キャッシュカードの暗証番号が4桁なのは何故?
ふだんは当りまえと思っていますが、キャッシュカードの暗証番号が4桁なのは何故と改めて聞かれると、よく分りませんね。
どうしてキャッシュカードの暗証番号は4桁がちょうどいいのかという理由と、暗証番号の安全な管理の仕方についてまとめました。
記事の目次
暗証番号が4桁の数字になった理由
もしキャッシュカードに暗証番号がなかったら喜ぶのはスリだけで、うかうか持ち歩くことができませんね。
しかし、その暗証番号がなぜ4桁の数字なのでしょう?
まず、なぜ数字なのかという理由は、アルファベットもOKとなるとATMに面積をとるフルキーボードが必要になるからです。
数字だけのテンキーなら小さくてすみATMを設置するコストも大幅に低下します。
ATMの歴史
暗証番号の数字は4桁である必然性はありませんが、ATMを作るときに誰かが最初に4桁と決めて後はそれに右ならへしたわけですね。
その誰かというのは1967年に世界で初めてATMを開発したイギリス人で、当時はATMではなくてCD(キャッシュディスペンサー)と呼ばれていました。
日本で最初にATMが登場したのは1969年(三井銀行)で、給料を銀行振り込みにする会社が増えたのがATMが急速に普及した理由だと言われています。
ちなみに、給料を銀行振り込みにする会社がその頃急に増えたのは、1968年に東芝の社員のボーナスを運ぶ現金輸送車が襲われて3億円強奪されるという有名な「三億円事件」が起きたからだと言われています。
セキュリティと覚えやすさのバランスが4桁
最初にイギリスのCD開発者がキャッシュカードの暗証番号を4桁に決めた理由は、本人が覚えやすくて他人が推測しにくいバランスが4桁だと判断されたからでしょうね。
暗証番号の桁数 | 暗証番号の組み合わせ |
---|---|
1桁 | 10通り |
2桁 | 100通り |
3桁 | 1,000通り |
4桁 | 10,000通り |
5桁 | 100,000通り |
4桁の数字は1万通りの組み合わせがあるので他人が当てずっぽうで当てる可能性はまずないし、本人は4桁くらいなら覚えられるとのでちょうど良い塩梅だというわけです。
5桁や6桁にすると確かにセキュリティは向上しますが、本人が覚えにくくてメモなどをキャッシュカードといっしょに財布に入れたりしたら何にもなりません。
ATMは暗証番号を3回間違うとロックがかかってそのキャッシュカードは使えなくなるので3桁の1,000通りでもじゅうぶん安全のような気もしますが、最初に決めた人は「まあ念のため」と思って4桁にしたのかもしれません。
暗証番号は磁気テープに記録されている?
ATMが登場したときはキャッシュカードの暗証番号は磁気テープに記録されていましたが、スキミングで磁気を読み取られて悪用される事件が起きたので、昭和63年からはキャッシュカードの磁気テープには暗証番号の情報は入れないことになりました。
したがって、いまはスキミングされても暗証番号を知られる心配はなく、スキミングと同時に暗証番号を入力するところをビデオ撮影されたりしない限り被害はありません。
キャッシュカードの磁気ストライプには72文字入りますが、まだ暗証番号が磁気テープに記録されていたころは72文字の容量のうちの4桁目から7桁目に暗証番号を入れると決められました―このとき暗証番号は4桁に最終的に決まったと言ってよいでしょう。
キャッシュカードの暗証番号は外国でも4桁?
最初に暗証番号を4桁と決めたイギリスはもちろん、他の欧米諸国もすべてキャッシュカードの暗証番号は4桁の数字です。
しかし、ATM後発組の香港と中国はなぜか(というか、もちろんセキュリティを高めるためでしょうが)6桁です。
クレジットカードも暗証番号は4桁?
