まとまったお金がなくてもできる、無理なくお金を増やす方法
「宝くじで5億円が当たれば、一生遊んで暮らせるのに・・・」
多くの方が、一度は妄想したことがあるのではないでしょうか。
しかし、現実には一攫千金やウマい話はまずありません。
今回は、まとまったお金がないからこそ、時間を味方につけながら、誰もが高い再現性をもってコツコツとお金を増やしていくことのできる方法を、お伝えしていきます。
お金を減らし続ける方法
前置きがやや長くなりますが、高い確率でお金を減らし続けることができる方法について触れておきます。
①パチンコ、公営競技(競馬・競艇・競輪・オートレース)、宝くじなど
いずれも、参加者が支払ったお金の総額から運営側の経費をたっぷりと差し引いた額が分配される、ギャンブルです。集まったお金から参加者に戻ってくる割合のことを「期待値(きたいち)」と言い、パチンコは約80%、公営競技は約75%、宝くじは約46%とされています。
つまり、パチンコを長くやり続けると、たまには勝つこともあるでしょうが、長期的にみれば、10万円賭けると平均して8万円になっていくのです(その8万円も平均して6万4千円になっていきます)。
こうしてみると、宝くじなんて、10万円分買うと、平均して4万6千円に。買えば買うほどお金が減ります。(いずれも余裕資金で娯楽として楽しむことを、否定してはいません)
②株の短期売買、商品先物取引、FX(外国為替証拠金取引)、仮想通貨など
いずれも「投資」であるかもしれませんが、実態は「投機」、すなわちギャンブルです。
投資対象の価値の向上を追うのではなく、価格の差をとって儲けようとするだけで、誰かの儲けは誰かの損になる「ゼロサムゲーム」。参加者全員の儲けと損を合計(サム)するとゼロになる、という意味です。(ちなみに、パチンコなどのギャンブルは、ひどいマイナスサムゲームですね)
着実にお金を増やすために、まず実践したいこと
給料が増えれば貯金できるのに・・・と思っていても、増えたら増えたで、お金があれば使ってしまうというのが、人間の心理というもの。実は、収入の多い・少ないと、貯蓄の多い・少ないは、あまり関係ありません。
収入が決して多くなくても、(極端な節約生活を続けなくても、)お金を増やし続けている方がいらっしゃるというのは、私がFP相談を受ける中でよく実感することです。お金を増やし続ける多くの方は、まずは給料からの天引きや毎月の口座引き落としなどで、強制的に貯蓄できる仕組みをつくっておられます。そして残った中で生活費をまかなっていく。
つまり、「収入-支出=貯蓄」ではなくて、「収入-貯蓄=支出」の仕組みをつくる。これができた時点で、お金を貯める目的の半分以上は達成できたと言っても言い過ぎではないでしょう。
仮に、毎月2万円の積み立て貯蓄を30年間継続すると、元本だけで720万円にもなります。十分な「まとまったお金」ですよね。
貯蓄から投資へ
もちろん貯蓄は大事なのですが、今の定期預金の金利は、せいぜい0.1%程度。この金利で毎月2万円を30年間積み立て続けても、元本と運用収益を合わせて約731万円(税金は考慮せず)。
預貯金だけで大きく増やしていくことは、期待できません。そこで、貯蓄から少しずつでも「資産」に回していくこと(投資)を、考えてみましょう。
資産の中でも代表的な金融資産は、株式です。もし、世界経済はこれから縮小していく一方だ、と考えるのであれば、株式投資など行わずにタンス預金にしておくのが最適かもしれません。
しかし、私たちの身の回りにあるモノやサービスの多くは、株式会社などの企業によって生みだされたものです。昨日より今日、今日より明日、と私たちが少しでも豊かな暮らしをしたい、便利な生活をしたいという人々の欲望が原動力となって、今まで経済が成長してきました。
技術革新によって便利なモノやサービスが次々に生み出され、人々の生活は豊かになってきましたし、この進化はこれからも人類が存在する限り止まらないでしょう。さらに、世界の人口は、国連の推計によれば、現在の76億人から2050年には98億人まで増加するそうです。
このように考えると、企業の株価は短期的には上下動を繰り返しますが、長期的な経済規模の拡大とそれに伴う企業価値の上昇によって、全体としては将来もじわじわと上昇していくと考えることができるのではないでしょうか。
実際に、長期的には平均してプラス5%程度の年間リターンが十分に期待できるとされています。「期待値」に言い換えると年105%、つまり、10万円が1年後に10万5千円に増えるということですね。長期の株式投資は、平均的にはお金が増えていく、「プラスサムゲーム」なのです。
投資信託の活用
ところが、いざ株式を買おうと思っても、例えば「トヨタ自動車」なら、執筆時点で約70万円もの資金が基本的には必要です。「まとまったお金がなくてもできる」と言っているのに、これでは難しいですね。
そこでうまく活用したいのが、「投資信託(ファンド)」の仕組みです。
これは、皆さんから集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式などに投資・運用する金融商品のこと。その運用成果は、皆さんの投資額に応じて配分されます。
今では、金融機関によっては月100円から積み立てることができるようになっていて、一般の生活者がコツコツと資産形成するためのハードルがとても低くなっています。
ちなみに、月2万円ずつ積み立てたファンドの年間リターンが5%の場合、投資元本と運用収益を合計すると、10年で約310万円、20年で約822万円、30年ではなんと約1,664万円にもなるのです(税金は考慮せず)。
ポイントは、長く続ければ続けるほど、雪だるま式に資産がどんどん膨れ上がっていくこと。ということは、早く始めれば始めるほど、効果が大きくなります。
投資信託を、どう選ぶのか
現在、国内で個人が購入できるファンドは6,000本を超えており、最初は何を選んでよいのかさっぱりわからないかもしれませんね。でも、決して難しくはありません。
そもそも「投資」とは、一攫千金を狙うギャンブルなどではなく、「将来こんな世の中になればいいな」と明るい未来をつくるために、感情を思いっきり込めるもの。誰にも当てはまる「正解」はないのです。
だから、「何を買えばいいのか教えて!」はNG。株式に投資するファンドの中から、購入時の手数料が無料で、保有時のコスト(信託報酬)が低いものを選び、自分が納得できるものに投資する。
最初は少し勉強が必要かもしれませんが、いったん積み立て投資を始めてみれば、案外ラクに資産形成できることを実感できて、思わずニンマリしてしまうでしょう。無理をせずに、マイペースで実践してみてくださいね。
スタジオポルテ夙川公園FPオフィス代表
松村 勝宜
宅地建物取引士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、理学療法士、福祉住環境コーディネーター1級、介護福祉経営士1級。1974年生まれ。住宅メーカーでの営業職、スポーツクラブのインストラクター、介護老人保健施設勤務を経て、2011年に起業。通所介護施設(デイサービス)を兵庫県西宮市にて開設、現在に至る。
介護にも携わる中で、公的制度に過度に依存することなく豊かな人生を送るためには、生活者が適切なお金の知識を持つことが欠かせないと強く考えるようになり、独立系FPとしての活動も開始。保険の加入・見直し、住まいの購入、資産運用の相談を得意とする。