お金がないのに病気等で働けない!そんな人の支援制度
家賃収入などの不労所得がない限り、働けないなら収入が得られません。
そのようなときに利用できる制度や保育園入園対策について説明いたします。
記事の目次
怪我や病気で一時的に働けないとき
怪我や病気で一定期間働けないときは、労災保険もしくは健康保険から手当金を受給することができます。
仕事中に起こった病気等は労災保険
勤務中あるいは通勤途中に巻き込まれた事故やけが、労働に起因する病気で働けなくなったときは、会社が加入している労災保険の「療養給付」と「休業給付」が適用されます。
療養給付とは
病気やけがのためにかかった医療費や交通費などは、「療養給付」によって全額支給されます。
請求時に必要となりますので、病院や薬局での明細書、タクシーの領収書等はしっかりと保管しておきましょう。
休業給付とは
病気やけがを理由に休業してから4日目以降は、「休業給付」を受け取ることができます。
過去3ヶ月間の給料から支給額が決定されますが、上限額はあるものの普段の給与額の最大80%が支給されます。
1年半を超えても完治しないときは傷病年金
1年半を超えても、まだ通勤できるほどには治癒していない場合は、同じく労災保険の傷病年金を受け取ることができます。
尚、受給期間の上限は特に定められていません。
<傷病年金>
傷病を1~3の等級に分け、等級ごとに受け取れる額が決まります。
また、傷病年金には通常の傷病年金と傷病特別支給金、傷病特別年金の3種類があり、等級に応じてそれぞれを受け取れます。
尚、表中の算定基礎日額とは、休業までの1年間に受け取った賞与を365で割った額です。
算定基礎日額は給付基礎日額×365×0.2が上限となり、傷病特別年金は150万円を上限として支払われます。
傷病等級 | 傷病年金 | 傷病特別支給金 | 傷病特別年金 |
---|---|---|---|
1級 | 給付基礎日額×313 | 114万円 | 算定基礎日額×313 |
2級 | 給付基礎日額×277 | 107万円 | 算定基礎日額×277 |
3級 | 給付基礎日額×245 | 100万円 | 算定基礎日額×245 |
勤務と無関係な病気等は健康保険
<傷病手当金>
傷病手当金は、病気などで仕事に行けなくなった4日目から、最長1年半受け取ることができます。
過去12ヶ月の平均報酬月額を30で割り、その3分の2を基礎日額とし、休業日数から3日を引いた分が支給されます。
例えば、12ヶ月間の平均報酬月額が30万円なら、基礎日額は6,667円になります。
休業日数が120日なら117日分受け取れますので、78万円が傷病手当金となります。
療養期間中は失業保険を受け取れない
雇用保険の基本手当(失業保険と呼ばれることもある)は、働くことができるにも関わらず仕事がない失業者に対して支給される手当ですので、療養中の人は受け取ることができません。
ただし、失業してから3年間は基本手当の申請を遅らせることが可能です。
傷病手当金や労災保険休業給付を受給しながら治療を続け、働けるようになったら基本手当を受給しながら再就職に向けた求職活動を実施しましょう。
回復の目処が立っていないとき
一般的に、怪我や病気ならある程度の治療を行えば回復していきますよね。
ですが、脳梗塞などの長期のリハビリテーションが必要となる疾病や運動機能の著しい損傷、うつ病などの精神疾患の場合は、治療に1年半以上かかることが想定されます。
そのような場合には、障害年金の受給を検討しましょう。
障害基礎年金と障害厚生年金
働けない原因である疾病や怪我のために、最初に医療機関を訪れたときに利用した健康保険の種類が国民健康保険の人は「障害基礎年金」、社会健康保険の人は「障害厚生年金」を受けることができます。
いずれも障害の等級によって受給額(年間779,300円~974,100円)が決定されます。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害によって働けない人は、「精神障害者保健福祉手帳」の認定を受けることで、各種税金の控除等を受けることができます。
うつ病などは不安を抱えることでも症状が悪化・長期化することがありますので、金銭的不安を少しでも解消するためにも、なるべく早期に手帳交付を受けることが勧められます。
◆ 厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳」
<精神障害者保健福祉手帳取得によって受けられるサービス>
- NHK受信料の減免
- 所得税や住民税の控除
- 相続税の控除
- 生活福祉資金の貸付
- 障害者職場適応訓練
就労準備や生活不安定のために働けない
毎日の生活費にも事欠くなら、すぐに現金が手に入る日雇いの仕事やアルバイトを続けざるを得なくなり、定職を得るための面接試験すら受けに行くことができません。
また、住む家がなく、もしくは家賃が払えずに退去を迫られているような場合も、就職活動を行うことが難しくなってしまいます。
そのような場合は、「生活困窮者自立支援制度」を利用することができます。
次の記事でも詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。
生活困窮者自立支援制度
生活保護の受給を申請する前に、何とか経済的に自立するための制度として2015年に設立された制度が「生活困窮者自立支援制度」です。
自立支援が必要な人が地域の自立相談支援機関に出向き、生活訓練や社会訓練、技能修得訓練などを受けて、ハローワーク経由で定職を見つけることが大まかな道筋となっています。
自立訓練期間中は住居や食事などの支援も受けることができますので、まずは自立相談支援機関に出向きましょう。
地域ごとの自立相談支援機関は、以下のサイトで紹介されています。
◆ 厚生労働省「自立相談支援機関窓口」
お金がないけれど働けない主婦は?
