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労働基準監督署調査は「働き方の健康診断」

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決定

「労働基準監督署の調査が入った!」…おそらく、面倒なことになったと多くの経営者は感じるのではないでしょうか。

できればそうなりたくないと考えておられる方も多いことでしょう。

確かに、現在は「働き方」について注目されている中で「労働基準法違反」を指摘されることは企業にとって大きなダメージとなることから「調査は面倒」と考えることは当然と言えます。

しかしながら、労働基準監督署から指摘を受けなければ「法違反」であることに気づかなかったかもしれません。

そのままの状態が続くと大きな問題となっていたかもしれないのです。

そういう意味では、労働基準監督署調査は、企業にとって「働き方の健康診断」と言えます。

バレないようにというのではなく、悪いところがあるのであれば、しっかりと指摘してもらって速やかに改善するという姿勢が大切です。

もちろん、悪いところがないという方が良いに決まっています。

本来は、すべての企業において労働基準法を遵守していなければいけないわけですから。

しかしながら、労働関連の法律を学ぶ機会のなかった経営者は多くいらっしゃいます。

そういった中で、労働基準監督署調査があることが多くの経営者にとって、労働関連の法律を学ぶきっかけとなっています。

労働基準監督署の調査を通して、自社の労務管理を正しい方向に向けていくという姿勢が重要なのです。

労働基準監督署調査ってどんなもの?

労働基準監督署による調査は、必ずしも社内に問題があることを労働基準監督署が認識しているということで行われるものばかりではありません。

業種や規模を任意に選び定期的に行われることも数多くあります。

調査は、本社だけでなくすべての事業所が対象となっています。

支店も営業所も工場も調査が行われるのです。

例えば、飲食店であれば一つの店舗ごとに対象となるということです。

したがって、一つの企業において、何か所も労働基準監督署の調査が並行で行われていることもあるのです。

さて、実際の調査は、賃金台帳やタイムカードの帳簿や書類を確認して必要に応じて人事担当者等からのヒアリングを行いながら、労働基準法等の違反事項があるかどうかについて確認をします。

確認する帳簿や書類はおおよそ以下のものとなってますが、場合によっては、実際に業務で使用しているPCなどを確認することもあります。

① 会社の事業概要がわかるもの
② 組織図
③ 労働条件通知書あるいは雇用契約書
④ 労働者名簿
⑤ 賃金台帳(直近3~6か月分)
⑥ タイムカード,出勤簿,時間外・深夜労働時間を集計したもの(直近3~6月分)
⑦ 就業規則等諸規程
⑧ 時間外・休日労働に関する協定届(提出控)
⑨ 事業場外労働・裁量労働に関する協定届、1年単位の変形労働時間制に関する協定届、 フレックスタイム制に関する労使協定、その他各種労使協定(提出控)
⑩ 年次有給休暇管理簿
⑪ 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医・安全衛生推進者の選任報告  (提出控)及び巡視記録
⑫ 安全・衛生委員会規程、委員名簿、議事録
⑬ 健康診断個人票、健康診断結果報告(提出控)
⑭ 長時間労働者に対する面接指導の実施状況が分かるもの

