年金滞納【無職なのに免除が受けられないのはなぜ?】
国民年金を支払う余裕がないなら、滞納するより減免制度を活用しましょう!
とは言うものの、申請しても却下されるということも少なくありません。
無職でも支払いが免除されないケースとは、どんなパターンでしょうか?
免除が無理でも、猶予や分割という方法もありますので、解説していきます。
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この記事はこんなひとにおすすめ
今回ご紹介するのは、以下の人におすすめの内容になります。
- 無職なので国民年金の支払いを免除してもらいたいと考えている人
- 国民年金の減免制度について詳しく知りたい人
- 国民年金の支払いを滞納しているとどうなるかが気になる人
記事の目次
無職の場合の国民年金はいくら?
無職でも年金支払い額は同じ
平成29年度の国民年金保険料は、一律16490円で、この金額は年々上がる傾向にあります。
収入の有り無しに関わらず、20歳から60歳未満までの国民に義務づけられ、加入者は3種類に分けられています。
- 第1号被保険者:自営業者・農業者とその家族・無職・学生
- 第2号被保険者:会社員・公務員(厚生年金・共済年金にも同時に加入している状態)
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている20歳~60歳未満の配偶者(年収130万未満)
配偶者の扶養なら支払い不要
年収130万円未満で、配偶者の扶養に入っている人を第3号被保険者と呼びます。
配偶者の加入する厚生年金や共済組合が保険料を負担するため、個人で国民年金を支払う必要がありません。
専業主婦やパートで収入の少ない主婦が、年金の支払いが必要ないと言われるのはこのためです。
届出先は、事業主(勤務先)で、届け出をしない限り、第3号被保険者にはなりえません。
結婚したり、これまで多かった年収が130万円未満になったりした場合は、忘れずに届けましょう。
ニートでも年金滞納で差し押さえ
無職で収入がなくても、20歳~60歳未満であれば、第3号被保険者でない限り、年金の支払い義務が生じます。
払えないからと言って滞納を続けると、再三の催促にも応じない場合、財産差し押さえに発展します。
実家ぐらしのニートの場合、同居の家族のなども差し押さえに発展することもあるのです。
ただし、病気や家庭の事情で職に就けない、あるいは低収入である場合、減免制度の申請も可能ですので、次項で解説します。
減免制度のあらまし
国民年金の保険料は4月~翌3月を年度とし、4月上旬に1年分の納付書が届けられます。
納付書が届いたら、基本的に納付期限までに納めなければなりません。
4月分であれば、5月末が期限となっています。
しかし、減免申請をしてから、審査~決定までは2~3ヶ月を要します。
申請自体はいつでもできますので、できるだけ早めに行いましょう。
免除申請の窓口とスケジュール
減免の申請は、住民登録をしている自治体の国民年金窓口にて行います。
申請書は役場や年金事務所で受け取る他、日本年金機構のHP(以下)から印刷もできます。
また、郵送で申請を行うことも可能です。
審査の対象となる所得は以下に示します。
年度 | 審査対象の所得 | 申請期間 |
H27度分 | H26年中所得 | H27.7~H28.6 |
H28度分 | H27年中所得 | H28.8~H29.6 |
H29度分 | H28年中所得 | H29.7~H30.6 |
<例>平成29年4月~平成30年3月まで(月額16490円×12ヶ月分)の減免申請
平成29年度分の納付書は、4月上旬に1年分が届いているかと思われます。
しかし、減免申請は平成29年7月から翌30年の6月に行う形となります。
これは、減免の審査対象となる前年の平成28年度所得(1/1~12/31)を役場が把握するのが、平成29年5~6月頃であるためです。
減免は7月~6月までが年度の区切りとなっており、1枚の申請書では、申請できる期間が限られています。
滞納分が直近の4月より前にもある場合は、さかのぼって2年1ヶ月(納付期限から2年)まで減免の申請を行うこともできます。
申請に必要な書類
減免申請を行うためには、申請用紙を提出しなければなりません。
申請書は、日本年金機構公式ページの「国民年金保険料に関する手続き」からダウンロードが可能です。
その他にもいくつか添付が必要な書類があり、「年金手帳または基礎年金番号通知書」は申請希望者が必ず添付しなければならず、場合によって必要な書類としては以下のような書類が挙げられます。
・前年(または前々年)所得の証明書類
・所得額の申立書(所得についての税の申告を行っていない場合)
・雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写し(雇用保険の被保険者であった方が失業等による申請を行う場合)
事業の廃止(廃業)または休止の届出を行っているかたが、失業等による申請を行う場合には、場合によって以下のような書類が必要となります。
・厚生労働省が実施する総合支援資金貸付の貸付決定通知書の写し及びその申請時の添付書類の写し
・履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書
・税務署等への異動届出書、個人事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書の写し
・保健所への廃止届出書の控
・その他、公的機関が交付する証明書等であって失業の事実が確認できる書類
減免の基準となる所得
減免制度は、主に世帯の前年度の所得を基準として可否が決定されます。
誰でも免除になるわけではなく、申請後審査が行われます。
免除の対象となる所得(収入)のめやす
