借金苦で失踪したらどうなるの?その後のリスクを簡単まとめ
多額の借金を背負い、悩んだ挙げ句に失踪してしまう人は少なくありません。
失踪すると借金から一瞬は解放されたような気持ちになりますが、メリットよりもデメリットの方が多くなりますので注意が必要です。
そこで、失踪したらどうなるのか、また残された家族や債権者はどうしたらいいのか失踪について説明します。
この記事はこんなひとにおすすめ
- 借金返済が苦しくて失踪することを検討している人
- 家族や親戚に失踪者がいて、どのように対処すべきか知りたい人
記事の目次
借金苦で失踪する人失踪サイン
借金苦で失踪を考える人には、事前にどのような前兆が現れるのでしょうか。
人それぞれ前兆は異なりますが、共通する内容として多いことをまとめました。
もし、家族に以下のような行動をする人がいる場合には、注意して行動を観察した方がよいかもしれません。
身辺整理を始める
失踪する場合、徐々に身辺整理を始める可能性があります。
突然、部屋の整理整頓をし始めた場合や、会社を辞めてしまう、携帯電話を解約したり変更などを行っていたりすることなどが挙げられます。
また、貯金などを全て解約し、手元に現金を持つようになった場合にも注意が必要です。
失踪後に口座から現金を引き出すことで、自分の居場所が突き止められることがないように対策を立て始めたと考えられます。
慣れない手紙を書いている
普段は手紙を書くことがないというのに、誰かに手紙を書いているようであれば失踪のための準備をしているかもしれません。
多くの場合、手紙は家族に向けたものです。
借金で苦しんでいる人は、家族や身内に迷惑をかけたくないという思いがあるのです。
急に自分がいなくなったときに家族が慌てることがないように、「探さないでほしい」という主旨の手紙などを残す場合があります。
慣れない手紙は、失踪する前のサインの可能性があるので警戒してください。
なお、置き手紙を発見した場合は、警察に相談をして失踪届を提出してください。
このような置き手紙を置く人は、命を落とすことも考えていますので、いち早く警察に相談をして、早め早めの対策を採ることをおすすめします。
コソコソと調べ事をしている
失踪を考えている人は、失踪後にどこで生活を送るかを考えています。
失踪後に居場所を突き止められないようにするため、誰にも知られないようにコソコソと調べなければなりません。
家族の誰にもばれないように調べものをすることは不自然です。
例えば、パソコンで何やら調べものをしていたのに、誰かが近くに来ると画面を切り替えて見られないようにするなどの行動には十分に警戒をしておくべきです。
借金で失踪する前に解決方法を考えてみる
借金のせいで人生を台無しにする必要はありません。
借金問題を解決する方法は失踪以外にも存在します。
失踪しても根本的な解決にはならないので、他の方法を考えることが重要です。
まずは、失踪を実行に移す前に借金について専門機関に相談してみることが大切です。
相談先は国の機関である「法テラス」や弁護士、司法書士などどこでもいいです。
弁護士費用を支払うことができないのではないかと不安に思う人は、無料で相談できる弁護士事務所や法テラスの利用がおすすめです。
専門家に自分の今の状況を客観的に判断してもらい、解決策を考えてください。
借金で失踪をした人のその後の生活
借金から逃げたいという思いから失踪をしても、その後大きなリスクを背負うことになります。
どのようなリスクがあるのか、まとめましたので一緒に確認してください。
失踪者の生活を知れば、自己破産者として生活することの方がマシなど別の方法を考える気になるかもしれません。
①失踪してもお金がないのは変わらない
借金が原因で失踪を考えている場合、返済に回せる資金がないということです。
したがって、失踪をしたとしてもお金がない状況が変わるわけではありません。
もし、生活の苦しさから失踪を考えているのであれば、失踪しただけでは状況は変わらない可能性が高いです。
まず、失踪するためには、今の仕事をやめなければなりません。
十分な貯蓄がない状態で収入を失うわけですから、新しい仕事が見つかるまではかなり切り詰めた生活を送る必要があります。
②失踪者が仕事を見つけるのは難しい
失踪した場合は新天地で新しい職に就こうと考えても、非常に難しくなります。
特に正社員で働くのは厳しいです。
