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生活保護で借金の返済はできる?~借り入れ中でも受給可能?~

執筆者の情報
名前:馬沢結愛

年齢:30歳
性別:女性
職歴:平成18年4月より信用金庫勤務

生活保護とは

最近では収入は減っているものの物価は上昇していますので生活をしていくために借金をして生活をしている人も多く、返済をしながら生活をしていくことに限界を感じている人もいるはずです。

また、仕事を失うなどで収入がなくなってしまったという人であれば返済できるはずもなく、そのような人たちが考えることの1つとして「生活保護」があります。

ですが、生活保護費において借金の返済ができるのかというとこがわからないという人も多くおり、生活保護を申請しようとしている人にとっては特に関心があることだと思います。

ここでは生活保護費で借金の返済ができるのかについて紹介していきますが、まずは生活保護とはどのような制度なのかということに少し触れていきたいと思います。

生活保護制度とは、お金が無いために生活に困窮している人に最低限度の生活ができるようにすることを目的としている制度であり、最低限生活できるだけの保護費を国から支給してもらいます。

生活保護を受給するための条件

生活保護を受給するためには条件を満たしたうえで各地域にある福祉事務所へ申請をし、申請が通ることで受給することができます。

この生活保護を受給するための条件とは、

  • 財産をほとんど持っていない
  • 収入がない、または少し収入はあるが最低生活費を下回っている
  • 支援をしてくれる親族などがいない

という条件を満たす必要があります。

ですので、所有している住宅や土地、車などがある、支援してくれる親族などがいるという場合には受給できません。

あくまでも仕事ができないまたは仕事ができても生活できないという人が財産を売り、さらに支援してくれる親族などがいないという場合でなければ受給することができません。

ですので、本当に生活ができないという人でなければ受給することができず、そのような人にとっては最後の砦ともいえる制度であるといえます。

最低生活費は地域などで違う

生活保護は最低限度の生活をできるようにするものでありますので「最低生活費」というものを定めています。

この最低生活費は物価の違いなどのさまざまな要素から構成されていますので住んでいる地域や家族構成などによっても違います。

この計算はさまざまな要素から導き出されるものですので、詳しく知りたいという場合には福祉事務所へ相談することをおすすめします。

生活保護費では原則返済できない

ここから本題である生活保護費で借金の返済ができるのかということについて紹介をしていきますが、先に答えをいいますと生活保護費で借金の返済はできません。

生活保護について調べたという人は知っていると思いますが、生活保護を定めている生活保護法には条件を満たす限り無差別で平等に保護を受けるとしか記載されておらず、借金については触れていません。

しかし、生活保護は借金の返済を目的としている制度ではなく、あくまでも最低限度の生活を保障するものであります。

現に福祉事務所では「原則として生活保護費で借金の返済はしてはならない」としていますので、法律で記載されていなくても借金の返済をすることはできません。

少額であれば返済も可能

生活保護費では借金の返済は原則としてしてはなりませんが、絶対に返済に充ててはならないというわけではありません。

「原則」という言葉は基本的に守らなければならないことであり、状況によっては守らなくてもよい「例外」も可能となります。

ですので、生活保護費での借金返済は「原則」禁止されていますが、数万円などの少額である場合には「例外」としてその返済を認めてもらえる可能性もあります。

あくまでも可能性であり、必ずしも少額であれば認めてもらえるというわけではありませんが、このようなことも福祉事務所に相談することで柔軟に対応してくれます。

借金があれば債務整理を勧められる

少額の借金であれば生活保護費で返済できるということがわかりましたが、少額ではない借金があるという人は生活保護を受給することができないのではと思うかもしれません。

しかし、少額ではない借金があったとしても生活保護を受給することはできます。

受給はできますが、その際には債務整理をするように福祉事務所から勧められます。

債務整理とは借金の減額や金利のカット、借金そのものをなくすということができる手続きのことであり、主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」という手続きがあります。

これらの手続きはそれぞれ違った特徴がありますが、共通していることは手続きをすると5年~10年は借金をすることやクレジットカードを作ることができなくなります。

また、債務整理をする場合には司法書士などに支払う費用も発生しますので生活保護を受給する前にこの費用分を準備しなければなりません。

債務整理とは借金を合法的に減らす手段

基本的には自己破産となる

生活保護を受給するために債務整理をする場合には基本的に「自己破産」をすることになります。

というのも「任意整理は」グレーゾーン金利で多く返済してきたものを借金の減額に充て、さらに金利をカットして元金のみを返済するだけにし、それを3年程度で完済させるものです。

これでは3年程度は借金が残ってしまいますので返済は必要であり、この返済を生活保護費で例外的に認めてもらわなければなりません。

それでも過払い金があることがわかり、それによって借金がなくなるのであればそれでいいのですが、過払い金ですべての借金がなくなるということはそれほど多くはありません。

