入院費の支払いが困難な際に使える生活保護などの制度
急性心筋梗塞などのように、ある日突然病気となってしますこともありますし、交通事故によって事故現場からそのまま病院へ行って入院するなど、緊急入院する可能性は誰にでもあります。
このような緊急で病院に入院してしまった場合、入院費を払うことができない状況となっている人もいると思います。
しかし、入院が必要なほど緊迫している状況で、お金がないからといって治療しなければ命に関わることになってしまいます。
この記事では、緊急入院する事になった場合の病院への支払いや、使える制度などを詳しく解説していきます。
記事の目次
緊急入院で入院費が払えない!どうすればいい?
緊急入院をしたが、なんとか無事に退院できるまでに回復したことは嬉しいことですが、すぐに入院費の請求をされてしまいます。
では、この時点で入院費を払えるだけのお金がない場合にはどのようにしたらよいのでしょうか?
退院時に払えないなら後払いをお願いする
大きな病院であれば、どこかしらの銀行ATMが設置されていることもありますが、そもそも口座に残高がなければ支払いことはできません。
その場で入院費を支払うことができない場合、病院の担当者に「今はお金がないので、後日支払います」というように、後払いをお願いしてみましょう。
緊急入院をしたことは病院でもわかっていることですので、後払いのお願いをして断られる可能性は少ないはずです。
分割払いの相談をする
通常、後払いというと、退院後に一括して入院費を支払うことをいいます。
しかし、普段からギリギリで生活していてほとんど貯蓄していなければ、一括で支払うことはできません。
このような場合は、後払いの他に、分割払いの相談もするようにしましょう。
病院側もまったくお金を回収できないよりは、少しづつでも回収できたほうが良いですので、分割の相談をしても了承してくれるはずです。
ですが、分割で入院費を支払う場合には、毎月どのくらいなら支払っていくことができるのかなど、できるだけ具体的な支払額や期日を自分の方から提示して交渉するようにしましょう。
未払でも退院はできる
退院時にお金がなくて入院費を支払うことができない場合、払えるまで入院させられることはありません。
病院は病気やケガの治療をするところであり、入院の必要のない人をいつまでも置いておくわけにいきません。
また、病院経営の観点から言いますと、入院患者は次々と入れていったほうが収益があがりますので、病院としては入院の必要のない患者に関してはすぐにでも退院してもらいたいのが本音です。
そのため、入院費を支払うことができなかったとしても、退院することは可能なのです。
クレジットカードで払える場合もある
最近では、病院でもクレジットカードを利用できるところもあります。
クレジットカードであれば、その場で現金を用意する必要もありませんし、クレジット会社から請求されるのは翌月または翌々月となり、お金を用意するまでの期間を稼ぐことができます。
しかし、クレジットカードには人それぞれカードごとに異なる限度額が設定されていますので、限度額が少ない場合には支払うことができない可能性もあることに注意しなければなりません。
ぜひ利用したい!国の補助制度や、社会保険の給付金制度
病気やケガによる治療費などの費用については、国や社会保険などでさまざまな補助や給付金の制度があります。
ここでは、入院費を支払うために利用できる制度を5つ挙げ、その特徴や退院後に手続きが可能なのか、手続きの方法、返金までの期間について紹介していきます。
①高額療養費制度
「高額療養費制度」とは、一ヶ月単位でかかった医療費のうち、所得決められた上限額を超えた金額を支給する制度です。
例えば、年収が370万円~770万円の方のケースでいくと、自己負担額は80,100円+(医療費-267,000円)×1%という式で、自己負担額の上限が決められます。
仮に、医療費が100万円だった場合は、80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円という事になります。