失踪すると自分の居場所を突きめとられないようにと、ほとんどの人が気を付けます。
そのため、住民票を移動させることができません。
住民票は手数料を払えば誰でも取り寄せることができますが、このことによって居場所がバレてしまう可能性があるからです。
正社員での就職には、住民票の提出が必ず求められます。
そのため失踪した場合には、正社員で仕事をするのはほぼ不可能になります。
③家族や友人との縁が切れる
失踪後の居場所を突き止められないようにするために、付き合いのあった人たちと連絡を取ることはできません。
これまで築き上げてきた人間関係がリセットされてしまうので、孤独を感じることになるかもしれません。
失踪後の生活では、自分の情報が広がることを避けるために人との関わりを避けたがるものです。
今までと同じように、誰かと楽しい時間を過ごすことは難しくなってしまいます。
失踪で借金問題を解決することで、大事なものを失ってしまうかもしれません。
④借金から逃げ切ることは難しい
借金には時効があります。
そのため、時効まで逃げ切れれば踏み倒せると考える人もいるのかもしれませんが、借金の踏み倒しは返済するよりも難しいことです。
なぜならば、債権者(お金を貸したもの)は借金の時効を成立させないため、あらゆる方法を採るからです。
督促をされたり債権者から裁判を起こされたり、財産を差押えされたりした場合は時効がストップし成立しません。
さらに、逃げている間も、利息や遅延損害金はどんどん膨らむため借金は増え続けることになります。
⑤今後キャッシングなどを利用することはできない
滞納や遅延の履歴は、「事故情報」として、金融機関の信用情報に記録されます。
借金を返済せずに失踪した場合は、「事故情報」となり、信用にキズが付いている状態のため、今後はキャッシングやローンを利用するのは不可能です。
クレジットカードを利用できないと、生活をする上で不便を来すことも増えます。
失踪をすると、クレジットカードの利用はできなくなるため現金での支払いで対応しなければなりません。
失踪すると家族に迷惑をかける
失踪する場合は家族や親せき、友人などとも一切の交流を断つことになります。
知り合いもいない土地で、ひとり寂しく生きていくのはつらいです。
また、「今すぐ借金から逃れたい」という一心から、着の身着のままの勢いで失踪してしまった人もいるでしょうが、もし、住んでいた家が賃貸であり、解約手続きなどを行わずそのままにしてきてしまった場合は、失踪してからの賃料も発生しています。
数か月で大家や管理会社が賃料の滞納などに気付き、様子を見に来ることもあります。
入居者が失踪した場合、滞納分の賃料や原状回復費用などの請求は入居時に届け出た保証人が負うことになるのです。
もし両親などが保証人であった場合、失踪したことによってある日突然に保証人が数10万という請求を受け、苦しめられることになりますので気を付けてください。
息子が失踪した場合
失踪した息子の借金は、保証人になっていない限りは両親に返済義務はありません。
ただし、闇金のように非正規の業者から借金をしていた場合には、返済義務があるかどうかに関わらず激しい取り立てが行われます。
そのような場合には、警察署に被害届けを提出するなどの対応が必要です。
また、息子が失踪した場合には、ほとんどの両親は必死になって行方を探し出そうとします。
しかし、成人している場合には、捜索願を出したとしても事件性が低い場合には積極的に警察が動くことは少ないと考えられます。
息子の安否を確認できずに送る生活で、両親は大きなストレスを抱えることになりやすいです。
失踪する前に、借金問題を両親に打ち明けることを検討すべきです。
父親が失踪した場合
父親が失踪した場合でも、保証人でなければ父親の借金を替わりに返済する必要はありません。
しかし、遺産を相続する場合は、借金も含めて相続することになるため返済しなければならなくなるため注意が必要です。
なお、父親の存在は子供の成長に大きな影響を与えることがわかっています。
不安やストレスを感じるだけでなく、向上心が阻害されることもあるようです。
旦那が失踪した場合
旦那さんが失踪した場合、奥さんは様々なローンで連帯保証人となっている可能性があります。
保証人になっている借金に関しては返済義務が生じてしまうため、もし旦那さんが返済をしていない借金がある場合は奥さんに請求が来ます。