お金がないので仕事をしたいけれど、子どもを預ける保育園が見つからずに働けないという女性も少なくありません。
待機児童の減少と出産直後の保活による親の負担を緩和するためにも、2016年12月、厚生労働省は各地方自治体へ妊娠中の女性労働者による保育園予約を受け付けるようにと通達しました。
とは言うものの、予約枠の定め方等についてはまだ基準が制定されていませんので、お住まいの自治体によっては予約が難しく、保育園確保が今までと同様に困難になることも予想されます。
このような現状の中、どのように保活していくことができるでしょうか。
◆ 厚生労働省「平成29年度に向け取り組んでいただきたい事項」
入園許可のポイントを知る
市区町村によって入園を決定する基準が若干異なります。
母親の就労時間や日数、介護する家族がいるのかどうか等、状況によってポイント(点数)が決められ、加算方式でポイントが高い世帯ほど入園しやすくなります。
お住まいの自治体に問い合わせ、入園選考の基準を確認しておきましょう。
出産前に退職しない方が望ましい
子どもを産んだ後も働きたいという気持ちが少しでもあるなら、出産前に退職することはあまり勧められません。
もちろん、シングルマザーであることや世帯収入なども入園選考時には考慮の材料となりますが、ほとんどの自治体では、出産・育児休業中の正社員>出産・育児休業中の非正規社員>求職中の優先度で入園許可がおりますので、できれば仕事は辞めずにおきたいものです。
無認可保育所などの利用実績
働きたいタイミングで保育園の入園許可が下りないときは、無認可保育所などに預けて働いた実績を積むこともできます。
自治体や保育園によっては、無認可保育所の利用実績も入園許可の選考基準の1つとして考慮することがあるからです。
正式に保育園が決まらないうちは、保育料の方が給料よりも高くなることがあるということも想定しておいてください。
引越しも視野に入れる
保育園激戦区にお住まいの人は、引越しも視野に入れることができます。
基本的には、ほとんどの保育園が地元の人を優先して入園させますので、越境入園を試みるよりは世帯ごと引っ越す方が入園できる可能性が高まるからです。
病気の時に行うべきこととは?
