高年収でも生活が苦しい!その理由と対策とは?
年収800万円や1,000万円は高収入であるといえるかと思いますが、高収入なのに生活が苦しい人は結構多くいらっしゃいます。
この記事では、年収800万円や年収1,000万、でも生活が苦しい理由や、生活苦から脱出する方法を紹介します。
高年収でも生活が苦しい人がいる
年収1,000万円という金額を聞くと、どのような印象を持ちますでしょうか?
国税庁の平成27年分民間給与実態統計調査結果(平成28年9月発表)によると、日本の平均年収は420万円です。
そう考えると年収1,000万円は高収入であることがお分かりいただけるかと思います。
しかし、これだけの年収を得ている人にも関わらず、生活が苦しい状況に陥っている人も数多くいらっしゃるようです。
一体どうして高収入なのに生活が苦しいのでしょうか?
まずは、高収入なのに貯金がない世帯の割合を紹介したいと思います。
高収入でも貯金ゼロの世帯割合
貯金がない世帯と聞くと、収入が少ない世帯を思い浮かべるかと思います。
「家計の金融行動に関する世論調査(2016年)」(2人以上世帯)によると、貯金がない世帯は収入なしの世帯で54.5%、年収300万円未満で40.5%、300万~500万円未満で29.8%であり、年収が少ない世帯ほど貯金がない割合が大きくなります。
また、500万~750万円未満でも23.7%、750万~1000万円未満でも15.7%と、多くの世帯が貯金がないという実態が分かります。
そして、気になる1,000万~1,200万円未満が20.3%、1200万円以上でも8.7%が貯金がないため、高収入世帯でもかなりの割合で貯金がなく、生活が苦しい実態が見て取れるでしょう。
年収1,000万で生活が苦しい理由
それにしても、どうして年収1,000万円も稼いでいるにも関わらず、生活が苦しいという状況に陥るのでしょうか?
年収が少なくて生活苦に陥っている人からすれば、信じられない話しかも知れません。
考えられる理由としては、「税金が引かれた手取りは低い」「生活レベルが高い」「浪費してしまう」「子供の教育費が高い」などがあげられます。
低年収の人は、年収が増えさえすれば生活が楽になると思っているケースが多いため、このことを知っておかないと、年収が増えた場合に苦しい思いをしなければならなく可能性があります。
では、それぞれの理由を具体的に見て行きましょう。
税金が引かれた手取りは低い
年収1,000万円を超える収入を得ていたとしても、1,000万円が全て手取りとなるわけではありません。
そこから税金が引かれた額が手取りとなるわけです。
たとえば厚生年金に加入しているサラリーマンで、夫婦と子供二人の世帯の場合には、一体どれくらいの税金を支払う必要があるのでしょうか?