数か月分の借金をまとまって請求されるため、いざ支払おうと思っても難しいです。
また、奥さんだけで生活費を支払っているケースは少ないと考えられるため、旦那さんの失踪後は今までと同レベルの生活を送ることは困難です。
奥さんに貯蓄がある場合には、しばらくの間はなんとかなるかもしれませんが、貯蓄がなくなっていく内に大きな不安やストレスを感じるようになります。
兄弟が失踪した場合
兄弟に保証人を依頼することは少ないと考えられるため、兄弟の借金を替わりに払うことになる可能性は低いです。
しかし、家族なのだから替わりに支払うべきだなどと、借金の返済を催促してくる業者もあります。
保証人になっていない限りは返済する義務はありませんので、兄弟に請求するようにはっきりと伝えるようにしてください。
なお、兄弟が失踪することによって、両親は子供を探し出そうと必死になっている可能性が高いです。
捜索するために協力を持ちかけられるなど、兄弟が失踪してからしばらくは普段とは異なる生活を過ごすことになるかもしれません。
家族が失踪したときにできること
何の前触れもなく突然家族が失踪した場合、残された家族に本人を探す術はあるのでしょうか。
その対策の一部を紹介しますので参考にしてください。
交友関係を調べて確認する
失踪者の友人や知人などの家に一時的にかくまわれている可能性もあるため、まずは本人の交友関係を当たってください。
意外とすんなり失踪者が見つかる可能性もありますので、手当たり次第に友好関係を調べてみることをおすすめします。
警察に捜索願を出す
家族が失踪したときには警察に捜索願を出してください。
このときに、失踪した本人の情報と、本人と届出人との関係を示す書類が必要となります。
しかし、警察に届け出たからといって、すぐに捜査してくれるとは限りません。
警察はあくまで、未成年の子供の失踪や、事件性があると判断したものから優先的に捜査を行っています。
専門家に相談する
どうしても心当たりがなく、警察も動いてくれそうにないときは、探偵などの専門家に依頼することがおすすめです。
探偵に依頼するときは、全国展開している業者に相談をしてください。
全国になる情報網をいかして、失踪者を手当たり次第に捜索してくれます。
ただし、料金が高額になってしまうこともあることを覚えておいてください。
失踪した人の法的扱い
家族などが死亡した場合は、相続が発生しますが、失踪し、生死すら不明の場合はどのようになるのでしょうか。
失踪者は一定期間が経過すると、死亡したとみなされます。
それでは、失踪者の扱いがどのようになっているのか説明していきます。
失踪の種類による扱いの違い
実は失踪にはふたつの種類があり、どちらに該当するかによって扱いが異なります。
簡潔に説明しますので、ふたつに失踪について把握してください。
普通失踪
普通失踪は家出や蒸発といったときのように、ある日突然消息不明になってしまったことをいいます。
借金を理由にしての失踪はこちらが当てはまります。
普通失踪は家庭裁判所に失踪宣告の申立てを行い、家庭裁判所の調査が終了してから7年後に死亡したものとみなされます。
あくまで、家庭裁判所への申立てが必要となり、失踪から7年後に自動的に死亡とみなすわけではないので注意が必要です。
特別失踪
普通失踪と違い、地震や津波などの災害、飛行機事故や戦争、船舶事故など限りなく死亡している状況を判断される場合に適応されます。
期間は家庭裁判所の調査が終了から1年後になります。
死亡が確定すると借金も相続される
保証人になっていなければ、借金を返済する必要はありません。
しかし、元々は返済義務がなかったとしても、遺産を相続すると借金も一緒に相続することになるので注意が必要です。
なお、失踪宣告後、死亡したとみなされた日に相続も開始します。
手続きについては、通常の死亡のときと何ら違いはありませんが、死亡認定がされる前に本人が見つかった場合は、家庭裁判所に申し出ることによって、失踪宣告の取消しが可能です。
借金を相続しないようにするためには、「限定承認」か「相続放棄」のどちらかを選択することになります。
なお、限定承認とは相続する遺産がプラスだったときだけ相続するという方法です。
失踪者にどのような財産があるかわからない場合には、限定承認を選択しておくとよいです。
失踪した人が相続者だった場合
相続の協議を行うためには、相続者全員の合意が必要になります。