この制度は、事前に「認定証」を入手することで上限を超えた部分に関しては病院窓口で支払う必要がないのですが、緊急入院時には認定証を入手していないことも多いです。
この場合は、一度病院へ支払い、その後に社会保険であれば加入する健康保険組合、国民健康保険であれば市町村に手続きすることで上限を超えた部分の返金を受けることができます。
ただし、返金されるまでには3ヶ月以上かかることになります。
高額療養費で対象外となる費用
高額療養費制度には、対象となる費用と対象とならない費用がある為、注意が必要です。
もちろん基本的な医療費に対しては適用されますが、差額ベッド代や食事代、そして昨今がん治療に有効とされる、先進医療の費用には、この制度は適用されません。
また、病院までの交通費も対象外となります。
②傷病手当金制度
「傷病手当金制度」とは、病気やケガによって仕事ができなくなった場合に、会社から十分な報酬を受け取ることができなかった場合に、給与に代わって支給される制度です。
この制度は、社会保険に加入している人であり、いわゆるサラリーマンが利用できる制度となっており、以下の条件を満たした場合に支給されることになります。
|
もらうことができる金額については、直近12ヶ月間の標準報酬月額を平均した額が元となって計算されます。
例えば、直近12ヶ月間の標準報酬月額の平均が30万円である場合、1日あたりの金額は6,667円となります。
30日間仕事に就くことができなければ、傷病手当金で20万円程度の支給を受けることができます。
なお、支給される期間については、支給開始から最長1年6ヶ月であり、この期間中に復職して再度休業した場合は、期間にカウントされて復職した期間(給料をもらった期間)については支給されません。
申請は加入する健康保険組合に行い、支給されるまでの期間については、申請からおよそ1ヶ月~2ヶ月程度となっています。
ただし、実際に休業したことの証明を会社からしてもらう必要がありますので、完全に復職してから申請となることが一般的です。
③高額医療費貸付制度
「高額医療費貸付制度」とは、3ヶ月以上かかってしまう高額療養費の返金までにかかる当面の医療費支払いに充てることができる資金を借りられる制度です。
そのため、この制度を利用するのは退院後ということになります。
この制度を利用して借りたお金は、無利子となりますので、借りた分の金額だけを返済するだけで良いことが特徴です。
借りられる金額は、社会保険なら医療費の8割、国民健康保険なら9割であり、ほとんどをこの制度で賄うことができます。
手続きは加入する健康保険組合や市町村で行い、貸付金を受け取るまでには受付後2週間~3週間と比較的短期間で借りることができます。
④一部負担金減免制度
「一部負担金減免制度」とは、事情により生活が著しく困難になったと認められる場合に、医療費の自己負担額が減額(一部負担金の50%を免除)・免除・徴収猶予される制度です。
この制度は国民健康保険に加入する事業者などを対象としており、以下の要件に該当した場合に利用できます。
|
この制度を利用する場合は、各市町村の国民健康保険を担当する課で手続きすることができます。
なお、減免の場合は1ヶ月単位の更新制で原則3ヶ月までとなっていますが、再度申請して認められた場合にはさらに3ヶ月間延長(合計で6ヶ月以内)することができます。
⑤中小企業従業員生活資金融資
「中小企業従業員生活資金融資」とは、生活の安定に資することを目的として一時的にお金が必要な人へ融資をする制度です。
制度名にもありますように、この制度は中小企業に勤務する従業員を対象とした制度であり、非常に低金利で借りることができます。
借りられる金額については、基本的に70万円以内となっていますが、医療費の場合には特例として100万円まで借りることができ、金利は1.8%で返済期間は3年以内(70万円超の借入の場合は5年以内)となっています。
この制度は都道府県が行っている制度なのですが、手続きは提携している労働金庫などで行うことになります。