あくまでも概算ではありますが、子どもが新宿区の私立幼稚園に通っていて、児童手当や私立幼稚園関連の補助金があると仮定すると、税率はおよそ22.3%となります。
手取りは777万円で、月割すると65万円となるため、手取りは随分目減りすることになります。
生活レベルが高い
年収が高いと、生活レベルも高くなる傾向があります。
低所得世帯や中流世帯が日々節約に励んでいることに対して、高収入世帯は節約意識が低いケースがあるようです。
その結果、収入は多いけれども、支出も多くなって、結果的に収支がマイナスとなることがあります。
たとえば、住宅ローンを組む場合、低所得世帯では借りられないほどのローンが組めるため、結果的に豪華な家に住む代わりに、月々の返済負担が大きくなります。
固定資産税もその分多くなってしまうので、生活レベルの高さに比例して、支出も増えるのです。
収入が増えた場合には、生活レベルは一定にして、その分貯金に回す配慮が必要です。
浪費してしまう
浪費してしまう場合にも生活が苦しいケースが見られます。
低収入世帯でも、高収入世帯でも浪費グセに違いはなく、衝動買いをしてしまったり、不要なものにお金を使ったり、お金が残らない状況を作りがちです。
収入の範囲で浪費をするのであればまだ良いのですが、収入の範囲を超えて浪費をしてしまうと、ダイレクトに家計に影響を与えます。
高収入になると、浪費額も増えるため、収入の多さに関わらず、生活が苦しい状態に陥ってしまいます。
節約という観点で考えると、浪費は永遠のテーマで、最も削減すべきところです。
欲しいものをそのまま購入するクセからいち早く脱却する必要があるでしょう。
生活を苦しくする教育費
年収が多い世帯ほど、教育にお金を使う傾向が強いという特徴があります。
そこで親の年収によって、高校卒業後の進路が大きく異なることに着目してみましょう。
2009年に文部科学省が調査し結果をまとめた「家計負担の現状と教育水準の投資」によると、親の年収が400万円以下の世帯では4年生大学への進学率は31.4%、就職などは30.1%です。
それに対して、年収1,000万円超の世帯では4年生大学への進学率は62.4%、就職などは5.6%と大きく開きがあります。
子供が大学に進学するのと就職するのでは、教育費にかかる費用に大きな差が生まれます。
それだけでなく、年収が多い世帯の方が大学進学を目指して、子供が小さい頃から塾に通わせる割合も高いと考えられます。
また大学進学を見据えて大学にかかる費用を、積み立てている世帯も高収入の世帯の方が多いでしょう。
教育に力を入れた分だけ生活費を圧迫するため、年収の割りに生活が苦しいと感じることも納得できます。
高年収でも低所得者でも生活苦から脱出する方法
生活が苦しい場合には、収入と支出の見直しが必要です。
もしも年収が少ない世帯の場合には、どれだけ支出を切り詰めても収入を増やさない限り生活が苦しい状態から抜け出せないことがありますが、年収1,000万円の収入があるのに、生活が苦しいというのであれば、明らかに支出に原因があります。
しっかりと支出の見直しを掛けましょう。
生活苦から脱出するためには、具体的な対策が必要です。
ここでは、「家計簿を付けて家計を可視化する」「節税策を取る」「少額貯金の習慣を付ける」の3つの方法について紹介します。
家計簿を付けて家計を可視化する
支出を見直す場合に最も効果的な方法が、家計簿を付けるという方法です。
特に浪費グセがある人の場合、自分が毎月何にいくら使っているのかが分からず、使える額の基準も把握していません。
そのため、欲求や感情のままに浪費を繰り返すことになりますので、支出の可視化という意味でも家計簿は有効です。
また、家計簿を付けると切り詰めることができる家計項目も見えてきます。
住宅ローンの借り換えや、保険の見直し、通信費の削減など、節約できる項目がないか、ぜひ見直してみましょう。
また、食費や日用品などの生活費は、節約がしやすいという特徴がありますので、合わせて節約を検討してみると良いでしょう。
細かい節約は初心者向きではないのでNG
節約をしようと考えたときに、細かい照明の電源オフや食費の節約から行なう人が多いです。
しかし、節約初心者にはこれらの節約術は余りおすすめできません。
なぜならば、水光熱費や、食費の節約は目に見える成果が出にくいからです。
例えば、50WのLEDライトを一日つけっぱなしだとしても、40円程度の出費で済みます。
どんなに照明を間引きして使ったとしても、一日数十円しか節約ができません。
このような節約術を幾つもやっても、月々わずかな金額しか節約できずにコストが非常に悪いです。