まずはお金の話のことは一度置いておいて、病気で仕事を行えない時には何を行うべきかということを考えていきましょう。
できるだけ早く病気を治す
当たり前のことですが、病気にかかっている以上は早く病気を治してしまうことが最優先となります。
病気の間は仕事ができずにお金が増えない、そして治療を行わなければならないため出ていく出費は普段より多くなるという二重苦の生活になるため、病気を早く治すことで結果的に家計のピンチを改善することにもつながります。
適切な治療を受けて、心身に負担をかけるようなことを行わずに、自分の病気の完治を最優先にした生活を行うことを心がけましょう。
病気の時に利用できる制度を利用する
病気を早く治したいという気持ちは、病気にかかってしまった人であれば誰しもが抱いているものだと思いますが、病気の治療にはえてしてお金が必要なものです。
貯金がしっかりある人であればそれを少しずつ崩していきつつ対応していくことで、完治まであまりお金の心配をせずに乗り切ることができると思いますが、貯金が(ほぼ)無い・少ない人にはお金の問題は死活問題となります。
しかし、病気の時に頼ることのできる制度を利用したり病気の時に受け取ることのできる給付金を受け取ったりすることで、お金関連の問題は多少はマシになるでしょう。
治療の面でもそうですが、病気の時には「利用できるものは全て利用する」という姿勢が非常に大事です。
健康に勝るものはありませんから、できるだけ早く心身ともに整った状態に回復できるようにしましょう。
現状や将来のことなどをよく考える
病気で働けない時には何もすることがなくて手持ち無沙汰かもしれませんが、逆にその時間を利用して普段であれば忙しくてなかなかしっかりと考えることができないことを考えてみるのもいいでしょう。
特にその病気なりケガなりが仕事に起因するものなのであれば、今の仕事をこのままずっと続けていっていいのかということは熟慮すべきことかもしれません。
肉体面での病気なのであればもう少し穏やかな環境で働くことができる職場はないか、精神的な病気なのであれば人間関係に悩まずにすむ職場はないか、などを考えるいいきっかけになるかもしれません。
ただし病気の時は気分が沈みがちなので、どうしても考えが悪いほうにいってしまいがちです。
できる限りフラットな気持ちで考えをまとめるように努めることが、重要となるでしょう。
病気は種類によって対応が異なる
また、病気には例えば肺炎や盲腸といったような肉体や臓器系の疾患もあれば、うつ病などのように精神的な病気の場合もあります。
それぞれの病気の場合での対応の違いに関して考えていきましょう。
体の病気の場合
体の病気の場合は、どこそこの臓器や器官の調子が悪いとか何が原因でこうなっているというようなことはハッキリと分かるため、それに応じた処置をほどこすこととなります。
病院に通ったり薬を飲んだり場合によっては手術を受けたり、といったようなことですね。
逆に言うと程度の違いこそあれ、病気・病名が決まってしまえば行うべき処置は基本的にどこの医院で診てもらったとしても同じになるはずなのです。
ですから、自分や家族だけでどうにかしようとせずに、すぐに医者の力を借りることが重要となります。
心の病気の場合
これに対してうつ病などの精神的な病気の場合は、そうなってしまった原因が曖昧な場合が非常に多いのです。
表面的には「職場の人間関係に嫌気がさしてこうなった」というように見えるかもしれませんが、実は何か別のもので溜まりに溜まっていたストレスが、職場の人間関係のこじれが引き金となって発露しただけなのかもしれません。
そしてさらに厄介なのは、うつ病にももちろん専門医がいますが患者によっては医師と話したりしてその時のことを思い出すことによって、症状が悪化してしまう人もいるということです。
そのような場合には、うつ病の人だけで集まる定期的な集会などに参加して、同じ境遇の人だけで自分たちの悩みを分かち合うといったような対処を行ったほうがいい場合もあります。
肉体的な病気と違って画一的な対処を行いにくいのが、精神的な病気の特徴であると言えるでしょう。
どちらも密接に関係しているので注意
肉体的な病気と精神的な病気はもちろんそれぞれ別のものですが、例えば肉体的な病気にかかっている時には精神的な病気にかかりやすくなるといった関連もあるのです。
肉体的な病気にかかってしまい、仕事もできずに一日中家なり病院なりでじっとしていなければならないと、どうしても気がめいってきてしまいマイナス思考になってしまいがちです。
そうなってくると、自分のことを肯定する感情が生まれにくくなりどうしても自分を卑下したり否定したりといった気持ちが全面に現れてきてしまい、精神的な病気にかかりやすい気の持ち具合になってしまうのです。
心と体は決して切り離すことのできないものであり、健康について考えるときにはそのことを忘れないようにすることが重要です。
特に「うつ病」の場合特有の注意点
ここで、精神的な病気の代表的なものである「うつ病」に関して少し詳しく説明していきます。
