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借入金の返済は経費にならない?間違いやすいポイントを解説!

金融機関からの借入金の返済は、経費となりません。

従って、どれだけ多くの金額を返済しても、税金が減ることはないので注意をしましょう。

一見、借金返済は会社のお金がでていっているため、借金返済を支出として捉えたくなりますが、なぜ経費として扱ってはいけないのでしょうか。

今回は勘違いの原因や、経費として扱えない理由を紹介します。

この記事はこんな人におすすめ

今回の記事はこんな悩みを持っている人におすすめの内容です。

  • 借金の返済がなぜ経費にならないか気になっている人人
  • 経営をしていて会計の内容に疑問を感じる人
  • 税金に影響をする内容としない内容を区別したい人

損益分岐点とはなに?

損益分岐点とはなに?

会社の損益を計算するときによく利用されるのが損益分岐点です。

損益分岐点は、会社の売上げと費用がプラスマイナスゼロになるポイントのことです。

またこのような状態になる売上げを損益分岐点売上げといい、会社が最低限目指したい売上げといえるでしょう。

そこで、これらを計算する方法と注意点をこれから話しします。

固定費について覚えよう

損益分岐点を計算する上での費用は、固定費と変動費のふたつに分かれます。

固定費とは、会社の人件費や家賃など、売上げに左右されない経費のことです。

言い換えると、固定費を増やしても売上げは増えません。

したがって、無駄な固定費を増やすことは、会社の損益分岐点が高くなり、より多くの売上げが必要となります。

変動費とはなに?

変動費は、会社の仕入れや外注費などです。

また、先ほど話しした固定費と違ってそれ自体が売上げを生むものです。

したがって変動費が増えたら売上げも多少増えます。

また、損益計算において、売上げに対する変動比率を把握しておく必要がありますので注意しましょう。

変動比率は次のように計算できます。

変動比率= 変動費÷売上高

変動比率と先ほど話しした固定費と変動費により、次のような計算で会社の損益分岐点が分かります。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷{1-変動比率}

この損益分岐点売上高は、会社の目標売上げの目安となりますので経営者は覚えておきましょう。

借入金の返済は経費にならない!

借入金の返済は、先ほど話しした固定費にも変動費にもなりません。

つまり、そもそも損益計算上の経費にならないのです。

それは、借入金の返済は貸借対照表の負債が減るだけで、損益計算書には影響しないからです。

このことが、損益計算をする上で何が問題なのかについてこれから話しします。

借入金は利益から返済

借入の返済は経費にならないため、経営者はお金がないのにもうかっていると勘違いする可能性があります。

それは、損益計算上は黒字でも、銀行返済をした後の資金繰り上は赤字になる可能性があるからです。

このような勘違いをすると、手元のお金がなくなり銀行の返済が遅延する可能性もでてきます。

したがって、手元のお金は損益上の黒字ではなく、会社の利益から計算されるキャッシュフローであることに注意しましょう。

借入金の性質を知っておこう

お金の貸し借りは、金銭消費貸借契約と言って契約書が用いられるなど、一般的な売買契約と似ていますがルールや決まりなどは大きく異なります。

このため、事業資金として借入したときも返済したときも、会社の収支には影響しません。

お金を借りてきて現金が増えたからと言って、収入金額にすることはできませんし、返済をしたからと言って支出として取扱いはできません。

しかし、借入金の返済時に利息の支払いが含まれる場合には、元本の支払いと借入金利子の支払いで扱いが変わります。

そこで、基本的な知識として、お金を貸し借りしたときの仕分について、確認していきましょう。

お金がでているからと言って経費にはならない?

会社がお金を借りると、損益計算書の売上げには記載されず、貸借対照表の負債が増えます。

逆にお金を返済すると、損益計算書の経費には記載されず、貸借対照表の負債が減るようになります。

従って、借りたお金を返済しただけでは損益計算書には一切触れられないため、借入金の元本部分を取扱う場合には、元本の返済は支出として認められません。

損益計算書の内容に含まれないのであれば、経費として認めてもらうことはできないため、借金の返済をしたとしても経費にはならないのです。
借入金と負債の違いとは

借入金の利息は経費になる?

借入金の支払利息は、先ほど話しした借入元金の返済と異なり会社の経費になります。

例えば、カードローンでしたら金利に従って、毎月支払いを行っている利息分が、支払利息にあたり経費として該当するのです。

カードローンでイメージすると分かりやすいですが、金融機関はカードローンの利息で利益を得て経営をしています。

従って、利息を受け取れば利益になり、利息を支払えば支出として計上されるのです。

少し複雑ではありますが、借金の支払いに用いた出金用の内、利息部分が経費として該当するのには以上の理由があるので、経営者は返済元金と支払利息の内訳は、しっかりと把握しておくようにしましょう。

確定申告時の借入金の処理

借入金の返済を勘違いしやすい一番の理由は?

