消費者金融から借金の和解案がくるのはどういうとき?延滞者全員が対象?
「借金返済を延滞していると最終的には給料などが差し押さえになる」ということは聞きますが、差し押さえの前に「和解案」が届くケースもあります。
しかし、長期延滞した人の皆に届くということでもありません。
そもそも和解案に正直に応じていいのかも不安になるでしょう。
どういったときに和解案が来るのかまとめました。
目次
和解とはそもそも何なのか?
和解とは現在ある借金の残高を減額したり、本来支払うべき利息や遅延損害金を減額したりして、今後も分割で支払っていくことです。
このように聞くと、「支払わなければ勝手に借金が減額になるのか」と思ってしまいますが、極論をいうと確かにこのようになります。
しかしこの和解案は長期延滞をしている全員に、届くものではありません。
債権者(お金を貸しているもの)が「このまま裁判になって自己破産されると困る」「過払い金を請求されると困る」というような事情があって、それに該当する人のみに送付されたり電話があったりと相談があるのです。
つまり「長期延滞すれば勝手に借金が減額になる」というのは、該当する人であればそうであり、該当しない人であれば単に差押えなどの強制執行をされるという状態で、自分自身では選べないものなのです。
なぜ借金が減額になるのか
和解するには2種類の方法があります。
まずは弁護士などの専門家に依頼し、今までの取引内容を開示してもらい、金利を18.0%で引き直しの計算をします。
これは過払い金があるかどうかの計算をしているのです。
なお、過払い金とは法定利息以上の支払いをしていたものを、返金してもらう手続きです。
もし過払い金があればその差額で借金がゼロになったり、残りの借金は利息がなくしたりするような交渉が行われます。
もうひとつは先に話したように、債権者が「このまま破産に流れてもらっては困る」「長期延滞を1件でも多く解消したい」「過払い金請求されると困る」というような事情で、一方的な案を提案するという方法です。
繰り返しになりますがこれは長期延滞者全員に、提案されるものではありませんので注意が必要です。
個人でも和解交渉はできるのか
結論からいうと、個人でも可能です。
しかし先に話したように、まずは債権者に今までの取引履歴の開示請求を行わなくてはなりません。
返済に遅れがない状態であれば、「状況確認のため」など理由はいくらでもいえますが、問題は延滞している場合です。
いつ返済できるのかという状況の中で、「取引履歴を開示してほしい」とはなかなか言い出しにくいことですし、相手もお金のプロですので「このタイミングで取引履歴の開示請求ということは」と身構えてしまいます。
下手をすると何かと条件をつけ、保証人をつけるように交渉される可能性も大きくなってくるのです。
よほど金融に対して知識がある人や、交渉を苦に思わない人であれば個人での和解交渉も可能ですが、可能な限り弁護士などの専門家を間に挟み交渉を行った方が無難だといえるでしょう。
裁判所での和解は要注意
返済が長期延滞のため債権者が裁判所に訴え、裁判所から呼出しを受ける場合があります。
そこで和解交渉になるケースも多いのですが、ここでの要注意はその場の雰囲気にのまれ、返済不可能な金額のまま調印しないことです。
裁判所での和解の場合、今後和解案の金額を延滞すると裁判所をとおさなくても給与差押えが可能になります。
そのため確実に返済できる金額まで下げてもらえるよう交渉を行っていくといいでしょう。
和解案は本当に信じてもいいのか
和解案を確認すると「利息をカット」「遅延損害金を免除」「借金残高を〇〇%カット」などの明らかに債権者からすれば不利だといえる状態は、つまり債務者に得しかないような条件になっています。
そのためうれしいのだけれども、本当にこの文言を信じていいものかどうか不安になってくるのも事実です。
この甘い言葉でおびき寄せるための、餌なのではないかと疑ってみたくもなります。
和解案は本当に信じてもいいものなのか見ていきましょう。
債権者は損しかないのになぜ提案してくるのか
そのまま放置しておけば自然に裁判に流れ、給与などの差押えになるのに、なぜ損をしてまでも債権者は和解を了承してくれるのか、という点が疑問に感じるからこそ「本当に信じていいのか」と勘繰ってしまいます。
債権者としても本来ならば貸した元金、及び利息を返してもらいたいのが本音です。
しかし特に長期延滞となるともう「一括で返済してほしい」といっても、無理なことなのも十分分かっているのです。
そのため仮に裁判をして給与などを差押えしたとしても、例えばそもそもの給料がない人や財産がない人であれば、そのまま自己破産につながる可能性の方が高くなっていきます。
そうなると1円も戻ってきませんので、ゼロよりはマシだという方向性なのです。
そのため債権者側から提案しているのは「せめて貸していた元金だけでも返済してほしい」という意味合いになっています。
また債権者が和解を申し出るのは、もうひとつ理由があります。