最近増えてきている病気だけに、自分や周囲の人がうつ病になってしまった時に注意したい・注意してあげたいポイントをいくつか挙げていきます。
周囲には理解されにくい
まず、うつ病という病気は肉体的な病気とは異なり症状が分かりにくいため、周囲には理解されにくいという特徴を持っています。
最近でこそうつ病という病気に対する理解が少しずつ深まってきてはいますが、年齢層が上の方を中心に「怠けているだけだ」「うつを言い訳にするな」というような考え方をする人は一定数います。
そのため、うつ病の人は自分が病人でありながら周囲の人に対してそのことを理解してもらうように努めなければならないという、非常に難しい立場に立たされることになるのです。
周囲にうつ病の人がいたとするなら、まずはその人の言っていることを全て肯定してあげる気持ちで対峙してあげることが重要となります。
真っ当な思考になりにくい
そして、うつ病のときにはどうしても前向きでプラス思考な考え方になりにくいものです。
「どうせ」とか「所詮」といった枕詞が最初についてしまうような考え方が頭を占めるようになってしまうため、気持ちをフラットな状態に保っておくことが非常に難しくなるのです。
これは人によって程度があるため全くそのような状態にならない人もいますし、反対に周囲の人々全てが敵だ・憎いと思うほどの人もいます。
そういう風に考えるようになってしまうのも、うつ病の特徴の1つだと思って付き合っていくしかありません。
自分の中に抱え込んでしまいがち
1つ目に「周囲の人に理解されにくい」という話をしましたが、そういうこともあってうつ病の人は自分のことや自分の気持ちを自分の中に抱え込んでしまいがちです。
うつ病を治療していくために、自分のことや自分の気持ちを周囲に話していき肯定してもらうことは非常に重要なのですが、自分の殻にこもってしまうとそれが難しくなってしまいます。
そのためこれに関しては、うつ病の人自身というよりは周囲の人の態度や考え方が非常に重要な問題であると言えます。
うつ病の人が自分の殻にこもらずに、外に対して意見や感情を発露できるような状態を整えてあげるように心がけるようにしましょう。
仕事が見つからなくて働けない
特に病気や障害等があるわけではないけれど、仕事が見つからなくて働けないという人もいますよね。
そのような人は、失業したらすぐにハローワークに出向いて失業保険の基本手当の受給申請を行いましょう。
仕事がすぐに見つからない人や離婚等で急に働かなくてはならなくなった女性の対処策については、次の記事を参考にしてください。
制度を利用せずに対応する方法
ここまでは主に公的な制度を利用してお金のやりくりを行う方法を紹介してきましたが、最後にそれ以外の方法でお金を調達するための手段をいくつか挙げていきましょう。
親や親せきに頼る
公的な制度を利用せずにお金関連の問題をどうにかするとした場合、最も可能性が高いのは親や親せきといった血縁関係の人に頼るという方法です。
健康でバリバリ仕事もしている時に「お金を貸してほしい・援助してほしい」と言ってもなかなか首を縦には振ってくれないと思いますが、病気で働けないような場合であれば話は変わってきます。
親であれば自分の子供、親せきであれば甥や姪が健康になって社会復帰できるようになるのであれば、多少であればお金を貸すなり援助するなりしてもいいと考える人は多いはずです。
辛い・しんどい時に人の優しさに頼ることは決して恥ずかしいことではありませんから、親などに頼るという方法もぜひ検討してみてください。
キャッシングなどを利用する
もしくは、銀行や消費者金融が取り扱っているキャッシングなどのサービスを利用するというのも1つの選択肢となります。
いくら血縁関係とは言え人からお金を借りるのはちょっと…という人もいるでしょうから、そういった人は商売としてお金を貸しているところから借りれば何の後腐れもないでしょう。
ただし、身内などからお金を借りる場合とは異なりしっかりとした金利設定がされているので、返済する時にはそれなりの利息を上乗せして返済しなければなりません。
返済のメドが立っていない時に利用してしまうと、今度はそちらの返済のために生活が行き詰まるということもありえるので、利用する時にはその点に十分注意しておく必要があります。
退職して退職金を受け取る
仕事を行っていない期間にいろいろと考えた結果、最終的に「仕事を辞めよう」という結論に達したのであれば、退職することで退職金を受け取ることができます。
退職金を「病気の治療費」として利用するのは少々ネガティブな気もしますが、病気を早めに治して心機一転新しい生活を始めるためには、それも仕方のないことなのかもしれませんね。
ただし働いてる期間が短かったり、退職金のもらえない会社に勤めていたりという場合にはこの方法は利用できないかもしれないということは覚えておきましょう。
前もって知識を取り入れておこう
怪我や病気による休職も保活も、前もって知識を取り入れておくことで、スムーズに給付金を受けたり、入園許可を取り付けることができる可能性が高まったりします。
元気な時から、そして妊娠する前から、将来起こり得る状況への対処法を検討しておきましょう。