※()内は収入の目安
扶養人数 | 全額免除 | 3/4免除 | 半額免除 | 1/4免除 |
3人扶養 | 162万 (257万) | 230万 (354万) | 282万 (420万) | 335万 (486万) |
1人扶養 | 92万 (157万) | 142万 (229万) | 195万 (304万) | 247万 (376万) |
扶養なし | 57万 (122万) | 93万 (158万) | 141万 (227万) | 189万 (296万) |
本人・配偶者・世帯主の前年の所得が基準となります。
扶養する家族が多いほど、生活費が必要ですので、年収の基準は高くなります。
失業による特別免除
失業した場合、前年の所得が多いにも関わらず、支払いが困難になるケースも考えられます。
前年の所得ではなく、離職票などを用いて失業の状態を示すことで減免の申請を行うことができます。
念のため、必要書類を年金事務所に問い合わせておきましょう。
免除がダメでも猶予
所得などの条件で、免除が難しい場合、納付猶予制度も活用することも視野に入れてみましょう。
猶予は、免除とは異なり、追納(後から年金を払うこと)しない限り将来の年金受給額が減ってしまうというデメリットがあります(下表参照)。
しかしながら、払えないからと言って滞納(未納)のままにすると、将来の年金額は愚か、若くして障害を負った場合や、遺族年金の受給にも影響が及びます。
老齢基礎年金 | 障害基礎年金 遺族基礎年金 (受給資格へのカウント) | ||
受給資格の カウント | 年金受取額 の反映 | ||
納付 | ◯ | ◯ | ◯ |
全額免除 | ◯ | ◯※1 | ◯ |
一部免除 | ◯ | ◯※2 | ◯ |
猶予 | ◯ | ✕ | ◯ |
滞納 | ✕ | ✕ | ✕ |
※1 2 全額免除や一部免除の場合は、将来の受給額は段階的に変動します。
猶予には年齢制限がありますので、その点に関しては「50歳未満の納付猶予」で触れます。
フリーターの場合の注意点
フリーターのかたの場合、得られる収入が少ないので年金支払いも滞りがちになることが多く、減免や猶予制度を活用することも多くなるでしょう。
ただ、フリーターのかたは制度を利用するためには自分で手続きを行わなければなりません。
会社に属しているわけではないので、事務や総務のかたが手続きを行ってくれるわけではありませんからね。
そもそもそういった制度の存在を知らなければ、「手続きを行おう」という発想にも至らないはずですので、減免や猶予制度についてはしっかり知っておきたいですね。
50歳未満の納付猶予
30歳以上でも猶予が受けられる
インターネット上には、「年金の猶予は30歳まで」という情報があります。
以前は20歳~30歳未満に猶予制度が限定されていたため、「若年納付猶予制度」とも呼ばれていました。
しかし、平成28年7月より、猶予の年齢制限は20歳~50歳未満に引き上げられました。
猶予の基準となる条件は公表されていないのですが、免除よりは比較的基準が低いと言われています。
ですから、免除がダメでも滞納するのではなく、猶予の申請をしてみましょう。
一度、却下されても、世帯の経済状況が変わってから再度申請も可能です。
実家だと免除が受けられない?
実家暮らしの人の場合、免除申請が通りにくいと言われています。
これは、減免の基準が本人の収入だけではなく、世帯主の収入も審査に入ってしまうからです。
同居する人は連帯納税義務者
日頃はあまり意識する機会がないのですが、世帯主や配偶者は、実は年金の連帯納付者という立場です。
滞納が続いた場合は、本人でなくとも預貯金が差し押さえられてしまうくらいなのです。
免除が難しい場合は、「納付猶予」で申請しておき、本人の経済状況が好転してから追納する形をとると良いでしょう。
滞納分は分割という方法も
免除も猶予も、遡っての申請は最大で2年1ヶ月(納付期限から2年)までしかできません。
それ以前のものについては、滞納扱いとなり、延滞金も発生していると考えられます。
保険料そのものが1年で20万円程ですから、延滞金がかさむと相当な額になります。
一度に払うことが難しい場合は、最終手段として分割の支払いを申し出てみるのも選択肢のひとつです。
免除や猶予と違って、分割は特例ですので、郵送で申し込みなどはできません。
事前に、自治体の国民年金窓口に電話で問い合わせをし、必要書類を揃えてから出向くようにしましょう。
下記の関連記事では、延滞金の利率についても解説しています。
学生納付特例制度
学生で無職・無収入であっても20歳になると、年金の支払い義務が発生します。
これに対し、学生には特別に猶予制度が設けられています。
学生納付猶予制度の流れ
20歳になる前月あたりに、日本年金機構から「国民年金被保険者資格取得届書」が届きます。
まずはこの届けを住民登録をしている市区町村か、年金事務所に提出する必要があります。
それと同時に、学生納付特例制度の申請書を提出しましょう。
郵送で申請もできますし、在学している学校が事務を代行している場合もあります。
申請書は、年金事務所に取りに行ってもいいのですが、日本年金機構のHPから印刷もできます。
免除申請のスケジュール
学生であっても、収入がある場合は、やはり前年度の所得が審査の対象となります。
申請のスケジュールは、一般の申請が7月であるのに対して、4月から受付開始となります。
年度 | 審査対象の所得 | 申請期間 |
H27度分 | H26年中所得 | H27.4~H28.3 |
H28度分 | H27年中所得 | H28.4~H29.3 |
H29度分 | H28年中所得 | H29.4~H30.3 |
なお、上記の申請期間は、正規のスケジュールですが、一般の減免申請と同じく2年1ヶ月までならさかのぼって猶予の申請ができます。
未納の場合の通知は?
