借金3,000万円を完済することはできる?【高額借金の返済】
なんらかの理由で大きな金額の借金を背負ってしまうことがあります。
借金に関する知識がない方だと、こんな時、どう対応すれば良いか解らずに困り果ててしまうでしょう。
借金3,000万円を例として、完済するためにすべきことを解説します。
- 執筆者の情報
- 名前: 芦田春馬
年齢:39歳
性別:男性
職歴: 平成13年に都市銀行に就職。その後、ノンバンクに転職
記事の目次
本当に返済する必要はあるの?
借金3,000万円を返済するというのは、もちろん簡単ではありません。
ただ、闇雲に努力して、頑張っても返済できるものではありません。
そのため、借金3,000万円を背負ってしまった時に、最初にやるべきことは、現状を整理して、正しく把握することと、計画的な返済方法を考えることです。
その1段階目となるのは、その借金のことをしっかりと把握して、「本当に返済する必要があるのか」を考えることです。
借金3,000万円を背負ってしまう経緯には、色々なものが考えられます。
例えば、住宅ローンで借入する場合があります。
住宅ローンで、対象となる家を守ろうとしているなら、その借金は返済する必要があるでしょう。
また、経営していた会社や、親族・友人の「(連帯)保証人」になってしまっていたことが原因であれば、法律的にも返済する義務を負っています。
しかし、経営する会社で借入していた借金であっても、(連帯)保証人になっていないのなら、返済する義務は負いません。
親や、配偶者が借入したものであっても、同様であり、ご自身に返済義務が無いものもあります。
ただ、親族というだけや、道義的な責任だけで、法律上の返済義務が無い借金を負う必要はありません。
まず、対象となる借金を良く確認して、自分に返済義務があるものかを確認しましょう。
3,000万円の返済額は?
次に確認するのは、借金3,000万円を返済するために、どれだけの金額を、いつまで返済していく必要があるのかを理解しましょう。
元金の返済額
借金を返済していくためには、収入と支出のバランスを取る必要があります。
どれだけの返済が必要なのかを理解していなければ、返済計画を立てることもできません。
仮に借金3,000万円に対して、利息が発生しない前提で、元金のみを返済するとします。
この時、10年間で均等に弁済すると、毎月25万円の返済が必要になります。
倍の20年間で返済するなら、12.5万円、30年間であれば8.3万円の返済が必要です。
30年間という超長期での返済であっても、毎月8.3万円もの元本を返済しなくてはいけません。
そのうえ、この金額は元金返済のみであり、利息を追加で支払わなければいけない可能性もあります。
借金3,000万円にかかる利息は?
借金3,000万円に対して、どれだけの利息が必要になるかも考えてみましょう。
もし、住宅ローンなどで借入したものであれば、現状1%前後の利息で借入できているものもあるでしょう。
この時、借金3,000万円で計算すると、年間の利息は、約30万円となり、毎月2.5万円程度の支払が必要になります。
事業資金などで借入していた場合や、個人でも「住宅ローン」以外で借入していると、金利はもっと高くなってしまいます。
仮に金利が5%となると、年間の支払利息は150万円となり、毎月12.5万円の支払が必要です。
もっと状況が悪くなると、借金の「期限の利益を喪失」され、遅延損害金が発生している可能性もあります。
遅延損害金が発生すると、利率は15%程度まで上昇している可能性もあります。
そうなると、年間の利息は450万円となり、毎月37.5万円もの利払いが必要になります。
遅延損害金が発生してしまっていると、利息は非常に高くなってしまいますので、このままでは借金3,000万円の返済どころか、利息を返済することも難しくなってしまいます。
現在の借金の状況や、契約内容について確認する必要があります。
ご自身の収入を整理
返済する必要があるかどうか、返済する場合の支払額を確認したら、次に、自身の収入がどれだけあるかを確認しましょう。
先ほど、借金3,000万円の返済額を試算しましたが、何年で返済するのか、もしくは完済することができるのかは、収入が解らなければ計画を立てることはできません。
毎月の収入が10万円なのか、それとも100万円もあるのかでは、全く返済方法が異なります。
給与所得者であれば、毎月の給与明細で、実際のご自身の手取り額を確認する必要があります。
個人事業主であれば、毎月の収支を確認して、どれだけのお金が手元に残っているのかを確認しましょう。
そして、次に、その収入をどれだけの期間維持できそうなのかも考えておきましょう。
給与所得者の場合、60~65歳で定年を迎える方が多いでしょう。
通常、定年退職後、収入が減少してしまうことが多く、副業などの収入がない方であれば、その後の返済額を下げざるを得ない方も多いでしょう。
