フリーターでも国民健康保険は必要?払えない時の対処法
フリーターでも20歳以上になれば、年金・税金・国民健康保険など、それまで親が払ってくれていたようなお金も、自分で負担する必要が出てきます。
しかし、それら税金や年金・健康保険等の仕組みがわからず、「自分で負担すべきお金がいまいちわからない…」という方も多いことでしょう。
今回は、年金や税金などいくつかある公的費用の中でも、「フリーターは国民健康保険を負担すべきなのか?」と言う点、さらに「フリーターが健康保険料の支払いが厳しくなった場合の対処法」について、詳しく解説していきたいと思います。
この記事はこんな人におすすめ
この記事は以下のような人におすすめの記事になります。
- 20歳になったフリーターの方
- 健康保険料を払うお金がないフリーター
- 健康保険料を払わなくてよい方法を探している人
フリーターは健康保険料を納めなければならないのでしょうか?
健康保険とフリーターの関係を詳しく解説していきます。
記事の目次
フリーターは国民健康保険加入必須?
まず、最初に国民健康保険の基本的な仕組みや、加入条件などからお伝えしていきたいと思います。
国民健康保険とは
日本に住んでいる以上、医療制度の一環として健康保険に加入している人は、医療費の全額は負担しなくても良いという制度があります。
健康保険には市町村が運営する「国民健康保険」と、会社などで加入する「健康保険組合が運営する社会保険※厚生年金制度と健康保険制度・雇用保険等をあわせた総称」の2種類があります。
尚、国民健康保険や社会保険の加入者が、病院などで治療をしてもらった場合の自己負担額は「3割」となっています。
これが70歳になると「2割」、75歳になると後期高齢者になるので「1割」の負担になります。
医療費の7割は保険から負担されるので、お金がない人でも医療行為を受けることができるという制度が健康保険制度なのです。
国民健康保険は全員が対象?
国民健康保険は、以下の条件にあてはまる方全てが対象となりますので、フリーターでも下記条件にあてはまる場合は、自分で国民健康保険に加入するか、条件によっては勤務先の社会保険に加入する事が必須となります。
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家族と同居のフリーターはどうなる?
ちなみに、国民健康保険には「扶養家族」という概念がありません。
つまり、国民健康保険に加入している親と同居していて、その扶養に入っている場合なども、国民健康保険料は納める必要があります。
国民健康保険は収入が低く親の扶養控除の対象になっている人も、専業主婦である配偶者も「扶養者」という概念がないので、皆が保険料を納めて加入しなければならない制度なのです。
おそらく20歳になったタイミングで、保険料を納めるべきかどうか…改めて考えた方も多いと思いますが、親が国民健康保険に入っている場合は、子供の分の保険料もずっと親が負担してくれていたはずです。
尚、親が社会保険に加入していて、子供であるフリーターが親の扶養家族に入っている場合には、自分で別途保険料を負担する必要はありません。
フリーターなら社会保険に入れる事も
上記の見出しで「扶養家族」と「社会保険」というキーワードが出てきましたが、フリーターであっても親が社会保険に入っており、且つその扶養家族から外れる場合は、自分で国民健康保険か社会保険に加入する必要が出てきます。
ちなみに、扶養家族から外れるかどうか、決め手となる年収は「130万円未満」です。
年収が130万円を超える場合は、親の社会保険から外れる必要があります。
尚、社会保険に入れるかどうかは、企業との合意がなされた場合や、所定の勤務時間以上勤めている事などの、いくつかの条件があります。
詳しくは以下URLをご確認ください。
また、会社の保険に加入する場合、厚生年金と健康保険を別々で加入する事は出来ません。
会社の保険制度として、これら二つはセットになっていますので、覚えておきましょう。
つまり、フリーターが健康保険料を納めなくて良い条件は以下の通りになります。
- 年収130万円を超えないこと
- 親が社会保険の加入者であること
この2つの条件を満たせば親の社会保険の扶養になるので、健康保険料を納める必要はありません。
ただし、親の社会保険料が高くなることは頭に入れておきましょう。
フリーターが払うべき国民健康保険料
ちなみに、フリーターが国民健康保険料を納める場合は、「所得金額」「市町村の均等割金額」により保険料が変わってきます。
尚、均等割額は各市町村で金額が変わってきますので、住んでいる場所によっては、保険料が高くなったり安くなったりします。
その為、保険料は年収によりいくら…という決まりはありませんが、おおよそフリーターで想定される年収250万円前後の場合、毎月の保険料は「13,000円~15,000円程度」となります。
フリーターにとっては決して安いとは言えない金額です。
保険料を支払わないと、どうなる?