また、この制度は通常のローンと同じように審査があり、審査の結果は5営業日程度で通知され、その後に契約手続きを行いますので、借りられるまでには2週間程度かかることになります。
なお、この制度を利用するためには必要な資金を証明する書類が必要となることもあり、入院費であれば病院が発行した請求書などを提出しなければなりません。
⑥自立支援制度
自立支援制度とは精神疾患のある人が、精神科などの入院を除く通院治療、訪問看護などでかかる負担額を軽減する制度です。
この制度の対象となる精神疾患は統合失調症やうつ病、薬物の依存症、知的障害、強迫性人格障害、てんかんなどがあります。
制度が適用されると、生活保護世帯であれば0円、世帯所得や市町村税の額によっては通常3割負担のところ1割負担で医療を受けることが可能で、月にかかる医療費の負担額には2,500円までと上限も設けられています。
また精神疾患が重度になれば、その負担額が減ることになります。
申し込みは各市町村の担当課で行います。
申請には自立支援医療(精神通院)支給認定申請書を記入し、通院している病院や診療所での診断書、課税証明書や非課税証明書などの世帯所得が確認できるもの、健康保険証の写しの提出が必要です。
また自治体や症状の重症度によって提出する書類が異なる可能性がありますので、利用の前にあらかじめ確認することをおすすめします。
精神疾患の治療は長期化することもありますので、この制度を使って少しでも負担額を減らしましょう。
⑦限度額適用認定
高額療養費制度や、高度療養費貸付制度についてご紹介しました。
自己負担限度額を超えた部分について払戻しが受けられる制度や、払戻金額の大部分を借りられる制度となっていますが、どちらにしてもある程度の一時的な負担は必要となり、特に高額療養費制度だけに限っては、一時的に全てを負担しなくてはなりません。
自己負担限度額は、年齢や所得によってあらかじめ設定されていますので、もしあらかじめ医療費が高額になると予想できている場合に関しては、限度額適用認定証を申請がとても便利です。
この限度額適用認定証を利用することによって、高額療養費制度のように、一時的に全てを負担する必要なく、限度額までの支払いに変えることが可能となります。
限度額適法認定証に関しても申請が必要となり、申請以前のものに対して適応はされないので、医療費が高額になるとわかった場合は、すぐに全国健康保険協会などの対象の窓口に問い合わせることをおすすめします。
場合によっては生活保護も有効
ここまで活用したい医療制度についてご紹介しましたが、実は私たちの知っている制度の中にも活用できる可能性のある制度が存在します。
それが生活保護です。
生活保護と聞くと、仕事をしていない、または何らかの理由でできない人の生活を支えるための制度に思えますが、実は生活保護を受けている方の医療費は免除される一面もあります。
そのため、もし生活保護に認定される場合、これからかかる可能性のある医療費を免除できる可能性もあるということになりますね。
しかしながら、生活保護に認定されるには様々な条件があり、どれも一般的に該当しづらいものと言えるかも知れません。
それでも闘病が原因で職を失い、生活が困難になるなどの状況も考えられるので、もし該当するかもと思う場合は管轄の区役所などにご相談することをおすすめします。
生活保護や年金など低所得者が使える制度
生活保護を受けている人は、福祉事務所に申請することで「医療チケット」をもらうことができ、これを病院窓口に出すことで医療費が無料となります。
しかし、年金受給者などのような低所得者は、少ない収入から医療費を捻出しなければなりません。
そのため、緊急入院にかかわらず医療費自体を支払うことが困難な場合も多いです。
このような低所得者の方は、「無料低額診療事業」という制度を利用できることをご存知でしょうか。
無料低額診療事業
「無料低額診療事業制度」とは、「低所得者」「要保護者」「ホームレス」「DV被害者」「人身取引被害者」などの生活困難者が利用できる制度です。