さらに、労力だけかかってしまい、節約が長続きしない原因となりかねません。
節約は高額なものから行なう
節約初心者におすすめは、高額な出費から節約することです。
例えば、住宅費です。
もし賃貸で広い部屋に住んでいる場合は、思いきって少し狭い部屋に引っ越してみるとよいでしょう。
引っ越し費用などは一時的にかかりますが、家賃が2万円違えば年間24万円の節約になり十分元が取り返せるはずです。
他にも月に何度も外食を行なっているのであれば、外食の頻度を下げてみるのもよいでしょう。
家族4人の外食1回で5000円程度の出費になるとします。
これを2回減らすだけで1万円の節約になります。
最初は少しくになるかもしれませんが、慣れるまで少し辛抱してこのような家計の中で大きい出費から減らすことがポイントとなります。
おすすめの節約方法
節約の基本は、ストレスがかかりすぎないようにして継続することです。
ほとんど生活レベルを変化させることなく、支出を抑えることができるのが通信費の見直しです。
特にスマホ料金は格安スマホに変更するだけで、簡単に節約できます。
家族が多いほど節約効果も高く、いままで使っていたスマホに格安SIMを挿すだけでこれまでと同じようにスマホを利用できます。
そのため、ストレスがほとんどなく、節約を継続するのも容易でしょう。
また支出を抑えるなら、家計簿は必須です。
節約するつもりで安い商品や、割引になっている商品を積極的に買うようにするのは問題ありません。
しかし、割引になっているからという理由で、不要なものまで購入していることも多いものです。
割引の商品を買っているなら支出が減るはずですが、実は変わっていなかったということもあります。
しっかりと節約したいなら、家計簿をつけて細かく支出を管理しましょう。
スマホの家計簿アプリにはレシートを撮影するだけで、簡単に家計簿をつけられるものがあり便利です。
買い物をしたらスマホのカメラで、レシートの撮影をする習慣を身につけてみるとよいでしょう。
節税策を取る
節税策も支出を増やす場合に検討したい方法です。
特に、高収入世帯は税金が多いため、低所得世帯よりも節税効果が期待できます。
個人でできる節税策として効果的なのが、個人型確定拠出年金(iDeCo)とふるさと納税の2つです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、加入者が毎月掛け金を積み立てて、運用したものを60歳以降に受け取るというものです。
年金として受け取ったり、一時金としてまとめて受け取ることが可能で、積立る時は所得控除の対象、運用する時は運用益が非課税、受取る時は公的年金等控除と退職所得控除の対象となり、節税効果が高い方法です。
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附ができる制度で、寄付した分が所得税と翌年度の住民税から差し引かれて戻ってきます。
寄付した地方ならではのお土産が届くというメリットもあるため、節税しながらお得にお土産をゲットすることも可能です。
少額貯金の習慣を付ける
少額ずつ貯金をするというクセをつけることも大切です。
たとえば月に2万円ずつ貯金をした場合、10年後には240万円の貯金がある計算となります。
3万円なら10年後に480万円、5万円なら10年後に600万円貯まります。
定期預金などを利用して、強制的に引き落としてしまえば、浪費のワナからお金を守ることも可能なので、少しでも貯金するように心がけましょう。
年収が変わっても節約できない
人生では何が起こるかわかりませんので、病気やけがが原因で収入が変わってしまうことがあります。
また、世界情勢の変化によって企業の業績も変化するので、賃金のカットやリストラの対象になることも珍しいことではないでしょう。
収入が変わっても、子供にはこれまでと同じく好きなことをさせたいと感じる親も多いと思います。
また、ローンの支払金額は変わらないので、節約を考えるなら趣味を我慢することや、食費を抑えることを検討するのではないでしょうか。
しかし節約のために、生活レベルを落とすのは難しいと言えます。
好きなことを我慢して1か月がたったときに、自分へのご褒美という名目で散財してしまうことも多いようです。
節約をすることによって過度のストレスがかからないように、少しずつ生活スタイルを変えていく必要があります。
まとめ
高収入でも、生活が苦しいという人は数多くいらっしゃり、貯金がない高収世帯の存在がその実態をあらわしています。
しかし、高収入なのに生活が苦しいのは、支出に原因があることが明白なので、対策が打ちやすいともいえます。
ここで紹介した対策を、早速実践してみましょう。