フリーターが納めるべき国民健康保険料については、ご理解いただけたかと思いますが、実際のところ収入が少なくて、保険料が支払えない…というケースもあると思います。
ここからは、保険料が支払えない場合の督促の流れ、さらには救済措置や、減免措置などについて、ご紹介していきたいと思います。
督促から差し押さえまでの流れ
国民健康保険料の納付額が決まると、市町村から納付状が届くこととなりますが、そこには納付期限が書かれていますので、その期限までに保険料を納める必要があります。
しかし、何らかの事情で納付期限に間に合わなかった場合には、市役所などから督促状が届くようになります。
さらに、督促状が届いてからすぐに納付すると延滞利息(延滞利息3%~9%の負担要)さえ負担すれば問題ないのですが、その督促も無視していると、財産などが差し押さえられる可能性もありますり
ちなみに、差し押さえられるのは「預貯金・生命保険・給与・年金・売掛金・不動産・動産(自動車・バイク・宝飾品など)」など、財産と呼べるものは、殆ど差し押さえの対象になっています。
よく「健康保険料くらい滞納しても、本当に差し押さえなんてしないんでしょ?」と言う方が居ますが、実際には差し押さえが行われています。
それを証拠に、以下はある市町村の国民健康保険の滞納・差し押さえに関するWEBページですが、ここにも明確に「健康保険料を支払わないと差し押さえます!」と書かれています。
さらに「差し押さえした場合には、会社にもその事実が知られる事になります」という文言まで書かれていますので、やはり保険料の支払い義務は免れない事がわかります。
ちなみに、会社に差し押さえがバレるのは給料が差し押さえの対象になるからです。
給料が差し押さえられると裁判所から会社に通知が行くことになるのでバレてしまうのです。
フリーターの方でもバイト先にバレてしまう可能性があり、バイト先の人間関係が悪くなってしまうかもしれません。
健康保険料の未納によって差し押さえとなる前に何かしらの対処をする必要があるでしょう。
◆枚方市公式サイト:「国民健康保険料の差押さえを実施しています」
収入が少ない時などの救済措置
上記の通り、保険料を滞納し続けていると、財産などが差し押さえられる事に加え、最悪のケースとしては、国民健康保険の資格も失い、かかった医療費100%を自己負担する事になります。
場合によっては、高額医療費が発生する手術などを行うケースもあるかもしれませんが、そのような時に保険料を払っていなかったら数十万円もの医療費を全額自己負担しなければなりません。
このようなことがないように、健康保険料の納付義務が発生したら速やかに納付する事が重要です。
ただ、収入が少なくて支払いが厳しいなどの、特別な事情がある場合などは、以下の救済措置があります。
自治体によって細かい適用条件などは異なる場合がありますので、詳しくは居住地域の市町村の役所窓口へ相談するようにして下さい。
所得が少ない場合
フリーターとしての所得が少ない場合は、以下の条件で各々負担額が軽減されます。
尚、保険料の減額は特別な申請は必要ありません。
勤務先から報告される給与の額や、確定申告の所得申告により、自動的に減免されます。
- 7割軽減:所得が330,000円以下
- 5割軽減:所得が575,000円以下
- 2割軽減:所得が780,000円以下
所得が33万円以下であれば、保険料は7割も減額されます。
34万円になってしまう場合には、その年の所得を33万円以下になるように調整した方がよいかもしれません。
いずれにせよ、上記の基準を覚えておくだけで、保険料は大きく節約でき、自分で所得を調整することも可能ですので、フリーターの方は頭に入れておいた方がよいでしょう。
尚、以上はフリーターに扶養家族などが居ない場合を想定しています。
