのか

割賦販売法とはその名のとおり割賦つまり分割で何かを購入するときに関わってくる法律のことです。

身近なもので言うと、クレジットカードを使ってショッピングをするときではないでしょうか。

クレジットカードを新規で作るとショッピング枠として利用が可能な金額が設定されていますが、その上限を決めているのはカード会社の審査結果に加え割賦販売法で決められた上限計算によるものです。

割賦販売法での上限計算方法は下記のような計算式で算出されます。

(年収ー年間請求額-生活維持費)×0.9=包括支払可能見込額

総量規制のように単に年収から3分の1をかけるという計算ではないので少し複雑になっています。

生活維持費とは何を指すのか

年収から生活維持費を引くのですが、この生活維持費が一体何のことを指すのか理解しておかないと計算しても意味のない数字が出ます。

ここで言う生活維持費とは、公的な統計にもとづいて最低限の生活を維持するために1年間で必要となる経費のことです。

生活維持費は、収入・生計を同一とする家族の人数と、持家でローン支払済みなのか支払中なのか、あるいは賃貸なのか、さらに居住する区域などの条件によって金額が設定されています。

居住する区域は割賦販売法施行規則によって第1区、第2区、第1区第2区以外の非対称区の3つに分類されています。

これは同都道府県でも市区町村ごとに細かく分けられていますので、まずは自身がどこの居住区に該当するのかを調べておく必要があるでしょう。

第2区に居住する場合は(年収ー年間請求額―生活維持費)×0.85=包括支払可能見込額とかける数字が変わります。

家族構成について

先にも述べた生活維持費の計算で必要になる家族構成では、同居有無を問いません。

ポイントは生計を共にしているかどうかでカウントしていきます。

収入・生計を共にする人数
(本人含む)
1人2人3人4人以上
持家かつローン無・
持家なしかつ家賃無
90万円136万円169万円200万円
持家かつローン有・
持家なし家賃有
116万円177万円209万円240万円

それでは第1区に居住し、持家ありローンあり、世帯数2人、申告年収400万円、年間請求額での上限額を算出してみましょう。

先に話したように割賦販売法での計算方法は、(年収ー年間請求額―生活維持費)×0.9で算出可能です。

「年収400万円-年間請求額50万円-生活維持費136万円=214万円が支払い見込額」

居住地区第1区なのでかける数字は0.9ですので、214万円×0.9=192万6千円となります。

つまり約193万円が上限として設定されます。

すべての分割払が対象となるのか

今までは利息が発生する3回以上の分割払やリボ払いが対象だったのですが、改正された割賦販売法では、ボーナス一括払いや2回払いでも対象となりました。

そのため今まで大きな支払はボーナス払いに設定していた人などにとっては、上限が変動する可能性があるので、事前に確認しておいた方がいいでしょう。

貸金業者の利用限度額は総量規制

消費者金融などの貸金業者は貸金業法に総量規制が盛り込まれたことから、利用限度額の決定の仕方は単純に考えて年収の1/3までです。

すでに総量規制が導入されてから8年経過していることから、キャッシング枠についての知識を持っている人も多いことでしょう。

仮に年収が300万円だとすれば、貸金業者が貸しても良い金額は年収の1/3である100万円ですね。

ただし総量規制は貸金業者ごとに年収の1/3まで利用限度額が決められるのではなく、利用者のすべての借金額が年収の1/3以内に収まっていることに注意しましょう。

ですから貸金業者A社から100万円借入、貸金業者B社から100万円借入というようなことはできません。

なお貸金業者には銀行カードローンなどの銀行融資は含まれません。また総量規制には例外貸付と除外貸付があることも知っておくと何かと便利になるでしょう。

法律的に考えれば銀行カードローンなどで銀行から融資されていても、貸金業者の総量規制額には影響はありませんし、住宅ローンや自動車ローン、借り換えローンなどについても総量規制とは関係がありません。

総量規制の対象になるのは消費者金融などの貸金業者と、クレジットカード会社のキャッシング額が総量規制の対象と考えておけば良いですね。

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包括支払可能見込額の計算の仕方

割賦販売法が適用されるクレジットカード会社のショッピング枠、つまり包括支払可能見込額の計算の仕方は、前項でご説明したとおり一定の計算式によって与信枠を決めることになっています。

貸金業者の総量規制のように単に年収だけで利用限度額を決めるのではなく、家族構成や住宅ローンの有無、賃貸負担の有無についても細かく規定されています。

では包括支払可能見込額の計算の仕方についてご紹介していきましょう。

生活維持費について

ショッピング枠の包括支払可能見込額の計算式をもう一度思い出してみましょう。

・包括支払可能見込額=(年収-生活維持費)x0.9

計算式を見ると年収については大体わかるとして、生活維持費って何だ?となりますよね。実は割賦販売法では生活維持費について目安の金額が提示されており次のようになっています。

◆1人世帯
・住宅ローンや家賃の負担がない:90万円
・住宅ローンや家賃の負担がある:116万円

◆2人世帯
・住宅ローンや家賃の負担がない:136万円
・住宅ローンや家賃の負担がある:177万円

◆3人世帯
・住宅ローンや家賃の負担がない:169万円
・住宅ローンや家賃の負担がある:209万円

◆4人世帯
・住宅ローンや家賃の負担がない:200万円
・住宅ローンや家賃の負担がある:240万円

仮に年収が500万円で3人世帯(住宅ローンや家賃の負担がある)の場合、クレジットカードのショッピング枠は次のように計算されます。

・包括支払可能見込額=(500万円-209万円)x0.9=261万9,000円

上記の計算例で言えば、クレジットカードのショッピング枠はおよそ260万円となりますが、これは貸金業者の総量規制と同じように、個人と契約してもよい上限額ですので必ずしも上限枠いっぱいでショッピング枠が決められるわけではありません。