そこで経営者はなぜ借入返済が、経費になると勘違いするのでしょうか。

多くの場合には経営者が会計について、理解しているかがカギとなることが多いです。

以前までは確定申告が青色申告でなければ、帳簿を付ける必要がありませんでしたが、2014年の法改正以降、白色申告の事業主でも帳簿を付けなければならないため、簿記の知識がある程度必須であると言えます。

会計について税理士や他の社員に一任している人でも、仕訳など最低限の知識を理解しておけば今回の借入金の扱いについても納得しやすいので、是非一度確認してみてください。

もしも勘違いしたまま経営を行ってしまうと収支の予測や、税金の対策に影響しかねませんので、その原因をしっかりおさえておきましょう。

経営者の感覚と会計処理の違い

経営者が借入返済を経費と考える一番の理由は、経営者の感覚と会計処理の違いであると考えられます。

このことは、経営者にとって一番重要なのは資金繰りであり、現金の入出金が会社の収支だと判断してしまうからです。

現金のやり取りのことをキャッシュフローと言いますが、キャッシュフローと会計処理は大きく内容が異なります。

会計ソフトなどで会計処理や帳簿記帳を行っている人は、借入金の勘定科目が負債勘定とされているため、会社の収支ではないと判断しやすいです。

このように借入金の内容を領収書から帳簿に記入するなど、会社の財政に関与していれば形成者の感覚と会計処理のズレを認識しやすいので、会計を知っていることは非常に大切です。

利益とキャッシュフローは違う?

経営者が重視するお金の収支はキャッシュフローと言って、経営判断上においてとても大切な指標です。

会社の会計上利益はちゃんとでているにもかかわらず、手元に現金がないため借金や買掛金の支払いができずに倒産をしてしまう会社もあります。

このような倒産をいわゆる黒字倒産と呼ばれ、キャッシュフローの大切さが分かる内容です。

経営者としては、「今月の支払いのお金は確保できているだろうか」、「来月の借金返済にお金は足りるだろうか」と、現在の銀行口座内にあるお金が幾らかを重視しやすいです。

しかし会計上の収支は税金の支払根拠や、銀行融資の判断材料になるものですので、しっかりと勘定科目を理解して会計処理に関しても同様に重視しましょう。

財務キャッシュフローとは?

個人事業主やアパート経営者の借入返済は?

これまで会社経営を行っている法人を対象に話をすすめましたが、個人事業主やアパート経営者などは借金の返済はどのように扱われるのでしょうか。

実は個人事業主やアパート経営者の場合にも、借金の返済を行ったとしても元本の支払いは経費にはならず、金利の支払いは経費として認められます。

ただし、個人事業主やアパート経営者では、借入金が個人としてのものではなく事業用として借入をしていることが大切です。

経費として税金を控除してもらうときには、事業で使った経費として認められなければなりません。

従って、事業用口座に銀行などから事業者用ローンとして借入をしたときや、不動産投資としてローンを組む場合の利息が経費として認められます。

個人事業主であれば、カードローンなど消費者金融から個人用に借入をしたお金は、事業用と認められないため気を付けてください。

また、ビジネスローンなど個人用と、個人事業用どちらにも利用ができるローンの場合、利息を経費にするときには事業用として証明をしなければならないこともあります。

事業所得者の同一口座内に振り込まれているので、個人事業用と区別して管理をしましょう。

ただしアパート経営者の場合、設備投資で借入れした場合は、減価償却費が経費となって返済額相当分がきちんと節税されていますので安心してください。

借入金で税金の節約ができる?借入金の有効活用方法を解説

借金の返済を経費にする裏技!

会社の借入返済は経費になりませんが、社長個人の借入返済を立て替える場合は経費になる可能性があります。

具体的には、社長個人が保有及び借入金を返済している設備に対し、会社が賃借料を払うことです。

ただし、この方法は社長個人に雑収入が発生しますし、過度な金額であると税務署に否認される可能性があります。

雑所得の確認として、普通預金の個人用口座の提出を求められることもあるので、必ず税理士に確認してから実行しましょう。

税金に影響しない他の取引は?