個人事業主の場合、定年退職は無いかもしれませんが、ご自身が何歳まで働けそうかを考えておく必要があります。
仮に、給与所得者で、既に50歳の方が、借金3,000万円を背負ったとすれば、長くても10~15年での返済期間が精一杯となります。
毎月の給与などによる収入以外でも、見込みのあるものであれば検討すべきです。
例えば、「親族からの支援は得られないか」なども考えてみても良いでしょう。
住宅ローンの場合、完済できる目処が立たないのであれば、対象となる自宅を売却して完済できないかも考えた方が良いですし、それ以外に現金化できる資産が無いかも、検討してみるべきでしょう。
借入先との交渉も必要
以上の点を踏まえ、借金3,000万円の債権者と、返済方法について相談することになります。
ご自身の収入から返済できる額を念頭に、期間などの返済方法を決め、債権者にも認めてもらえるように相談していく必要があります。
期限の利益を喪失して、遅延損害金が発生している場合や、既に過去の利息が多額に残っているのなら、元本を返済することと引き換えに、利息について減免してもらえないか交渉してみることも重要です。
いずれにしても、自身の収入から生活費を除いた額と、収入を継続できる期間、資産の現金化などで得られる収入の範囲内でしか返済はできません。
その範囲内で返せる金額になるように交渉する必要があります。
見込みがないなら債務整理も
最後にもう1点、重要なことがあります。
返済できる見込み額が、利息どころか、元本の3,000万円にも届かず、完済できそうに無い場合や、利息の減免、返済期間の延長など、条件変更の交渉に応じてもらえなかった場合には、債務整理も考えてみるのが良いでしょう。
債務整理には、返済できる金額の範囲内で、毎月返済を継続する任意整理・個人再生と、現時点で保有している資産の範囲内でのみ返済する自己破産があります。
債務整理を活用することで、返済できる見込みの無い元本や、利息について、法的な手続きによって免除してもら得ることもあります。
借金3,000万円を完済できる目処が立たないときには、債務整理によって、抜本的な解決を図ることも重要です。
なお、債務整理を考えるにあたっては、弁護士、司法書士などの専門家に相談する必要があります。
「法テラス」や、日本貸金業協会など、公的に設けられた機関で、無料相談することもできますので、まずは専門家に相談してみるのが良いでしょう。
ダブルワークで早期完済を目指す
借金3,000万円を返済していくことを選択したという場合にはそれだけの収入がある人になりますが、中には生活を切り詰めてどうにかして返済していこうとしている人もいるはずです。
もちろんそれで返済できるのであればそれに越したことはありませんが、生活を切り詰めて返済をしていくということは毎月ぎりぎりで返済をしていくということになります。
特に借金を長期間返済していくという場合、毎月ぎりぎりの生活をしながらでは急な出費に対応することができず、このような出費があれば別のローンやクレジットカードのキャッシングで借金をして賄うことになります。
もちろん友人や知人などから借りるという方法もありますが、個人間でのお金の貸し借りはトラブルとなることも多く、いくら少額であってもあまりおすすめできるものではありません。
いずれにしても、借金の返済を借金で賄うことになりますので借金の総額を増やしてしまうことになります。
それでは意味がありませんので、ぎりぎりで返済をしているという場合にはダブルワークをすることで収入を多くして返済をしていくことで急な出費にも対応でき、早期の完済も目指すことができます。
■親にお金を借りる上手な頼み方・言い方・言い訳【適した理由とは】
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ダブルワークの注意点
ダブルワークをすることで収入は増えることになりますが、これによって注意しなければならないこともあります。
注意しなければならないこととは、収入が多くなったことでお金を使いすぎてしまうということです。
人間誰しも欲というものがあり、お金を多く持つと気持ちが大きくなってしまいます。
そうした中でお金を使ってしまえば、せっかく副業で稼いだとしてもぎりぎりで返済をしていかなくてはならなくなることもありますので、副業で稼いだ分はすべて返済に充てる必要があります。
また、ダブルワークをすることでそれまで仕事をしていなかった時間まで仕事をすることになりますので体調管理が難しくなり、体調を崩してしまう可能性もあります。
ダブルワークをする場合にはこれらのことに注意をしながら適度に休むことや長く続けていくための自分へのご褒美も与えながらしていくことでより効率の良い返済をしていくことができます。
クラウドソーシングもおすすめ