この制度を利用することで、医療費の自己負担額を全額または一部を免除してくれます。
そのため、年金生活をしている親の入院費を払うことができない子供がこの制度のことを知っていることで、入院費を支払わなくても良くなる可能性があります。
しかし、この制度を利用して治療を受けられる病院や診療所は限られており、どこの医療機関で利用できるかは「全日本民医連」のホームページで調べることができます。
手続き方法については、制度を利用できる医療機関の窓口において「制度を利用したい」と申し出し、面談を受けたうえで決定の可否を判断されます。
なお、面談の結果によっては制度を利用できないこともありますが、担当者が一緒に打開するための相談に応じ、必要に応じて利用できる他の制度を勧められることもあります。
無料・低額とならない費用もある
無料低額診療事業制度で医療費が無料または低額となるのは、あくまでも治療をした医療機関へ支払う医療費だけです。
そのため、医療ではない健康診断や診断書などの保険のきかない費用や、薬局へ支払う薬代は対象とはなりませんので注意が必要です。
足りない入院費を用意する方法
医療費が支払えない場合の公的支援については、先の項でも触れた通り、幾つかの支援制度があります。
しかし、制度の多くは申請してから支給されるまでに時間がかかり、それまで病院に支払うことができないことになります。
また、条件などによっては支援制度そのものを利用することができず、足りない分の入院費を自分で用意する必要があります。
では、支援制度では賄うことができない入院費を自分で用意するには、どのような方法があるのでしょうか。
親や知り合いに頼んでみる
親などにお金の工面を頼む場合、それが遊興費などで使っていたものやそれにかかわる借金の精算であれば、なかなか借りることはできません。
しかし、医療費の場合は実際に身体を壊して入院した訳ですから、親兄弟から支援を受けられるケースも多いようです。
ですが、親族にも金銭的に余裕がなかったり、そもそも金銭的な相談をしづらい事情もあるかと思います。
また、知人との金銭の貸し借りは、後々になってトラブルとなる可能性もありますので、この方法で医療費を用意することは難しいです。
カードローンで借りる
公的な支援制度でお金が入るまでの間に、一時的にお金をお用意する方法としては、銀行や消費者金融のカードローンを利用することも1つの方法です。
ただし、この方法の場合には高い利息が発生してしまうことがデメリットです。
一般的なカードローンの金利は、銀行であれば15%、消費者金融では18%となっており、例えば50万円を30日間借りると銀行の場合は6,164円、消費者金融の場合は7,397円の利息が発生してしまいます。
そのため、この方法はあくまで一時的な対策とし、公的支援制度からのお金が入金された際には必ず返済に充てるようにしましょう。
なお、30日間などのように、借入期間が短期間となる場合は、無利息期間がある消費者金融の方がトータル利息が少なくなる可能性がありますので、きちんと利息負担額を計算してから利用するようにしましょう。
総量規制いっぱいまで使ってしまったり、年収が少なくてお金を借りにくかったりする人は、以下の記事も是非お読みください。
生命保険の契約者貸付制度を利用する
生命保険は9割以上の人が加入しており、緊急入院をした人の多くは何らかの生命保険に加入していると思います。
生命保険には、カードローンやフリーローンなどのように自由な資金に利用できる「契約者貸付制度」というものがあります。
この制度では、金利が3%と非常に低く、毎月の返済が不要で借りられるため、同じ借りる場合でも銀行や消費者金融よりもお得に医療費を用意することができます。
ただし、この制度を利用できるのは、「終身保険」「養老保険」「学資保険」などのような解約返戻金がある保険商品だけです。
生命保険に加入していれば、保険金請求時などで保険会社や担当者とやり取りすることになりますので、この制度についても相談しておくようにしましょう。
入院費用を病院に払わないとどうなる?