2枚目のクレジットカードの利用限度額

なおすでにクレジットカードを1枚契約しており、2枚目のクレジットカードを作る場合の利用限度額の計算式は次のようになります。

・包括支払可能見込額=(年収-生活維持費-他社の利用限度額)x0.9

仮に前項の条件で1枚目のクレジットカードの利用限度額が100万円だとすると、2枚目の利用限度額は次の金額になります。

・包括支払可能見込額=(500万円-209万円-100万円)x0.9=171万9,000円

クレジットカード会社は171万9,000円をショッピングの利用限度額として与信枠を与えることが可能です。

ただし前述の通り総量規制と同じ考えですので、必ずしも利用限度額いっぱいまで与信枠がもらえるわけでありません。

なお他社の利用限度額について、銀行以外の自動車ローンがある場合は、年間に支払う金額が含まれることにも注意しておきましょう。

上記の例で言えば、1年間に支払う自動車ローンの金額が100万円あれば、包括支払可能見込額は71万9,000円が上限額です。

クレジットカードの限度額と貸金業者の限度額

割賦販売法によるショッピング枠の限度額と、貸金業者の限度額の決まり方について今までのご説明でおおよそおわかりいただけたと思います。

では私たちの暮らしにそれぞれの利用限度額がどのように影響してくるのか見てみましょう。

給与所得者(サラリーマンなど)

サラリーマンとなどの給与所得者がクレジットカードのキャッシングを申し込む場合に、利用限度額が50万円を超える場合、及び貸金業者などの借入との合計額が100万円を超える場合は収入証明書を提出しなければなりません。

収入証明書とは源泉徴収票や給与明細書のことで、たとえ前述の通り利用限度額が少ない場合でもクレジットカード会社の求めによって提出が義務付けられています。

包括支払可能見込額はリボ払い分割払いだけでなくボーナス払いも対象になることから、ボーナス払いで数十万円の支払いを行なっていた人は、年収によってショッピング枠が減らされる可能性があります。

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収入のない専業主婦

収入のない専業主婦は貸金業法によってクレジットカードのキャッシング枠はもらえません。

カード会社によっては配偶者貸付によって利用限度額が与えられることもありますが、その際は配偶者の同意が必要です。

ショッピング枠については30万円までなら収入がなくても審査の内容によって認められるものの、ショッピング利用枠が5万円以上ある場合カードの更新時に再度審査が行われます。

高校卒業した学生

クレジットカードは高校卒業した18歳以上で申し込むことができますが、未成年の場合は親権者の同意がなければなりません。

学生は安定した収入があるとはいえないため、ショッピング利用枠は最大でも30万円です。なお20歳以上のキャッシング枠については総量規制が適用されますので、年収の1/3までに限定されます。

未成年者の場合はカード会社によって多少違うものの、概ね5万円までがキャッシング枠の上限額となっているようです。

改正割賦販売法のQ&A

改正割賦販売法の基本が把握できればあとは応用です。

それではこの割賦販売法が私たちの日常にどう関係してくるのか具体例を含めて見ていきましょう。

教育ローンや車のローンも対象なのか

教育ローンや車のローンは借りる金額が大きいので金利が低い銀行に申込みを行うのが一般的ですが、銀行から融資を断られた場合には信販会社が展開する目的別ローンを組む人が多くなっています。

銀行からの借入れであれば割賦販売法ではなく銀行法が適用されます。

しかし、信販会社での目的別ローンは対象です。

現段階(2018年5月)でまだ教育ローンと車のローンは除外という動きには至っていませんので、今後新たに申込みをする場合には上限金額オーバーのために融資不可となってしまうことは十分に考えられます。

適用外となるものはないのか

分割での支払でも対象外となるものも存在します。

それは不動産や自社割賦契約です。

不動産は取り扱う金額が大きいのでそもそも信販会社に融資を申し込むこと自体マレですが、全面的に除外とされています。

また自社割賦契約とは、割賦契約を消費者と販売者の2者間で交わすことです。

通常、割賦契約は、支払期間が2か月以上なおかつ3回以上代金を分割して商品を購入する場合に規制対象となっていましたが、改正割賦販売法で支払が2か月以上先になる一括払いやボーナス払いも規制対象となりました。

しかし、従業員が勤め先の商品を分割払のローンで購入する場合は、たとえトラブルが発生しても会社内の問題と考えられるため、割賦販売法の適用外となっています。

専業主婦や学生はもうカードは持てない?

年収がない専業主婦やアルバイトのみの収入である学生などは今後カードが一切持てないのではないかと懸念されますが、実際は所有可能です。

ただし上限額は審査が不要と決められている30万円以下に設定されていますので、カードは所有できるものの上限額は低くなっています。

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まとめ

改正割賦販売法はショッピングの上限額すら決められてしまい窮屈な気もしますが、本来はカードの使いすぎ防止と、そして悪質な金融業者を締め出すための政策となっています。

消費者を守るために作られたものですから、これを機に一度自身のカード利用頻度を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。