年金未納の場合は、年金事務所から電話や書類などで「未納になっているので早急に支払ってください」という旨の通知が来ます。
年金事務所からの未納通知について、説明していきましょう。
督促状が来たらすぐ払おう
年金未納の場合に最初に送られてくるのは、督促状です。
督促状には法的拘束力はないため、督促状を無視していても何か罰則が下るようなことはありませんが、無視していてもメリットは1つもありません。
支払いが難しいからこそ未納になっているのは重々承知ですが、なるべく早く何らかの手段を講じて、未納分を支払うようにしましょう。
なおカードローン等では、支払いが遅れている日数に応じて「遅延損害金」を支払わなければなりませんが、年金の場合も同様に「延滞金」を支払う必要があります。
延滞金に適用される金利は、「納付期限の翌日から3ヵ月を経過する日まで」と「納付期限の翌日から3ヵ月を経過する日の翌日以降」で、大きく変わります。
3ヵ月を境目にして負担が大幅に変わりますので、できるだけ3ヵ月が経過するまでに支払うようにしましょう。
最終催告状は差し押さえ通知
督促状を送っても支払いが行われない場合、その後催告状が送られ、最終的には最終催告状と呼ばれる書類が送られてきます。
最終催告状には、指定した期日までに支払いが行われない場合、財産や給料を差し押さえる旨が記載されており、まさに「最後通告」とでも言うべき書類となっています。
最終催告状が送られてきてしまえば、もはや一刻の猶予もありませんので、親に理由を説明して借金するなどの手段を講じてでも、支払いを行うようにしましょう。
年金がもらえないリスク
年金未納のままだと、年金がもらえないというリスクも当然出てくることになります。
年金未納者の人数
厚生省が公表しているデータを参考にすると、2017年度の年金の納付率は「66.3%」であり、この数字から年金未納者の人数を計算すると、157万人近い数字になります。
157万人と聞くと膨大な数だと思われるかもしれませんが、年金納付対象者が数千万人いることを考えると、157万人という数は決して多くはありません。
家庭によっては、年金の支払いが負担になる場合もあることは重々承知ですが、きちんと支払いを行って、将来の年金を受け取れるようにしたいですね。
障害年金もない
年金のことを考える場合、退職後にもらえるお金のことばかり考えがちですが、年金には他にもいろいろな種類があり、その中の1つに「障害年金」があります。
障害年金は、障害や病気によって日常生活や労働に困難を伴うときに国から支給される年金であり、仕事で得られる給料がなくなった場合には非常に助かります。
しかし、年金支給を受けるための受給資格期間分だけの年金を支払っていないと、障害年金の支給対象者にはなりません。
「老後のお金は貯金をしっかりしておけば大丈夫」と考えておられるかもしれませんが、そういった考えでいると思わぬところで足をすくわれるかもしれませんよ。
遺族年金の支払も無し
年金を支払っていない場合、年金が受給できずに困るのが自分だけであれば百歩譲って「自己責任」ということで我慢できるかもしれませんが、自分以外に迷惑が及んでしまう可能性もあります。
年金を支払っていないと、遺族年金の支払いも行われないのです。
遺族年金があれば、残された子供や孫がお金で困るような心配が多少なりともなくなることになりますが、年金未納だとそうもいきません。
大事な家族にまで影響を与える可能性があると分かっていれば、年金をしっかり支払っておこうという気にもなるのではないでしょうか。
最後に
減免申請は、払いたくても払えないというやむをえない状況下で利用する制度ですが、却下されることも少なくありません。
本人が無収入でも、同居している世帯主や配偶者にある程度の所得があると、連帯納付義務があるため、許可がおりないのです。
この場合、免除は無理でも猶予制度を活用して、経済状況か好転してから前向きに追納するようにしましょう。