日本で発行されているクレジットカードも暗証番号は4桁ですが、中国にカード会社の母体がある銀聯カードだけは6桁です。
ただし日本で発行される銀聯カードは最初の2桁が00と決まっているので、暗証番号としての実質は4桁です。
4桁の暗証番号の決め方
4桁の暗証番号の決め方の原則は、①覚えやすくて②他人に推測されにくいことです。
他人に推測されやすい暗証番号
他人に推測されやすい4桁数字とは、誰もが好んでつけたがるシンプルな数字と、身の回りにある公開された数字です。
- 2222や8888などのゾロ目の数字
- 1234、5678などの連続番号
- 1212や5656などの2桁の繰り返し
- 誕生日(4月14日なら0414など)
- 電話番号の最後の4桁
- 郵便番号の最後の4桁
- 自動車のナンバー
生年月日や郵便番号の数字を暗証番号にしていると、キャッシュカードと運転免許証などを同時に落としたり盗られた場合に、暗証番号を推測されやすくなります。
名刺に書かれている電話番号や住所は公開情報ですし、誕生日は公開されているわけではありませんが、運転免許証や健康保険証には明記されています。
推測されやすい暗証番号にするデメリット
生年月日や電話番号など推測されやすい暗証番号を使っていると、悪用されやすいだけでなく悪用されたときの補償が減額されます。
キャッシュカードを盗まれてお金を引き出されても「預金者保護法」によって被害金額は全額補償されます。
しかし、誕生日などの推測されやすい暗証番号にしていると、カード所有者に不注意があったと見なされて補償額が75%に減額されてしまいます。
また、暗証番号を人に教えてしまった場合はお金を引き出されてもまったく補償を受けることができません―脅かされて暗証番号を言わされた時も補償を受けられない可能性が高いというから怖いですね。
覚えやすくて推測されにくい暗証番号
テニスが好きな人はテニスの日が9月23日なので0923にする、などは簡単に推測されることはありません。
しかし、サーファーの多くが1173(いいなみ)を暗証番号にしていたために、海岸の駐車場が車上荒らしにあって多数の被害が出たという事例もあるので、趣味を暗証番語を記憶するのも絶対安全とは言えません。
そう考えると暗証番号の付けかたも悩ましいのですが、上記の「推測されやすい数字」さえつけなければ、キャッシュカードを紛失すこと自体がめったにないことなので、そう心配することはありません。
それよりも心配なのは、自分で付けた暗証番号を忘れてしまうことですね。
- 自分または子供の生まれたときの体重
- 好きな食べ物、飲み物にちなむ数字―苺パイ(1581)、コークハイ(5981)など
- 好きなタレントの名前にちなむ数字―宮迫(3835)など
- 毎日乗る駅にちなむ数字―大宮(0038)、渋谷(0428)など
- ペットの名前にちなむ数字―2匹の猫がトラとクロなら1096など
暗証番号のバレないメモの仕方
暗証番号をメモして持ち歩くのはタブーですが、メモとは気づかれずにメモする方法はあります。
例えば携帯電話のアドレス帳に架空の名前と架空の電話番号を登録しておいて、その電話番号の下4桁を暗証番号にすれば他人に気づかれることはありません。
違うカードに同じ番号は危険?
持っているキャッシュカードやクレジットカードがすべて同じ暗証番号というのは避けるべきですが、キャッシュカード2枚とクレジットカード3枚くらいは持ち歩く人が多いでしょうから、5つの暗証番号を「このカードはこの番号」とすぐに思い出すのはけっこう大変ですね。
そういう場合は、
- メインのキャッシュカード⇒暗証番号A
- メインのクレジットカード⇒暗証番号B
- その他のカード⇒暗証番号C
と3つの暗証番号を決めて、きちんと覚えれば合格点と言えます。
暗証番号は定期的に変えた方がいいの?
金融機関はどこも暗証番号の定期的な変更をすすめていてATMの画面にも出てきますが、実は私にはその理由がよく分りません。
例えばある日キャッシュカードを落として悪い人に拾われたとすると、その暗証番号が10年前に決めたものと先月変更したもので、どんなセキュリティ上の違いがあるのでしょうか?
仮に身近な人がキャッシュカードを悪用することがあったとしても、長年同じ暗証番号を使っているからといって悪用する人が推測しやすくなるわけではありません。
何かの折にポロッと暗証番号のヒントになるようことをしゃべってしまったというならすぐ変えた方がいいのはもちろんですが、それは定期的な変更とは別の話ですね。
推測しやすい番号は先月変えたばかりの暗証番号でも推測されてしまうので、推測されにくい古い暗証番号を推測されやすい新しい番号に変更するのはもちろんバカげています。
金融機関だけでなくネット上にもキャッシュカードの暗証番号は定期的に変えた方良いというアドバイスはたくさんありますが、探してみても上記のような私の疑問に答える記事は見当たりませでした。
銀行のコールセンターに変更をすすめる理由を聞いてみました
三井住友銀行のコールセンターに暗証番号の定期的な変更をすすめる理由を聞いてみると、「確認しますので少々お待ちください」という返事でした。
しばらく待っているとオペレーターが戻って「同じ番号を使っているより推測されにくくなりセキュリティが高まるから」というネットにあるような返事でした。
そこで上記のような私の疑問をぶつけて、オペレーターさんはどう思われますかと聞いてみると「なるほど、お客さまのおっしゃることもごもっともだと思いますので、私の方からそういうご意見があったことを報告しておきます」というフレンドリーなご返事でした。
金融機関も暗証番号の定期てな変更をすすめてはいるものの、その理由は案外あいまいなのかもしれませんね。
ただし、インターネットバンキングではハッカー被害などにあわないように定期的に暗証番号を変える必要があるということでした。
4桁の暗証番号を忘れたときの対処法
キャッシュカードの暗証番号を忘れたときは、うろ覚えで入力せずに金融機関の窓口で新しい暗証番号を設定する必要があります。
記憶があいまいなまま入力して3回以上間違うとロックがかかり、やはり金融機関の窓口でロックを解除してもらわなければなりません。
窓口に行くときは、運転免許証などの本人確認書類、印鑑、使えなくなったキャッシュカード、通帳を持参する必要があります。
インターネットバンキングをしている人はネット上で新しい暗証番号を設定することができます。
店舗を持たないネット銀行の場合もネット上で手続きします。
■三井住友銀行の暗証番号を間違えてロックががかってしまった時の対処法
まとめ
キャッシュカードの暗証番号が4桁なのは、セキュリティと覚えやすさのバランスが銀行にとってもカード所有者にとってもちょうど良いからだと言えるでしょう。
私たちにとって重要なのはこの4桁の数字を他人に知られないことと忘れてしまわないことです。
※₁お申込み時間や審査状況によりご希望にそえない場合があります。
※お借入れ総額により収入証明書(源泉徴収票等)が必要です。