失業した場合
失業の理由が、会社都合や倒産など、自分以外に理由がある場合などは、保険料が減免される場合があります。
ただ、これらの条件については、退職の理由や市町村のルールなど複雑ですので、詳しくはお住まいの市町村の窓口で相談するようにして下さい。
尚、相談の結果正式に減免の届出をする場合は、ハローワークが発行する雇用保険受給資格者証をもらう必要がありますので、あわせて覚えておきましょう。
災害に遭った場合
また、震災や火災,風水害などの自然災害で、家屋やその他財産に被害を受けた場合 またそれらが原因で所得が著しく減った場合なども、減免措置を受ける事が出来ます。
この場合は、直近の世帯全員の所得状況を証明できる書類が必要となります。
住宅ローン・カードローンの審査への影響
最後に、健康保険料を滞納した場合、住宅ローンなどの審査に影響するのかどうか…という点についても触れておきたいと思います。
結論から申し上げると、滞納の期間によっては、住宅ローンの審査には影響する事になります。
その理由のひとつに、ローン審査時に提出する証明書の一つである「健康保険証」があります。
通常の健康保険証には有効期限は記載されていませんが、滞納を繰り返したりして健康保険が有効期限付きの短期保険に切り替わっている場合などは、健康保険料を滞納している証拠になってしまいますので、少なからず住宅ローンの審査には悪影響を及ぼしてしまいます。
一方、カードローンの審査の場合は、本人確認書類として健康保険証を提出しなければ、審査通過する可能性があります。
いずれにせよ、ローン審査は申し込んでみないとわからない…というケースが多い為、もし心配な人でも一度申し込んで見られる事をおすすめします。
なお、審査について多くの方が心配する個人信用情報については保険料の滞納そのものでは信用情報には全く影響しないので安心して下さい。
ただし、最近では「ポイントが貯まる」という理由で国民健康保険料をクレジットカード払いにしている人も少なくありません。
この場合に保険料の支払いに遅れるということは、クレジットカードの支払いを滞納したことになるので個人信用情報には「クレカの支払いに遅れた」と記録されてしまうことになります。
61日以上のクレカの支払い遅れでブラックになってしまうので十分に注意しましょう。
支払いに遅れない自信がある人以外は健康保険料の支払いをクレカ払いにしない方がよいかもしれません。
フリーターが払うべきその他の税金
尚、ここまでご説明した健康保険料のほかにも、フリーターが支払うべき税金があります。
例えば、毎月の給与などの収入金額に応じて源泉徴収される所得税、そしてお住まいの市町村へ支払う「住民税」さらには、20歳以上の人が加入必須となる国民年金があります。
その他、車を所有している場合には自動車税なども負担する必要がありますので、覚えておくようにしましょう。
所得税
所得税は所得に応じて負担しなければならない税金です。
大きなバイト先に勤務しているフリーターであればバイト先が源泉徴収によって支払ってくれていることもあります。
しかし小さな勤務先や複数のバイト先がある人などは自分で確定申告をして税金を払わなければなりません。
例えば年収200万円のフリーターであれば課税所得は195万円以下になるので、所得税率は5%です。
そのため、97,500円の所得税の支払いが必要になります。
フリーターにとっては10万円近くの税金の支払いは決して楽ではありませんので、毎月の給料から税金の支払い分は貯めておいた方がよいでしょう。
なお、所得税は国税庁ホームページに速算表が掲載されています。
自分の課税所得から所得税はいくらになるのかを確認しておくようにしましょう。
住民税
住民税には所得に応じて課税される所得割と、所得に関係なく住民1人1人に均等に課税される均等割部分に分かれています。