それは「金額さえ減額できればこの人は真面目に返済をする人だ」と認識されていることや、またそれに準じる行動を起こしている場合です。
返済ができないならば自ら相談をして、返済に対し誠実に向き合う行動を見せておくことで、和解交渉を有利にすすめられる可能性もありますので、まずはきちんと話合いの場を設けて誠実に対応をすることをおすすめします。
信用情報に傷はつくのか
和解のため信用情報に傷がつく、というよりも既に長期延滞者として信用情報には記載がされていますので、今後新たな借入を申し込んだとしても審査にとおる可能性は極めて低いといえます。
延滞もなく弁護士などをとおさず個人で和解をしたとしても、債権者によっては登録するケースもありますので、基本的には信用情報に記載されるものだと認識しておいた方がいいでしょう。
消費者金融の返済に遅れているなら積極的に話し合いをしよう
消費者金融からお金を借りていてお金がないから返済できないで困っているのに、消費者金融から電話がかかってきても無視する場合が多いですよね。
しかしもしかしたらその電話は返済滞納者にとって有利な電話かもしれませんよ。
たとえ督促の電話だとしても、消費者金融は声を荒げたり罵声を浴びせる、または脅し文句のような言葉遣いが禁止されています。
思い切って電話に出てみるのも良い方法です。
消費者金融の督促担当者にもいろいろ性格があって、頑固な人もいれば支払督促のリストから外れてほしいと考える担当者もいます。
支払督促のリストから外れてほしいとは、簡単に言えば借金返済できないなら債務整理したらどうか、という提案です。
このまま返済滞納を続ければ長期返済滞納者として金融事故になってしまう。それくらいなら法律の専門家を利用して任意整理をするか自己破産してくれないかと暗に誘導するのです。
債務整理をしてくれれば滞納者リストから外れ、督促担当者の仕事がラクになるわけです。
または3カ月滞納しているけれども、まだ金融事故には登録していない。たとえ1カ月分だけでもいいから入金してくれないか、それも利息だけでもいいから、という電話かもしれません。
消費者金融としては利息1カ月分入金されれば、とりあえず長期返済滞納者リストから外れるため、督促担当者としても仕事が減って気が休まるという感じですね。
消費者金融は返済困難者に対して救済措置の和解をする
消費者金融と言うとお金を貸して利息を受け取ってなんぼの商売と思っているでしょう?まぁ実際その通りなのですが、100%完全回収は到底無理な話です。
消費者金融は昔のように返済困難者に対して、強行的に差し押さえすることはほとんどありません。差し押さえするのはきちんと収入がありながら、無駄遣いをしてしまい消費者金融の支払いをしない人です。
病気や怪我などで満足に仕事ができない、会社が急に倒産してしまい仕事を失ってしまった人に対しては意外に優しく接するものです。
消費者金融は回収する順番として、①元金、②利息、③延滞金です。
なんとなく利息や延滞金の方が先に回収するのではないかと思うかもしれませんが、実のところ元金回収が最も優先的なのです。
元金さえ回収できれば経理的には貸し倒れにはなりません。そこで利息や延滞金は後から支払うようにして先に元金を返済してくれないかと返済計画を見直すのです。
元金を回収した後は利息や延滞金の回収は余裕があったらする程度で、あまり本気ではありません。
返済滞納している人でも元金だけの返済なら、入金した分だけ確実に借入残高が減るため返済するモチベーションとしてはあがりますよね。
返済困難者にコストをかけるわけにはいかない
消費者金融は闇金ではありません。
精神的に追い込むようなことは法律違反であり、苦情が日本貸金業協会や金融庁に寄せられてしまうと、是正勧告を受け会社ぐるみである場合は営業停止となることもあるのです。
消費者金融からお金を借りてもどうしても返済できない返済困難者にいつまでも付き合っているわけにはいきません。
たまたま借主の自宅が消費者金融の営業所から近いところにあるなら自宅訪問ということもありますが、全国貸付対応している消費者金融の担当者がお金と時間をかけて借主の自宅まで訪問するのはコスト的に見ても無駄ですね。
たとえ滞納している2万円を返済してくれると言っても、交通費に2万円かかってしまったのでは意味がありません。
2万円返済してくれるなら利息や延滞金に充当するよりも元金に充当しましょうというのが消費者金融の考えです。
返済滞納している人は他にも借金がある場合がほとんどで、債務整理する前に少しでも回収しておこうと考えるのが本音なのです。
まとめ
特に突然の和解案が届いたときには驚いてしまいますが、まずは落ち着いて「今の自分に支払える金額」を明確にして話合いに応じてみるといいでしょう。
そこで開き直るような態度をとると和解案自体流れてしまう恐れがありますので、返済の意思はあるということを前提に交渉に臨むことをおすすめします。
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