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無職ゆえに国保を滞納【高過ぎる保険料なんとかしたい】

失業すると、これまで給与天引きで支払ってきた健康保険料を自分で支払うことになります。

一般的には再就職までの期間は国民健康保険に加入することになります。

しかしその額は会社員時代の倍以上!納付書が届いたら、その金額にびっくりするかもしれません。

まともに払うのが無理となれば、任意継続や減免制度の活用という選択肢もあります。

再就職を目指しつつ、国民健康保険にどう向き合えばいいのかについてふれていきます。

国民健康保険料は誰が払うもの?

現在の日本では「国民皆保険制度」が敷かれており、医療についても下記のいずれかの公的医療保険に入る必要があります。

  1. 健康保険(協会けんぽ・各企業の健康保険組合)
  2. 国民健康保険組合(建設・土木・医師など)
  3. 国民健康保険(自営業者・無職の人など)
  4. 共済組合(公務員など)
  5. 船員保険(船員など)
  6. 後期高齢者医療制度(75歳以上の人)

5の後期高齢者医療制度については、聞きなれない人もいるかもしれません。

国民健康保険の中で年齢に応じて独立している部分です。つまり一生涯保険料を払う必要があるのです。

今回は1・2の健康保険(社会保険)に加入していた人が、退職によって3の国民健康保険に移る場合についてみていきます。

ちなみに納付書は世帯主あてに届きますので、扶養に入っている人は個別に納付書が届くことはありません。

国民健康保険の加入条件

国民健康保険は、市区町村によって運営されており、他の公的保険に加入していない人は全て被保険者となります。

上で、保険料は住んでいる地域によって異なると述べましたが、世帯の構成員によっても異なります。

<例>千葉市の国民健康保険料の試算(H29時点)

※39歳以下の世帯員に対して計算

(前年の)年間所得と保険料(単位:円)
加入者100万200万300万
1人114150209480298780
2人128940235520324820
3人116040261560350860

※現在は無収入でも、前年度の所得に対して計算を行います。

上記の表のように、世帯員が増えるほど、負担する保険料は増えていきます。

これまで会社勤めだった人は、びっくりするような金額ですよね。

かなりまとまった金額ですが、なぜこんなにも高く感じるのでしょうか?

国民健康保険が高く感じる理由

会社員時代には、労使折半と言って、健康保険料を会社が半額負担する制度の元で、給与天引きで保険料を支払っていました。

また、子どもや収入の低い者については、扶養に入れることで世帯主が保険料を支払だけでよく、実質の負担額が無かったのです。

しかし国民健康保険には「扶養」という概念がなく、世帯員が増えるごとに負担額も増えます。

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無職の人の保険証作り方

無職になったからと言って、誰かが自動的に保険加入の手続きをしてくれるわけではありません。

退職後(保険の資格喪失後)、以下のいずれかの手続きをする必要があります。

  • 元勤務先の保険組合(または協会けんぽ)の任意継続(20日以内)
  • 国民健康保険への加入(14日以内)

国民健康保険への切り替えをする前に、今一つの選択肢「任意継続」も知っおきましょう。

任意継続制度とは

元勤務先の健康保険に、最長2年まで加入し続けられるという「任意継続制度」があります。

特に扶養家族が多い場合は、任意継続の方がお得になる傾向があります。

選択の際に、注意しておきたいのは以下の点です。

① 2年単位で加入する必要がある

② 退職後は労使折半という概念はなくなる

①については、再就職先で社会保険に入ることができれば、資格を喪失しますので正式に脱退できます。

ただし任意継続していた保険組合や協会けんぽに、喪失の届けを出し、保険証を返納する必要があります。

再就職ができないけれど脱退したい場合

任意継続したものの、2年の途中で脱退したいと考えることがあるかもしれません。

例えば以下のようなケースです。

  • 世帯主(父親など)の扶養に入れてもらう場合
  • 任意継続より国民健康保険料のほうが安い地域に引っ越す場合

脱退する正式な方法がないため、現在のところ、未納にして資格喪失する他にありません。

扶養家族が多いとお得?

②についてですが、労使折半ではないので、保険料は倍額払う必要があります。

ただし、扶養家族が増えても支払う額は変わらないため、家族持ちの方は検討の価値があります。

また、住んでいる地域の国民健康保険料と、どちらが安くなるか調べる必要があります。

さらに、減免制度を利用すれば、保険料をもっと低く抑えることも可能です。これについては後述します。

国民健康保険加入の手続き

任意継続よりも国民健康保険が良いと考えるなら、14日以内に住民登録をしている市区町村役場にて加入手続きを行います。

その際、退職に伴い元勤務先の健康保険を脱退したことを証明する必要があります。

離職票など退職日が明記されているものと身分証明書を携えて、市町村役場の国民健康保険窓口に申請を行いましょう。

◆借入れするのに健康保険証だけでもできる?