クラウドソーシングとは自宅にいながらインターネットで仕事をすることができるものであり、最近では副業としてこれを行っている人も多くいます。
未経験者であっても少し経験を積むだけで月に数万円を稼ぐことも可能ですし、専門的な知識などがある場合や数をこなしていくと数十万円も稼ぐことも可能です。
自宅で仕事をすることができますので時間を見つけて仕事することができますのでより効率的に副業できます。
任意整理は現実的ではない
とても3,000万円もの借金は返済していくことができず、債務整理を選んだ場合にはまずどういった債務整理を選ぶのかということも大事です。
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」という3つがあり、それぞれ異なる特徴を持っています。
この中の「任意整理」とは、いわゆるグレーゾーンで返済してきた部分があればそれを借金の減額に充て、金利は将来支払うであろう利息もカットすることで元金のみの返済となります。
ですが、減額された借金を3年程度で返済しなくてはなりませんので3,000万円もの借金を多少減額できたとしてもなかなか返済できるものではありません。
従って3つある債務整理のうち「任意整理は」ほぼ選ぶことがない手続きであるといえます。
個人再生と自己破産の特徴
「個人再生」は財産を残したまま借金を5分の1程度にし、それを3年程度で返済していくものでありますので、借金が3,000万円である場合には600万円まで減額されます。
600万円であれば毎月17万円程度を返済していくことになり、これを3年間で完済できれば残りの2,400万円は返済しなくても良くなります。
「自己破産」は裁判所に財産や収入が足りないために返済ができないということを認めてもらうことで借金の返済義務が免除されるものです。
これにより借金からは解放されますが、財産を失うことや特定の仕事に就くことができなくなります。
住宅ローンなら3000万も珍しくない
個人が3,000万円もの高額な借金をする理由として考えられるのが住宅購入です。
事業性資金ならばいざ知らず、個人でこれだけ高額な借り入れが必要になるのは、住宅購入時の借り入れ以外考えられません。
事実、住宅金融支援機構が発表した2016年度のフラット35利用者調査データのよると、住宅購入時の借入額は全国平均で2,568万円となっています。
全国平均でこの額ですから都市圏で3,000万円を超える融資を受けている人ははかなりの数になると予測できます。
ここで問題としなければならないのが、この貸付額が適正なものであるのかという点です。
普通に考えれば3,000万円もの借金を苦することなく返済できる方は、日本広しといえどもごく一部の限られた人だけでしょう。
しかし、そんな事を言っていては日本で住宅購入できる方は、ほとんど存在しないことになってしまいます。
となれば3,000万円もの借り入れをしている人が多いということは、一見返済でき兼ねる高額な借金も返済不可能な額ではないと考えるべきなのでしょう。
3000万の返済シミュレーション
それでは実際に3,000万円の返済が可能なのかどうか、住宅金融支援機構のHP上にあるフラット35のシミュレーションを利用して下記条件で計算してみることにしましょう。
- 返済期間 35年
- 金利 1.0%(固定金利)
- 返済方法 元利均等
- ボーナス払い なし
シミュレーション結果は下記のとおりです。
- 毎月返済額 85,000円
- 総返済額 3,557万円
月々の返済額がこれくらいなら返済できると思った方は少なくないでしょう。
しかし、これは返済期間が35年という点と、金利が年利1.0%と通常の融資金利よりも驚くほど低いことで初めて実現できた金額です。
通常このような条件で貸付してくれる金融商品はまず見当たりません。
住宅ローンの次に高額借入が予想されるマイカーローンでも下記の借入条件が一般的なことから、住宅ローンがいかに好条件で借り入れできるローンなのかがお分かりいただけるでしょう。
- 借入額 200万円
- 返済期間 5年
- 金利 3.0%(固定金利)
- 返済方法 元利均等
- ボーナス払い なし
この条件で計算すると…
- 毎月返済額 35,937円
- 総返済額 2,156,220円
*JAバンクマイカーローン返済シミュレーションで計算
しかし、それでもこの85,000円という金額が、余裕を持って返済できる額かどうかは個人によって違ってきます。
85,000円くらいの支出があっても生活に使用はないと言えるくらいの月収がある方なら問題はないでしょうが、月収の半分を占めることになるという人にとっては大きな返済負担となってくるでしょう。
つまり好条件で借り入れできるにしても、返済できる額は年収に応じて違いが出てくるというわけです。
年収から見る借り入れ可能額は?