公的な支援制度を利用できない、支援制度だけでは足りず、お金を用意することができないということもあるかと思います。
では、入院費を病院に支払うことができない場合には、どのようなことが起きてしまうのでしょうか。
入院費の支払い期限
入院費の請求は、退院時または1ヶ月単位で行われることがほとんどです。
そのため、1ヶ月以内の入院であれば、退院時に請求されることになり、基本的にはその時点で支払わなくてはなりません。
どうしても支払うことができない場合は、病院側に相談して支払い方法や期日を決めることになります。
1ヶ月を超える入院の場合は、入院中に費用を請求されてしまうことになり、基本的な支払い期限は請求された月の月末が多いようです。
もちろん、病院によって支払い期限が異なりますので、請求書や病院の事務の方に聞くなどして確認しましょう。
この場合も、支払うことができなければ事前に相談することで期日を伸ばしてくれる可能性がありますので、必ず相談するようにしましょう。
最悪裁判になる
入院費を支払わない人が多いことが問題となっています。
病院はたしかに命を優先に考え、お金の有無にかかわらず治療を最優先にします。
しかし、病院も事業であり、治療費を回収できなければ維持できなくなってしまいます。
そのため、治療費を長期間支払わずにいると、最悪の場合裁判を起こされてしまいます。
どのくらい滞納すると裁判となるかは病院の方針によっても異なりますので、一概に何ヶ月と言うことはできませんが、もしも裁判となった場合には、給与などを差し押さえられてしまうことにもなりますので、踏み倒そうとすることは懸命ではありません。
同じ病院に行きにくくなる
入院費を滞納した状態で、その病院に行くという人はそんなにいないと思います。
では、もしも滞納している状態で病院に行くと、診察や治療を拒否されてしまうのでしょうか?
結論から先に言いますと、「状態によっては拒否されることもある」となります。
例えば、病院から再三請求されているのにもかかわらず支払いをせずに、風邪などで行った場合には拒否される可能性があります。
しかし、緊急に治療が必要な場合など、命にかかわる状態で行った場合には、医師法に抵触する可能性が高いため、拒否されることはありません。
滞納が続くと強制退院になる可能性も
最近の治療傾向としては、入院よりも通院で治療することが多く、入院日数は短くなっています。
しかし、病気によっては長期入院が必要なものもありますし、高齢になるほど入院日数は長くなっていきます。
お金を用意することができない場合、長期入院によって入院費の滞納額が非常に多くなってしまいます。
この状態が続いてしまうと、病院としても回収することが難しくなってきますので、病気の状態を見て強制退院させられてしまう可能性があります。
入院費を支払うことができないばかりに、十分な治療を受けることができなくなる可能性がありますので、まったく支払わないのではなく、少額でも支払っていくことをおすすめします。
入院に備えて入っておきたい保険
ここまで紹介してきました通り、医療費の高額負担には様々な公的支援が用意されていますが、それでも家族がいたりすると、いざという時の費用負担は非常に不安なものです。
そんな時の為に是非入っておきたいのが、医療保険です。
しかし、一言で医療保険といっても、ほぼすべての生命保険会社で取り扱っていますし、内容もさまざまです。
そのため、その医療保険に加入したらいいのか、どの特約を付けた方が良いのかがわかりにくいです。
ここでは、緊急入院の際にも対応できる医療保険の契約の仕方などについて紹介していきます。
医療保険は入院給付金と特約に注意!
一昔前までは5日以上入院しなければ保険金を受け取ることができませんでしたが、最近では医療実態に対応して日帰り入院でも保険金を受け取れるのが主流となっています。
また、短期入院でも入院日額の5日分や10日分を一時金として受け取ることができるものもあり、差額ベッドなどの費用にも使うことができますので、このような医療保険に加入することをおすすめします。
医療保険に付けることができる特約の中で、是非付けて欲しい特約に「先進医療特約」と、「特定疾病保険料払込免除特約」というものがあります。