「個人再生は」財産を残したまま借金を減額するものでありますので、そもそも財産を残していると受給できない生活保護では無意味です。

「自己破産」は財産も収入もないことで借金の返済義務を免除してもらうものですので、生活保護の条件と似ています。

これらのことから生活保護を受けるために債務整理をする場合には「自己破産」が基本となります。

受給中の借金は収入と見做される

生活保護は最低限度の生活ができるだけの金額となりますので時にはお金が足りなくなるということもあるかもしれません。

生活保護を受給せず普通に生活をしているという人であれば一時的に借金をして乗り切ることもできますが、生活保護を受給している人は借金をしてはいけません。

生活保護費受給者が受給中に借金をしてはならないという定めはありませんが、借金をした場合にはその金額は「収入」と見なされてしまいます。

生活保護費は収入の有無によって受給できる金額も変わりますので、借金をした金額の分だけ受給額が減額されます。

また、借金の額によっては生活保護が廃止または停止となることもあり、借金をしたことで受給できなくなる可能性もあります。

生活保護受給者は調査される可能性もある

生活保護受給中の借金は基本的に自分から申告しなければわかりませんが、生活保護費を不正に受給していないかという調査はいつされているかわかりません。

生活保護費は国民の税金で賄われているものですので、不正受給の疑いがある人に対して通帳を提出させるなどの調査も行われます。

調査の末、借金していたということが発覚してしまえばその時点で保護費の減額や停止、廃止といった処置を取られてしまいます。

ですので、申告しなければわからないからというような甘い考えで借金をすることは絶対にしてはなりません。

生活保護を不正に受給した場合

生活保護費を不正に受給した場合、厳重に注意を受けることはもちろん、廃止されてしまうこともあります。

また、不正受給をした分は返納しなければならず、過湿の程度により返納する割合も違います。

生活保護費の不正受給に対する返納は、

  • 過失によるもの・・・不正受給分の100%を返納
  • 故意によるもの・・・不正受給分の140%を返納
  • 悪質な故意によるもの・・・不正受給分の140%を返納

というように、場合によっては受給した分よりも多くの金額を返納しなければならないこともあります。

生活保護の条件に借金は関係ない?

生活保護法受けるためには一定の条件があり、利用できるものは何でも利用する、それでも生活に困窮している場合は生活保護を受けるのが基本的な条件です。

具体的には次の条件を満たしていないと生活保護を受けることはできません。

資産があれば売却する

預貯金や生活の拠点として利用していない土地や家屋などがある場合は、預貯金を取り崩すことや土地や家屋を売却して生活費にあてなければなりません。

ということは生活の拠点として使っている自宅があっても、生活保護の拒否要件には当たらないと言うことですね。

自動車については各自治体によって判断が異なり、生活をする上で必要と認められれば自動車を持つことができます。

したがって自動車は必ず売却しなければならない、ことは生活保護を受ける要件にはなりません。

能力があれば活用する

能力とは働くことができるカラダ、及び知能などのことを言います。

つまり元気で丈夫なカラダを持ち、社会的に働くことができる能力があると認められる場合は働かなければなりません。

カラダや精神に障害を持ち、能力を活用することができない場合に限って生活保護を受けることができます。

あらゆるものを活用する

公的年金の受給や公的機関の借り入れによって自立した生活を送ることができる場合は、生活保護を受ける前に利用しなければなりません。

収入はあるものの、カードローンでお金を借りるだけの年収に満たない場合は、公的機関の借入を利用することができるわけです。

社会福祉協議会が行っている生活福祉資金貸付制度や、母子家庭や父子家庭が借り入れできる、母子父子寡婦福祉資金の借入を行うことで自立した生活を送れる場合は積極的に利用しなさいと言うことです。