突然、監督官が来ることも…

労働基準監督署調査は、監督官が企業を訪問するケースも会社の担当者が監督署に出向くケースもあります。

監督官が来訪する場合には、事前連絡があって調査日時を設定した上で訪問するケースだけでなく、事前連絡なしで監督官が突然訪問するケースもあります。

そういった場合、担当者がいないと書類の保管場所が分からないといったこともあるでしょう。

しかし、「就業規則」「36協定」は労働者の見やすいところへの掲示が求められています。

「そんなのどこにあるか知らない…」が法律違反の指摘となることもありますのでご注意下さい。

事前に予告がある場合には、会社側からすると準備をすることが可能となります。

例えば、届出を忘れていた書類があったことに気づいたら、事前に届出を行うなどの対策を取ることができます。

なお、事前に指定された調査の日程がどうしても合わない場合には、たいていは、調整に応じてくれます。

「是正勧告書」と「指導票」への対応

労基署調査により、法律違反等が確認された場合には、「是正勧告書」や「指導票」の交付を受けることとなります。

サッカーでいえば「レッドカード」にあたるものが「是正勧告書」、「イエローカード」にあたるものが「指導票」といえます。

是正勧告書」とは、明確な法律違反に対して是正を求める文書です。

所定期日までに是正することが求められます。

「違反事項及び該当法条項」「是正期日」が記載されており、交付の際、是正事項について説明がなされたうえで調査に立ち会った担当者の署名捺印を求められます。

指導票」とは、明確な法律違反とはいえないが、このままほっておくと法律違反になりかねない事象や行政通達の違反について改善を求める文書です。

こちらも「是正勧告書」と同様、期日を指定され改善状況を報告します。

「是正勧告書」、「指導票」いずれも、報告の際には是正・改善した事実が客観的にわかるもの(例、修正した就業規則・未払い賃金を支払った月の賃金台帳)とともに文書をもって報告します。

是正・改善期日は事象にもよりますがだいたい1か月程度の日付を指定されます。

原則的には、この期日までに是正・改善して報告となるのですが、所定期日までに是正・改善ができない場合には、その理由と経過報告を行うことで是正期日を延長してもらえることもあります。

しかし、最終的に監督官が是正・改善したことを認めるまで完了とはなりません。

私は、6か月にわたって、毎月の勤怠データの報告を続けたこともあります。

私の経験上、よく指摘される事項は以下の通りです。

これらの点について御社では同のようになっているのか実態を把握し、場合によっては早めの改善をお勧めします。

(1)労働条件通知書に必要事項の記載がされていない。

特に、「退職に関する事項」有期労働契約の場合「契約更新をする場合の判断基準」、パートタイマー場合「昇給」「賞与」「退職金」の有無、「雇用管理改善等に関する相談窓口」が漏れていることがあります。

(2)賃金台帳に「性別」「賃金計算期間」が記載されていない。

必須の記載事項ですが、抜けていることがあります。

(3)終業時間と時間外労働の時間の乖離

タイムカードにより打刻されている「終業時間」と実際に時間外労働として計算している時間との乖離がある場合に多額の未払い賃金が生じるケースがあります。

(4)36協定が守られていない

36協定に定めた時間外労働の上限数を超えているケースや特別条項を適用する場合の所定の手続きが行われていないことを指摘されるケースがあります。

(5)振替休日の際に、週40時間を超えた場合の割増賃金の支払いがされていない。

振替休日の結果、1週6日勤務となり週40時間を超える労働となった場合には、時間外労働としての割増賃金(25%以上増)の支払いが必要となります。

調査に対する心構え

調査は、通常直近3か月から6か月程度の期間について調べられます。

つまり、すでに過ぎ去った事象について調べるわけです。

もし、その期間中に法律違反があった場合、それを無かったことにすることはできないわけです。

もちろん、書類を改ざんして・・・なんてことは絶対にやってはなりません。

労働者にとっては、過ちをごまかすことよりも、これから良い方向に向かっていくことを期待しているものです。

『過去よりも未来を見据えた労務管理』を目指すという姿勢が、調査に対する心構えとして重要です。

調査については、冒頭の通り「働き方の健康診断」だと考えて、悪いところがあれば直すといった考えで臨んでください。

Be Ambitious社会保険労務士法人 代表社員
飯野 正明

社会人歴28年は社労士業界一筋。これまで、業種規模も多様な500社以上の企業の労務管理に携わってきた。

現在は、代表社員として10名の職員(うち、短時間正社員2名、完全テレワーク職員3名)の「働き方改革」に取組ながら、中小企業の労務管理を支援している。

著書に『いま。管理職が直面する労務管理のポイント20』『これだけは知っておきたい‼労基署調査の対応ポイント』(清文社)、『職場トラブル解決のヒント』(ギャラクシーブックス)などがある。

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