「先進医療特約」は、がんなどの治療で先進医療(重粒子線治療など)を受ける場合に、それにかかる技術料を最高2,000万円までの保障がされる特約です。
「特定疾病保険料払込免除」とは、悪性新生物(がん)・急性心筋梗塞・脳卒中(保険会社によっては、がん・心疾患・脳血管疾患)になった場合に、それ以降の保険料の払込みが免除される特約です。
これらの特約を付けておくことで、高額になりやすい治療費を賄うことができることはもちろん、今後の保険料負担を抑えることができます。
これら以外にも、三大疾病となった場合に一時金が受け取れる特約や、入院後の通院費用を保障してくれる特約があるなど、自分が必要な特約を付けることでさまざまなリスクに備えることができます。
医療保険は掛け捨て?今は積み立てできる保険も
医療保険といえば掛け捨てというイメージがあるように、多くの医療保険は掛け捨てとなっており、格安な保険料で充実した保障を受けることができます。
そのため、入院などをしなければ単純に損をしてしまうと考える人もおり、そのような人には積み立てタイプの医療保険をおすすめします。
特におすすめなのが、東京海上日動あんしん生命保険が取り扱っている「メディカルKit R」です。
この医療保険は、使わなかった分の保険料が一定の年齢になると戻ってくるという特徴があり、まったく保険金を請求しなければそれまでに払った保険料の総額が戻ってきます。
保障内容も最新の医療実態に合わせた商品設計となっており、充実した保障を受けつつもお金を積み立てていくこともできます。
働けなくなったときは収入保障保険
入院費には医療保険が必要となりますが、この医療保険と同時に検討しておきたいのが、収入保障保険です。
「収入保障保険」とは、基本的には死亡や高度障害状態となった場合に保障される死亡保険なのですが、この他にも病気や怪我で介護状態となった、働けなくなった場合にも保障してくれます。
給付される保険金は、給与のように毎月指定口座に入金される、一部や全部を一括して受け取れるなど、受取方法も多彩です。
ただし、この保険は月額の保険金を設定することになりますが、間違っても今もらっている給与と同額で設定しないようにしましょう。
なぜなら、サラリーマンであれば死亡すると遺族年金が支給されることになりますし、傷病手当金や労災などからも支給されることもありますし、障害が残れば障害年金も支給されます。
このように、公的な制度からも受け取ることができるので、給与と同額を設定してしまうと過剰な保障となり、無駄な保険料を支払うことになります。
公的な制度から受け取ることができる金額の目安は、給料月額の50%程度ですので、収入保障保険に設定する保険金も給料の半分を目安に契約することをおすすめします。
入院するとどれくらいかかる?
ここで、入院時に必要な費用について整理していきましょう。
入院といっても、その病状により軽いものから重いものまで様々ですが、どんなケースであっても入院には以下の費用がかかってきます。
<入院に必要な費用>
|
では、実際に入院した場合には、どれくらいの費用がかかるのか…?
以下のページは、生命保険文化センターというところが調査したデータですが、それを見ると、実際に入院した方々の、平均の自己負担額や、一日当たりの負担額がわかります。
たしかに、入院する方の年代や病状により異なりますが、平均の自己負担額は22万円。
そして、一日当たりの自己負担額は19,835円というデータが公表されており、意外にも入院費には高額な費用がかかる事がわかります。
ただ、これらのデータはあくまで平均ですから、高齢者の方々の場合は必然的に医療費が高くなる一方、若年層では入院期間も短く、実際にかかる費用は少ないのも事実です。
それを証拠に、平均的な自己負担額が22万円なのに対して、20代の方の自己負担額の平均は約14万円と、実に8万円の差となっています。
また、入院費用はすべて健康保険で賄える訳ではありません。
健康保険で負担してもらえるのは、サラリーマンの場合で医療費の70%ですから、基本的な自己負担は残りの30%という事になります。
驚きの入院費用!でもネット上のデータは信頼できる?