親族からの支援を活用する

3親等以内の親族からの支援によって自立した生活を送れるのであれば、生活保護を受ける前に援助を受けなければなりません。

なお親族からの援助は親族の生活を乱してまで行う必要はありません。親族に十分な資力がある場合は支援を受けて下さいの意味です。

もちろん親子関係や兄弟関係でも生活の支援を受けることができるのであれば、本人が生活に困窮しているからといっても生活保護を受けることはできません。

生活保護要件に借金問題は入らない

つまり生活保護要件には借金問題についての条件は一切ないわけです。

したがって借金があったら生活保護は受給できない、の一般的な認識は厚生労働省が定める要件に含まれていないため、どうやら誤解がありそうですね。

しかも自宅があったら生活保護を受給できないとかの認識も一部誤解がありますね。

生活保護は収入があったとしても、あまりにも収入が少ないために少ない分を補填する役割を果たしています。

例えば生活保護費が計算の上で13万円支給されるとして、働いても10万円しか稼ぐことができなければ差引3万円を生活保護として受給できます。

しかし生活保護を受けるためには市区町村のケースワーカーと綿密な計画を立てなければなりません。

生活保護法の第62条に、ケースワーカーは生活保護を受けようとする人に対して必要な指導を指示することができると定めてあります。

ケースワーカーから借金の債務整理をするように指導された場合、したがわなければならないのです。

生活保護法には借金があったら生活保護を受給できないとは書いていませんし、厚生労働省のホームページにある生活保護の要件にも借金の有無の条件は書いてありません。

たとえケースワーカーから借金の債務整理をするように指導されたとしても、いずれ社会復帰できる見込みがある場合は断ることが可能です。

一時的に働けなくなったとしても、そのうちに社会復帰して仕事が出来るようになった場合、債務整理をしていたら金融事故として信用情報機関に登録されてしまいますね。

そうなってしまうとお金に関する契約は一切出来なくなってしまいます。クレジットカードさえ作ることができません。

ケースワーカーが無理を押して債務整理を強いることは、生活保護法第62条の拡大解釈に他なりません。

ただし社会復帰することが難しい場合に限っては、ケースワーカーの指示の通りに自己破産をした方が生活困窮から早急に抜け出すこともできます。

または社会復帰することができることが予想できたとしても、あまりにも多額の借金がある場合は、生活保護をもらっても借金返済のために家計収支状況が悪化し、いつまでたっても困窮状態から抜け出すことができないこともありますね。

明らかに多額の借金を抱えている場合は、生活保護受給申請の許可が出た後に自己破産をしなければならない場合もあります。

借金はケースバイケースで考えるようにケースワーカーとよく相談する必要があります。

生活保護受給中の借金は禁止?

生活保護を受給しているのに、新たに借金することは生活保護法にも禁止されている事項ではありません。

しかし生活保護の財源は国民が支払う税金であると言うことを考えると、社会通念上認められることではありませんし、国民感情から考えても許される行為ではありませんね。

そもそも生活保護は生活が困窮しているからこそ受給できるのです。

生活をすることができない状態で新たに借金を作ってしまうとますます生活が苦しくなってしまうでしょう。

生活保護はあくまでも自立支援が目的です。

新たに借金を作ってしまっては自立支援の道も遠のくばかりで良いことは何もありません。

生活保護受給の人に貸してくれる金融機関はまずありませんが、無登録業者、いわゆる闇金は生活保護者に対して貸付しているようです。

いかなる場合でも新たに借金をしてはいけません。

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金融機関からの借金はできなくても、友人や知人、親戚などからの借金はバレなければ良いのではないかと考えがちですね。

しかし生活保護を受給している間はたとえ借金だとしても収入とみなされてしまいます。

借金は申告の対象です。

ケースワーカーに見せる家計簿を見せれば収入と支出が合わない、と見破られてしまいますし、たとえ申告しなかったとしても銀行口座にお金が振り込まれればすぐにバレてしまいます。

生活保護を担当している福祉事務所は常に銀行口座でお金の流れをチェックしていますよ。

生活保護費を13万円受給しているとして、友人から3万円借金をしてしまうと生活保護費は3万円減額され10万円しか支給されなくなってしまいます。

あまりにも悪質な場合は生活保護受給を停止されることもありますので、たとえ個人からの借金だとしても絶対行ってはいけません。

マイナンバー制度で借金がバレる?

すでに始まっているマイナンバー制度は就労の関係や年金、医療保険、生活保護、源泉徴収など、行政サービスを便利で早く手続きができるように利用される制度です。

したがって生活保護を受けている人が内緒でアルバイトをしても、マイナンバー制度で収入を得ていることがバレます。

しかしマイナンバーを利用するケースは銀行預金口座を開くときや預金残高の確認の場合だけです。

消費者金融からお金を借りる場合、マイナンバーの提出は必要ありません。

まして本人確認書類として顔写真付きのマイナンバーカードを利用する場合は、番号部分をテープで覆い隠すなど工夫をしなければならないほどです。

つまり借金をしていることは行政で管理しているわけではありませんから、マイナンバーではバレないと言うことですね。

ただしマイナンバー制度の利用が今後どのように変わっていくのか、ことと次第によってはマイマイナンバーによって管理できる日が来るかもしれません。

借金がバレるのは、お金が銀行預金に振り込まれた場合や、契約書や領収書が見つかった場合です。

しかし既にご説明のように、借金はバレなければ良いと言うわけではありません。ケースワーカーの目はザルではありませんよ。

家計収支状況記入した家計簿を見れば辻褄が合わない部分が出てくるでしょうし、誰かから通報されることで借金がバレることもあるのです。

何度も言うようですが生活保護を受給しているのに借金をしてはいけません。

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まとめ

生活保護費を借金の返済に充てることは原則としてしてはならないということを覚えておかなければなりません。

しかし、借金の金額によっては例外的に返済に充てることもできますので、必ずしも返済に充てることはできないというわけではありません。

どのような対応となるかは実際に各地域の福祉事務所に相談しなければわからないことでありますので、まずは借金の状況なども含めて相談することをおすすめします。

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