滞納で差し押さえや保険証無効も

再三の催促にも関わらず、滞納が続くと最終的には財産の差し押さえに発展します。

その催促と並行して、保険証が無効になってしまうこともあります。

国民健康保険の保険証は本来有効期限を迎えると、自宅に郵送されてきます。

しかし滞納があると、役場に直接取りに来るよう文書で促されます。窓口を訪れた際に滞納分を支払うことができないとどうなるのでしょうか?

短期保険証

短期保険証は、有効期限が6ヶ月程度の保険証です。病院にかかった際の窓口での負担額は、ありがたいことに3割のままです。

しかし、さらに滞納が続き、滞納歴が1年を超えると、次項の「被保険者資格証明書」に切り替わり、10割負担に移行します。

被保険者資格証明書

上述の短期保険証は、6ヶ月ほどで有効期限を迎えます。

有効期限を迎えた時点で、保険料の滞納歴が1年以上になると、文書などで保険料の催促も行われているはずです。

特別な事情があって支払いができず、窓口で相談をしていれば、再び短期保険証が発行されるケースもあります。

催促を無視したり、滞納の事情が認められない場合は「被保険者資格証明書」が発行されます。

これは窓口負担を減らしてくれるものではなく、「国民健康保険の加入者」であることを示すものでしかありません。従って窓口で10割負担となります。

後日保険料の納付、または納付相談で窓口を訪れることと引き換えに、7割分の返還を求めることもできます。しかし、不便であることには変わりありません。

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無職だと国保免除される?

本人都合以外で予期せぬ退職をした場合、貯金から国民健康保険料を払って行くのは大きな負担です。

ではこういった場合は、減免の制度はあるのでしょうか。

減免制度

軽減は申請なしでOK

国民健康保険料は、前年の所得に応じて算定され、毎年6~7月(自治体にもよる)に納付書が届けられます。

保険料の計算は、前年の所得をもととして、4/1日時点に行われます。

所得が減った場合は、翌年の保険料は、申請がなくとも軽減される仕組みです。

(ただし住民税の申告は必要・収入ゼロでも世帯員の全員が申告する必要あり)

下記の表は世帯所得と軽減割合(自治体によって差異あり)です。

軽減の割合世帯収入の基準
7割33万円以下
5割33万+(27万×被保険者)以下
2割33万+(49万×被保険者)以下

なお、失業などで年度途中に国民健康保険に加入した場合は、翌月以降に保険料決定通知と納付書が届けられます。

減額の申請はどこでする?

上記の「軽減」とは別に、市町村独自の減免制度を設けている自治体もあります。

減免の申請は、市役所の国民健康保険窓口(名称は自治体によって名称は異なる)で行います。

滞納分に関しては、さかのぼって申請することはできないので、必ず納付期限前に減免申請を行いましょう。

なお、滞納分に関してどうしても一括払いが難しい場合は、分割払いの相談が可能です。

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無職の人の国保の金額は?

全額免除という制度は、生活保護などの扶助を受けている世帯のみとなっています。

従って最近失業したばかりという方は、全額免除になる可能性は極めて低いでしょう。

ただし他にも保険料が安くなる仕組みは存在します。

非自発的失業者には軽減措置

リストラや会社の倒産などの理由で離職した場合、年度の途中でも保険料の軽減が行われる可能性があります。

前年所得を本来の額の30%として保険料を計算するため、退職前の所得に引きずられることなく、軽減措置が受けられます。

厚生労働省:倒産などで職を失った失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減措置の創設及びハローワーク等での周知について

協会けんぽ(主に中小企業の従業員が加入する保険組合)に加入していたケースを例にしてみます。

※夫婦と子一人で計算(年額)

前年の収入協会けんぽの保険料軽減後の国保保険料
300万円14万円8.5万円
150万円7.0万円4.8万円

厚生労働省:非自発的失業者への保険料軽減措置の試算 より

軽減を希望する場合は、各自治体の国民健康保険窓口で申請を行う必要があります。

上記は一例ですが、前年度の所得が30%程度に見積もられることで保険料も格段に抑えられます。

不本意な離職なら、任意継続よりも、国民健康保険を選択し、減額を受けた方が良いケースもありますので、充分に比較を行ってください。

また、一度の申請で軽減が可能になるのはその年度限りとなります。

4/1以降も年度をまたいで引き続き失業状態である場合は、再度申請を行いましょう。

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