インターネット上に溢れているデータには、先ほどの生命保険文化センターや各保険会社がパンフレットなどに記載しているものなどさまざまです。
しかし、これらのデータは首都圏をベースとしていることや、全国平均となっていますので、自分が住んでいる地域には当てはまらないこともあります。
例えば、差額ベッド代の平均2,500円~5,000円/日程度かかるとしており、各地域によって差があります。
また、差額ベッド代については、あくまで本人が希望した場合にのみ請求されますので、大部屋を希望する人は考えなくてもよい金額です。
データ自体は保険会社がこれまでに関わった膨大な資料を集計しているものですし、厚生労働省で統計したものもありますので、信頼することができます。
しかし、先ほどもお話しましたように、地域によって金額にバラつきがありますので、しっかりと自分の地域にある病院の差額ベッド代などを調べ、どのくらい費用がかかるのか、それに伴ってどのくらいの保障が必要なのかを考えることが大事です。
入院費を抑えるコツ
けがや病気で入院を余儀なくされた場合、入院する期間や治療によっては入院費が高額になることもあります。
病院代が高額であれば高額療養制度などの公的制度を利用することをおすすめしてきましたが、病院代には公的制度が適用されないものや、保険適用外のものもあります。
そこで、もし自己負担額が多くなりそうなとき、少しでも入院費を抑えるコツを紹介していきます。
軽度なら施設基準が低い病院を狙う
施設基準が低い病院を選んで入院をすることで、入院費を節約することが可能です。
施設基準とは医療機関が適正な医療行為をするために必要な病床数や専門医師、看護師の人数、設備などが基準の対象になります。
例えば専門医師がたくさんいて、病床数が多く、最新医療を受けられるといった病院であれば基準は高くなります。
もし、けがや病気の具合が軽度であれば、最低限の治療を行える施設を選ぶことで節約が可能です。
設備が充実している病院は確かに安心ですが、大したけがや病気でもないのに入院費の高い病院へ行って、退院まで入院費の心配をするよりは、お財布にも精神衛生上にも優しいと言えます。
ただし、治療が第一なので、節約のしすぎには注意しましょう。
施設基準については、各病院のホームページなどで確認することができます。
病院名とプラスして、施設基準で検索してみましょう。
入院から退院までの期間を月単位にする
ひとつの病院で自己負担限度額を超える医療行為を受けた場合、高度療養費制度を利用して負担を減らすことができます。
しかし、高度療養費制度の計算は末締めとなっており、月をまたぐ可能性のある入院をする場合は注意が必要です。
例えば、1日1万円、10日間の入院で、10万円かかったとします。
同じ月内であれば何も問題なく高度療養費制度の支給を受けることができる場合でも、前月に5日間、今月5日間の入院となった場合、前月の5日間分を月末で締められてしまうので、月初に5万円の請求が来て、今月の5万円は次の月に請求されます。
つまり月末で入院期間がリセットされてしまったということで、本来高額療養制度の対象であったはずの入院費が全額自己負担になってしまうというわけです。
もし、入院まで猶予があるとすれば、なるべく月をまたがないように入退院することをおすすめします。
大部屋にする
入院する部屋のベッド数によっては、差額ベッド代がかかり入院費の負担が増える可能性があります。
差額ベッド代とは、1部屋に対するベッド数に応じて変わる金額のことを言い、ベッド数が少なければ少ないほど金額が高くなる仕組みです。
病院によって金額は変わりますが、4人部屋と個室では、1日あたり5,000円ほど差が出る場合もあります。
また、差額ベッド代は高額療養費制度の支給対象外となりますので、自己負担しなければなりません。
個室は誰にも気兼ねすることがなく、プライバシーも守られるので安心感がありますが、長期入院になる場合負担金額もそれなりに増えてしまいますので、入院費が心配という人は大部屋へ入院しましょう。
個室と大部屋の選択は入院が決まった時点で聞かれますので、患者さんの意見を聞かずに個室になることはありません。
ケースワーカーに相談する
入院費の中には差額ベッド代や、食事代のように保険適用外のものあります。
もし、入院費が高額になりそうで不安な場合、入院施設にいるのであれば、ケースワーカーに相談してみましょう。
『また、高額医療制度もありますので、支払いをしても、後から戻ってきます。
また、無理な場合は、病院のケースワーカーに相談してみて下さい。なんとかなります。
(yahoo!知恵袋『入院費や手術費用を払えない場合どうなるのですか?』より一部引用