月収が12万円の方が毎月8万円もの返済を強いられる借金を背負うことは、無謀な行為としか言いようがありません。
生活していくためのお金が必要になることを考えれば、生活が破綻してしまうことが目に見えているからです。
事実、年収が低ければ金融機関も貸し倒れとなる可能性が高い融資は絶対に行わないでしょう。
そこで何を持って融資可能かどうかを計るのかということになってきますが、その判断基準の1つとして用いられているのが返済比率です。
返済比率は年間返済額が年収の何割に当たるのかを数値化したもので、金融機関では住宅ローンをはじめとする各種の融資審査で用いられています。
基準となる返済比率は各金融機関で違いはありますが、住宅金融支援機構のフラット35利用時にはどの金融機関でも下記返済比率が基準となります。
- 年収400万円未満 30%以下
- 年収400万円以上 35%以下
希望借入額がこの返済比率を超えていれば返済に問題が生じる確率が高くなると判断され、融資NGもしくは融資額の減額による融資に切り替えられます。
よって長期返済と低金利で毎月の返済額が抑えられている住宅ローンでも、3,000万円という高額借入を行うには年収が大きく影響してくるというわけです。
それでは3,000万円の借り入れが可能な年収はいくらなのかを、フラット35のシミュレーションを利用して見てみることにしましょう。
年収別による借入可能額は下記のとおりです。
(シミュレーション時条件)
- 金利 1.0%
- 返済期間 35年
- 返済方法 元利均等
- 他社借入 なし
- 100万円 借入可能額885万円
- 200万円 借入可能額1,771万円
- 300万円 借入可能額2,656万円
- 350万円 借入可能額3,099万円
3,000万円の借り入れをするには、年収350万円条件となってくるというわけです。
以上のように住宅ローンでは3,000万円もの高額借入の実現は珍しい話ではありません。
しかし、借り入れするにはそれ相応の年収が必要だということを肝に銘じておきましょう。
住宅ローン減税で税金控除も受けられる!
また住宅ローンで3,000万円という高額借入を後押ししているのが、行政が実施している減税制度です。
住宅をローン購入した場合には住宅ローン減税が利用でき、年度末の住宅ローン残高の1%が10年の間、所得税額から控除されます。
年度末の住宅ローン残高が3,000万円であれば、30万円の所得税控除が受けられるというわけです。
もちろん支払う所得税が控除額を上回っていることが条件となってきますが、この控除額は大きな返済負担の軽減となってきます。
所得税が満たない場合は住民税からの控除も受けられるので、広範囲で利用できる制度と言えるでしょう。
住宅ローン減税制度の内容は下記のとおりです。
- 最大控除額 400万円(年間最大40万円の10年分)
- 住民税からの上限控除額 13.65万円/年(前年度課税所得の7%)
- 適用条件 床面積が50㎡以上、借入金の償還期間が10年以上
3,000万円という高額借入が実現できるのも、こういった補助制度があったればというわけです。
まとめ
借金3,000万円を負ってしまった時には、まずは状況を整理して、計画的な返済を考えることが大切です。
完済できる目処もなく、とりあえず返済してしまっていては、努力が無駄になってしまう可能性があります。
本当に返済する必要のある借金か、ご自身の収入からどれだけ返済できそうかなどを整理して、返済方法について債権者と相談する必要があります。
相談がうまくまとまらなかった場合や、完済できる目処が立たないときには、債務整理も検討する必要があります。
その際には、弁護士や、専門の公的機関などに相談するのが良いでしょう。
※₁お申込の状況によってはご希望にそえない場合がございます。
※お借入れ総額により収入証明書(源泉徴収票等)が必要です。