ここまで借入金の返済が経費にならない理由について話しました。

実は、借入返済と同様にお金は動くけど収支や、税金には影響しない取引は他にもありますので、ここでおさらいしておきましょう。

入金があっても売上げ(収入)にならないもの

これまで確認してきたように借入をしたとしても、売上にして計上することはできません。

従って、銀行借入や社長借入によってお金が増えたとしても、会社の売上げにはなりません。

また、従業員からの源泉所得税や社会保険料の天引きや、法人税や消費税の還付についても同様です。

さらに、不動産業者の敷金や保証金といった、一時的に預かっているお金についても売上げにはなりません。

これらは全て手元に現金として収入があるため、売上として考えやすいですが、会計上では売上とはならないので注意しましょう。

出金しても経費にならないもの

お金が出ていくのに経費にならないものとしては、まず借入の元金返済が挙げられることは説明をしました。

これと同様に、天引きした所得税や、社会保険料を支払いしても経費にはなりません。

税金の支払いをして、税金が控除されるということにはならないので気を付けましょう。

なお、社会保険料の会社負担分は経費となります。

また、信用保証協会への保証料に関しても、借入した年度以降の金額は前払金として処理されるため、経費とはなりませんので注意をしましょう。

他にも土地や建物などの購入費用やアパート経営者の場合には敷金などは、経費として計上ができません。

入出金がないのに税金に影響するもの

ここまで話しした例とは反対に、お金の出入りがないのに税金に影響する取引があります。

例えば減価償却費や貸倒引当金は、お金は出ていきませんが会社の経費となります。

逆に受取手形や売掛金に関しては、手元に現金がまだ入金されていないにも関わらず、売上げとなって税金が多くなります。

これらの入出金がないにもかかわらず、売上や経費として計上できるものはキャッシュフローと会計の差となりやすいため注意が必要です。

住宅ローンの返済で減税に

住宅ローンの返済は個人での借金であるため、会社の経費としては取り扱えませんが、個人事業主などで自宅を事業所として利用しているのであれば経費として計上可能です。

しかし、事業所として住宅ローンを経費として計上する場合でも、ローンの利息部分しか経費として認められません。

また、住宅ローンの利息を計上するとしても、全額を経費とすることはできないので、事業用として利用している部分だけとなります。

ちなみに、住宅ローン契約者は個人として所得控除を受けられる住宅借入金等特別控除の利用ができます。

住宅ローンの金額など一定の条件があるので、ローンを組む前に控除についても確認しておきましょう。

返済が難しければ債務整理を

借入金の返済が難しい場合には、債務整理を行うという方法を検討した方がよいでしょう。

個人としての借金がかさんでしまったときには、債務整理を行ったとしても会社経営には影響を基本的にはあたえません。

また、債務整理には自己破産の他にも、官報に載らない任意整理という方法もあります。

任意整理は金融機関との交渉により借金の減額幅が決まりますが、半額程度になることも多いため効果は大きいでしょう。

もしも、法人として借金返済が難しいときには、事業再生や自己破産などの債務整理も考えた方がよいため、専門家に今後の相談を行いましょう。

現在の借入金額によっては、別の手段を提示してもらえるかも知れません。

生活保護者は借金の返済をしてはいけない

少し今回の話題とはそれますが、生活保護者は借金の返済に受給したお金を使うことはできません。

これは厚生労働省のホームページにも記載があり、ローンの返済に税金の社会保障費である生活保護を使えないと明記されています。

ただし、借金をしている人が生活に困窮している場合には、生活保護の申請が通る可能性はあります。

この場合でも新しい借金をすることはできませんし、ケースワーカーから自己破産をすすめられることも考えられるため、生活保護を受給して借金を解決することは難しいでしょう。

借入金がある場合の目標利益は

借入金がある場合の目標利益は

先ほど会社が目標としたい損益分岐点売上げについて話をしました。

ただし、会社が損益分岐点売上げを達成したとしても、お金が足りないというケースがあります。

その理由と対策方法についてこれから話をします。

損益分岐点売上高が達成なのにキャッシュフローがマイナス!?

先ほど話ししたとおり、損益分岐点は会社の収支がプラスマイナスゼロになるポイントです。

したがって、損益分岐点売上げを達成した会社は、手持ちのお金が変わらないはずです。

しかしここで注意したいのが、借入金の返済は損益分岐点の計算上経費にならないということです。

このことで、会社は目標売上げを達成しているのにお金がないという状況になりかねません。

そこで、これから話しする対策方法を覚えておきましょう。

返済額も固定費に含んで計算しよう

先ほど損益分岐点の計算方法を話ししました。

しかしこの方法は、借入金の返済は勘案していません。

言い換えれば損益上の損益分岐点は分かっても、資金繰り上の損益分岐点は分かりません。

そこで、借入の返済額も固定費に含んで計算しましょう。

具体的な式は次のようになります。

損益分岐点売上高 = (固定費+借入金の返済額) ÷{1-(変動費÷売上高)}

このように損益分岐点売上高を計算することで、手元のお金を残すための売上げ目安を把握することができます。

ここまで資金繰り上の損益分岐点について話ししました。

ただし、資金繰りの計算は、銀行借入金だけでなく、減価償却費や債権債務の回転期間によって異なります。

また、そもそも損益文金点の計算は業種によっても異なります。

したがって、経営者は今回の話をきっかけに、このような具体的な計算方法について興味を持つことで、より堅実な経営をすることができます。

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まとめ

ここまで話ししてきたように、会社にとって借入金の返済は経費になりません。

さらに、注意したいのはお金の出入りと、会社の収支が異なる取引が他にもあるということです。

経営者としては、会社のキャッシュフローと、会計上の損益の両方を把握しておくことで、今後の資金繰り予想や税金対策ができますのでしっかりとポイントをおさえておきましょう。

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