しかし、相続人の中に失踪者がいて、連絡を取れない場合にはどうすればよいのでしょうか。
そのような場合には、裁判所に申し立てを行うことによって、失踪者が不在の状況でも協議を行うことができます。
なお、失踪宣告により失踪者が死亡したとみなされている場合には、問題なく相続の協議を行うことができます。
しかし、失踪者が見つかった場合には、財産を返す必要があるので覚えておいてください。
失踪していた家族の借金について
仮に失踪していた家族が作った借金について、家族には返済義務はありません。
仮に失踪中に家族を連帯保証人にされていたとしても、本人の同意を得ていないわけですから返済義務が生じることはないのです。
なお、失踪者が作った借金の相続に関する問題ですが、失踪していた人が死亡した後に家族に支払いを求める連絡が来た場合はどうなるのでしょうか。
借金も相続の対象になるため、遺産を相続していれば相続人が借金の返済をしなければならないのですが、後から借金があったことが発覚した場合には、支払いを拒否することができます。
同意した上で保証人になっていない限りは、基本的に借金の返済義務はありませんので安心してください。
借金を残して失踪した夫と離婚するには
どのような理由があるにせよ、借金を残して失踪してしまった相手を待ち続けることはできないと思っても、全く不思議ではありません。
通常、離婚届を提出するためには二人の署名と捺印が必要ですが、失踪した相手と離婚する場合にはどうすればよいのでしょうか。
離婚するための条件
失踪した相手と離婚できる条件は、「生死不明な状態が3年以上続いている」ことです。
現在はスマホが普及しているため、メールなどで連絡がつく状態が継続している場合には生死不明と認められませんので注意してください。
また、3年が継続していなくても、「悪意の遺棄」が認められれば離婚できる可能性があります。
悪意の遺棄とは、正当な理由がないのに仕事をしなかったり、生活費を全く出さなかったりなどの行為を指します。
なお、上記のどちらが認められなかった場合でも、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があるのです。
仮に連絡が取れる状態で、夫に悪意がなかったとしても離婚できる可能性は残されています。
離婚する方法
失踪した夫と離婚したい場合、家庭裁判所で離婚訴訟を起こすことから始めます。
しかし、訴訟を起こすとしても、相手がどこにいるかわからない状態では、訴状を送ることができません。
そこで、失踪者を相手に訴訟を起こす場合には、公示送達という手段を取ることになります。
公示送達とは簡単に説明すると、裁判所内に設置されている掲示板に訴状を掲示するという方法です。
その後、夫が裁判に出席しない状態で裁判が始まり、離婚する正当な理由を示すことができれば離婚成立となります。
判決が出てから10日以内に、市役所に離婚届けの提出を行ってください。
なお、裁判には専門的な知識が必要になりますので、自分で解決しようとせずに、離婚問題に詳しい弁護士に相談することがおすすめです。
離婚した元夫が帰ってきた場合
裁判で離婚が成立しているため、判決が変わることはありません。
離婚した元夫が帰ってきた場合には、離婚が成立していることを落ち着いて伝えてください。
しかし、帰ってきたといういことは、元夫は十分に反省したことなどを言い分に寄りを戻したいと主張してくるかもしれません。
今後については二人で話合うべきことですので、正解はないでしょう。
感情的にならずに対話をして決めることをおすすめします。
借金による失踪に関するQ&A
これまで借金が原因の失踪について見てきました。
失踪することで周囲に与える影響が大きいことがわかったと思います。
ここからは、よくある質問に回答していきますので、悩みの解決に是非活用してください。
まとめ
失踪をしても余りメリットはなく、むしろデメリットの方が大きいです。
失踪したいほど困ったら、まずは専門家へ相談し、借金の減額や免責などが受けられないか確認してみることが大切です。
返済できなくても逃げるのではなく法的に借金を減らすなどし、今後の生活を立て直していくことが賢い選択なのではないでしょうか。
※₁お申込の状況によってはご希望にそえない場合がございます。
※お借入れ総額により収入証明書(源泉徴収票等)が必要です。