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/』
医療ソーシャルワーカーとも言われ、患者さんの色々な相談や支援を行っています。
経済状況に応じた医療費の相談や援助も行っており、入院費の分割など病院内で利用できる制度や、高度療養費制度など自治体で利用できる公的制度の利用相談、申請の手続きなども援助してくれます。
また、病気のことなどもわかる範囲で回答を行ってくれたりと、気軽に相談することができたりします。
手術後活用したい制度
無事手術が終わって、請求書を見てびっくりということもあるかも知れません。
しかし、手術後でも手術費などの医療費が戻ってきたり、公的な支援を受けられたりする制度があります。
2つの制度について紹介していきます。
医療費控除の申請
一定の金額以上がかかった医療費は、確定申告をすることで一部の還付金を受け取ることができます。
医療費控除の申請と言い、1月1日から12月31日までの1年間でかかった手術だけでなく治療費や通院にかかった交通費、生命保険や社会保険から支払われた医療費に対する給付金などが合わせて10万円を超える場合に申請することができます。
また、本人だけでなく一緒に生活をする、家族のために支払った医療費も認められます。
控除を受けるには確定申告書類とかかった医療費がわかる、「医療費控除の明細書」を自分で作成するか、医療保険者から交付を受けた「医療費通知書の提出」が必要です。
また、給与所得者が医療費控除の明細書を提出する場合は、源泉徴収票の原本も遺書に提出する必要があります。
会社等で行う年末調整では医療費の控除申請はできないので、対象となる場合は確定申告をしなければ還付金は受け取ることができませんので注意しましょう。
障害者手帳の申請
障害者手帳には「身体障害者手帳」「精神障害者福祉手帳」「療育手帳」の3種類があり、それぞれの症状によって取得することができます。
大きなけがや病気、手術などで後遺症が永続的に残り、今後の生活に支障を来すという場合は身体障害者手帳の申請を行うことになります。
身体障害者手帳には1級から6級までの等級があり、等級によって受けられる優遇措置は違いますが、公共施設などの料金が優遇されたり、所得税や住民税などの控除を受けることができたり、また社会復帰へ向けての就労支援などを受けることができます。
ただし、病状が確定されるまで時間がかかることがあるので、すぐに申請することができない場合があります。
交付は各都道府県が行いますが、各市町村の担当課で申請が可能です。
申請には、申請書の他に医師の診断書や印鑑、マイナンバーに関する書類などが必要です。
一時金や少額の医療費には!
高額な医療費を支払う方法についてメインにご紹介しましたが、中にはそれほど高額でない医療費でも急な出費の連続などが原因で困っている方もいるかも知れません。
もし緊急的な資金難であれば、一時的にカードローンを利用するのもひとつの手かも知れません。
カードローンとはCMなどでもおなじみの、アコムなどの大手消費者金融が取り扱う金融商品で、素早い審査で急な出費に対応できる点が魅力となっております。
また、最大利用限度額も多くの業者で100万円を超えており、様々な出費にも対応することが可能となっております。
ただし、上記でご紹介したような医療ローンに比べると金利が高めに設定されている点には注意が必要となっていますが、ATMなどで必要なときに必要な額だけ引き出せるので、様々なピンチに対応する備えとして魅力的と言えるでしょう。
支払いに関しても月々一定額の分割で負担を分散できるので、もし継続的に資金難でない場合は以下のようなカードローンを検討してみてはいかがでしょうか?
業者名 | 金 利 | 最大限度額 |
---|---|---|
アコム | 3.0~18.0% | 800万円 |
プロミス | 4.5~17.8% | 500万円 |
SMBCモビット | 3.0~18.0% | 800万円 |
まとめ
緊急入院をした場合、お金のことよりもまずは自分や家族の命が大切です。
しかし、次に心配しなければならないことが入院費などの治療にかかわる費用であり、これを支払うことができなければ強制退院させられてしまうかもしれませんし、後になって治療拒否や給与などを差し押さえられてしまう可能性もあります。
入院費などの費用は、さまざまな公的支援制度などによってカバーすることができますし、場合によってはローンなどで借りることもできます。
ですが、普段から医療保険などでしっかりと備えておけば、十分な治療を安心して受けられることはもちろん、後々のトラブルも回避できる可能性があります。