均等割は所得が0円でも基本的に負担しなければなりません。
自治体によっても異なりますが、年収200万円のフリーターの場合には年間9万円前後の住民税を負担する必要があると考えておきましょう。
なお、住民税は生活保護であれば減免されます。
生活保護でない場合にも経済的に困窮している状態で支払いの猶予が必要だと自治体が認めれば一定期間支払いを待ってもらう猶予の措置が認められることもあります。
判断はあくまでも地方自治体ですので、どうしても払えない時にはお住まいの市町村役場へ問い合わせてみましょう。
国民年金
国民年金は20歳以上は加入の義務があり、収入にかかわらず令和元年の保険料は一律16,410円となっています。
このため、フリーターであっても原則的に毎月16,410円を支払っていく必要があります。
ただし、国民年金も支払いが難しい場合には免除や猶予の手続きをすることができます。
免除や猶予をしておけば、保険料を払っていなくても国民年金の加入期間には算定されるので、高齢になった時に「加入期間が足りていない」ということになりません。
減免や猶予の手続きをしないと加入期間には算定されませんので、お金がなくて支払いが厳しい場合には必ず年金事務所へ行って猶予や減免の手続きをするようにして下さい。
保険料支払いの為のお金がない時は?
最後に、収入があるのに他でお金を使い過ぎて、保険料の納付が困難…というケースの対処方法についても、いくつかご紹介したいと思います。
一時的にお金を借りる
ある一定以上の収入があると、保険料の減免措置は受ける事が出来ません。
したがって、何らかの方法で保険料を納める必要があります。
そういう意味では、一時的にカードローンなどを利用して、保険料を納めることも検討してみてください。
国民健康保険料の支払いの為に、カードローンを利用する事は、少々躊躇してしまうかもしれませんが、保険料を滞納して財産を差し押さえられるよりは、ずっとましかもしれません。
ただ、カードローンを利用する場合には、「出来るだけ短期で」「出来るだけ少額」を利用するようにして下さい。
そういう意味では、アコムやプロミスなどが提供している、30日間無利息キャッシングを検討してみてください。
カードローン契約が初めてなら、各々のローン契約後最大30日間は利息が一切かかりません。
副業・ダブルワークで収入を増やす
また、一時的にダブルワークなどで頑張って、副収入を得ることも出来るかもしれません。
フリーターで比較的仕事が出来る日があるなら、日払いの仕事や夜勤などで、保険料の未納を防ぐことが出来ます。
また、自宅で出来るクラウドソーシングの仕事等、WEB上で出来る仕事もたくさんあります。
※債務整理をしたら税金・保険料支払いは免れる?
尚、すでに生活費に困っていて借金をしていて、その支払いも厳しくて債務整理を考えている…という方もいらっしゃると思います。
そのような状態になっているということは、当然税金や国民健康保険も滞納しているケースが多いようですが、残念ながら債務整理をしたとしても、税金や保険料の支払い義務は免れることは出来ません。
債務整理で借金を整理し、それで工面できたお金で税金などを支払う事となります。
まとめ
いかがでしたか?今回の「フリーターと国民健康保険料」に関する記事は、参考になったでしょうか?
一見するとわかりにくい国民健康保険料の仕組みですが、整理してみると意外に簡単な事がおわかり頂けたかと思います。
さらに、フリーターであったとしても、国民健康保険には加入する義務があり、それらを滞納すると財産の差し押さえなど、大変な事にもなりかねません。
やはり、今回ご紹介した情報などを参考に、とにかく「納付義務が発生したら、遅延なく納付するように」する事が重要です。